■スポンサードリンク
私の男
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
私の男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.33pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全303件 181~200 10/16ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
2008年6月、OLの腐野花は結婚式を間近に控え、婚約相手の尾崎美郎の待つレストランへ向かっていた。雨の中、およそ新婦の父親としては似つかわしくない、義父の淳吾と寄り添いながら…。直木賞受賞作の本作が書いているのは、娘と父親の「血」をめぐるおよそ20年の奇蹟だ。序盤にてあらゆる「謎」が提出される。彼らは何から「逃げている」のか。そして、結婚式直前の花の取り乱しが象徴するような、すこし度を超えた二人の親子仲の理由はなにか。それらは親子というよりももっと、別の「間柄」で定義づけた方が、すんなり納得できるような…。そういった謎が謎のまま提出される。本作は、そんな淳吾と花の「現在」という帰結から二人の出会いまでを、複数の登場人物の視点を借りて、時系列を遡りながら紐解いていく。ミステリーの構成としては常道の部類に入るが、「たぶんそうだろうな」と予想がつきながらもついついページのめくりが勇み足になってしまったのは、著者の描写力のたまものだろうか。一見無頼に書かれるこのひどい父親が、幼い花を引き取り、なぜに彼女だけに執着したのかというのは奇妙にすら思えるが、その真相はすぐに思い当たる性的倒錯(いわゆるロ×コン)ではなく、もう一ひねり加えられている。詳しくは本書をぜひ読んでもらいたいところだが、そこには、何とも言えない地域共同体の粘っこい温情と、それに相反するほどの「血」へのこだわりも、関係していく。"co-dependency"というのは、まさにこういう関係のことを言うのだろう。いろいろわかってからの話が冗長になっているという見る向きもあるかも知れないが、それは作者が展開や結末だけで読者を引きつけようとしているのではなく、丹念な描写で勝負しようとしていることの意思表示かも知れない。長くはあるが、十分に読むに耐える。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
はなは淳悟によって、永遠の愛の対象を手に入れたのだと感じた。はなは、生まれてはじめて、人から心から必要とされて、娘として、女として一生失う事のない関係を手に入れた。例え、淳悟が死んだとしても、淳悟ははなの心の中に生き続ける。揺れることなく、はっきりと。そのようなはなは、他の誰もが欲しくても手に入れられないものを手に入れたように見える。はなを手放す淳悟の心を想像すると、淳悟がこの先どのように生きて行くのか、生きて行けるのか、生きて行くのはあまりに過酷なことのように思えるのだが。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
文章が上手とか技法が云々というのはあまり感じなかったですが、引き込まれました。私は好きな部類に入ります。確かにおかしいところは所々あるけど、(8年もあんな感じにしといて大丈夫なわけないでしょとか)花と淳吾がお互いに依存していく感じとか、それでも花が淳吾から離れていこうとする気持ち、淳吾のこれから、決定的に描かれないからこそこの物語が引き立つのではないでしょうか。淳吾が花を引き取った理由も、花が淳吾を選んだ理由も、全部本の中に書いてあると思います。まさに、行間を読む、という感じですよね。事実ではないにせよ、こういう情念めいた関係も人生勉強のひとつに知っといて損はしないと思います。ま、図書館で借りたので今手元にはないのですが、文庫があるということなので、そのうち購入します。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
不快ではなかったのですが、はっきり言ってつまらない。殺人を犯して逃げるわりには罪の意識がみえないし、離れられないというわりに結婚するし、全部が中途半端すぎます。花の出生の秘密もしっかり書いてほしかったし、掘り下げるならトコトンまでやるべき。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
桜庭さんの作品を読むのは「推定少女」以来の2作目ですが、 ライトノベル作家の直木賞作品に興味を引かれて読みました。 第一印象は、無機質で軽快だった文体が、どんよりとした物に変化しているのに驚きました。 それは題材として近親相姦というタブー視されるの物を扱っているからだけでなく、 桜庭さんが描く、花と淳悟の会話のネットリ感、血の臭いがする二人の絡みの表現から感じました。 物語は、二人の別れから出会いを遡って綴られて行きます。 現代から遡っていくに当たって、登場人物の心情変化を饒舌に表現するのではなく、 一瞬の独白で描くことで、長い年月の中で心が蝕まれていくのを感じとれました。 また、多くを語らずとも、血の繋がりを持った二人の前では、出会った時から、父と娘であり、 男と女だというのを受け入れてしまう桜庭さんの筆力に飲み込まれました。 多くの人は読後に、不快感、嫌悪感を抱く作品だと思いますし、 私も最初は花と淳悟の世界を不快に思っていましたが、 読み進むうちに私自身をも不快に感じていました。 それは、私には踏み越えることができない、あちらの世界に対して、 「覗いて見たい」、「踏み込んでみたい」と惹かれてゆく私自身がいたからです。 「血の絆」があれば全てが許されるのかとも思う不条理な話ですが、出会えて良かった作品です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
