■スポンサードリンク
私の男
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
私の男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.33pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全303件 141~160 8/16ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本作は桜庭一樹氏による第138回直木賞受賞作。 地震による津波で家族を失い、孤児となった9歳の少女、花。 花の養父となることを申し出た男、淳悟。 やがて、二人を引き離そうとする地方の小さな社会に反発し、二人は東京へ逃げる。 物語は1993年の二人の出会いから2008年までの15年間が描かれている。 本作のすごいところは、この時間をさかのぼるように描いたところだ。 冒頭でラストシーンを描き、一気に過去にさかのぼって時系列にエピソードを綴るという、 「5→1→2→3→4」という手法の作品には出会ったことがある。 しかし本作のように「5→4→3→2→1」という順序で描かれている作品に出会ったのは初めてだ。 時間の流れが新鮮で強烈で、とても面白かった。 時間の流れを逆にたどることによって、この親子の関係がどこで狂ったのかがよくわかるのでは、と思って読み進めたが、この二人は始めからどこか壊れていたような気がする。 壊れたもの同士、お互いを修復しようと試み続けたのか、そもそもそんな気がなかったのか。 特に淳悟という男は最後まで何を考えているのかよくわからなかった。 テーマにしても、描かれ方にしても、文句なしでインパクトがある作品。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私が初めて呼んだこの人の作品です。 それ以来、何作か読み、全て大切にしていますが この作品だけは「面白い」「面白くない」とは別の、もっと特別な でもそれは決していい意味ではなく・・・とにかく特別な作品です。 それはおいておくとして。 何項かに分かれ、視点が切り替わりながら話は進んでいきます。 いや、進んでいくという表現はちょっと違うような気はするけれど。 この何人かの視点、その順番、すべてこの作品を書くにあたって必要なものだったとおもいます。 結婚をする花、この義理の父との関係は?どんな生活を送ってきたのか? そんな疑問をすこしずつ紐解いていく。 この二人の別れが決定事項とされた後で、「骨になってもはなれない」などと 後半につれてその深さがわかる二人の愛情、関係・・・ 読み終えた後は空っぽになりました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
後輩に、すごくいいですよと薦められて購入。 う〜ん…なんといっていいのだろうか? まず、婚約者のパートと小町のパートは必要なのか? 「私の男」のタイトルとおり、主人公の目線だけでもいいのではないか? 時間軸が遡っていくが、最終話で、その後というか、結末は出さないのか? 結局二人はどうなるのか、と消化不良が否めない。 下手すると萌え系の話になりかねない。 ってか、萌え系なんだな!って思えばいいのかな? 設定が所謂萌え要素満載だし… | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
惇悟と花の出会い それからの二人の生 別れ 現在から過去へと 戻っていくこのお話は 1つの円で繋がっているようで けして戻れないのに 別れ 離れる事を拒む 二人の想いを表しているように感じた。 押入れの秘密は 幻だったのかも 婚約者に霊感がある という伏線 このお話に無駄な所はない 二人の大切な想い出だから | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
骨になっても離れないと思っていたはずなのに、どうして逃げてしまったのだろう。 忘れるなと言ったくせに、どうしてどこかに消えてしまうことができるのだろう。 あんなに愛し合ったはずなのに、なぜ。 実ることなく、花は腐る。あっという間に朽ちる。 桜庭は親子として、罪人として、幾重にも結びついていた2人を、あっさりと絶つ。 その別れの章から始まり、2人の歴史を遡るように、物語は進んでいく。 朽ち果てた醜いものが、昔、輝いていた頃を振り返るように、進んでいくのだ。 これは、花の物語のようでいて、淳悟の物語だったと思った。 寂しくて寂しくてたまらなかった男が、ようやく母親から離れて一人に戻る。 悲しい巣立ちの物語であってほしい。 娘もまた自立しなければならない。失ったものを血の中に抱きながら。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
