原罪



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    ミステリ→

    ↑現実的

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    初公開日(参考)1995年11月
    分類

    長編小説

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    原罪 (上) (ハヤカワ ポケット ミステリ 1629)

    1995年11月30日 原罪 (上) (ハヤカワ ポケット ミステリ 1629)

    ジェラールが社長に就任してから、社内では原稿や原画が紛失するトラブルや、社員が自殺するという不祥事が続いていた。長い伝統を誇る名門出版社には、一体何が潜んでいるのか?〈ソフトカバー〉 (「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

    原罪の総合評価:7.11/10点レビュー 9件。Bランク


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    サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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    全2件 1~2 1/1ページ
    No.2:
    (8pt)

    ジェイムズ印なれど快作。

    マンディ・プライスという従来の作者の作品にはいなかった現代的な娘を要所要所に活用する事で、何か軽快なテンポのいいストーリー展開が生まれ、非常に愉しく読み進めることが出来た。
    とは云え、改行の少ない文字のぎっしり詰まった文章は相変わらずだし、最後の最後に来て救済のない結末を持ってくる所などは、ああ、やはりP.D.ジェイムズか、と嘆息してしまった。
    しかし、ある種吹っ切れた感があるのは確か。『策謀と欲望』、『死の味』に比べると遥かに読みやすく、しかも解りやすい。当時の自らの読書力の無さが最大の要因であろうが、原子力発電所の世界なぞ、およそP.D.ジェイムズに似つかわしくない世界を扱った点がまずかったように思える。
    やはり今回のように出版業界のような勝手知ったる世界を舞台に扱う方が俄然物語に勢いがついてくる。本当に今回は面白かった。

    Tetchy
    WHOKS60S
    No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
    (6pt)

    PDジェイムズ三作目

    三作目となると、段々作者の持ち味?カラーといった、その人ならではの特徴がわかってきます。
    二作目の「策謀と欲望」よりは、「原罪」の方が入りやすかったですね。
    (入りやすいと把握しやすいとは、ちょっと違うものですが)
    読み進めながら何度も何度も登場人物リストを確認しました。
    なじみが無い名前という点もあるのでしょうが、ここを省略しないのが
    PDジェイムズを好きになるコツ?だと思います。

    ももか
    3UKDKR1P
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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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    No.7:
    (2pt)

    愛読者以外、読む価値はない失敗作

    P・D・ジェイムズの大ファンであり、「死の味」「人類の子供たち」を大傑作と確信している筆者だけに以下の感想は不本意きわまりない。
     しかし当作「原罪」は壊れた失敗作であり、ジェイムズ愛読者以外読む価値はない、と断定。

     ユーモアは健在だし、通常小説としての性格描写は秀逸だし、他の作品にもあるジェイムズのアダルト、18禁の側面、セックスが人生に及ぼす影響を軽視しない視点での観察もしっかり書き込まれている。
     しかしこの作品はジェイムズ没後、2014年3月号のハヤカワ・ミステリ・マガジンのジェイムズ追悼特集で、複数の書評家による「わたしのこの一作」を挙げているが、この原罪だけはない。
     それを見ても推して知るべしの欠陥を備えていた。
     
     筆者はP・D・ジェイムズはミステリとしてより「普通小説」として読んでいる。
     10代半ば~50歳まで35年、要するに人生の現役時代の中核部分、まったくミステリを読まない人間がやにわにミステリを読みだしてみたので(かなり特異な読者だと思います)トシを食った人間が見るとミステリ自体「1人や2人、頑張っても5-6人殺しても世界の大勢に影響ないわ」といささかひねくれた目でみてしまうし(個人の感想ですが)、ロジカルにすっきりしたパズル的な論理のアクロバットは「お上手。ですけど、筒井康隆の【乱調文学大辞典】の詭弁=推理小説最後の10ページ、という定義があったなあ」と、苦笑しながら読み飛ばしてしまう(すいません)
     これはまあミステリ全体に対しての筆者のひねくれモード発動なのでまあそれはスルーして頂くとして(笑)個別にジェイムズのミステリ自体、もともとそうした「定式」通りではない。

     創作方法として、ジェイムズはパターン的後半⅓から¼ぐらいの所でホンボシは判明してしまう。
     真相が解明される過程も、ダルグリッシュの脳内で方程式が解法され、余人(つまり読者)にはその論理過程が明晰に共有されることはなく、相当に直観的にパーツが揃って判明する展開が多いので(「死の味」「灯台」「原罪」どれもしかり)、アリバイ崩し、論理のアクロバットというより、矛盾なく犯人が「行動」を起こす時間的空隙を埋め、矛盾なく説明できる筋道を探り出して構成される方式と見ている。
     なので、彼女の作品には、作品内で説明されるプロット以外の人物たちにも、そのような時間的間隙がどこかにあり、全くべつの動機と行動と犯人で作品を展開することも可能だ、という気がしている(筆者にはそんな作業はできませんけど…)。

