ナイチンゲールの屍衣
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ややこしい。 | ||||
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ミステリーの展開が何となく読めてしまって・・・・。 | ||||
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CWA賞受賞でジェイムズ初期の代表作。本の厚みも1.5倍くらいになり、今のジェイムズの作風はここから本格的に形成されたと云える作品。 | ||||
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アダム・ダルグリッシュ警視シリーズでは4作目にあたり、初めてシルバーダガー賞を受賞した、P.D.ジェイムズの出世作。閉鎖的な人間関係の中に潜む愛憎を冷徹に暴いていく、P.D.ジェイムズの真骨頂といえる作品だ。 | ||||
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著者の没後10年にして読み始めた「未来の読者」である。 フィリス・ドロシー・ジェイムズ(1920-2014)の全生涯がすでに完結し、全作品が均等に市場に投げ出されている状態で、順番を気にせず読むスタンスで見た意見、という「設定」をご了解いただきたいのであります (重厚な前置き) 同世代で読み続けていた読者の方々からすると時系列的に無茶苦茶な読み方をしている「後知恵」の所は否めない。 「ナイチンゲールの屍衣」は、ジェイムズの全業績では(彼女が50歳を超えた時点の作品にもかかわらず)94歳で没したこともあり、初期の代表作の一つになってしまうが、高密度で陰鬱なこと、正直、同世代の読者として「気鋭の新作」と紹介されていたらこの後の作品をフォローするか迷ってしまうぐらい陰鬱な作品だった。 病院の看護婦が、定期監査の時、実演で「患者役」をしていたら胃への直接の薬品投入がいきなり毒で即死、という出だしから派手でよろしいのだが、ジェイムズお得意の胆汁質に重苦しい人格の掘り下げが現れ、歌舞伎のごとく、被害者の表面の下に「じつはその被害者はゆすり、たかりの常習犯で」という暗黒面が100ページもすると引きずり出されてくる。 ドストエフスキー文学はだしに「内面の奥深い深淵」が出て来て(しかもジェイムズの場合、往々にして人間のくだらなく軽薄だったり小悪党だったりするのがロシア文学との違いである)それが、先に読んでいた彼女の未来の大傑作「死の味」「正義」「灯台」のように過不足ない重厚ではなく、ひたすら人間性の卑小と暗鬱へと向かってしまうので、正直読後感だけではなく「読中感」も良くなかった。 ジェイムズ大ファンの筆者(これだけ色々とくさしておいてなんですが愛読者です)でもげんなりしつつ読み終えたのですが、この作品はジェイムズがミステリの背後に潜ませていたテーマを問わず語りに「語るに落ちた」作品だと思える。 一つは第二次世界大戦での「罪」にかかわることで、当作から25年後ぐらい未来、1990年代のある作品に別の形で「戦争における罪とはなにか」とより重厚な作品として結実している。 もう一つは女性、ことに現代社会で自立する女性がどのような苦悩、問題に直面し、どのような人生を送るのか、という問題意識がある。誰もが思い浮かべるミステリのファーストレディ、コーデリア・グレイものだけではなく、1980年代以後登場するケイト・ミスキン警部の人生の軌跡が問わず語りに展開するが、当作ではいずれケイト・ミスキン警部の原形になるような看護婦たちの第二次大戦以後の人生航路が描き出され、それが女性同士の関係性のなかで特有の関係性をもっていたことが示される。 もう一つは未来の作品(「死の味」「灯台」「殺人展示室」)ではより読みやすく、楽しい形で提示される、イギリス社会、ないしは作者の頭の中に潜む、結婚や交際とは異なった、同性愛、結婚以外を含めた人間の性の諸相をも、未来の作品を先に読んでしまった読者(筆者の場合)は この作品は、ジェイムズにとっての「原型」だったのか (他の初期作品にもそうした要素はあるのかもしれないが) と、ある種の驚きを感じさせる作品だった。 当作は1971年、ついで4年後の「黒い塔」(1975)でシルヴァー・ダガー賞を受賞し、ジェイムズにとっては「いずれ来るミステリ界の女王へのキャリアを登り始める」意味を持つ作品だろうが、この作品は後期の作品に漂う、ある種の余裕や、読者を遊ばせるだけの行間の余裕がないので、みっしりぎっしりと詰め込まれた重厚濃密で、息が詰まりそうな読後感だった。 