最後の章を読んだ時、作者は単なる禁忌愛ではなく 血をテーマに描きたかったのだろうと思った。 淳悟は自分の存在における足りない血を花で補おうとし、そして花の方も然り。 血が満たされている状態で初めて人間は人間として成立しうるのではないか。 しかし、だとすると余計な話が多い。 稚拙なミステリー部分や尾崎をはじめとする脇役達。 だが一番の問題は作者が芸術と漫画的センスの間で揺れていることだ。 だから書きたい本当のものが後者に押されて読者に伝わらずにぶれてくる。 取り上げるテーマが超一流のセンスなのに対して、 それを冷静に処理していく力は3流であるのは残念すぎる。 今後の成長に大きく期待。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
直木賞受賞の本作。 ある理由から離れ離れとなっていた親子が、あの奥尻津波をきっかけに出会う。 娘、花は、育て親の元で何処か疎外感を感じていたが、 父、淳悟と出会い初めて血を分けた家族がいることを知る。 そして淳悟は、年端も行かない花に、あろうことか母の姿を求める。 互いに何処かおかしい、欠損した親子が、 渇望し合い、禁断の関係にのめり込んでいった、その歴史を描いた小説。 いわゆる近親相姦有りの、どろどろとした異常愛が主軸の話であるが、 冬の凍てつく北海道オホーツク沿岸の街を舞台として、 厳しく美しい自然と共に、心象表現も狂おしく、陶酔的に、かつ美しく描かれている。 舞台設定もそうだが、花と淳悟の苗字も“腐野”となっており、 キャラクターイメージは直球ど真ん中を狙っていて、逆に面白い。 ふたりの間にあるのは、家族愛でも恋愛でもなく、 やはり欠損部品を心と身体で補い合う関係。 “ひとつになりたい”といった表現が随所に出てくる。 人間の不完全さを突きつけられる内容で、ある意味恐ろしいが、 誰もが持つ欲求のひとつかも。 また、第1章の2008年から、最後の第6章の1993年まで、 時間が遡っていく構成となっており、 ふたりの関係が、読み進めていくに従い明らかになったいった。 こういった所も良かった。 が、星5とはいかなかったのは、花の結婚相手、 美郎の章の存在意義がよく分からなかった点かな。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
最初の章でいっきにはまりました。物語に秘密が隠されているのはあきらかで、 下手をすれば非常に短絡的な秘密・結末を予測させてしまいます。 そこがこの作品の面白いところだと思いました。 読み進むうちに、どうやらそれは違うんだと感じてきて、それじゃあ「それ」 はなんなんだと、余計に興味を惹かれる訳です。 ほかのレビューにもあるように、確かにすごいシチュエーションだし、描写も ぎりぎりなところがあります。 私も若干嫌悪感をもつところもありましたが、結末に救われました。 逆にある程度リアルに描かなくては、あの結末ではしっくりこなかったかもしれない なぁという感想です。 物語は別として、昔、道南に住んでいたので、当時のことを思い出し、とても悲しい 思い出を思い出しました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
2007年の直木賞をとったんですよね。その年の様々な書評で随分話題になっていた本書。文庫本になりやっと手にした。 確かに内容は衝撃的だし筆力もある、ストーリー展開もよく練られていて、一つの絵を次々と詳細な描写で重ね合わせているような。ただ不思議なんですが、一人一人の登場人物に深みがなくて、そういった意味で圧倒的なリアリティが欠けている。多分その原因は、他のレヴューにもあったけど、この物語において必要な決定的な物語を筆者が避けたせいではないか。読者の想像力に任せているというエクスキューズの名のもとに。例えば、花のような複雑な家庭環境をもつ人間と、幼稚舎出身の御曹司が結婚する確率は実際のところゼロに近い。自分の父親がもつ会社にとって不利益な問題を起こすような結婚相手を選ぶことは、彼らは許されていない。小さいときから、自分の存在は会社の従業員の生活を守ってこそだと、繰り返し教えられているからだ。だから花との結婚を決意するまでの経緯は、決して省かれはいけなかったのだと思う。同じように、花が生まれてきたときの出産の経緯も。 筆者はストーリー展開には興味があるけれど、人間の深層心理を描くことには興味がないのか、あるいは意図的に避けてるかどちらかではないかしら。内容もさることながら、人に勧めるか、と言われたら名前を挙げることはないと思った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