     以下作品の内容を含みつつ(でもネタバレとか犯人は明かしませんのでご安心を)この作品はなぜ筆者の目には駄作ではない、しかし失敗作であると見えたのか説明したく思う。
     (お嫌でしたらここでお止めください)

     この作品は1994年という第二次大戦終結から半世紀に描かれた時代性のためか、戦時に犯された罪とその贖罪をテーマとしている。
     具体的にはナチ政権に妻子を殺されたことへの報復だが、同じ早川書房で出ているマイケル・バー・ゾウハ―「復讐者たち」によると、1940年代後半に、元ナチスに対して個人的・組織的にイスラエル人が復讐を遂げたことと、それがのちにイスラエル建国のためにその復讐は意図的に停止させられ、また自主的に停止していったことが描かれていた。
     それだけに、それから、それこそイアン・フレミングやジョン・ル・カレやゴルゴ13が大活躍した東西冷戦の枠組みも崩壊し、戦後50年になって、登場人物の一人がその計画を長期的に実行していく真相と深層は、正直言って広島の原爆ドームが世界遺産になる、つまり完全に歴史化が進んでいる時期に「今さらそれ?」という感覚は否めない。
     いくら日本以外、中国も欧州も「水に流す文化ではない」と分かっていてもだ。
     
     しかも、その復讐者も戦時中には空襲に参加し、無関係の他者を殺害(任務とはいえ)していたことが暴露されていく。
     純粋に無実の人間が戦争中に何の悪い事もしていないのに無惨に妻子を殺害された事への代償とは言えない。(そう思うのは、1990年代に、民族主義というよりは、単なる現状不満勢力で、自分自身の奪権闘争でしかないルワンダとかユーゴスラビアの内戦を見たからでもあるが)
     「原罪」という宗教的なタイトルにふさわしい内容ではない。
     「復讐」もっと的確には「私刑」ではあるまいか?
     それはもはや殺人という個人間のトラブルから発生する内容ではなく、半分は政治だが、半分はこの執行者は頭がおかしい。
     筆者がもっとも違和感を抱いたのは、手を下した本人への報復ではなかったことだった。
     封建時代ではあるまいし、親の因果が子に報い、では江戸時代である。それは犯人の力量不足(その時代にさっさと復讐を執行できなかったこと)ではないか?
     欧州の個人主義はどこに行ったのか。
     しかもそれに対して警察の一人は筆者の目から見たら職務逸脱と自己満足でしかない逃避を行い、みすみす被害を拡大し、執行者が勝手に人生の決着をつける無言の支援を(結果的には)してしまう。
     犯人が犯人なら警察も警察である。
     ミステリとしては破綻し、政治と戦争に翻弄された人間が異常を来たす物語は、ミステリではない。
     文学かルポルタージュの担当である。

     繰り返すが筆者はジェイムズ愛読者なので、この作品のミステリ要素以外の普通小説としての描写は素晴らしかったし、それはそれとしてその部分は楽しんだ。19歳のタイピスト女性の現代的感覚はこの80才を越えた著者にしては異質かつ新鮮だったし…。
     でも、この作品はジェイムズの筆致を楽しみたい愛読者以外、読む意味と必要のない失敗作だと思う。 
     この巨匠にして、こんな失敗作を書くことがあるのか。彼女も人間だなあ。
     えらそうな感想ですみません。
     全編読んだうえでの感想なのでご了承を…。
    原罪 (上) (ハヤカワ ポケット ミステリ 1629)Amazon書評・レビュー:原罪 (上) (ハヤカワ ポケット ミステリ 1629)より
    4150016291
    No.6:
    (5pt)

    ジェイムズの作品のなかでは読みやすい大作

    ロンドンの名門ペヴァレル出版の社内で起きた自殺と殺人。
    若く野心に満ちた社長、その妹、高名な詩人、創業者の娘、忠実な秘書といった
    多彩な人々が織りなす複雑な人間関係の謎にダルグリッシュ警視長やケイト・ミスキン警部が挑みます。

    ヴェネツィアの宮殿を思わせる壮麗なイノセント・ハウスの外観など、
    重厚な描写をじっくり楽しむことができるばかりでなく、
    若き速記タイピスト、マンディの視線から描かれている場面も多く、
    従来のジェイムズ作品より軽妙で取りつきやすいです。

