悪徳小説家
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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ドイツのベテラン脚本家の長編ミステリーデビュー作。ドイツ推理作家協会の新人賞を受賞した他、世界25カ国で出版され、映画化権も売れたというのも納得できる良質なエンターテイメント作品である。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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ドイツの人気TVドラマ「犯行現場」の脚本家として有名な著者が初めて書いた話題の秀作ピカレスク小説の紹介です。解説によりますと「犯行現場」は刑事ものだとの事で想像するにオーソドックスな勧善懲悪のドラマである事は間違い無さそうですが、著者は同じ様な筋書きばかりを書き続ける事に飽きたのか処女作となる本作で何時もの慣れ親しんだ物語とは違う一風変わった設定のピカレスク(悪党)小説に挑まれたのだろうなと思われますね。 数年前に彗星の如く現われ忽ちベストセラー作家にまで上り詰めた男ヘンリーには実は世間に隠された重大な秘密があった。折しも新作の完成が残り20ページを迎えた時に、愛する妻マルタに隠れて不倫を重ねていた編集者ベティから懐妊を告げられたヘンリーは迷いながら遂にある決断に至り実行に踏み切ったが、やがて彼には全く思いも寄らぬ凶運が待ち受けていたのだった。 創元推理文庫のあらすじをコンパクトにまとめた紹介は実に巧く出来ていて肝心な事は一切書かずに少しもネタを明かしていませんので本当に感心しましたね。私は実の所ネタを割らずにこの先どういう風に書き進めていいのか迷って途方に暮れております。まあ結論として言える事はサスペンス・ドラマにはお馴染みの意外な展開の連続で翻弄されますが、ミステリーとしてはそれ程に複雑でなく実に常識的な線で収まるという点ですね。不自然で突拍子もない事が起きないという意味ではリアリティー重視の作風が貫かれていると言えますが(途中で少し幽霊めいた描写が出て来ますが虚実は曖昧で決してストーリーの邪魔はしていません)、本格推理を期待していた方には肩すかしでやや物足りないと感じられるかも知れませんね。特に凄腕な筈のブルーム刑事課長や粘り強そうなイェンセン刑事が、堅固なアリバイだがその裏に隠されたこんな単純な奥の手にどうして気づかずにあっさりと手を引いてしまうのか?という点は正直情けなく思われ昔の日本の鬼刑事だったらとてもこんな生ぬるい捜査では済まないだろうなと誠に歯がゆいですが。結局はこのカリスマ的な悪徳小説家のヘンリーに肩入れした著者によるストーリーの誘導の気配を濃厚に感じますが、まあ混沌とした今の世の中に於いてはこういった昔の常識では絶対に考えられない様な結末さえもすんなりと受け入れられるのでしょうね。さて、本書の評価は潔癖で真面目な方とそうでない方とでは大きく分かれるだろうと思われますが、要するにこの「憎みきれないろくでなし」野郎と言える男ヘンリーを許せるか?もっと言えば彼に魅力を感じるか?どうかが最大のポイントでしょうね。常識的に考えれば邪魔な奴はあっさりと切り捨てる冷酷な性格は言語道断でとても許せるものではありませんが、でも友情を重んじる所や自らの敵に対しても温情でもって接する場合もあるという不可解な二面性を持ち合わせていて確信が揺らぐ瞬間もありましたね。また本書が世界中の多くの人々から支持された理由は、例え悪党であっても全く罪悪感に押し潰される事もなく自分の思い通りに世渡りして力強く生きて行くふてぶてしさと逞しさに憧れたからかも知れないなと思いましたね。 | ||||
