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元年春之祭
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元年春之祭の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.83pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全24件 1~20 1/2ページ
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全体として中国語の翻訳なので読みづらい。そして、中国の古典に関する議論は漢文の書き下し文が連発されるので正直、あれを理解して話を追うのは私を含め一般人にかなり辛いと思う。 道具立ては本格ミステリファンならお馴染みのものだけれど、犯人の動機は意外性というか新規性があった。 | ||||
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当方に漢籍の素養がないため、本の中で扱われている解釈が正しいかどうか分からない。が、きっと正しいのだろうと思える力が荒っぽいながらもあった。主人公がなにかにつけて従者に手を上げるのでどうにも感情移入できないが、当時の人だとこれが普通でむしろ優しい部類に入るのかもしれない。なんにせよ日本のコナン金田一少年などのミステリコミックと比較するのは慎むべきであろう。 | ||||
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これはすごい、中国の古典書を使いこなしている。著者は学者かと思ったが、作ったのは大学院の時のよう。 祭をしきる家柄としての伝統、巫女の在り方への各登場人物の葛藤が物語のベースになっている。ある意味、自由への渇望。こういうものが殺人の動機になるのか?と、普通の日本人としてはちょっと違和感がなくもない。 ということで、古典を使ったスケール感は大きいが、そこで起きる事件が追いついていない気がする。 | ||||
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前漢時代の楚の祭祀を司る名家を舞台とした本格ミステリ。探偵役を務めるのはその名家を訪れていた於陵葵というシニカルで奔放な才媛(長安の巫女)。作中に論語、礼記、詩経、春秋、漢詩などからの引用があるが、これは我慢しなければならない。 葵は名家の現当主の娘の露申から4年前に起きた旧当主(露申の伯父)一家の惨殺事件の話を聞く。事件は雪の足跡トリックを使ったかに見える犯人消失トリックである。ただし、事件現場を目撃した露申の姉は既に死亡しており、事件の正しい"あらまし"は不明瞭である。この後、屈原、巫女、政教一致、漢詩、占星論、陰陽五行説などの作者の薀蓄が続くが、これが単なる衒学趣味なのか、それとも伏線なのか日本人の私には判断しかねた。次いで、露申の叔母が殺害されるが、またしても犯人消失トリックであり、葵自身が目撃者でもある。次いで、白止水という学者が殺害されるが、今度は<子矜>というダイイング・メッセージである。これは漢詩の教養がないと理解出来ないが、白先生は上記の殺人の目撃者なのではないか ? 次いで、露申の姉が殺害される。名家一族の全員殺害を狙ったかの様である。ここでクイーンよろしく「読者への挑戦状」が挟まれる。次いで、二人が自殺し、再度「読者への挑戦状」が挟まれる。 その結果は、4年前の事件の犯人はトリックを要しない一番怪しい人物で肩透かし。以後の犯人は、犯人消失トリックに瑕疵がある上に、これも一番怪しい人物でこれまた肩透かし(第一、登場人物が殆ど残っていない)。動機も4年前の方は苦しく、以後のものは家の長女の巫女の禁忌(一生結婚出来ない)を守るためと現代では理解出来ないもの。しかし、ミステリとしては瑕疵だらけなのだが、作者の薀蓄と合わせ、神権を敬う前漢時代の楚人になった気分が味わえて、充実感を覚えた。 | ||||
