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氷の轍
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氷の轍の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.75pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全16件 1~16 1/1ページ
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推理したりトリックを崩したりではないのでミステリーだと思って読むと肩すかしを喰らいます。ヒューマンドラマです。 心理描写と情景描写が多くただただテンポが悪く展開も遅い。 推しの作家さんですが今作は残念でした。 | ||||
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桜木紫乃を初読み、 単行本はソフトカバー、 1ページ19行一段の大きな文字、 装丁画のライトな印象とは大きく異なるヘビーな物語、 なかなかに魅力的な登場人物たちが綾なす広いようで狭い世間が哀切あふれる終章に向かうサスペンス・ミステリ、 北の大地の陋巷に生きる市井の民の慟哭があふれたメロドラマ、 ある世代以上なら戦後から半世紀超の時代の流れに涙できもする、 しょうじきクライマックスの描写にもたつきを感じたことが残念だった(もっと整理できるように感じた)、 エンディングのラスト10行が作家の力量を感じさせる見事な文章が並んでいる、 | ||||
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ホテルローヤルほどのインパクトはない。主人公が達観しすぎてリアリティにかける。 | ||||
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数年前にSPドラマが放送され、テンポの良さ、役者がはまり役でかなり楽しんで見ました。 是非とも小説版も読んでみたいと思ってましたが、なかなか機会がなく、ちょうど暇が出来なので購入しました。 結末や、一部人物の扱いなど、ドラマ版とは違いますが、こちらは小説独自の、まるでパズルのピースがはまっていくような気持ちよさでさくさくと読めました。 ドラマ版、小説版もどちらもテーマは、孤独とはなんだうか・・人生とはなんだろうか・・ 桜木さんの作品はほとんどの作品がこのようなテーマですが、氷の轍は、主人公の真由を始めとした、ほとんどの人物が孤独を抱えて生きています。 ですが、どの人物も、その孤独に折り合いを付けて生きています。特に真由の母のどこか達観した考えは、 こう言う生き方もありなんだと、考えさせられるものでした。 被害者の男の足跡から、やがて一つの物語に繋がっていく・・その様はまさに、氷の轍です。 最後の方では、読み終わるのが惜しいと感じさせられるほど、この作品の世界へと引き込まれていました。 そして、こんなに寂しい雰囲気の作品なのに、読後感は、どこかさわやかなのも良かったです。 桜木さんの作品は、かなり読んでますが、本作は一番のお気に入りになりました。 | ||||
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桜木紫乃・唯一の警察小説シリーズ第二弾。しかも副題の通り、前回の松崎比呂からヒロインが変っている。新ヒロイン大門真由は、父の浮気相手により出産された捨子という奇妙な出生。両親とも元警察官で、父は現在脳出血直後からの入院生活を送っており、母は毎日病院のベッドサイドで一日を過ごしている。とりわけ父は現役時代に真由の職場では腕の良い有名な刑事であったらしい。 前作ヒロイン松崎比呂は彼女の唯一の同性の先輩であり、前作で比呂の相方を勤めた先輩刑事キリさんこと片桐刑事は本作でも真由の相方兼教育係のような立場で事件とその背景を成す壮大な物語に立ち会うことになる。 前作では樺太を舞台にした終戦時の日本人引揚に端を発する壮絶な女性の人生が背景になった北海道作家らしい力作であったが、本書も姉妹編というべき設定で、東北から北海道へ流れ着いてゆく人たちの血脈を背景にした骨太の作品であり、桜木らしく、娯楽小説でありながら、純文学に勝るとも劣らない筆力によって、そのストーリーテリングを支えている。 釧路の海で殺害され発見された老人の正体を追ううちに、大門真由が巻き込まれてゆくのは、青森・八戸と流れゆく女たちの歴史、彼女らの運命の変転の物語である。通常の警察捜査小説ではあり得ないようなリアルな設定に支えられ、真由とキリさんは、時間と経費に縛られた過酷な条件の中で、青森での広範囲な捜査と、印象的な出会いを果たし、殺人の裏に潜む壮大な家族の物語を紐解いてゆく。 現在と過去、釧路とそこに流れ着く前の距離、原罪と宿命。何よりも女たちの強さ、たくましさ、生命力。これらはすべて前作との共通項である。釧路はまるで漂泊の終わる土地とでも言わんばかりの風土である。 夏であるのに寒く、暗い海が深い霧に覆われる港町、釧路。ここに潜んだ人々の風土と時間とを、大河ドラマみたいな題材のように捉え、事件と捜査という形で描いてゆく。 無論、松崎比呂同様に、大門真由も出生や成長の過程で並みではない重荷を背負わされてきた女性であり、捜査官である。彼女の人生と事件とが重層的に重なることにより、この港町に展開する物語たちが響き合う。そんな厚みと深みを味わうことのできる独特の桜木節、三作目も是非あって欲しい貴重なシリーズである。 | ||||