文庫版になってすぐ、購入して読みましたが―正直、時間の無駄でした。一言で言うと、「深み」に欠ける。平たく言うと、「欠損家族」の、ある「欠損」様態について述べているだけ。題材を「欠損家族」の「近親相姦」においたがゆえに、特殊事例の特殊な行為、で片付けられてしまう感が否めず、底が浅く、心に迫るものが無い。日常に潜む狂気や殺意を扱った、他の作家の方が人間の本質に鋭く迫っていると思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
久しぶりにどうしても自分のレビューを書きたくなってしまいました。それほどすごい作品です。評価が低い皆さんの意見も、確かに納得できます。しかし構成や描写云々よりも、つまりは「私の男」である淳悟を好きになれるかどうか、それがこの小説を好きになれるかどうかの境界線なのではないでしょうか。 私は桜庭さんの作品を読んだのはこれが初めてで、彼女が女性だという事も他の方のレビューを通してたった今知ったのですが、それでいくつか納得できる点がありました。たとえば淳悟と花の関係は、いかにも女性が憧れる設定の下に築かれている気がするのです。 絶対に結ばれてはいけない二人 退廃的だが魅力的な男 お互いがお互いしか見えなくなってしまうような中毒性 そういったもののせいで、少女コミック的な雰囲気が拭いきれないことは紛れもない事実だと思います。(だからこそ、男性読者がこの作品をどう捉えるのか気になります) しかし、絡み合いながら朽ちていく二人の姿はどうにも美しく感じられ、私はふと『白夜行』の二人を思い出してしまいました。第一章の時点で不覚にも涙を流してしまったのですが、すべてを読み終わった後に再び第一章へと戻ると、やはり号泣でした。その後の二人について一切描かなかったのは正解だと思います。彼らの行方に思いを馳せるとき、はじめて物語は読者の中で一つにつながり、家族とは何か、血のつながりとは何か、男女とは何か、人間とは何か、不定な愛の形について考えるようになるのではないでしょうか。 読み終わった後しばらくは何にも手をつけられず、ぼんやりした状態になると思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
まあ、男なら一度はその辺の女の子をさらってずっと側に置いておきたい、って思ったことがあると思う。 その深層心理に触れ、小説にしちゃったという点で評価されてんのかな? 他の方も言っていますが、正直キモイ。ただのド変態ですよ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
好みのテーマであり、読み終えた後は少し火照っていました。でも一年経った今、何も残ってません。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
直木賞受賞作との事で、手に取りました。 いや、引き込まれました。 最初から「まさか、それはないよね。」を裏切り続けられる展開。 最後の方には、「きっと、こうなのかな。」を裏付けられる筋書き。 なんともはや、すごい小説でした。 小説は、こうではなくては。 ただ、「二層式」の洗濯機には納得がいきませんでした。 「二槽式」ではないですかねぇ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
電車の中で読んでいたのですが、 物語の中に『音』というものを感じませんでした。 人々の鼓動、呼吸、街の喧騒・・ そういったものが一切聞こえてこないストーリーです。 それも、第1章から6章を読み続けていくにつれて、 音がどんどんなくなっていきます。 ただその中にあるのは、花と淳吾のみ。 本の中で動いているという事実のみ。 彼ら感情も感じないし、彼らの温かみも感じない。 それは、花と淳吾だけで感じているからかもしれません。 読み手には絶対感じさせない何かが、彼ら二人にはあるように思いました。 同じくして、自分の周りの音も消えてなくなります。 それぐらい引き込まれていました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
直木賞受賞ということで、FIGAROにも紹介されていたので、読みました。 だいたいの設定は事前にわたっていたものの、読んでて驚愕しました。 こういう愛の形は、わりとフィクションでは聞きますが、この小説の中では、その 事実が衝撃なのではなく、その心理が驚愕なのではないでしょうか。 読むうちに当事者の心理が理解できて、 なるほど。と思った。自分の中にそういう価値観がないだけで、実際にはこういう人達も存在し得ると思う。 小説は自分の知らない考え方、思考回路を知るいい機会だと思います。 考え方の可能性の広さを実感。 日本人は、一定のものの考え方をするように教育等がなされているけれど、 少数のマイノリティーの考え方を知ることも大事だと思う。 また、一線を越えるか、越えないか。という海、陸、犯罪。など 「境界」がテーマになっているのもおもしろい。 ただ、残念な点。 語り手と時代設定がかわる手法は数多くありますが、 9歳の花の観点でかかれたプロットは、 9歳がこんな発想しない。こんな熟語知ってるはずない。こんな感想は抱かない。 と違和感を感じました。所々、9歳を装っているものの、 作者の世代の視点で書かれたものにすぎなく、残念でした。 9歳の当時を振り返って、という設定なのでしょうか? また読めば推測できるけど、はっきり断言しない事実もありました。 そういう書き方も、余韻が残る方法で、好きです。 きっと、淳治の父親も。。なんて想像します。 読書は想像力を養うものですね。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