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地元の書店で購入させていただきました。 著者は陸秋槎(りく・しゅうさ/ルー・チウチャー)さんで、カバー裏の記載によるなら「1988年中国、北京生まれ。復旦大学古籍研究所在学中の2014年に短編ミステリ「前奏曲」を発表し、第二回華文推理大奨賽の最優秀新人賞を受賞した。2016年に本書で長編デビュー。現在、石川県金沢市に在住」とのことです。 本書および著者について知ったきっかけは、11月16日の土曜版『日本経済新聞』の記事「文化往来」によってでした。 以下、少々長くなりますが、引用します。 「前漢時代の中国を舞台にした本格ミステリー「元年春之祭」(稲村文吾訳、早川書房)で話題をさらった金沢在住の中国人作家・陸秋槎。このほど邦訳長編第2弾となる「雪が白いとき、かつそのときに限り」(同)を刊行した。現代中国の学生寮で起きた殺人事件を巡る作品だ。/設定はがらりと異なる2作だが「10代の女の子の青春物語である点は同じ」と陸。1988年北京生まれの作家は中学時代から、日本のアニメが描き出す青春物語に親しんだ。さらに2004年には女性同士の恋愛を題材とする「百合作品」が中国で人気を博したという。「私の世代のアニメファンは、このブームと一緒に成長したんです」/女の子の青春を自らも書きたい気持ちはもちろんだが「ミステリーにおける探偵役とワトソン役は男性の2人組が圧倒的に多い。両者を女の子にすることで、独自の作風がつくれると考えた」とのたくらみもそこにはある。上海の大学で漢詩と書誌学を学んだ大学生のころ、日本の「新本格ミステリー」に魅了されたという。多岐にわたる知識と関心に裏付けられた作品で、華文ミステリーをけん引する」 上記のとおり、本作は前漢(B.C.206-8)時代を舞台にした本格ミステリです。 他のレビュアーの方が書かれているとおり、また上記のとおり、「百合」(=女性同士の恋愛)にはじまり「百合」に終わる作品です。 また、ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』(東京創元社、1990)や小栗虫太郎『黒死館殺人事件』(河出文庫、2008)や、比較的最近の作品でいうとマリーシャ・ペスル『転落少女と36の必読書』(講談社、2011)のようにペダントリーに満ち満ちています(この作品でのペダントリーの源泉は漢籍です)。 そのペダントリーがうまく生かされているか、つまり、すべてが伏線となって生きているかというとあまりそうも思えず、また、前漢時代の人間がこんな近代人(あるいは現代人)のように話したり考えたりするものか、とも思いますが、全体として良作です。 「著者あとがき」で、「アニメ的なキャラクター表現への情熱を割愛したくなかった」(p.312)とあるように、人物造形がキャラクター小説的ですが、むしろそのおかげでリーダブルな作品となったかもしれません。漢籍ばかりだと息がつまったかも(『論語』や『荘子』までならいざ知らず、ありとあらゆる漢籍がちりばめられているので)。 好みは分かれそうですが、ぼくは好きですよ。 中国文学と言ったら、魯迅とノーベル文学賞作家の莫言ぐらいしか読んでこなかったので、こういう中国人が書いた歴史物を読んでみたかったんです。 最後に。 タイトルの「元年春之祭」は「著者あとがき」によるなら、『春秋』の冒頭三文字の「元年、春」とストラヴィンスキーのバレエ『春の祭典』をつなぎ合わせてつくったもののようです(p.311) 「中国人が書いた中国の歴史物」、こういうものに興味がある方にはオススメです。 | ||||
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久しぶりのミステリーは、少し難しいけど、犯人が以外でした。 中国の歴史を堪能しました。 | ||||
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前漢すなわち紀元前100年、今の湖北省のあたりが舞台だ。祭礼の準備を進めていた一族の間で殺人が起こる。 滞在していた豪族の娘・葵は友人の露申と共に謎に挑む。 実は一族は四年前に一家皆殺しという悲劇に見舞われていた。今回の事件と関連はあるのだろうか。 陰鬱きわまりないストーリーで、楽しい小説ではない。 封建時代の女性、しかも巫女にまつわる話だから陽気になるわけもないのだが。 古代の祭祀に関する話題は、興味深いのと歯が立たないのが半々といったところ。 が、この暗さと硬さが事件の核心なのだ。 現代人にはとても共感できないが、それは当然かな。 この世界ならではの真相に唸らされた。あまりにも哀しい結末だ。 読みづらさを考慮しても、動機の意外性は高評価に値する。 | ||||
