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ホテルローヤル
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ホテルローヤルの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.74pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全326件 1~20 1/17ページ
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2013年上期の直木賞受賞作品。2020制作の映画を観るまでは作者を存じ上げなかった。原田康子氏に師事したと言われ、今の私が注目する作家である。「連作短編集」だが、主題が「ラブホテル」と言うのが意表を突く。ものの本によればラブホテルと呼べる施設は外国にはなく、恋人たちは「愛の止まり木」を探すのに苦労するのだという。 この本は、時間軸が逆になっており、冒頭に廃墟と化した建物でのポルノ写真撮影のエピソードが登場し、続いてホテルの廃業から開店と続く30年間が語られる。時系列に書き替えれば、釧路の中卒看板屋の田中大吉が42歳に時に、「人に劣らない生き方をする」と一念発起して、建築会社とリース会社がタッグを組んだ計画に乗る。湿原が一望できる郊外の高台に6室の小さなラブホテルを開店するのだ。総工費1億円の凝ったつくりの安普請。高すぎる。両社の粉飾があったのだろう。大吉の方は資本金300万円の新会社を立上げるが、その半額は建設会社からの無期限・催促なしの借金だった。向う見ずな計画である。途中で妻子は離婚し、男は浮気をしていた団子屋の店員で21歳のるり子と再婚し女児を授かる。るり子は全て言いなりの従順な女だ。 毎月の手形の返済や運転資金の捻出に苦労しながらも、「眺めの良い部屋」はそれなりに繁盛する。大人の玩具やポルノDVDを卸す出入業者の男が言う「男も女も体を使って遊ばなければならない時がある」とか「ラブホテルはシティホテルと違い、一度来た客は必ずまた来る」とかの箴言めいた言葉通りに。妻の他にパート掃除婦二人と美大進学をあきらめたらしい娘を使い、経営はもっぱら妻の才覚に任せ、社長はパチンコで時間潰しをする日々である。 躓きは20年後過ぎに急速にやってくる。あれほど従順だった妻が、出入りの飲料店店員と駆け落ちする。書かれていないが相当な金額を持ち逃げしたのだろう。次にはホテルが高校教師と教え子の心中に使用され、週刊誌のセンセーショナルな話題となって客足が途絶え、落胆した大吉は71歳で脳溢血で死亡する。娘が引き継ぐが、老朽化するホテルの零落は止めようがなく、半年余りで閉店の憂目に出会う。売れ残りの玩具を引き取りに来た「えっち屋」の妻子持ちのクソ真面目な店員に長年の愛を告白した跡、ホテルの入口は施錠され、29歳になる娘はかろうじて残した半年ばかりの生活費を手に車で去る。かくしてホテル一代記の終了。 6室のラブホテル経理者に収まって「男を立てた」とうそぶく男の小さな自己満足。温和しいだけだった妻の経営経験から生まれた自信と夫への評価の変化。ラブホテルの看板を背に家族の記念写真を撮る能天気な男のひとり娘で、子供の時から嘲笑されてきたことを運命と受け入れる娘。そしてホテル客の哀歓がオムニバスで描かれる。ホテル客の「非日常」が従業員たちの「日常」だった。そんな「日常」を裏で支えた男と女たちは「必死に」「流されて」行くしかない。自動詞と他動詞の不分離状況が、この作品のテーマと読める。 日常と非日常を対比させながら書き分けてゆく作者の筆の冴えは尋常なものではない。そもそも「ホテルローヤル」の名前の由来は、8月に悪阻で悩む当時の愛人るり子に、せめてみかんを食わせてやりたいと諸所を駆け回った大吉が、デパ地下で見つけた木箱入り2個の早生みかんを6,000円で買ったその箱に「ローヤルみかん」と記されてあったのを転用したのだった。夢にすがって生きるしかないロマンチックな男と、脚を地につけたしたたかな女、フェミニズム小説の先駆けでもあった。 | ||||
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ネタバレになるので内容はかけません | ||||
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有名な作品なので、一度は読んでみようと思っていました。ラブホテルが舞台の連作なので、もっと過激なセックスシーンが描写されているのかと思いきや、意外とその辺はあっさり書かれていました。作者がその辺の描写が苦手なのか、意識的にあっさり書いているのかは不明ですが。 初出の小説すばるとは順番を入れ替えて、「星を見ていた」を後の方に持ってきたのは何か意図があったのでしょうか? 「本日開店」は本当の住職の奥さんが読んだら、不快になるか本気で怒るかのどちらかでしょう。小説とは言え、檀家に対して肉体でのご奉仕はあり得ないのでは?(逆かな?檀家の仕事が住職の奥さんへの肉体でのご奉仕なのかな?) 「ギフト」のラストシーンが幸せな終わり方でほっとしました。 | ||||
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それぞれのはなしが微妙に繋がっていることと、はなしの流れが逆に現在から過去へ遡って行く形式にもなっていて意外性を感じた。 | ||||
