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硝子の葦



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【この小説が収録されている参考書籍】
硝子の葦
硝子の葦 (新潮文庫)

硝子の葦の評価: 7.67/10点 レビュー 3件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.67pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(8pt)

心を読ませないヒロインが魅力的

著者の第三長編である2010年の作品を加筆改訂した文庫版。変則的な恋愛小説かと思わせて実はノワールなミステリー小説である。
母の愛人であった歳の離れた男と結婚した幸田節子は、夫が交通事故で意識不明になったことから、平穏な日常が崩れ始めたのを感じるようになる。夫が事故にあった場所は母の家から近く、母と夫はまだ関係を続けていたのだろうか? また、趣味の短歌仲間の女性が実の娘を虐待しているのではないかと疑問を持ち、自分の育ってきた環境を思い出し、嫌な思いに囚われるようになる。さらに、節子は愛人である澤木に、幸田の前妻との間の娘探しを依頼したのだが、捜索の過程でさまざまな過去が浮かび上がってきた。沈着冷静、ときには冷血にも見える節子は壊れてしまいそうな心を抱えながらも、強靭な意志の力で苦境を乗り越え、最後まで自分の思いを貫徹する。
序章でいきなり主人公が焼死し、その半月ほど前から第1章が始まるという展開からしてミステリアス。歳の離れた夫婦、母と娘の確執、女同士の軋轢、腐れ縁のごとき愛人関係など、通俗的な泥沼恋愛小説かと思わせる道具立てながら、本筋はきちんとした犯罪小説である。さらに、主人公・節子のタフな態度が一本筋を通しており、ハードボイルドでサスペンスフルなミステリーに仕上がっている。
桜木紫乃ファンはもちろん、幅広いジャンルのミステリーファンにオススメしたい。

iisan
927253Y1
No.2:
(7pt)

硝子の葦の感想

大人のサスペンスって感じの作品です。
虐待された大人がいて、虐待されている子供がいて、
こういった歪んだ世界で生きている人たちの、利害関係がもたらす事件の真相。
面白かったけど、なかなかページが進まなかったのは、作品の重苦しい雰囲気のせいかな。

Hidezo
GX0TU62Y
No.1:
(8pt)

硝子の葦の感想

このミステリーがすごい2011年の16位作品。評価は低いが完成度は高い。でも、好みが別れる作風だろうね。特筆は文章の素晴らしさ。ボキャブラリーの乏しい不思議な言語を操るいまどきの高校生ギャルに読ませたい。もっとも、こういったイメージもテレビからのもので、ただ、単に世間を知らないのは私のほうかも知れない。プロローグの出来事から時間を遡り物語が始まる。通俗小説のような、母の愛人だった男と結婚した一人の女の身の回りの様子や生活。関わりのある人物などが静かに語られていく。歳の離れた男は生活面では苦労はさせない、時間もあげるから何をしようと自由だ。愛だの恋だの言わずにプロポーズされ受けた節子。その夫が交通事故で意識不明になる。ホンの脇役と感じた人物からの一枚のメモと共に子供を預けられた時から日常が少しずつ壊れていく。感情的でなく芯の強い女。しかし、そうなるにはそれなりの過去があり、それらは徐々に明らかになっていく。ラストの切ない気持ちは主人公の節子に思いいれたっぷりに読み進めた結果だろう。北海道のある小さな町を舞台にしたそこに生きる一人の女の生き方と一人の刑事。ため息のでる読後だった。

ニコラス刑事
25MT9OHA

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