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中国の風習も登場人物の心も理解できないのであまり面白くありませんでした。 心が理解できなければ物語としては面白く感じない。 昔に起きた惨劇の犯人は普通に考えれば二択だし。 若英の苦手なもなんか知らんし。 中国人の書いたミステリーめずらしいからって過大評価なんじゃないでしょうか? | ||||
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漢代が舞台で、かつ楚がルーツの文化とか屈原とかが引用されていまして、 まことに衒学的ですが、大丈夫。必要な所にはちゃんと注があるので ついてゆけます。 みどころは、少女たちの愛憎関係かな。 主人公の葵ちゃんをはじめ、女の子たちは、 お互いに頬を張り飛ばしたり、とっても暴力的です。 (若い男性は一人いますが、非常に影が薄い)。 あとがきによると、作者は、現在、石川県に住んでいらっしゃるそうです。 最後の方に、本筋にほぼ関係ないけど、 「青と葵は東夷では音が似ているらしい」というセリフがあるのは、 東夷って日本のことだよね、と思いました。 | ||||
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登場人物が作中で古典の解釈を行う場面があるが、あれは論文をそのまま口語体にしたような感じがした。 前近代中国について専門的に学習・研究している人間には読みやすいと思うが、それ以外の人間には少し読み難いと思う。 | ||||
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中国人作家が書いた前漢時代の中国を舞台にした本格ミステリーと銘打たれていたので大いに期待して読んだが、大掛かりな舞台設定と前振りの割には、明かされた真相は大したものではなくて、ミステリーとしての出来は中の下ではないかと思った。 ただ、やたらと屈原を始めとする中国の詩や、古代の礼法が漢文読み下しで出てくるので、よく意味がわからず読むのにも骨が折れたが、古代中国の雰囲気を醸し出すことには成功しており、この点は中国ミステリーならではの雰囲気は楽しむことができた。 | ||||
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初めて読んだ中国作家のミステリ作品。紀元前の漢の時代を舞台に殺人事件を解決する。漢詩が多用されており、詳しくない人はそこで読むのを諦めてしまうかもしれないが、それは勿体無い。漢詩の部分は中国文化を楽しむエッセンスと捉え、それほど気にしないで謎解きに集中すれば良い。 東洋的なミステリ作品であり、欧米諸国の方々には理解しにくい概念もありそうだ。これを日本語で読めて理解できる幸せがあった。読者への挑戦が2つ用意されており、絶対に犯人を指摘してやると思うものの、なんとなく犯人は想像つくが動機やトリックを看破するまではいかなかった。まあ、私の実力といってしまえばそれまでなのだけど。 | ||||
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若干ネタバレ含みます。 主人公の少女が知識をひけらかすわりに、従者や招かれた館の少女には冷たく当たるのが気になって、物語の中に自分を投影させて読む対称が見つからず、物語の世界に入り込めなかった。まあ、少女がまだ幼いと言えばそうなんだけど、これだけの知識をひけらかすなら、内面ももっと大人に描いてほしかった。そういう大人な面がないと、最後の終わり方にもなんだか釈然としないものが残る。…でも、こういうツンツン少女じゃないと事件そのものがおきなかったかも…。同じ博学の士が主人公なら、京極夏彦の描く中禅寺秋彦のような大人なタイプがいいなあ。 | ||||
