ホテルローヤル
- ホテル (42)
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ホテルローヤルの総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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直木賞ということで読んでみた。 | ||||
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未読の方はご注意ください
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2013年上期の直木賞受賞作品。2020制作の映画を観るまでは作者を存じ上げなかった。原田康子氏に師事したと言われ、今の私が注目する作家である。「連作短編集」だが、主題が「ラブホテル」と言うのが意表を突く。ものの本によればラブホテルと呼べる施設は外国にはなく、恋人たちは「愛の止まり木」を探すのに苦労するのだという。 この本は、時間軸が逆になっており、冒頭に廃墟と化した建物でのポルノ写真撮影のエピソードが登場し、続いてホテルの廃業から開店と続く30年間が語られる。時系列に書き替えれば、釧路の中卒看板屋の田中大吉が42歳に時に、「人に劣らない生き方をする」と一念発起して、建築会社とリース会社がタッグを組んだ計画に乗る。湿原が一望できる郊外の高台に6室の小さなラブホテルを開店するのだ。総工費1億円の凝ったつくりの安普請。高すぎる。両社の粉飾があったのだろう。大吉の方は資本金300万円の新会社を立上げるが、その半額は建設会社からの無期限・催促なしの借金だった。向う見ずな計画である。途中で妻子は離婚し、男は浮気をしていた団子屋の店員で21歳のるり子と再婚し女児を授かる。るり子は全て言いなりの従順な女だ。 毎月の手形の返済や運転資金の捻出に苦労しながらも、「眺めの良い部屋」はそれなりに繁盛する。大人の玩具やポルノDVDを卸す出入業者の男が言う「男も女も体を使って遊ばなければならない時がある」とか「ラブホテルはシティホテルと違い、一度来た客は必ずまた来る」とかの箴言めいた言葉通りに。妻の他にパート掃除婦二人と美大進学をあきらめたらしい娘を使い、経営はもっぱら妻の才覚に任せ、社長はパチンコで時間潰しをする日々である。 躓きは20年後過ぎに急速にやってくる。あれほど従順だった妻が、出入りの飲料店店員と駆け落ちする。書かれていないが相当な金額を持ち逃げしたのだろう。次にはホテルが高校教師と教え子の心中に使用され、週刊誌のセンセーショナルな話題となって客足が途絶え、落胆した大吉は71歳で脳溢血で死亡する。娘が引き継ぐが、老朽化するホテルの零落は止めようがなく、半年余りで閉店の憂目に出会う。売れ残りの玩具を引き取りに来た「えっち屋」の妻子持ちのクソ真面目な店員に長年の愛を告白した跡、ホテルの入口は施錠され、29歳になる娘はかろうじて残した半年ばかりの生活費を手に車で去る。かくしてホテル一代記の終了。 6室のラブホテル経理者に収まって「男を立てた」とうそぶく男の小さな自己満足。温和しいだけだった妻の経営経験から生まれた自信と夫への評価の変化。ラブホテルの看板を背に家族の記念写真を撮る能天気な男のひとり娘で、子供の時から嘲笑されてきたことを運命と受け入れる娘。そしてホテル客の哀歓がオムニバスで描かれる。ホテル客の「非日常」が従業員たちの「日常」だった。そんな「日常」を裏で支えた男と女たちは「必死に」「流されて」行くしかない。自動詞と他動詞の不分離状況が、この作品のテーマと読める。 日常と非日常を対比させながら書き分けてゆく作者の筆の冴えは尋常なものではない。そもそも「ホテルローヤル」の名前の由来は、8月に悪阻で悩む当時の愛人るり子に、せめてみかんを食わせてやりたいと諸所を駆け回った大吉が、デパ地下で見つけた木箱入り2個の早生みかんを6,000円で買ったその箱に「ローヤルみかん」と記されてあったのを転用したのだった。夢にすがって生きるしかないロマンチックな男と、脚を地につけたしたたかな女、フェミニズム小説の先駆けでもあった。 | ||||
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ネタバレになるので内容はかけません | ||||
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有名な作品なので、一度は読んでみようと思っていました。ラブホテルが舞台の連作なので、もっと過激なセックスシーンが描写されているのかと思いきや、意外とその辺はあっさり書かれていました。作者がその辺の描写が苦手なのか、意識的にあっさり書いているのかは不明ですが。 初出の小説すばるとは順番を入れ替えて、「星を見ていた」を後の方に持ってきたのは何か意図があったのでしょうか? 「本日開店」は本当の住職の奥さんが読んだら、不快になるか本気で怒るかのどちらかでしょう。小説とは言え、檀家に対して肉体でのご奉仕はあり得ないのでは?(逆かな?檀家の仕事が住職の奥さんへの肉体でのご奉仕なのかな?) 「ギフト」のラストシーンが幸せな終わり方でほっとしました。 | ||||
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それぞれのはなしが微妙に繋がっていることと、はなしの流れが逆に現在から過去へ遡って行く形式にもなっていて意外性を感じた。 | ||||
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直木賞受賞作品ということで興味を持ち、特に期待せずに読みはじめました。 なるほどねー、最近の日本文学ってこんな感じなのねーと淡々と読み進めて、5話目の「せんせぇ」で不覚にもやられました。良い意味で。 本編から一番逸れているようで、一番核にあるような、ちょっと英米文学っぽさも感じる、なのに完全なる日本文学。さすが。 映画もあるとは知らず、予告だけを観てみましたが原作の方が1000倍良さそうだな、と感じました。映画はぜったい観ません。 | ||||
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