賞狙いですか。 問題作ということで覚悟して読んで見ましたが、やはり受け付けません。 これは、もともとこういう性癖がある人でないと書けないような気もします。 ただ、こういう人達も世の中にいるんだなあ、という勉強にはなりました。 半ば強引に読み終えたあと、本はすぐに焼却処分です。 こんなことは初めてです。 古本屋さんにすら持って行きたくありませんでした。 そういう意味では著者の策略にはまんまとはまってしまった感はあります。 私の敗北です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ただただ気持ち悪かった 心の描写は薄いのに、性描写だけぬめぬめといやらしくて これが書きたかったの?と思ってしまう 美郎の章もいるの?って感じ出し 過去がどうあれ、こんな関係正当化も共感もできないし 文学的に昇華されたものでもなかった 直木賞・・・こうゆうものも受け入れて窓口広いですよってアピールですか 初めてこの人の読んだのに、他の読む気無くなってしまった 褒めてる人を否定はしませんが、まっぷたつに分かれる作品でしょうね | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
直木賞作品だが、実力よりも直木賞受賞作のパターンに意図的にはまった部分を評価されている節がある。 「女としての価値をまっとうに消費できない苦しみ」というテーマがなかなか普遍的な主張に発展しない。 この種の主観的なテーマのみで話を引っ張れるのは、あくまでもライトノベルや少女小説までだと思う。 著者の作品に多用される「もてない女の苦しみ」というテーマだけだと苦しみよりもいびつな内面の方がはっきりしすぎていて、どうにも共感しにくい。 個人の姿や感情が普遍的な主張に結びついていかないので、一般層向けの小説としてはいかんせん弱い。 また、文学的な雰囲気や描写を意識的に取り入れる努力がはっきり見えるのだが、それらがどうもテーマ部分の弱さを修飾して隠す以上の役割を果たしていない。 そのためか影響された作品と著者自身の感性を闘わせている感じがあまりせず、物語全体にどこかから借りてきたような雰囲気が漂っている。 危険でグロテスクな香りはすれども、その感覚自体に既視感を感じてしまうのだ。 従って外見は作りこまれているが中身は著者の手腕で料理しきれていない。 典型的なライトノベルの延長上にある作品に落ち着く。 一般向けというよりも著者の信望者の心をくすぐる作品だろう。 それでも直木賞を受賞できたのは、本書が過去の受賞作をよく研究していたり、審査員が好む文学的素養に基づいて書かれていたりするからだろう。 他の作家でライトノベル畑から直木賞候補になったのは冲方丁がいるが、著者が受賞できて冲方が受賞できなかったのはこの素養の差にある。 そう考えると、芥川賞・直木賞という日本の二大文学賞も、受験と同じように単なる規格になったのかもしれないと思えてしまう。その中身よりも傾向と対策の成果が評価されるようでは、高名な文学賞もライトノベルや漫画の基準とそう変わらない。 本作を読んで思ったのだが、過去の受賞作などと比べて近年の小説全般があまり求心力を持つに至らないのは、単純に作品で訴えたい主張が薄かったり、あるいは弱くなりつづけているからではないかと感じた。 著者が今現在執筆している八犬伝の小説や冲方の一連の時代小説は、その問題への彼らなりの反抗なのかもしれない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