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時は紀元前100年、前漢の時代。かつて凄惨な殺人事件が起こった地方の村に、一人の少女が訪れる…… 古代中国という舞台設定に現代的なキャラクターを合わせ、本格ミステリーに仕上げたこの作品は、中国人である著者のデビュー作である。 本人も書いている通り、作品としては粗が目立つ。中国の古典からの大量の引用と解説、そして風俗は著者の大学での専攻を活かしたもので、古代中国という舞台を強調し、世界観を作り上げる道具立てにもなり、またトリックにも関わってくる重要な装置だが、如何せんかなり取っ付きにくい。 キャラクターも、サブキャラクターは物語に動かされている感が強く、メインキャラの言動も感情の動きが早すぎてついて行けないと感じる事が幾度かあった。 特に序盤は物語がなかなか進まない事もあり、読むのが辛いと感じる事もあるだろうと思う。 それでも私はこの物語を強く勧めたい。理由はなんと言っても後半、二度目の「読者への挑戦」以降の素晴らしい展開による。 ミステリーの謎解きと言えば名探偵がさてと言い、静かに進むものを想像されるだろうか。この作品はそのような展開とは無縁だ。衝撃的な展開、探偵役と助手役による苛烈な推理合戦、緊張と悲嘆、怒りと友情が飛び交い、伏線はすべて回収され、謎は全て解ける。 古代中国という舞台を存分に活かし、それでいて読者に対して十分にフェアな謎解き。日本のミステリーファンも楽しめるものになっているはずである。 勧めたい理由は実はもう一つある。既に少し触れたが、「現代的なキャラクター」だ。 中国では日本のアニメ文化が密かに影響を及ぼし、この作者もその一人であり、そしてこの作品にも強くそれが反映されている。 そう、メインキャラがみんな個性的な女の子なのである。 傲岸不遜で天才的な頭脳の持ち主である探偵役の葵。 勝ち気だが天真爛漫な助手役の露申。 従順で聡明な葵の従者、小休。 露申の従姉妹で過去の殺人事件の唯一の生き残り、儚い雰囲気の若英。 他々。 彼女たちはただの舞台装置ではなく、それぞれが感情と関係性を持ち、お互いを複雑に思い合っている。 そう、百合である。 葵と露申の悪友百合。葵と小休の主従百合。さらには姉妹百合、SM百合、クレイジーサイコ百合…… 古代中国が舞台であるため単純な恋愛感情では無いが、だからこそ強烈な百合感情がこの物語には溢れている。 そしてそれは単なる背景ではなく、この物語を進める強力なエンジンとして組み込まれているのだ。 是非とも同好の諸氏にはこの本を手に取り、最後まで読み通して欲しい。そしてその結末の強力な百合感情爆発に身を焦がして欲しい。 | ||||
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天漢元年(紀元前100年)の頃の中国を舞台にした本格ミステリー。嵐の山荘ものに近く、疑似密室殺人や、ダイイングメッセージも盛り込まれ、読者への挑戦も挿入されているなど、国内ものでも今どき珍しいガチガチのミステリーです。 ただ何分、この時代の中国の社会背景・情勢への知識や、度々語られる漢詩等への理解力などで、こちらの力量不足を感じることもしばしばあり、読み進められたのはポケミスで300頁の分量だったこともあります。 但し、フェアかアンフェアは別として、本格ミステリーに対する真剣さ、潔さのようなものは感じました。 | ||||
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読前、イロモノだとの先入観がありました。読後、若干ラノベ的に感じられた部分もありますが、私にとっては、初の、漢代空間にトリップできた歴史小説となりました。 日本で出ている漢代小説は、偉人・宮廷中心の政治話が殆どで、小説というよりエッセイ的な物語に感じることが多く、当時の日常的な景観や社会や文物の香が殆どしない、史書の註釈という感じがしていました。「皇帝」とか「帝国」とか、当時の日常会話で登場していない筈の用語が登場していたり、皇帝の生前なのに、皇帝が諡号で書かれていたりとか。それ以前に、中国を題材とした歴史小説は、漢文訓読調を含めた、定型文体を味わう独自小説ジャンルであり、どの時代を対象とした小説を読んでも、王朝名と登場人物名・役職名を変えれば同じに見える、と感じていました(個人的に)。 本書でも不足点を感じる部分は多々ありましたが(例えば登場人物の容貌や表情の印象が残らないなど(服装は細かく書き込んであるのだが))、それでも漢代の空間にトリップできました。あとがきによると、著者は古典文献学で修士を得ており、大学四年時に本作を書き始め、「この時代(*漢代)以外にぜったい成立できない」という情熱を持って大学院二年時に書き上げたそうです。