風の影
- 冒険ミステリ (37)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点6.50pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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海外ベストセラー作品が読みたい!と思い探り当てた一冊。スペイン作家の作品を読むのは初めて。第二次大戦後のバルセロナでの物語。これまで本でもあまり馴染みがない場所がストーリーの中心だからか、なんとも不思議な魅力があります。フリアン・カラックスという作家の『風の影』という本を手に入れたダニエルは、その作家に興味を覚え、フリアンの生涯を追い求めるうちに様々な謎に出くわすというストーリー。少しテンポは遅いですが、さすがベストセラー!しっかりと読者を惹きつけます。後半では『風の影』の作者フリアン・カラックスの小説を焼き払うために彼の本を探す人物の意外な正体や、フリアンとフメロ刑事の因縁の対決、そして主人公ダニエルの恋の行方などなど、いろんな見どころが詰まっています。最後は全てが収まるところに収まり、なんとも不思議な余韻が残る本好きのためのストーリー。結局、この本はミステリーというでもなく、どういうジャンルの本かと問われるとビミョーな内容です。 | ||||
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いかにもスペインの作家らしい密度の濃い話でした。ドラマチックな大きな展開はありませんでしたがサフォンの持つ愛がこの作品を通して感じられました。別の本も読んでみようと思います。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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『風の影』(カルロス・ルイス・サフォン著、木村裕美訳、集英社文庫、上・下)は、こういうシーンから幕が上がります。1945年、スペインのバルセロナ。靄が立ち籠める夏の早朝、10歳のダニエルは古書店主の父親に連れていかれた、無数の書物が眠る「忘れられた本の墓場」で遭遇した本『風の影』に強く惹きつけられます。その本を書いた謎の作家フリアン・カラックスとはどういう人物なのか、ダニエルの粘り強い探求が始まります。 「フリアン・カラックスの著書をもとめて、本屋さんや図書館をめぐり歩いている人物がいるんだって。その人は、本が見つかると、それを買うか、盗むか、ともかく、どんな手段をつかってでも本を手に入れる、そして、すぐ燃やしてしまうというの。それがいったい何者なのか、誰も知らないし、なぜそんなことをするのかもわからない。カラックスという人物の謎に輪をかえたようなミステリーなのよ・・・」。 冒頭から著者が巧みに構築した世界に引きずり込まれ、一気に読み終えてしまったが、これは私の70年に亘る読書経験の中で、第1位にランクされる推理小説です。 その理由は、3つにまとめることができます。 第1は、私の大好きなオノレ・ド・バルザックが現代に生き返って推理小説を書いたら、こういう作品になるだろうなと思わせること。主役級だけでなく、脇役の登場人物たちに至るまで、それぞれが見事に活写されているので、バルザックの『人間喜劇』を想起させるのです。 第2は、交互に綴られるダニエルの人生と、フリアンの人生とが35年という年齢差を超えて、遂には有機的に統合されるという骨太の骨格を備えていること。それにしても、ダニエルにしても、フリアンにしても、これほど波瀾万丈の人生というものがあり得るのでしょうか。 第3は、最後の最後までハラハラ・ドキドキさせられる謎解きだけでなく、愛とは、密会とは、友情とは、希望とは、憎悪とは、親子とは、階級とは、栄枯盛衰とは、亡命とは、内戦とは、宗教とは、運命とは、人生とは、歴史とは何か、そして、文学とは、出版とは、読書とは何か――を考えさせられること。 | ||||