読んで楽しい気分になる作品ではなかった。 が、ジェイムズの作家生活を俯瞰したとき、序曲のような位置づけになる作品ではないか。 今ではもう陳腐かつ常套的なテーマと思うが、女性作家によるマイノリティ・ジェンダー、自立した女性、という題材では、日本では少し蓮っ葉な形で描き出した桐野夏生、あくまで重厚路線でジェイムズの後継者のような高村薫の先駆者と思う。 これは余りにも明瞭なのか、それとも今さら言うのが当たり前すぎて誰も言わないのかは不明だが、読んでいて筆者はこの二人を思い出した。 このお二人がジェイムズの系譜、影響、親近感を持っているのかは不明だが、まったくなんの作風上の影響がない、としても、それとしても生物学の平行進化、収斂進化のような現象の先行現象とも思えるし、ジェイムズの当作が発表されてから50年以上未来になって読んでみると、ミステリ史上に重厚な足跡を残した人物は、本人も予期していない意味で著者本人や、あるいは他国の未来のミステリを含めた波及、ないし同質性を考えさせたりという残響をしのばせる巨大なインパクトを持つものだ、という(発表当時の著者その人に申しても困惑されるかもしれないが)読後感だった。 ジェイムズ文学のホログラム、原像のような作品だと思う。 でも、読んで楽しいかと言われるとどうかと思う暗鬱さで、遺憾ながら読み返すことはないと思うのだけれども、しかし考えてみればたいていの本は一期一会、二度と手に取ることはないのだから、これだけ大きい読後感を与えただけやはり特別な本なのかもしれない。 | ||||
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コーデリア・グレイの2作を読んで、ようやく初めてのアダム・ダルグリッシュ。 執拗とまで解説される描写に一気に引き込まれ、予想もできない壮大な展開に茫然としながら、終盤はだまし絵のように鮮やかに視点をかわされ続け、いつこのおそろしくも魅惑的な世界から離れなければならないのかと残りのページ数が気になって仕方がありませんでした。 読み終わっても余韻さめやらず。P.D.ジェイムズ、見事としか言いようがありません。隅田たけ子さんの訳も、お見事です。すばらしかった。 | ||||
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1971年に発表されたP・D・ジェイムズの長編第四作。最初の三作に見られた詰めの甘さが微塵も無い。これ以降の作品は全てが傑作というジェイムズの偉大なキャリアの真の幕開けとなった作品。 生半な恐怖小説も顔負けの陰鬱な病院のリアルな描写、精緻な登場人物の心理の描き分け、一行一行が美しい文章の中に丹念に張り巡らされた伏線の妙。これぞ英国ミステリを、小説を読む歓びを具現化した名作。 | ||||
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最初は、一見、いつも一緒に行動したりして、さも親しげに見えるけれど、実は支配・被支配関係 だったり、牽制しあっていたりと、複雑で屈折した、女性特有の人間関係の巧みな描写は、 さすが女性の作家の手になるだけあると思います。病院という、閉鎖的で、プライバシーなどないに 等しい、空間の、息詰まる人間関係。 そしてこの病院関係者が、いずれも、強烈な個性の持ち主ばかり。しかし、このような曲者揃いの、狭くてドロドロとした人間関係の描写に終始しているかと 思うと、事態は思いもよらぬ方向へと進展し、予想外のスケールの大きさを見せ、驚愕の真相へと 至る。まさに、重厚な大作でした。 | ||||
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ある病院で起こる殺人事件の小説。2件起こるが最初の事件が他殺か事故か判別できないうちに第二の事件が起こり、ダルグリシュの登場となる展開で、徐々に意外な真相が全貌を現すという推理小説。とても緻密に構築された作品で故・瀬戸川猛資氏が指摘しているように前半に仕掛けられた伏線が後半で一気に開花し、最後に予想もしなかった真相が暴露される、推理小説を読みなれている私のような人間でも結構驚くなかなか凄い作品でした。一行一語も読み飛ばせない重厚な小説で、軽い小説を好きな人には奨められないけど今でも読む価値は十分ある傑作だと思いました。今は手に入りにくくなってるようですが、いずれ復刊されて後世まで読み継がれるであろう作品だと思いました。 | ||||
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