硝子の葦
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.67pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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著者の第三長編である2010年の作品を加筆改訂した文庫版。変則的な恋愛小説かと思わせて実はノワールなミステリー小説である。 | ||||
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大人のサスペンスって感じの作品です。 | ||||
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このミステリーがすごい2011年の16位作品。評価は低いが完成度は高い。でも、好みが別れる作風だろうね。特筆は文章の素晴らしさ。ボキャブラリーの乏しい不思議な言語を操るいまどきの高校生ギャルに読ませたい。もっとも、こういったイメージもテレビからのもので、ただ、単に世間を知らないのは私のほうかも知れない。プロローグの出来事から時間を遡り物語が始まる。通俗小説のような、母の愛人だった男と結婚した一人の女の身の回りの様子や生活。関わりのある人物などが静かに語られていく。歳の離れた男は生活面では苦労はさせない、時間もあげるから何をしようと自由だ。愛だの恋だの言わずにプロポーズされ受けた節子。その夫が交通事故で意識不明になる。ホンの脇役と感じた人物からの一枚のメモと共に子供を預けられた時から日常が少しずつ壊れていく。感情的でなく芯の強い女。しかし、そうなるにはそれなりの過去があり、それらは徐々に明らかになっていく。ラストの切ない気持ちは主人公の節子に思いいれたっぷりに読み進めた結果だろう。北海道のある小さな町を舞台にしたそこに生きる一人の女の生き方と一人の刑事。ため息のでる読後だった。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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踏み込むと危険な谷地や沼のように、アウトローで乱脈すぎる。かつて仕事で道東に10年近く住み、現地の人々と浅からぬ交流を持ち、確かにディープなエピソードをあれこれ見聞きしてきたが、離れてしまうと奇異に感じてしまう。程度の差はあれ、みんなこんな風なのか? とはいえ、紫乃さん(現地で勤務していた書店の社長が、親しみを込めてそう呼んでいた)の作品はつい手に取ってしまう。 耳の千切れそうな真冬の釧路の街を歩いたことがあるが、極寒の気候が、人間性を極限まで剥き出しにしてしまうのだと思う。底辺の人々を一貫して描き続ける著者の作風にはやはり真実味がある。それが根強い人気の源泉だろう。 | ||||
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少し前、知人から『起終点駅』を紹介され、二冊目に『ホテルローヤル』を読んだ後本書に行き着いた。桜木紫乃氏はライトノベル系作家と思いこんでいたが、直木賞を始め受賞歴も多い本格作家だった。連作短編集が多いようだが、この長編に心を鷲づかみされた。受賞歴はないが傑作である。作家が原田康子氏(1928 - 2009)に師事したという記述から、久しぶりに『挽歌』(1956)も再読し、桜木氏は原田氏の正統な後継者であるとの思いを強くした。 『挽歌』の主人公・兵藤怜子は小悪魔的存在である。彼女をこうまで我が儘に動かせるのは、上流中産階級の出自であることに加え、戦後急速な民主化に向かった世相も配慮されているのだろう。それでも作家は怜子の「非常識な」言行を描くに、彼女は「右肘に軽い障害があり」と但書しなければならなかった。公園で出会った建築家の桂木さんに惹かれ、周辺を探っているうちに彼の妻が不倫をしている事実を掴んで桂木に急接近する。フランス語に堪能な彼女の言う「コキュ」という語が一世を風靡したことは名高い。秘密を知られた妻は自殺し、怜子も桂木と別れることが示唆されて小説は終わる。怜子の物怖じしない行為が、一人の美しい女性を殺してしまった。だがそれを仕掛けている怜子自身が、この先どうなって行くのか判らないのである。それは『硝子の葦』の女性たちが「必死に流されて行く」と言う感覚と相似ている。 