偽りの書簡
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フランコ独裁政権下の1952年のバルセロナを舞台にしたミステリーで、2013年に出版されている。時代描写も、主人公の若き女性記者とその親戚の言語学者も魅力的で、手紙の文章からの人物解析も面白い。しかし、一番良くできているのは、彼女たちが突き止める犯罪の構造であると思う。これはユニークである。なお、ちょっと気になるのは、独裁政権下なのに、主人公が元気良すぎて、動き回りすぎりことである。 | ||||
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1952年、スペイン第2の都市バルセロナで資産家の未亡人マリオナ・ソブレローカが扼殺される。地元警察は情報統制を図って、この事件を『ラ・バングアルディア』紙に独占的に記事を書かせることにする。抜擢された記者は新人のアナ。独自に調査を始めた彼女は、被害者には密かに恋文を交わしていた相手がいたことを突き止める。果たしてこの相手が殺人犯なのか…。 --------------------- バルセロナ出身のロサ・リーバスが移住先のドイツで知己を得たザビーネ・ホフマンと組んで編み上げたミステリ小説です。文庫本で650頁という厚さもなんのその。一度読み始めると、頁を繰る手ももどかしく感じるほど、主人公アナと、はとこベアトリズとの冒険の道行きに同行することの楽しさが読者をとらえて放さないでしょう。 スペイン好きには堪らない、こまごまとした現地の文化や風俗が全編に散りばめられています。ベアトリズや警察関係者のある人物が南部特有のセセオで話をすること(35頁)、受動態を多用する捜査官カストロの口ぶりに、“野蛮な英語的話法”とアナが嫌悪感を抱く様子(54頁)、ハート形パイ菓子「パルメラ」や煮込み料理「サンファイナ」(466頁)といった食文化など、スペイン語を長年学んできた私は、ニヤニヤしながら読みました。 この小説を十全に味わうには、舞台となったバルセロナがスペイン内戦(1936-1939年)以後、フランコ独裁政権下にあることをまず理解する必要があります。固有の言語であるカタラン語は公用語には位置付けられず、新聞記者は報道の自由を保障されていません。事実、アナの家族、そしてベアトリズの家族は、反フランコの共和国派であったたがために、内戦後は差別と迫害の対象となり、今も欝々とした日々を暮らさざるを得ない状況にあります。その中で、徐々に明らかになっていくのは、保守反動のスペインで当事者たちが必死に隠そうと画策した秘密が抱える、砂を噛むような事実です。今から半世紀以上も過去の、かの国が置かれた状況のうすら寒さがじわじわと迫ってきます。 物語は一応の大団円を迎えますが、それは当時のスペインにとって果たして真の意味で<解決>といえるものなのか。そのことを思うと、なんとも苦い後味が残る、見事なミステリです。 ---------------------- 訳者の宮﨑真紀氏はこれまでもフェリクス・J・パルマ『』、『』、トニ・ヒル『』、『』といったスペインのSFやミステリを見事な日本語に訳してきてくれた人物です。今回も大変読みやすい和文に移し替えてくれています。 ですが、一点だけ気になったところがあったので、以下に指摘しておきます。 *93頁:ここで登場するレストランの名前が「<六つの扉>(シエテ・プエルタス)」とあります。ですがsieteは数字の「7」ですから、正しくは「<七つの扉>(シエテ・プエルタス)」ではないでしょうか。 | ||||
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舞台となった1952年のスペインバルセロナは独裁政権下で言論も弾圧され、新聞も政府の意向に沿うような記事しかかけません。 そんな中、有名医師の未亡人が殺されます。そして有力者の思惑でこの事件の独占記事を書く事になった主人公。主人公は事件について被害者が持っていた恋文が関係していると睨みますが、警察はその間げに乗り気ではなく。そこで偶然親戚に文献学者がいると知った主人公は彼女を訪ねます。女性蔑視の残る時代、自立したいと懸命に生きる生きる女性。思想も言論も弾圧され自由がない中、戦う人。一見従順な人々も様々な思いを抱えている。ささやかな楽しみを謳歌しようという前向きさも読み取れるシーンがあり、暗すぎません。また堅苦しくなくすっきり読める文章で書かれている作品で夢中で読みました。 登場人物たちが魅力的です。主人公の無鉄砲でありながら優しさのある性格が共感を持てます。 難を言うならば犯人の動機でしょうか?いまいちすっきりしませんでしたね。 | ||||
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