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TVドラマ版に比べて小説の評価がいまいちのようですが、私は小説も悪くなかったと思いました。 TVドラマ版が一般受けするようにミステリー色を強め、幼い時に人買いに売られた悲哀を強調して情に訴えるとしたら、小説の方は、どんな事情であれ授かった娘たちを生み、そしてそれなりの考えがあって手放した母親の佐知子と、親に捨てられてなお、気高く生きている娘(特に姉の千恵子)の心情を丁寧に描きます。 プラスしてドラマでも少し描かれたのかもしれませんが、捜査を担当する女刑事の大門真由が自身の生い立ちの事情から両親との関係に悩む姿や、真由が事件関係者の心情に自らの心情を重ねてしまう姿も、作品に深みを与えます。 幼いときに自分が人買いに売られた事実など、安易に他人に知られることなど有り得ないことなのに、そんなこともわからず空気を読めずに、自分の考えを押し付ける老人の存在が引き起こした事件で、だれも悪意があるわけではないだけに、悲しいです。 今流に言えば、究極に『うざい』老人の登場が発端で起きた悲劇であると言えると思います。 いずれにしても小説とドラマは半世紀前の姉妹が子供だったころの状況設定はだいたい同じだとしても、殺人事件を巡る現代の人物や状況設定・事件の展開は大きく異なり、他の方も書いているように、原作というより原案に近いものと考えた方がよいと思います。 | ||||
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偶然ネットで瀧本監督作品「氷の轍」を観た。いたく感動するとともに嬉しく思った。凍てつく道東釧路と白い波頭、精勤する男女の刑事、東北の貧困、重い過去を背負って生きてきた人間群像、、、漁港八戸場末のストリップ劇場、貧しさゆえに子を手放す女、幼い子をリンゴ箱に入れて青函連絡船で海峡を渡る人買い商人。それ程昔の話ではない。子供のころ、生活にゆきずまり町はずれの一家が夜逃げした、、、言うことを聞かないと人買いが来るぞ、、などとよく聞かされた。そうしたかっての日本社会の貧しい姿がリアルに映像化されていた。昨今はタケシだの吉本お笑い芸人がTVの世界で跋扈し我が物顔で低級なおふざけをばらまいている。本作のような真っ当なドラマに出会うのは本当にうれしい。 かって浅見光彦シリーズで明るい「坊ちゃま」探偵を演じていた沢村一樹がひげを生やして定年まじかのベテラン刑事で現れたのにはびっくりした。脇役陣がいい。運命の二人姉妹に宮本信子,余貴美子。刑事柴咲コウの父親に塩見三省。セリフは簡潔で冗長な説明臭は皆無。北海道に売られていく幼い二人のシーンは何度も泣けた。姉が幼い妹に歌って励ます岡晴夫の「あこがれのハワイ航路」。この馬鹿のように明るい歌が悲運の頂点で声を絞ってうたわれるなんて考えてみたこともなかった。 さて原作はどうなのか。他のレビュアーからも指摘があるように犯罪ドラマとしての性格は薄い。ことが殺人事件であってみれば犯人の殺害動機はもっと明確なはずである。憎しみとか金とか。作者の関心は犯罪事件そのものより、よかれあしかれそのように生きるしかない背後の人間関係を描くことにあったのか、という気がする。血は水より濃いというが、登場する人物群はいずれも正規の血縁関係にはない。ヒロイン柴咲の母は生母ではない。二人の姉妹宮本と余は実の姉妹ではない。孤児となった二人の女の子の幸せをまるで実父のように切望する滝川信夫は、ストリッパー・キャサリンにいれあげていた赤の他人に過ぎない。けれど人は一人では生きていけない。つまるところ実の娘のように(柴咲)、実の姉のように(宮本)、実の父のように(滝川)、あるいはそれ以上になって生きたいと願うものなのだ、ということだろうか。 ドラマは原作の本筋を生かしつつストーリーを再構成し観客に納得のいく見事な犯罪ドラマに仕立て上げた。見事な職人技と言っていい。が原作には原作の良さもある。ドラマ化に際し削除された個々の部分にもまた味わい深い実人生の描写がある。実にこれら破片にも神は宿っているのである。 | ||||
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桜木作品は全部読んでいるファンです。本作は、ドラマを先に見ました。ドラマの方は、本作が原作、ではなく原案、といっても良いのでは?というくらい、本作とは設定変更や脚色が多く、しかしそれにより、全体としてたいへんまとまりよく、本作以上の出来に仕上がっていました。ドラマ版では、何人かの主要な登場人物が削除されていますが、確かにその面子は、本作でも不要と思われる、あるいは描き込みの半端な人物です。本作の方は、とりたてて誰に感情移入するということもできず、全般的に中途半端、という印象を受けました。 ドラマ版は、キャスティングの妙と俳優陣の名演はもちろん、鈍色に支配された北国の情景描写や、凍った道の轍そのものの画を何度も交錯させるといった、すぐれた視覚効果もあいまって、物語が立体的な奥行きを備えていました。中でも、孤独や生い立ちのかなしみの中にかすかに見える、人との縁や温かさがよく表現されていました。そうしたドラマ版との対比で、本作をはじめとする、桜木作品における人物造形および描写のムラが、私の中では明確になりました。以前からうすうす感じていたことなのですが・・。たとえば、本作である主要な人物が抱える「情の薄さ」は、桜木作品でよく描かれるもので、それが鮮やかに活きる物語もあれば、悪い意味で何をどう感じているかわからないボンヤリした人物ばかりの物語もあり、私にとって本作は後者です。今後は、サスペンス仕立ては止めていただいて、「氷平線」や「無垢の領域」ほどに突き抜けた作品を期待します。ファンならではの願いです。 | ||||