『硝子の葦』登場人物は怜子の子供世代、倫子の子供については孫世代にあたる。ここの女性たちも皆「悪魔的」である。だが彼女らには人を殺しても自ら死んだりはしない時の移り変わりがある。 物語は語りの大部分を担う幸田節子を中心に展開してして行くが、彼女を主人公に規定しまうのは誤りで、この本は登場する女性全員の群像劇として読むべきである。一人一人が重要なのである。彼女らの簡単な経歴を記す。なお年齢は終章で書かれる当時を示す。 幸田節子(30歳)。厚岸で飲み屋を開いている網元の娘・藤堂律子と行きずりの漁師との間に産まれる。少女時代母親から激しいDVを受ける。母の愛人たちが節子を犯すのを背後から観ていて、料金を取る女だ。高校入学で別居、短大卒業後、店の常連客で釧路湿原を見下ろす郊外の「ホテルローヤル」の経営者・幸田喜一郎(60歳)の紹介で、ホテルの会計顧問の澤木昌弘(40歳)の事務所に就職、昌弘と関係を持つ。5年後喜一郎と結婚するが昌弘との関係も持続。喜一郎も律子との関係を維持する。 幸田梢。喜一郎の娘。母は離婚し別の男と再婚。義母の節子に反目して高校卒業後家出。男仲間と大麻の栽培に手を染める。 佐野倫子(35歳)。節子とは「サピタ短歌会」の知人。年少の夫・佐野渉(30歳)はデパート経営者の一族で、店舗破産後は郊外の大手スーパーの二階で輸入ブティック店を経営している。店員だった倫子と一族の反対を押し切って結婚するが、その後の店の不振の原因は倫子と彼女の連れ子にあるとして、二人に激しいDVを振るう。 佐野まゆみ(9歳)。倫子の連れ子。義父の激しいDVから逃がすために、倫子は節子に助けを求め、節子はしばらく少女を一番捜査の及びそうもない梢に預ける。節子はまゆみに言う「助けて貰いたいのなら、もっとずるい子にならなきゃ駄目」だと。しばらくの後、まゆみはすう~と消えてしまう。 これらが主な女性登場人物だが、ストーリーに厚みをもたらす脇役たちも欠かせない。先ずは石黒加奈。梢の叔母でカクテルバーを経営、姪の梢との連絡を欠かさない。宇津木とし子(50歳)。「ホテルローヤル」に欠かすことの出来ない重要従業員。元は釧路の繁華街でラブホテルを経営していたが破産。夫の自殺後喜一郎に経験を請われて雇われる。木田聡子(60歳)。澤田会計事務所の熟達従業員。両親の介護に追われて婚期を逸す。 これら彼女たちが絡み合って、半年の間に、「事故に見せかけた殺人1件」、「自殺にみせかけた殺人1件」、「事故に見せかけた自殺1件」を起こして行くのだが、そのどれもが「それしかない」と納得させられるものばかりだ。前述したように「必死で流されて行く」女たちの可愛さがまでが感じ取れる。 最後に倫子がまゆみを見ながら節子に言う。「何もかもこの子の言う通りになりました」と。この聡明でずる賢い少女は、確かに『挽歌』の三代目に似つかわしいと思うと鳥肌が立つ。女たちは現世的で、足が地に着いており、運命にもてあそばれながら、選ぶ方法は常に具体的だ。生きる気力がみなぎっている。男たちがいつまでも子供じみているうちに、女たちはしっかりと自立を果たした、と言うのが私の感想である。 | ||||
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登場人物のうち、男性は僅かに三人(澤木と都築と倫子の夫)だけでしかも影は薄い。そういう意味では女性上位の物語。もちろん物語の推進役も女性である。誰と誰がどういう関係なのか、序盤においては戸惑うものの、理解してしまえばむしろそれらが出来事に影を落としていることが分かる。プロローグで示された焼死事件へと物語は収斂してゆくのだが、その事件の真相が意外な形で仄めかされた後も、すなわち物語が終わっても、解明されないままの謎が残る。それは「なぜその写真は送られてきたのか」ということだ。その行為の背後にあるのはどんな「思い」なのか? 読み終わってもなお、そんなことについて考える楽しさがある作品。 | ||||
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知人に頼まれたので分かりません。 | ||||
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ドラマを観て、原作が気になりまして購入しました。映像で観てから、文字を読むと理解が深まりますのでオススメです。 | ||||
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