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直木賞受賞作品ということで興味を持ち、特に期待せずに読みはじめました。 なるほどねー、最近の日本文学ってこんな感じなのねーと淡々と読み進めて、5話目の「せんせぇ」で不覚にもやられました。良い意味で。 本編から一番逸れているようで、一番核にあるような、ちょっと英米文学っぽさも感じる、なのに完全なる日本文学。さすが。 映画もあるとは知らず、予告だけを観てみましたが原作の方が1000倍良さそうだな、と感じました。映画はぜったい観ません。 | ||||
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短編が好きなので購入しました。まぁまぁ面白かったです。実写化もありましたが原作の方が面白いです。 | ||||
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どんな内容だったか記憶がない | ||||
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短編では仕方ないが、この先どうなるかが気になるし、もう少し描いてほしいという気になる作品。 特に最後のギフト | ||||
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北海道の田舎町にあるラブホテルを中心に人間模様を描いた短編集。孤独や悲しみや喜びが独特の表現でぎゅっと詰め込まれた密度の高い小説。人生模様、みんな一点もの。 | ||||
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直木賞受賞作が理由で買った訳ではないのですが、読み終わってこれが直木賞受賞作品なのかと驚きました。重い人間ドラマが必要だ、とまでは言いませんが、へ~そうなんだ程度の感想の短編が並んでいても、感動とはほど遠いかと。 おまけにどの話も暗いので、読んだ時間で別のことをすれば良かったとか、不必要なことまで頭に浮かんできました。 | ||||
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短編集で読みやすく、どの作品も読み応えがありました。オススメです! | ||||
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桜木紫乃は、長編より短編集の方がうまいと思うのは私だけだろうか⁉️このホテルローヤルも1話1話に関連性のある短編集で構成されており、とても読みやすく、ほぼ一気に読めた。以前彼女のラブレスを読んだ時は、途中で投げ出してしまったが、今回は、構成もよく、飽きずに最後まで楽しく読むことができた。1度手に取って読んでもらいたい作品である。 | ||||
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短編だが、一件のラブホテルの現在から過去に遡るという流れができており、人間模様やその時代背景が端的に表現されており読み進めやすく、読んだ後は一種のノスタルジーを感じさせるような内容だった。 | ||||
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読み終わったあとに寂しさや虚しさなどを感じる。またとみたいと思える本だった。 | ||||
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さすが女優さんの朗読。物語の展開がカラー版になる感じでした。 | ||||
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ホテルローヤル収録作品 1. シャッターチャンス(ホテルが廃墟になってからのお話) 2. 本日開店(前振りがあるけど骨壺のお話) 3. えっち屋(ホテルを閉めるお話) 4. バブルバス(夫婦でホテルを使うお話) 5. せんせぇ(このお話だけホテルと関係がないのかなと思っていたら…) 6. 星を見ていた(ホテルの従業員のお話) 7. ギフト(ホテルを始めるお話) それぞれの短編に出てくる登場人物が絡み合うことはありません。 短編の主役全員がホテルローヤルに関係するのですが、時間や関係性ですれ違うことすらありません。 野暮ですが時系列で追うと、7,4,2,5,6,3,1の順でしょうか? この本の主人公はタイトルの通り、ホテルローヤルではないかと。 その場所で、人々の切ない話が続きます。 ◎ 感じたところ 最初の2話まで、ぼんやりしたイメージで「面白いの?」と思って読み進めましたが、3話目以降は引き込まれました。 特にホテルとは関係なさそうな5話目を読むと1話、3話目の内容が腑に落ちます。 時代設定が 1970〜1990年あたりで、時代に取り残された地方でさらにその地方経済からも取り残された人たちが主人公なので、明るいお話ではありません。 ラブホテルがメインですので性的描写も出てきますが、ドライに書かれている印象を受けます。全く興奮はせずに寂しい感じ、義務的な描写がほとんどです。 直ぐに読み終える頁数の物語ですが、短篇のそれぞれが他の短編を修飾する構成になっているので記憶に残るお話ではないかと思います。 素人が受賞作を評するわけではありませんが、この本の風景描写や文章より、今年(2022年)に入ってから日経新聞に載せているコラムの方が表現が上手くなったように思います。(受賞後10年弱経っていますから当然?) | ||||