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ドイツの人気TVドラマ「犯行現場」の脚本家として有名な著者が初めて書いた話題の秀作ピカレスク小説の紹介です。解説によりますと「犯行現場」は刑事ものだとの事で想像するにオーソドックスな勧善懲悪のドラマである事は間違い無さそうですが、著者は同じ様な筋書きばかりを書き続ける事に飽きたのか処女作となる本作で何時もの慣れ親しんだ物語とは違う一風変わった設定のピカレスク(悪党)小説に挑まれたのだろうなと思われますね。 数年前に彗星の如く現われ忽ちベストセラー作家にまで上り詰めた男ヘンリーには実は世間に隠された重大な秘密があった。折しも新作の完成が残り20ページを迎えた時に、愛する妻マルタに隠れて不倫を重ねていた編集者ベティから懐妊を告げられたヘンリーは迷いながら遂にある決断に至り実行に踏み切ったが、やがて彼には全く思いも寄らぬ凶運が待ち受けていたのだった。 創元推理文庫のあらすじをコンパクトにまとめた紹介は実に巧く出来ていて肝心な事は一切書かずに少しもネタを明かしていませんので本当に感心しましたね。私は実の所ネタを割らずにこの先どういう風に書き進めていいのか迷って途方に暮れております。まあ結論として言える事はサスペンス・ドラマにはお馴染みの意外な展開の連続で翻弄されますが、ミステリーとしてはそれ程に複雑でなく実に常識的な線で収まるという点ですね。不自然で突拍子もない事が起きないという意味ではリアリティー重視の作風が貫かれていると言えますが(途中で少し幽霊めいた描写が出て来ますが虚実は曖昧で決してストーリーの邪魔はしていません)、本格推理を期待していた方には肩すかしでやや物足りないと感じられるかも知れませんね。特に凄腕な筈のブルーム刑事課長や粘り強そうなイェンセン刑事が、堅固なアリバイだがその裏に隠されたこんな単純な奥の手にどうして気づかずにあっさりと手を引いてしまうのか?という点は正直情けなく思われ昔の日本の鬼刑事だったらとてもこんな生ぬるい捜査では済まないだろうなと誠に歯がゆいですが。結局はこのカリスマ的な悪徳小説家のヘンリーに肩入れした著者によるストーリーの誘導の気配を濃厚に感じますが、まあ混沌とした今の世の中に於いてはこういった昔の常識では絶対に考えられない様な結末さえもすんなりと受け入れられるのでしょうね。さて、本書の評価は潔癖で真面目な方とそうでない方とでは大きく分かれるだろうと思われますが、要するにこの「憎みきれないろくでなし」野郎と言える男ヘンリーを許せるか?もっと言えば彼に魅力を感じるか?どうかが最大のポイントでしょうね。常識的に考えれば邪魔な奴はあっさりと切り捨てる冷酷な性格は言語道断でとても許せるものではありませんが、でも友情を重んじる所や自らの敵に対しても温情でもって接する場合もあるという不可解な二面性を持ち合わせていて確信が揺らぐ瞬間もありましたね。また本書が世界中の多くの人々から支持された理由は、例え悪党であっても全く罪悪感に押し潰される事もなく自分の思い通りに世渡りして力強く生きて行くふてぶてしさと逞しさに憧れたからかも知れないなと思いましたね。 | ||||
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「訳者あとがき」を見ると、海外ではそれなりに評価されているようだけど、なんかピンとこない。 いわゆる倒叙もので、最初の事件直後までは、そこそこ面白いけど、どんどん変な方向へ行っている気がする。 なんか、登場人物たちの一部が簡単に改心するのも変だし、警察もパッとしない。 次々に海外ミステリーの新しい潮流を東京創元社は紹介しているけど、それほど当りに出会わない。「ヴァランダーシリーズ」や「犯罪心理捜査官セバスチャンシリーズ」はいいけど、ほかはチョットという作品ばかり。打率が悪すぎる気がする。 | ||||
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邦訳の題名通り小説家が主人公である。成功した作家ヘンリー・ハイデンには知られたくない秘密がある。その一つである自分を担当する出版社の女性から妊娠を告げられる。"新作"が仕上がる寸前にである。そこから彼の歯車が狂い始める。逮捕されることを覚悟しつつもその場になると誤魔化すというか結果的に相手を誘導する。作品中にもサイコパスという言葉が登場するがまさしくヘンリーはその典型である。しかし妻マルタの死後も実は全てを把握しているように思えるような記述があるので,読書中実は生きているのではと思ってしまった。私好みではないエンディングだった。幾通りかの集束のしかたがあり得る作品と思った。 | ||||
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