ファーストラヴ
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| 文庫2020年2月。2018年単行本。 過去が今に流れ着いて内包されていると同時、今は過去を内包して解釈を書き換えていく。 幼い頃の体験を常識としてとらえ、何か違和感を感じても、自分の方がおかしいと周りから囲まれると、自己を責める人格が形成される。過去を歪めてでも、自分の周りにある常識の世界を守ろうとする。 善意のような悪意も、悪意の自覚なき悪意にさらされ、幼い少女は、嘘つきやかんしゃく持ちかのように思われる。子供が泣いたり、怒ったりしても、それを子供の問題と突きはなす。本来、近代以降、子供は当然守られる存在として、庇護されるべきだが、そのようにはならない。家族という閉じられた空間で、リストカットや家出をしても、家庭内はそれを迷惑というふうに、大人は自己を優先して考える。 少女は、自分が悪いと思い、自罰的に行動する。 臨床心理士の女性は、自己の過去の体験とも向き合いながら、少女に何があって、父親を刺したのかの理由を探る。 【感想】 毒親や若い女性への性搾取というテーマは、今ではありふれた作品の一つのようになっている。東横界隈のように、親に依存できない子供が、家出をしても、その先でも悪意に出会う。人が人生のどこかで至る、人は独りで守ってくれる存在はいない、という体験があまりにも早すぎると、精神的に押しつぶされる。特に、思春期を抜ける前では。一人で生きていくという決意も行動も、実際にほぼ不可能な年齢では、かなりまいるだろう。 子供が大人になりきれずに、子供を持ってしまうと、子供を守らないといけないという責務よりも、自分自身の不能感、劣等感、苛立ち、ストレスを、庇護すべき弱い対象に向けてしまう。 主人公の少女も、最後、就活が上手くいけば、あと少しで、自分と親を区別して、過去を整頓して、生きれるようになっていたかもしれない。 まぁ、そういう評論で読めばいいことよりも、この小説がよい点は、そういう毒親や性搾取が、かなり微妙なラインで存在していることだ。つまり、そんなことで、それぐらいいいじゃないか、とハラスメントラインの際どさ。読んでいても、これは虐待なのだろうか、と考えてしまう。けれど、10代の少女にすることではないと思いながらも、相手の反応が好意的に見えてしまうと、踏み込みかねない危うさはある。子供は自分を守るために、笑っている。嫌がっているようには見なかったとしても、それを言い訳にしてはいけない。自主的な意思であったかは、チャイルドグルーミングや半強迫のような誘導をせずに、相手に過干渉をせずに、見守るように、自然と相手が話せるまで待つように――――。 性的虐待なのか、というグレーゾーン。現在の自分なら耐えられそうなストレスだと考えても、子供の目線、立場にたてば、ありえない深刻なストレスになるかもしれない。他者の悪意に慣れたり、それを防衛する手段を得、信頼できる人間を選ぶことを社会性として獲得する前なのだから。 子供を大人と同じ扱いをしてしまいそうになる傾向がある。まだ子供なんだ、と思うよりも、先に、それぐらいのことあるだろう、と一度思ってしまって、反省的に、思春期の小さい子供だったと。子供目線を忘れないようにしないといけないと、感じる。 過去の経験一滴一滴に人は傷ついていく。傷ついたあとに、さらに傷をつけられることに人は弱い。 傷が塞がる前に、次の傷が来る。 | ||||
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| 第159回直木賞受賞作品(2018年上期) ストーリー展開、登場人物の魅力、心理描写、言葉が創り出す雰囲気、どれをとってもよかった。 とても厳しいテーマを取り上げていて、目をそむけたくなる、あえて見たくない人間のいやらしい部分まで掘り下げている。 あえて言うなら主人公がきれいすぎるかもしれない。 自分の人生を振り返って、自分以外のいままで知り合ってきた人たちそれぞれに人には言えない、開示できないなにかを抱えながら生きているのだということを改めて思う。人に言えないのは自分だけじゃないんだ。ほんとね、生きるってそういうことなんだよ。ひとりひとりの生きてきた話は小説より驚くような物語なんだよとも思う。いわないんだよ。 あらすじも知らないで読むのがおすすめ。検索もしないでいきなり読んでもらいたい。 そして、自分がこんなもんだろうと勝手に思っている常識を疑ってほしい。 | ||||
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| トイレでもみ合ううちに被害者が滑ったはずみに包丁が胸に刺さったとの描写だった。しかし被害者が床に転倒してそこに包丁が上向きに立っていて突き刺さるならまだしも加害者女子が手に持っている包丁がもみ合っているうちに心臓にまで達するほどに突き刺さるとは考えにくい。胸には肋骨や胸骨があり、筋肉があり、その上には衣服がある。夏服だから薄いだろうからまだましだろうが、包丁は正確に胸骨を避け、横向きにして肋骨の隙間を通るようにしないと胸骨に遮られ、或いは肋骨に引っかかってそれ以上は到達しない。槍で渾身の力を込めて突き刺すくらいではないと心臓一突きなどという芸当は出来ない。女性の力で心臓を刺して殺すことは難しい。警察も検察も裁判所もその事は知っているはず。 | ||||
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| 読み終えてからずっと宇多田ヒカルのファーストラブが頭の中でリフレインしてます。名作です。 | ||||
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| 映画は見ていませんが、よく流れる予告を見る限り、こちらは随分あっさりしたものだな、という印象。あらすじよりも人の気持ちの機微に焦点を当てている内容だから余計に地味に感じられたのかもしれません。 わかりやすいモンスターみたいな犯人でもなかったし、主人公のトラウマもそれくらいで?というもので…多分、実際のところはそういう細やかなことで人って病むのだと思いますし、逸脱し過ぎていない至極常識的な理由は、非常にリアルと言えばリアルなのでしょうが、こちらはフィクションなので、出来れば分かりやすい大味な理由の方が、鈍感な私のような読者でも主人公に感情移入できたのになぁとは思いました。 | ||||
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