    事件の解決はいつものように劇的で、ケイトの同僚でユダヤ人のダニエル・アーロン警部が
    重要な役割を果たします。ヨーロッパの悲劇的な過去を背負う登場人物の存在感もさることながら、
    出版業界の内幕や盛りを過ぎたベストセラー作家の悲しさなども描かれ、
    ジェイムズ作品をお好きな方には特におすすめの一冊です。
    原罪 (上) (ハヤカワ ポケット ミステリ 1629)Amazon書評・レビュー:原罪 (上) (ハヤカワ ポケット ミステリ 1629)より
    4150016291
    No.5:
    (4pt)

    読者を圧倒する重厚な力作

    老舗出版社の社長が殺され変死事件が相次ぐが・・・というお話。
    この著者のP・D・ジェイムズの著作は全部ではないですが、それなりに読んでいて、本書も他の傑作と同様面白いことこの上ないですが、本書に限って言えば最高傑作とは言えないまでも相当良く出来た秀作に位置する作品ではないかと思いました。
    名のある名門出版社で怪事件、殺人事件が相次ぎ、やがて過去の戦争に端を発する事実が浮上し・・・という展開は初期最高傑作「ナイチンゲールの屍依」を彷彿とさせますが、そこはP・D・だけあって過去の著作の踏襲に終わらずに、閃きを見せてくれて読ませます。
    作中に著者の推理小説観の様な物が開陳されていて、一種のメタ・ミステリの趣も見せますが、そこら辺は読者各自でどう受け入れるかを考えた方がいいと思いました(私は賛成ですが)。
    ただ、若干作品の前半に張られた伏線が不発気味の所もあり、そこら辺はイマイチに感じたのも真実です(私の読み間違えでなければですが)。
    ともあれ、読者を圧倒する重厚な力作。機会があったら是非。
    原罪 (上) (ハヤカワ ポケット ミステリ 1629)Amazon書評・レビュー:原罪 (上) (ハヤカワ ポケット ミステリ 1629)より
    4150016291
    No.4:
    (4pt)

    非常に納得のいく結末、そして真犯人探しよりも、出版社内での錯綜した人間関係の方が面白

    出版社内でのドロドロとした愛憎渦巻く中、あっけらかんとした気儘な娘マンディと、
    まるで「家政婦は見た」の家政婦のような掃除係デマリ―が、重苦しくなりがちなストーリーの雰囲気を、時々救ってくれている感じ。
    しかし、殺人事件の真犯人探しよりも、先代からフランス人の経営者が携わっていた、やや独特の経営体制の、名門出版社内での、閉鎖的かつ濃厚な人間模様の方が、圧倒的に面白い。
    兄と同じく自信家の妹クローディアとその恋人デクラン、殺された社長ジェラード・エティエンの
    元恋人で、彼にすげなく捨てられ、現在も彼に複雑な思いを抱いているフランセス、そんな彼女を
    切ない思いで影から見守るジェイムズ、自ら詩集も出版している、一見温厚な老紳士のゲイブリエル、
    強烈な性格の、売れない作家エズミ・カーリングなど。
    また、本書の中でも度々言及があるが、売れる本=良い本なのか?とは、普遍的な問題なのだなあ。
    内容としては、「ナイチンゲールの屍衣」と似ている部分がある。
    最後の結末については、非常に腑に落ちる結末だった。
    しかし、上記のマンディやデマリーの存在に加えて、ある愛の結末が救いを与えてくれている。
    それから、解説での、ジェイムズミステリーの魅力は、一言では説明しづらいという言葉には、
    大いに同感。ポケミス版では、どういう解説がなされているのか知らないが、有栖川有栖の
    今回の文庫版の解説文は、大変良かったと思う。
    原罪 (上) (ハヤカワ ポケット ミステリ 1629)Amazon書評・レビュー:原罪 (上) (ハヤカワ ポケット ミステリ 1629)より
    4150016291
    No.3:
    (4pt)

    精緻に組み立てられたフーダニット

    登場人物一人一人の生い立ちや生活を丁寧に書き込み、彼ら彼女らの心理を掘り下げてみせることでミステリーに奥行きを与え、問いかけるようにして作品を読者へ届けてきた英国推理小説界の重鎮P .D. ジェイムズ。本書は出版界を背景にして、人間ゆえの愛と憎しみを描き出したダルグリッシュ警視ものの秀作です。P .D. ジェイムズらしく華やかさは抑えてありますが、正真正銘のエンターテイメントです。
    原罪 (上) (ハヤカワ ポケット ミステリ 1629)Amazon書評・レビュー:原罪 (上) (ハヤカワ ポケット ミステリ 1629)より
    4150016291



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