クリスマスの朝に
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クリスマスの朝にの総合評価:
8.67/10点 レビュー 3件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
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『今は亡き豚野郎(ピッグ)の事件』:小学校の同級生だった憎らしい豚野郎(ピッグ)の病死を新聞で知った名探偵キャンピオン氏は葬儀に出席したが、それから半年後に知人の地方警察本部長レオから殺人事件の捜査に協力を求められて出掛けた彼は死体と対面して心底から驚愕する。意外や意外にも何とそれは半年前に死んだはずのあの憎むべき豚野郎(ピッグ)だったのだ!まず編集者の方々にお願いしたいのが中編小説とは言えこれだけの複雑なストーリーのフーダニット・ミステリーなのですから、今後は登場人物を冒頭に明記して欲しいという点ですね。著者は名探偵キャンピオン氏自身を語り手にして、二転三転する目まぐるしいサスペンス・ストーリーで彼を右往左往させる展開に持って行って片時も落ち着かせずに読者をも翻弄し決して焦点を絞らせませんね。真相については独創的ではないものの欺瞞と不可能興味トリックを巧みに配して既存のアイディアを再生する見事な職人芸を披露されていますね。少しだけ惜しいなと思えるのは苦労をしてまで死体を盗んでおきながら簡単に見つかる場所に捨ててしまった犯人の工夫の無さくらいですね。それからもし旧友ウィベットの職業が事前に書かれていたならば(でもそうだったとしても決して真相には気づかなかったでしょうね)完全なフェア・プレイでしたね。それから本編を読むと短編では十分にうかがい知れなかった著者の人物造形の巧みさが強く実感できましたね。ご主人にタメ口を叩く友人みたいな従僕のラッグを初めとして、誰もが一癖も二癖もある海千山千の役者揃いで意外な真犯人を含めて個性的なキャラの魅力を存分に楽しめましたね。最後に今回名探偵キャンピオン氏は危ない犯人と死闘を繰り広げる事になり圧巻の名推理で事件の全貌を暴き出す面目躍如の天晴れな大活躍でしたが、ラストでは二組のカップルの引き立て役になってしまったのをラッグから指摘されてお気の毒に少々お冠でご機嫌斜めでしたね。
『クリスマスの朝に』:前作から十数年後のクリスマスに再び同地を訪れたキャンピオン氏が丁度その朝に起きたばかりの地元警察を悩ませる難事件に挑んであっさりと解決に導くのだった。本編は前巻収録作「見えないドア」のトリックの広い意味でのヴァリエーションと言って良いシンプルな内容ではありますが、著者は犯罪事件やミステリーを書く事に力点を置いている訳ではなくて、全く人づき合いがなさそうでお気の毒で哀れみを誘う高齢の未亡人の老女にクリスマスの朝に訪れた「ささやかな奇跡」を描く事だったのでしょうね。他の作家だったら考えついても多分書かないだろうなと思える些細な錯覚トリックをさらりと使って見せるテクニックには逆に新鮮なサプライズを感じましたし、まさに大らかで心優しい著者の人徳の為せる技だなと思いますよね。
『マージェリー・アリンガムを偲んで』アガサ・クリスティ著:改めて調べて見ますとクリスティ女史は著者よりも14歳年上でしかも寿命としても23年も長生きされたとの事ですね。クリスティ女史が後輩である著者とその作品を「おみごと!」と大絶賛されているのは、きっと基本的に自分とよく似たタイプの作風・作家だと理解していたからだろうと思いますし、亡くなった後とは言えやっぱり作家が同業者の言わばライバル(商売敵)を素直に褒め称える姿勢は本当に清々しくて気持ち良いですよね。クリスティ女史の忠告に従ってこれから私も著者の長編作品を多彩なキャラクターの味わいに注目しながら読んで見たいなと思いますね。