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ホテルローヤルという北国のラブホテルを舞台にした短編集で、7つの短編が収録されている。著者が日経新聞に掲載した貧しい子供時代のエピソードを読んで著者に興味を持ち、一番レビューが多い本書を手に取ってみた。 ラブホテルが舞台なので、そこに来る男女について描いた作品なのかなと思って読み始めたが、最初の「シャッターチャンス」で見事によい意味で期待を裏切られた。この作品は確かにホテルに行く男女を描いた作品ではあるのだが、肝心のホテルローヤルは既に廃業しており、この二人の目的は誰もいない廃業したホテルに入り込んでヌード写真を撮影することであったためだ。この作品を読んで、主人公の女性が男に対して感じた「空虚感」が胸に迫り、押しつぶされそうな気持になった。 2つ目、3つ目と短編を読み進めるにつれて、この短編集の構造が徐々にわかってきて、著者が用意した巧みな構成に感心したが、一つ一つの物語に登場する人物には人生をエンジョイ、謳歌している人が誰もおらず、人が生きることの哀しみに満ちた作品ばかりであり、読んでいて心地よくはないが、素晴らしい短編集だと思った。 | ||||
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読み終わった後もなんとなくどこか聞いたような内容でした。 | ||||
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廃墟から始まる、逆再生の物語。 結末からたどる哀しみの記憶は、真綿で首をゆっくり締められる様にただ息苦しい。 が、この作品の真の苦しさは、作品自体の良し悪しを超えたところに有る。登場人物達が味わう苦悩は、同じ時代を生きてきた私たちもまた知っているものであるから。 作品のバックグラウンドであるこの平成不況ですが、実はただの人災である事に最近気付いたため、今となってはこの手の話に触れるたびに貧乏を美徳だと思わせといて失政を誤魔化すドブカス達への怒りが湧き上がってしまう。 作品の構成自体は凄く良いのだけれど、描写が良く描け過ぎてる故にふつふつとつのる怒りで星マイナス1。 | ||||
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北海道、釧路にあるホテルローヤル。そこから湿原が見えるという。ラブホテルは、「非日常」の空間。男と女の間にある深い井戸を覗くような気分となる。やはり、くらい小説だ。逃避する人、暗い部屋で、セックスに溺れながら、自分の惨めさを醒めて見つめる。七話の物語。 「シャッターチャンス」ホッケーの選手。憧れだった。怪我して恋人になった。本来なら恋人になれない存在。彼は、「挫折」と言った。そして、彼は素人投稿の雑誌のヌードの写真を撮りたいという。それが、希望になっている。廃墟と化したホテルローヤルの薄汚れた使用感のある部屋で、写真を撮るのだった。あぁ。挫折は、私の言葉だった。 「本日開店」ホテルローヤルのオーナー大吉は、死ぬときに、「本日開店」と言って死んだ。その骨を預かる住職の妻。檀家の代表者の4人に、サービスをする住職の妻。お布施の料金は3万円だった。そんなことでしか、檀家を維持できないのだ。檀家の代わりの息子に、会うときに、肌色の下着をつけていたことを悔やむ住職の妻。2回目には、ちゃんとした下着をつけていた。なんのための奉仕なのか。 「えっち屋」ホテルローヤルの店じまいのために、備え付けの備品、大人の玩具を扱う営業マンが回収に来た。その営業マンは「えっち屋」と呼ばれていた。えっち屋は嫉妬深い普通の妻がいるという。雅代は店じまいだから、大人の玩具を使おうとえっち屋にいう。そういえば、やり方忘れていた。セックスとは人がやるもので、自分のやるものではないと思っていた。雅代は肌色のショーツを履いていた。ふーむ。えっち屋のセックスは、気持ちいいのだ。あかん。好きになりそうだ。 「バブルバス」ホテルローヤルで、思いっきり声を出して合体する夫婦。妻の自分の体の観察が鋭い。 「せんせぇ」野島は単身赴任の教師だった。家に帰ろうとして駅で切符を買うと後ろに成績の良くない生徒のマリアがいた。マリアは、母は駆け落ちし、父親は失踪したという、高校をやめてススキノで、キャバクラ嬢をしようという。野島は、家の前にいたら、妻は不倫相手の校長を引き連れていた。家に戻ることもできない野島。マリアと一緒に。 「星を見ていた」次郎が3万円を封筒に入れて送ってくれた。ホテルローヤルの清掃員マコは、嬉しかったが、次郎は極道になっていたのだった。 「ギフト」大吉の妻が離婚届を置いていった。謝りに行って、土下座したけど、もう来るなと言われた。つわりの愛人るり子に、みかんを食べさせようと買いに行く。デパートの売り場にあった「ローヤルみかん」は、6000円だった。それを買った。そしてラブホテルを大吉は、るり子と一緒に始めるのだった。 廃墟になったホテルローヤルから、釧路の湿原に建てようとする大吉。著者は、ラブホテルを経営する家族の一員だった。そこでの物語を紡ぐ。読み終わって、森進一の「釧路の春は何もない春です」という歌が思い浮かんだ。何もない春の中で、懸命に生きる人びと。 | ||||
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