一言で言うと変態小説。 倫理上のあたりまえと主人公の父と娘のあたりまえ、後者を無くさないために繰り返される罪。 物語は結末から展開され、章を追うごとにすべての始まりへと逆再生で進んでゆきます。 読み進めるほどに解けてゆく父と娘の謎。 官能小説という言い方では安っぽいけど文学と表現するには賛否両論ある。 恋人にもなれず普通の親子にもなれず、父と娘の苦悩はひたすら陰鬱でもどかしく切ない。 ぼんやりとした後味の悪い結末が何とも言えない。 この本を気に入ったら(もしくは読む前に)同じ作者の前作『少女七竃と七人の可愛そう大人』も読んでみる事をお勧めします。似たような題材ですがこちらの方が入りやすいかと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
直木賞受賞ということで手にしてみた。 テーマとしては面白かった。父娘の愛と、男女の愛という、これでもかというまでに粘着質で濃厚な愛の物語。 成長後の花の感情描写などはリアリティがあって鬼気迫る感があった。 しかし!残念なことにストーリーに重みがなかった。このラブストーリーの味付け程度に色々な事件が起こるからだ。 二人のセックスシーンはすごく緻密でリアルな描写なのに、その他の描写にはリアリティがない。ついでに主人公花以外の人物の人間味が薄い、特に中高年男性の描写。災害で家族全員と死別した9歳の少女が直後からあんなに淡々としてるのは…文学というより漫画的なキャラクター設定だなと思ってしまった。家族が目前で死んだショックもそこそこに「この人がいればいい」って。この2人は二件もの殺人を犯しているのにまったく罪を暴かれない。ハネムーン後、淳吾失踪であわてて押入れの中を確認する花がいたけど、え!?ずっと入れてたの…?そして大塩さん無断で写真撮影? とかとか、こういったディテールが小道具的に不自然に乗っかってきており、話に入り込めない…文学というか漫画に近い。竹宮恵子作の「風と木の詩」と似てるなぁ…と感じたからでもありますが。花と淳吾の関係はジルベールとオーギュのようだ。作者も女性ということで同漫画に影響されて、それゆえ文学的な面でリアリティに欠けるんじゃないかなーと思ってしまった。 というかんじで一部の感情描写のリアルさとストーリーラインのちぐはぐさで星2つです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
だけど最後の1ページを読んだ後は純粋に面白いと感じた。物語は近親相姦、殺人と二重の罪を犯した親子についてで、全体的にじっとりと暗く、それでいてどこか胡散臭いような雰囲気をまとっている。個人的にダークな話が好きだからかもしれないが何より腐野淳悟に相当強い魅力を感じてやまない。 雨匂いがしてくたびれた風貌だが優雅な雰囲気を纏っている影のような男。 今までいろいろな作品を読んできたがここまで魅力を感じた登場人物は稀だ。すごく個人的な好みの問題だけれども。だから「私の男」とまで言っていた花が最終的に淳悟ではなく美朗を選んだ理由がはっきりとわからない。そこまで美朗に魅力を感じられないし、むしろキャラ設定も曖昧でいまいちな気が。だけど「おかぁさん」はどんびきだったな。 近親相姦、2人の絡みの場面はリアルで生々しく正直気持ち悪い。花だけに限らず女特有の欲深い、男に対する執念や執着は恐ろしいほどぞっとする。こうゆう話は嫌いじゃないけど。すごくねっとりしている、と表現するのが適切なのかもしれない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
躊躇していた、この本を手に取るコト。なんだか、表紙の絵からいってぬめっとしているではないか。だから避けていたのだけど、以前桜庭一樹のインタビュー記事を読んで “家族”が彼女の一貫したテーマだと知ってから“ぬめり”と家族をどう絡ませ、どのように描いているのか興味を抱き読むことを決意しました。 物語は、家族を事故で失った少女、花と彼女の唯一の身内である男、淳悟の緊密な関係を描いたモノ。まるで恋人同士のような肌と肌との触れ合いや、お互いの存在の奥の奥まで食い込み、許容する二人の深い深い関係。それはもはや、家族の域を超えている。いや、一個人としての領域さえも。でも、禁断の家族愛、近親相姦、といったモノとは違う気がします。 第6章に分かれており、時代を遡る構成。 花の婚約相手の美朗や、淳悟に恋心を抱いていた小町といった 第三者からみた淳悟と花の関係が描かれているのも読んでいて面白い部分である。 読了してわかるのだが、衝撃の結末は、なんとも唐突。そして、救いがない。 まるで、黒い冬の海の真ん中に、独り、 放り出された気分。 やり場のなく、消化しきれない高揚感を如何に消化していいものか、戸惑ってしまうほど。 すごい作品です。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!