氷の轍
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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「凍原」を読んだときは、刑事ものなのに物足りないと思いがありましたが、この作者はそういう作家ではないと免疫がついたのか、「氷の轍」は素直に面白い作品と思いました。たしかに今作も地味な展開でしたが、主人公の生い立ち、事件関係者の人生、釧路・八戸のかもしだす廃れゆく町の空気。渋い作品、見事でした。 | ||||
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「凍原」と同じく「北海道警釧路方面本部刑事第一課」の女性刑事が主役の長編ミステリーだが、ヒロインは前作の松崎比呂から大門真由に変わっている。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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推理したりトリックを崩したりではないのでミステリーだと思って読むと肩すかしを喰らいます。ヒューマンドラマです。 心理描写と情景描写が多くただただテンポが悪く展開も遅い。 推しの作家さんですが今作は残念でした。 | ||||
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桜木紫乃を初読み、 単行本はソフトカバー、 1ページ19行一段の大きな文字、 装丁画のライトな印象とは大きく異なるヘビーな物語、 なかなかに魅力的な登場人物たちが綾なす広いようで狭い世間が哀切あふれる終章に向かうサスペンス・ミステリ、 北の大地の陋巷に生きる市井の民の慟哭があふれたメロドラマ、 ある世代以上なら戦後から半世紀超の時代の流れに涙できもする、 しょうじきクライマックスの描写にもたつきを感じたことが残念だった(もっと整理できるように感じた)、 エンディングのラスト10行が作家の力量を感じさせる見事な文章が並んでいる、 | ||||
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ホテルローヤルほどのインパクトはない。主人公が達観しすぎてリアリティにかける。 | ||||
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数年前にSPドラマが放送され、テンポの良さ、役者がはまり役でかなり楽しんで見ました。 是非とも小説版も読んでみたいと思ってましたが、なかなか機会がなく、ちょうど暇が出来なので購入しました。 結末や、一部人物の扱いなど、ドラマ版とは違いますが、こちらは小説独自の、まるでパズルのピースがはまっていくような気持ちよさでさくさくと読めました。 ドラマ版、小説版もどちらもテーマは、孤独とはなんだうか・・人生とはなんだろうか・・ 桜木さんの作品はほとんどの作品がこのようなテーマですが、氷の轍は、主人公の真由を始めとした、ほとんどの人物が孤独を抱えて生きています。 ですが、どの人物も、その孤独に折り合いを付けて生きています。特に真由の母のどこか達観した考えは、 こう言う生き方もありなんだと、考えさせられるものでした。 被害者の男の足跡から、やがて一つの物語に繋がっていく・・その様はまさに、氷の轍です。 最後の方では、読み終わるのが惜しいと感じさせられるほど、この作品の世界へと引き込まれていました。 そして、こんなに寂しい雰囲気の作品なのに、読後感は、どこかさわやかなのも良かったです。 桜木さんの作品は、かなり読んでますが、本作は一番のお気に入りになりました。 | ||||
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桜木紫乃・唯一の警察小説シリーズ第二弾。しかも副題の通り、前回の松崎比呂からヒロインが変っている。新ヒロイン大門真由は、父の浮気相手により出産された捨子という奇妙な出生。両親とも元警察官で、父は現在脳出血直後からの入院生活を送っており、母は毎日病院のベッドサイドで一日を過ごしている。とりわけ父は現役時代に真由の職場では腕の良い有名な刑事であったらしい。 前作ヒロイン松崎比呂は彼女の唯一の同性の先輩であり、前作で比呂の相方を勤めた先輩刑事キリさんこと片桐刑事は本作でも真由の相方兼教育係のような立場で事件とその背景を成す壮大な物語に立ち会うことになる。 前作では樺太を舞台にした終戦時の日本人引揚に端を発する壮絶な女性の人生が背景になった北海道作家らしい力作であったが、本書も姉妹編というべき設定で、東北から北海道へ流れ着いてゆく人たちの血脈を背景にした骨太の作品であり、桜木らしく、娯楽小説でありながら、純文学に勝るとも劣らない筆力によって、そのストーリーテリングを支えている。 釧路の海で殺害され発見された老人の正体を追ううちに、大門真由が巻き込まれてゆくのは、青森・八戸と流れゆく女たちの歴史、彼女らの運命の変転の物語である。通常の警察捜査小説ではあり得ないようなリアルな設定に支えられ、真由とキリさんは、時間と経費に縛られた過酷な条件の中で、青森での広範囲な捜査と、印象的な出会いを果たし、殺人の裏に潜む壮大な家族の物語を紐解いてゆく。 現在と過去、釧路とそこに流れ着く前の距離、原罪と宿命。何よりも女たちの強さ、たくましさ、生命力。これらはすべて前作との共通項である。釧路はまるで漂泊の終わる土地とでも言わんばかりの風土である。 夏であるのに寒く、暗い海が深い霧に覆われる港町、釧路。ここに潜んだ人々の風土と時間とを、大河ドラマみたいな題材のように捉え、事件と捜査という形で描いてゆく。 無論、松崎比呂同様に、大門真由も出生や成長の過程で並みではない重荷を背負わされてきた女性であり、捜査官である。彼女の人生と事件とが重層的に重なることにより、この港町に展開する物語たちが響き合う。そんな厚みと深みを味わうことのできる独特の桜木節、三作目も是非あって欲しい貴重なシリーズである。 | ||||
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