死の味
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.67pt |
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ダルグリッシュ警視シリーズの第7作で、三度目の英国推理作家協会賞シルバー・ダガー賞を受賞した作品である。 | ||||
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なぜ評価が高いのかがわかりませんでした。 | ||||
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本作から文庫本で上下巻による分冊刊行。ちなみにポケミス版は1冊だが、昨今よくある活字を大きくしたり、1冊の分量しかないのにわざわざ分冊にして浮利を得ようとする水増し分冊ではなく、上下巻に値するボリュームを持った作品である。つまり先にさんざん「疲れた、気が滅入った」を連発していた『黒い塔』よりもさらに分厚い作品なのだが、これは非常に面白く読めた。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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状態もよく満足です。 読むのが楽しみです。 | ||||
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久々に歯ごたえのある海外ミステリを読んだ。というのはきれいな言い方で、ここ最近では珍しく(書かれたのは1986年だが)わかりにくい洋物を読んでしまった、という感じである。「貝殻で作った色とりどりの花を盛った、ドーム型ガラス・ケース入りの摂政時代の把手つき花瓶」というような文章が延々と続くのはまあいい。重厚長大と呼んでもいい。 しかし膨大な情報の中に重要なことが埋没したり、そもそも何が言いたいのか? という文章がけっこうあるのはストレスだった。例えば下巻P408に「危篤の病人から呼び出しがかかるかもしれない時に、彼が行先を告げずに出かけるはずがない」という文がある。これは下巻P48の情報などとつながる部分だが、よほど注意深い読者でなければ気づかないだろう。 記述のブレも見られる。レディ・アーシュラが家政婦に夕食を頼む時間が、上巻P234と下巻P357では食い違っている。これはもしかしたら翻訳のミスかもしれない。なぜなら後者の文中にある「そのあと」という語を「出る前に」と変えれば、齟齬は解消するからだ。また上巻P64に出てくる単位は「センチ」ではなく「インチ」が正しいのではないかと思う。 と、まずは文句を並べ立てた上でちゃぶ台を返すが、しかしP・D・ジェイムズの魅力はこうしたところにはあるまい。もちろんミステリである以上、先に述べたようなわかりにくさやかったるさにはジリジリさせられるが、それはそれとして人間がよく描けた物語としての面白さこそがこの作者の美質だろう。本作でいえば、ウォートン嬢とダレン少年の物語であり、ケイト・ミスキン警部と祖母の物語である。どちらも重く、ずっしりと胸に残った。 | ||||
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読んでいてミステリ、殺人の謎解き小説というよりは、1980年代イギリスの階級社会的な、イギリスの中でもややレトロではないかと思われる社会を描写する普通小説、大袈裟に言えば英文学を読むような心持ちで読んでいたのだが(やはり大袈裟かしら)登場人物がさらけだす本質というか本性というかが、土壇場で抑制が外れた人間などというものはそんなもの、とはいえ下劣というか淫蕩というか、これほど素晴らしい文章と内容なのに、この作者の関心事は、人間の下品さの追求だけなのかしら、といささかげんなりしていた所、最終章のラスト30ページ、この印象は一挙に覆された。 サスペンスの教科書のような完璧な構成で、そこでヒロイン(群像的なのでヒロインとはいえないが、少なくともこのシーンでのヒロイン)の人生の真実はわずか2ページで啓示され、ヒロインは家族の再構築と今後の関係性を予感したところですべてが怒涛のようなクライマックスになだれ込む。 フィリス・ドロシー・ジェイムズは、この小説の世界での氷点は現実より寒いのではないか、と思われる冷静沈着な描写を数百ページに渡って続けた後、最後30ページ、すべてが燃焼して灰燼も残さない圧倒的な激情と展開でこのヒロインの人生の真実を描き切り、それがタイトル「死の味」とも重なる人生の真実をも示唆する最後の一行までメガトン級のパンチが続いた。 読み通したとき、迫力と昇華で、呆然自失して気絶しそうだった。 こんなミステリ(と言っていいのかしら)読んだことがない(といってもこれまでの人生で赤川次郎や西村京太郎といった皆様お馴染みのミステリを含めても合計200冊も読んでませんが)。 この小説で一番気に入っているのは随所にちりばめられた作者のイギリス社会の観察、文化、社会の描写だった。 高村薫や桐野夏生のようなミステリの枠をはみ出した作家の作品と共通し、いや時代的にジェイムズは彼女たちに先行しているのだから、ミステリと文学の融合を成し遂げた先達の到達点を見る思いで読み終えた。 とはいえ彼女はイギリス人なので、模倣も発想も難しく、それでいて理解容易な噴き出すようなユーモアがあるのだが。筆者自身が死ぬまでに読めてよかった。そんな作品でした。 | ||||
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初めてフィリス・ドロシー・ジェイムズのミステリを読みました。 アガサ・クリスティを継ぐ英国の女王とか、「女には向かない職業」が傑作だとかの世評は存じてましたが、まっさらの白紙状態です。なのでホームズ役の警視長アダム・ダルグリッシュ、その部下ケイト・ミスキンも初対面。いきなり著者畢生の大作にぶち当たったのですが大正解でした(笑) もともとミステリを読まない人間です。理由の一つは謎解きの部分が往々にして理解できない知能の低さにあるのですが(こんな白痴ぶりをさらすのは屈辱的ですが事実だから仕方がない)、 ①ミステリとしてよく理解できなかったら一度だけの読み捨てでいいや ②ミステリ以外の普通小説、風俗小説、日常を描く英文学として読んで面白かったらそれはそれでひろいもの、 と、はなはだ目線の低い意識で読み始めたのですがこれが①②とも大傑作。 冒頭、老嬢と少年が教会の聖具室で血の海の中に二人の死体を発見する出だしから、スタイリッシュこの上ないダルグリッシュ警視長や警察のメンバーの登場の仕方から関係者の捜査が始まる展開へと、筆者のような一見さんにもわかりやすく、それでいて②の英文学として(は大袈裟か)少なくともイギリスの普通小説として、イギリス人の(いささか誇張されているだろうけれど)色々な登場人物を描き出すなかで、 aイギリス式ユーモア b社会の構築、運営方法、権力の行使の仕方 c考え方、文化 d 結婚後の複数の男女の性愛の感覚 を描き出し、abについてはアガサ・クリスティのミス・マープルものを読んだとき、社会を達観したような相対的・俯瞰的な目で見て、そこから観察された人間観を感じたことがありましたが、それよりも遥かに深く面白く構築されており、ときどき爆笑しながら読みました。 またdについては「これではほとんど乱婚ではないか」と思える素晴らしさで、それを倫理的に描かず事実として淡泊に書くのはほとんど未知の領域で、これ、P・D・ジェイムズ愛読者の方々にはお馴染みなのか、それともこの作品特有の人間模様なのか、それともイギリス文化にはそうした性質があるのかは不明ですが(しかし事実だとしたらイギリスはフランス以上に進んだフリーセックスの世界ですな…)度肝を抜かれながら読み進めました。 もっとも度肝を抜かれたのが被害者の母上、レディ・アーシュラ・ベロウン。 彼女の言動は物凄いの一言で、これはぜひ原典にあたって読んでみて頂きたい。すくなくとも筆者がもっとも大爆笑したのはこの82歳の烈女の言動でした。いやあ、こんな女性、見た事がなかったです! | ||||
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オールタイムベストに入る傑作。なんでもっと早く読まなかったんだろうと思ったけど、この新訳で読めてよかった。P.D.ジェイムズの他の作品も青木さんの訳で出し直してほしいです。 | ||||
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