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『風の影』(カルロス・ルイス・サフォン著、木村裕美訳、集英社文庫、上・下)は、こういうシーンから幕が上がります。1945年、スペインのバルセロナ。靄が立ち籠める夏の早朝、10歳のダニエルは古書店主の父親に連れていかれた、無数の書物が眠る「忘れられた本の墓場」で遭遇した本『風の影』に強く惹きつけられます。その本を書いた謎の作家フリアン・カラックスとはどういう人物なのか、ダニエルの粘り強い探求が始まります。 冒頭から著者が巧みに構築した世界に引きずり込まれ、一気に読み終えてしまったが、これは私の70年に亘る読書経験の中で、第1位にランクされる推理小説です。 その理由は、3つにまとめることができます。 第1は、私の大好きなオノレ・ド・バルザックが現代に生き返って推理小説を書いたら、こういう作品になるだろうなと思わせること。 第2は、交互に綴られるダニエルの人生と、フリアンの人生とが35年という年齢差を超えて、遂には有機的に統合されるという骨太の骨格を備えていること。 第3は、最後の最後までハラハラ・ドキドキさせられる謎解きだけでなく、愛とは、密会とは、友情とは、希望とは、憎悪とは、親子とは、階級とは、栄枯盛衰とは、亡命とは、内戦とは、宗教とは、運命とは、人生とは、歴史とは何か、そして、文学とは、出版とは、読書とは何か――を考えさせられること。 | ||||
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昨年末の日経新聞書評欄は、恒例の「今年の私の3冊」だった。 その中で誰かが、この本を推していた。 正確には、この『風の影』を第一部とするシリーズが、第四部で完結したのを推していたのである。 第三部が1冊である以外は、各部上下2冊で計7冊。 読むかどうかと迷ったが、取りあえず第一部を読んだ。 舞台はスペイン内戦をはさむ時期のスペイン・バルセロナ。 古本屋の息子の主人公は、父に連れられて「忘れられた本の墓場」に行き、そこで『風の影』という小説を手に入れる。 その小説の作者とは何者なのか、どうしてその作者の小説は世の中に出回っていないのか。 探るうちに、何物かが、その小説を見つけては燃やして廃棄しているという事実に突き当たる。 まるでファンタジーのような出だしだが、話が進むうちに主人公の世代と、謎の小説家の世代の悲恋が錯綜し、重層的なストーリーが展開していく。 話についていけず、何度か前のページに行きつ戻りつする。 が、そこに描かれている登場人物たちの造形はどれも深みがあり、まるで古典のような重厚さがある。 翻訳者によれば、バルザックやユゴー、ディケンズのようであるという。 ストーリーも二転三転四転し、ミステリーとしても申し分ない。 読み終わって、深い読後感にたゆたう。 読書の醍醐味を味わうことができたのである。 しかも、まだ第一部。 第四部まで1カ月くらいは楽しむことができそうである。 いい作品に巡り合えた。 | ||||
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昨年末の日経新聞書評欄は、恒例の「今年の私の3冊」だった。 その中で誰かが、この本を推していた。 正確には、この『風の影』を第一部とするシリーズが、第四部で完結したのを推していたのである。 第三部が1冊である以外は、各部上下2冊で計7冊。 読むかどうかと迷ったが、取りあえず第一部を読んだ。 舞台はスペイン内戦をはさむ時期のスペイン・バルセロナ。 古本屋の息子の主人公は、父に連れられて「忘れられた本の墓場」に行き、そこで『風の影』という小説を手に入れる。 その小説の作者とは何者なのか、どうしてその作者の小説は世の中に出回っていないのか。 探るうちに、何物かが、その小説を見つけては燃やして廃棄しているという事実に突き当たる。 まるでファンタジーのような出だしだが、話が進むうちに主人公の世代と、謎の小説家の世代の悲恋が錯綜し、重層的なストーリーが展開していく。 話についていけず、何度か前のページに行きつ戻りつする。 が、そこに描かれている登場人物たちの造形はどれも深みがあり、まるで古典のような重厚さがある。 翻訳者によれば、バルザックやユゴー、ディケンズのようであるという。 ストーリーも二転三転四転し、ミステリーとしても申し分ない。 読み終わって、深い読後感にたゆたう。 読書の醍醐味を味わうことができたのである。 しかも、まだ第一部。 第四部まで1カ月くらいは楽しむことができそうである。 いい作品に巡り合えた。 | ||||
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僕自身も小説を書くがこんなに上手には書けない。 まずプロローグの導入文を読んでよくもまあ第二次世界大戦後のそれこそ新しい歴史を作る時代の描写がここまで上手にできるもんだって感嘆しましたね。 甘い文章の割には日本のケータイ小説にありがちだった下品さが一切なく上品だし。 本自体を舞台にした小説だけあってその本の小ネタが読書家としては読みごたえがあるし、そういう教養小説の定番である少年の成長物語だった。 | ||||
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