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犯罪の背後に深く刻まれた過去の人間ドラマと情の綾なす人生行路――というかつての名作ミステリーの数々を彷彿とさせる物語世界。その意味で『凍原』よりも読後の余韻は重い。突っ込みどころはいろいろありましょうが、まあ、それを補ってあまりある「小説の力」を具えている点だけは確かです。著者の代表作のひとつになるのではないでしょうか。 | ||||
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かつての北日本の貧困という時代背景をベースにしていて、名作「飢餓海峡」に匹敵する推理小説で、一気に読んでしまい、作者のセンスの良さを知り、今他の作品も読んでいます。 | ||||
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海岸で老人の死体が発見された。 麻の半そでシャツにメッシュの靴は、夏とはいえ釧路には似合わない。 釧路署のベテラン刑事・片桐と女性刑事・大門真由が被害者の身辺を 洗ううち、苦しい人生を過ごしてきた者同士の意外なつながりが浮かび 上がってきた。 二人デ居タレドマダ淋シ 一人ニナツタラナホ淋シ シンジツ二人ハ遣瀬ナシ シンジツ一人は堪ヘガタシ 白秋の詩とともに、流れてゆく人の一生の切なさが、釧路の寒さが、 身に沁みてくる一冊。 | ||||
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よかった。充分面白かった。惜しいと思ったのは、殺人の動機。 殺さなくても、解決の方法があったような気がする。 | ||||
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時代背景事態はむしろ我々より年長の世界だと思いますが、この超、地味な事件が私に何を伝えようとしているのか、よくわかりませんでした。 | ||||
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勝手にシリーズと名付けてしまいましたが、名作「凍原」に続く北海道警釧路方面本部の女性刑事が主人公のミステリーです。 「凍原」では松崎比呂刑事がメインでしたが、今作では後輩の大門真由が殺人事件を解決すべく奔走します。 全編にわたり、釧路を舞台にいつもの桜木節が冴え渡っていますが、 今作では少しばかり一つの台詞、動作に対しての状況説明と比喩が多かったように思います。 悪く言うと回りくどい。 事件の真相に近づく過程は、ページを捲る手が止まらない状態になりますが、 主人公のキャラもあっていいところでクールダウンしてしまう。 そして何よりも一番惜しいのが犯行の動機。 哀しい物語に十分感情移入できるのだが、それが弱い。どうにも今ひとつ納得できず首を傾けてしまいます。 それをうまく回収してくれていたら星4つ。 「凍原」の見事さに比べるとやはり弱く、上記の理由にて3.5です。 | ||||
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桜木作品は何冊か読んでいるが、こういうサスペンスタッチの作品は初めてで、新境地を開く意欲作と評価したい。例によって主な舞台はうら寂しい釧路の街。さらに今回は内地の八戸や十和田まで広がる。殺人の動機がイマイチ弱い感じもするが、作者の今後の成長に期待したい。 | ||||
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…というぐらいストーリー展開や設定が強引な気はするが、「人の善意」と「忘れたい過去」の相克が一人の孤独な老人の死を呼び込む話。映画『砂の器』をちょっと思い出した。本作の犯人が「忘れたい過去」は、差別とか犯罪歴といったものでは全くなく、ごくごく個人的なものだ。それだけに殺人の動機として納得しづらいものの、物語のクライマックスで犯人が生き別れの母と再会する場面は、意外にも泣ける。 主人公を始め、登場する面々が皆何かしらの屈託、孤独を抱えて生きている様が辛い。 因縁の発端は今から半世紀以上昔の、我が国がまだ貧しかった時代に遡る。この物語の犯人が辿ったような人生の岐路が本当にありえた時代なのだろう。重い読後感の秀作として星4つ。 | ||||
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