そういう訳なので、古典の出典註や註釈の多い、読者によっては、論文のように煩わしく感じられるところもあるかと思うのですが、細かいところにかかわっていると通読が困難である一方、再読により理解の進む面白さが味わえる内容となっています(ペダンティックなところは、他の方も記載しているように『黒死館殺人事件』や『薔薇の名前』という感じです。ただしそれらほど極まっているわけではありませんが)。 そういう小説なので、あとがきの最後では、欠点含めて青春の記念碑と著者は位置づけてしまっているようで、漢代を扱った小説は当分書きそうもないのが残念です。いづれキャリアと知見を集大成した中国版『薔薇の名前』のような巨大な歴史ミステリーを期待したい次第です。 巻末参考文献一覧に、『漢代物質文化資料図説』が掲載されていましたが、この本は、より詳細な書籍が登場するまでは、漢代小説には必携書なのではないかと思います。舞台の雲夢沢は、現在の武漢の西方一体あたりで、当時は湿地帯の多い地形だったはずなので、もう少し地形的な雰囲気が書き込まれていると良かった、と思いました。日本語から翻訳したみたいな文体、という中国人読者の指摘にも興味を惹かれました。そのうち原書を見てみたいと思います。 肝心の、ミステリーとしてどうだっか、について書けずに終わってしまいましたが、だいたい他の方のレビューにある通りです。今後の活躍が楽しみです。 | ||||
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漢の武帝の頃は漢王朝の最盛期、場所は現在の洞庭湖の辺り、聡明なヒロイン、この設定にひかれて購入しました。 過去の未解決事件の影を引くような新たな連続殺人、引き込まれて読み進みました。けれども読み終わってみると、なにか違和感があり、真犯人や、主人公にあまり共感をおぼえることができませんでした。それは倫理観や感情が当時の基準のままに作品に取り入れられていることも一因かと思いました。(それがこの作品の長所だともいえます) 『現代の人間が現代の基準で過去の人間を判定するのはアンフェアである』という言葉を思い出しました。 | ||||
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昔の中国が舞台の時代ミステリというと、ロバート・ファン・ヒューリックのディー判事シリーズをまず思い浮かべますが、中国人が作者のものは初めてのような気がします。本格ミステリとしてのトリックもよくできており、何よりも登場人物のキャラクターが凄い!古典の知識も豊かで、無限の可能性を感じます。今後が楽しみな人が出てきましたね。 | ||||
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「華文本格推理」ということなので、どんな世界が展開しているのかと思って読み始めたが、前漢時代が舞台で、ちょっと予想外の作品だった。 祭祀に関する漢籍の記述を読みながら思い出したのは、『黒死館殺人事件』や『虚無への供物』だ。もちろん、前者のような重厚さはないし、後者のような同時代へのメッセージもないが、それでもこの辺りの記述は、この手のことに詳しくもなく格別に興味があるわけではない私が読んでも、迷路的で不思議な趣きを持っている。 もう一つの特徴は、於陵葵、小休、観露申を含め、「少女」もしくは年若い女性たちのやり取りがメインであることだ。それに比べると、学者の白止水、殺人の舞台となる観家の当主・無逸、露申の従兄・鍾展詩たち男性陣のインパクトは弱い。特に、白止水は葵と推理面でも丁々発止のやり取りでもあるのかと期待していたのだが… ミステリの成否よりも、むしろ葵と小休のいびつな愛憎、露申や観江離、観芰衣、観若英が背負わなければいけなかった「巫女」の重さ、息苦しさなどに胸がいたんだ。哀しいミステリである。 | ||||
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中国の論語や大学、中庸程度は読んだことはあるが、それぐらいの知識では全く付いていけないトリックの内容である。 その知識は素っ飛ばして読めば良いのだが、実際どこまで把握出来たのかは疑問。 ハヤカワが取り上げた初の中国ミステリーと言うことで記念読書と言った意味合いか。 | ||||
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