(短編集)
幻の屋敷
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内容的にもう少しだった。 | ||||
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ありそうでなさそうで、兎に角小説としてはおもしろかったです。 | ||||
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巨匠・アリンガムの短編11篇を編んだオリジナル短編集。 本作は、アリンガムが描く探偵役・キャンピオン氏の人物像を楽しむミステリなのだと思う。 表題作でもある「幻の屋敷」。いったいこれはどうなるんだと先行きの読めない謎のお話なのだが、これをピシャリ、と一喝。めでたしめでたしの結末で、さらにクスッと笑わせるサービスも忘れない。 もの悲しい真実が暴かれる不可能犯罪ものであっても、結末にはウィットに富んだ一言。これが最後の雰囲気をがらりと変えてくれる。 短編ならではの楽しみともいえるが、このシリーズは結構安心して読んでいられる。クリスティでいえば、「トミーとタペンス」シリーズのような雰囲気をまとっているような気がする。(わかるだろうか?笑) 創元からは11月に第3集がでるらしいので、これも楽しみにしていたい。 | ||||
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1900年生まれで29歳のデビューから60代までの長きに渡る鮮やかな推理と冒険に満ちた波乱万丈の人生を著者アリンガム女史から愛されながら描かれ続けた「名探偵キャンピオン氏の事件簿」第2弾です。初めに私は著者の短編が今のタイミングで紹介された事を非常に喜んでおりまして、その理由は華々しくパッと見て一目瞭然に魅力的なカバー・イラストの素晴らしさによる所が大きいです。ご存知の方も多いと思いますが、1970年代に刊行された創元推理文庫「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」シリーズの探偵の七つ道具の写真が配されたカバーの面白みのなさ(しかも全冊みな同じの使い回しでしたね)に比べると「月とスッポン」の歴然たる差を感じてしまいますね。やはり時代色というものがあって日本人画家による漫画風イラストという現代の自由な風潮まで辿り着くのは実に半世紀近い時間を待たなければならなかったのでしょうね。(もしこの部分に強いお怒りを感じた方がおられたとしたら、心からお詫び致します。どうかお許し下さい。要するに昔はどちらかと言えば「装丁よりも中身で勝負」の時代だったのだと思います。)このカバーのお陰でキャンピオン氏はご高齢のオールド・ファンだけでなく若いビギナーの方々にも強くアピールして確実に昔よりもっと多くの人気を獲得するだろうと思いますね。さて、本書を読まれた方はキャンピオン氏の魅力が「ガチガチの本格推理」の面だけではなく、惚けた味や軽いユーモアの方が主流である事に驚かれたかも知れませんし、「何だ意外に単純なトリックばかりだな」と感じられたかも知れませんが、私が思うのはこういうストーリーを考えてサラッと書くのは実は中々に大変で器用な書き手でないと上手く落とせないのではないかなと思いまして、また優雅な古き良き時代の香りさえ感じられ、忙しなく世知辛い今の世の中にはない、ゆったりとした時が流れる昔の小説を読む喜びにふれられてとても嬉しかったですね。 『綴られた名前』冒頭で不運にも警官から不審者と疑われるキャンピオン氏でしたが、さすがに彼ならではの専門の知識を活かして窃盗犯を捕まえるお手並みが鮮やかでしたね。殺人は無く窃盗事件だけで一作書けるという思えば優雅な時代ですね。 『魔法の帽子』レストランの支払いがタダになる魔法の帽子があれば誰もが欲しくなるでしょうが、当然ながら人生そんなに甘くはないですよね。 『幻の屋敷』一瞬「幻の屋敷」にアレッ?