元年春之祭
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元年春之祭の総合評価:
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全2件 1~2 1/1ページ
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読みにくい。 | ||||
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全体として中国語の翻訳なので読みづらい。そして、中国の古典に関する議論は漢文の書き下し文が連発されるので正直、あれを理解して話を追うのは私を含め一般人にかなり辛いと思う。 道具立ては本格ミステリファンならお馴染みのものだけれど、犯人の動機は意外性というか新規性があった。 | ||||
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当方に漢籍の素養がないため、本の中で扱われている解釈が正しいかどうか分からない。が、きっと正しいのだろうと思える力が荒っぽいながらもあった。主人公がなにかにつけて従者に手を上げるのでどうにも感情移入できないが、当時の人だとこれが普通でむしろ優しい部類に入るのかもしれない。なんにせよ日本のコナン金田一少年などのミステリコミックと比較するのは慎むべきであろう。 | ||||
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これはすごい、中国の古典書を使いこなしている。著者は学者かと思ったが、作ったのは大学院の時のよう。 祭をしきる家柄としての伝統、巫女の在り方への各登場人物の葛藤が物語のベースになっている。ある意味、自由への渇望。こういうものが殺人の動機になるのか?と、普通の日本人としてはちょっと違和感がなくもない。 ということで、古典を使ったスケール感は大きいが、そこで起きる事件が追いついていない気がする。 | ||||
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前漢時代の楚の祭祀を司る名家を舞台とした本格ミステリ。探偵役を務めるのはその名家を訪れていた於陵葵というシニカルで奔放な才媛(長安の巫女)。作中に論語、礼記、詩経、春秋、漢詩などからの引用があるが、これは我慢しなければならない。 葵は名家の現当主の娘の露申から4年前に起きた旧当主(露申の伯父)一家の惨殺事件の話を聞く。事件は雪の足跡トリックを使ったかに見える犯人消失トリックである。ただし、事件現場を目撃した露申の姉は既に死亡しており、事件の正しい"あらまし"は不明瞭である。この後、屈原、巫女、政教一致、漢詩、占星論、陰陽五行説などの作者の薀蓄が続くが、これが単なる衒学趣味なのか、それとも伏線なのか日本人の私には判断しかねた。次いで、露申の叔母が殺害されるが、またしても犯人消失トリックであり、葵自身が目撃者でもある。次いで、白止水という学者が殺害されるが、今度は<子矜>というダイイング・メッセージである。これは漢詩の教養がないと理解出来ないが、白先生は上記の殺人の目撃者なのではないか ? 次いで、露申の姉が殺害される。名家一族の全員殺害を狙ったかの様である。ここでクイーンよろしく「読者への挑戦状」が挟まれる。次いで、二人が自殺し、再度「読者への挑戦状」が挟まれる。 その結果は、4年前の事件の犯人はトリックを要しない一番怪しい人物で肩透かし。以後の犯人は、犯人消失トリックに瑕疵がある上に、これも一番怪しい人物でこれまた肩透かし(第一、登場人物が殆ど残っていない)。動機も4年前の方は苦しく、以後のものは家の長女の巫女の禁忌(一生結婚出来ない)を守るためと現代では理解出来ないもの。しかし、ミステリとしては瑕疵だらけなのだが、作者の薀蓄と合わせ、神権を敬う前漢時代の楚人になった気分が味わえて、充実感を覚えた。 | ||||
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地元の書店で購入させていただきました。 著者は陸秋槎(りく・しゅうさ/ルー・チウチャー)さんで、カバー裏の記載によるなら「1988年中国、北京生まれ。復旦大学古籍研究所在学中の2014年に短編ミステリ「前奏曲」を発表し、第二回華文推理大奨賽の最優秀新人賞を受賞した。2016年に本書で長編デビュー。現在、石川県金沢市に在住」とのことです。 本書および著者について知ったきっかけは、11月16日の土曜版『日本経済新聞』の記事「文化往来」によってでした。 以下、少々長くなりますが、引用します。 「前漢時代の中国を舞台にした本格ミステリー「元年春之祭」(稲村文吾訳、早川書房)で話題をさらった金沢在住の中国人作家・陸秋槎。このほど邦訳長編第2弾となる「雪が白いとき、かつそのときに限り」(同)を刊行した。現代中国の学生寮で起きた殺人事件を巡る作品だ。/設定はがらりと異なる2作だが「10代の女の子の青春物語である点は同じ」と陸。1988年北京生まれの作家は中学時代から、日本のアニメが描き出す青春物語に親しんだ。さらに2004年には女性同士の恋愛を題材とする「百合作品」が中国で人気を博したという。「私の世代のアニメファンは、このブームと一緒に成長したんです」/女の子の青春を自らも書きたい気持ちはもちろんだが「ミステリーにおける探偵役とワトソン役は男性の2人組が圧倒的に多い。両者を女の子にすることで、独自の作風がつくれると考えた」とのたくらみもそこにはある。上海の大学で漢詩と書誌学を学んだ大学生のころ、日本の「新本格ミステリー」に魅了されたという。多岐にわたる知識と関心に裏付けられた作品で、華文ミステリーをけん引する」 上記のとおり、本作は前漢(B.C.206-8)時代を舞台にした本格ミステリです。 他のレビュアーの方が書かれているとおり、また上記のとおり、「百合」(=女性同士の恋愛)にはじまり「百合」に終わる作品です。 また、ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』(東京創元社、1990)や小栗虫太郎『黒死館殺人事件』(河出文庫、2008)や、比較的最近の作品でいうとマリーシャ・ペスル『転落少女と36の必読書』(講談社、2011)のようにペダントリーに満ち満ちています(この作品でのペダントリーの源泉は漢籍です)。 そのペダントリーがうまく生かされているか、つまり、すべてが伏線となって生きているかというとあまりそうも思えず、また、前漢時代の人間がこんな近代人(あるいは現代人)のように話したり考えたりするものか、とも思いますが、全体として良作です。 「著者あとがき」で、「アニメ的なキャラクター表現への情熱を割愛したくなかった」(p.312)とあるように、人物造形がキャラクター小説的ですが、むしろそのおかげでリーダブルな作品となったかもしれません。漢籍ばかりだと息がつまったかも(『論語』や『荘子』までならいざ知らず、ありとあらゆる漢籍がちりばめられているので)。 好みは分かれそうですが、ぼくは好きですよ。 中国文学と言ったら、魯迅とノーベル文学賞作家の莫言ぐらいしか読んでこなかったので、こういう中国人が書いた歴史物を読んでみたかったんです。 最後に。 タイトルの「元年春之祭」は「著者あとがき」によるなら、『春秋』の冒頭三文字の「元年、春」とストラヴィンスキーのバレエ『春の祭典』をつなぎ合わせてつくったもののようです(p.311) 「中国人が書いた中国の歴史物」、こういうものに興味がある方にはオススメです。 | ||||
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