と慌てふためきますが冷静に考えると・・・・キャンピオン氏が身内の関係する不名誉な犯罪に巻き込まれる事件で、まあ幸い未遂で済んだので罪のない笑い話で終わって良かったですね。 『見えないドア』「不可能犯罪ミステリの名作」と呼ぶのが読後にやや躊躇われるシンプルな盲点トリックですね。オーツ警視は昭和の時代ならキャンピオン氏を「新人類」と呼んだかも知れないなとは思いますが、でも現代の科学捜査なら当然の「何事も鵜呑みにしてはいけない」という教訓をこそきっちりと学んで欲しいですね。 『極秘書類』金庫破りのけちな犯罪者が純情可憐な若い娘をカモにして騙したのをオーツ警視とキャンピオン氏が救い出すちょっと良い人情噺ですね。 『キャンピオン氏の幸運な一日』被害者が私設馬券家で、キャンピオン氏が競馬の結果を手掛かりにして謎を解くという少し出来すぎですがノリが良い愉快な一編です。 『面子の問題』記憶について自信満々の老人が殺人事件の証言をするのだが・・・・彼が最後の決断に至った理由が善悪のどちらによる物なのか?微妙な所で読み手の考え方次第で如何様にも取れますね。 『ママは何でも知っている』キャンピオン・ファミリーと言うべきルーク首席警部が追い詰められて当然犯罪には素人の実の母親に頼ってコソ泥嬢の逮捕に成功したある意味の武勇伝ですね。 『ある朝、絞首台に』鬼刑事と呼ばれるケニー警部がキャンピオン氏に叔母殺しの罪で処刑が迫る若者の事件について相談する。キャンピオン氏が消えた拳銃の謎を手掛かりにして導き出した意外な真相と彼の実力を遺憾なく発揮した名推理の冴え。あわやという所で悲劇的な結末を救った事によるヒューマンな感動をも同時に味わえる文句なしに本書のベストですね。 『奇人横丁の怪事件』警察署にやって来て円盤について真剣に訴える頭のイカレタ老人の正体は?まあ悪党は他にいて思えば彼は真面目な愛すべき好々爺なのですよね。 『聖夜の言葉』クリスマス・イブに喧嘩したキャンピオン夫妻を仲直りさせた奇跡がまさか愛犬ポインズのお陰だとは!百戦錬磨のキャンピオン氏には自然な出来事で、もはや滅多な事では驚かないのでしょうね。 『年老いてきた探偵をどうすべきか』自分の拵えた架空の人物との会話を文章にするというスタイル自体が微笑ましくて著者の愛すべきお人柄が偲ばれますね。 | ||||
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収録作品 「綴られた名前」 「魔法の帽子」 「幻の屋敷」 「見えないドア」 「極秘書類」 「キャンピオン氏の幸運な一日」 「面子の問題」 「ママは何でも知っている」 「ある朝、絞首台に」 「奇人横丁の怪事件」 「聖夜の言葉」 「年老いてきた探偵をどうすべきか」(エッセイ) 殺伐とした現代ミステリと対極にある、典雅な雰囲気と悠然たるユーモア、機知に富んだ世界が堪能出来る。アルバート・キャンピオン探偵譚を発表順に編集した日本オリジナル短編集の第二巻。本書には1938年から1955年に発表した作品を収録。 主役であるキャンピオン氏のノーブルなキャラクターがまず好ましく、多彩な登場人物とのやりとりにも心和む。作者の美質である人物描写の鮮やかさが短編においても大いに発揮されている。 発表媒体や紙数の制約もあってか、本格的な謎解きの魅力よりもコミカルな犯罪小説や綺談の色が濃いが、心理的な盲点を突いた不可能犯罪テーマの「見えないドア」や卓抜な凶器消失トリックの「ある朝、絞首台に」は秀逸。そしてエスプリの効いた表題作や「奇人横丁の怪事件」などにはコナン・ドイル以来の正統を汲む英国探偵小説を読む愉悦を強く感じる。『幽霊の死』(1936年)や『屍衣の流行』(1938年)といった長編の重厚さとは一味違う軽妙さはひたすら心地良く、作者にとっても一種の息抜きではなかったかと想像する、 古典的だが退屈とは無縁、古き良き英国への束の間のタイムスリップをもたらしてくれる好短編集だ。 | ||||
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