タイトルに惚れた。手にとって一気読みした。 現実の中でが共感する部分は一つもない。 血のつながった肉親を「私の男」と認識できるはずがないから。 人間は、小説を読み、どう思うか。は、 無意識でも意識的でも 自分の常識や、観念に沿ってその物語を受け入れ、 その上で生じる自分の中の様々な感情を自分で処理して結論をだしていくことだと思う。 その点で、この本は、自分をこの小説の中に少しでもいれてしまったら、読めない作品。 ただ視点をかえれば、とことんまで純粋で無垢で 与えてもらえなかったために、知ることが出来なかった真っ白な2人の 愛するという感情が痛くて痛くてたまらなくなるくらいの 恋愛小説になるんじゃないかと思う。 高等な生物は、けっして血のつながりのある相手を犯したり 生殖の相手として認識はしないらしい。 高等な動物であればあるほど、その認識力は強く、 ましてや「ヒト」は地球上で一番の知能をもつ生物であり、 常識といわれる一線からして、この物語は逸脱している。 でも、 親が子に与える様々なものが、一切与えられなかったとしたら、 本能にくみこまれた 「愛する」しかなくなってしまうんじゃないだろうか。 そう考えると、この作品は 恋愛小説でも、切ない2人の恋物語でも 禁断の近親相姦ものでもなく、 ヒトが生きるということについて とてつもなくストレートに問題定義している作品なのでは戸思ったりする。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この物語を完全に受け止めることはできなかったと思います。 ただ惹き込まれて読み終えました。 水平線を目指す永遠の放浪、漂流者ニョロニョロはムーミンに出てくる登場人物。 でもこの物語のふたりは只ひたすら永遠に漂流する魂のよう。それも寄り添うことによってかろうじて。 そんな読後感でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
一気読みしたあとで、淳悟という人物なくしては、かなり不快な小説だったかも、と思いました。だらしのないダメ男は現実でも架空でも好きなタイプではありませんが、登場とともに淳悟の堕落と美の危ういバランスに惹かれました。解説の北上二郎氏の賛辞にもほとんど納得、ですが「淳悟の内面描写はわざと描かなかったのでは」「確信犯的」という点のみ、どうなのかな?と思いました。単に「描けなかった」だけでは?作者の力が及ばないせいではなく、山田詠美の作品にたびたび登場する男性たちのように、このタイプの男性たちは、生きていることが美しくて、自己表現する必要がないし表現するつもりもない、それは文章で表現することが不可能な領域では?と。 ただし、淳悟という人物を外すと、思ったより通俗的な表現・展開が多く、特に甘えるときの男女の台詞に小さい文字(「よぉ」とか「さぁん」とか)が多用されているのが、どうしても好きになれませんでした。そのせいか、さほどエロスも甘さもどろどろ感も感じませんでした。それよりも、細かい既視感が妙に気になりました。イエモンのJAMのPVとの類似とか。 あと、本作を一気読みさせる要因は「殺人」ですが、これははたして必要だったのか、淳悟と花の依存ストーリーを、きめ細かく書くだけではいけなかったのか、それだと香辛料のないカレーのようになってしまうのか、だけど香辛料にしては辛さも意味もどんでん返しもないのはどういうわけか、美郎の霊感など、ミステリだったら重大な布石だとしか思えないのに、ただの霊感で終わってしまうなんてもったいない、等。 しかし個人的には淳悟という男性の美しさを堪能するだけでも、一読の価値がありました。淳悟に関する部分は「文章」だと思えず、映像として記憶に残りました。時系列がさかのぼるかたちで進む物語も、余韻があってとても良かったです。 蛇足ですが、最後の章の地震と津波で被災する場面、妙にリアルで恐いので、似た経験をお持ちの方、その知人の方などは、読まない方が良いですね。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
都会育ちの私には初め中上健二的な血の濃いムラ社会を描いた作品に通ずる嫌悪感がありました。しかし、中上作品が都会者を拒絶したままで終わるのに対し本作は都会者の道徳観を無効化させることに成功しています。(それには しゅう "あぶ"さんのレビューでは無用なように書かれている美朗や小町という都会者への媒介者が必要だと思われます。) 低評価の方のレビューは殆ど健全な道徳観に基づく生理的嫌悪に感じられましたが、作者は「道徳という人為的なものが無ければ人間はどうなってしまうのか?」ということを描きたかったのではないでしょうか? だから主人公ふたりは道徳以前の情動に従っていただけで、背徳を認識しながらの行為ではなかったように読めました。「アンモラル」という形容は通俗的な近親相姦に堕してしまうようで、解説の北上次郎さんの「禁じられた愛と性」という表現も不適当に思えます。 koru "shari"さんがおっしゃる「おっおっ」という台詞の違和感、そもそも淳悟のような男が「おかあさん」などという言葉を発したときは非常に観念的であり、とても作中の感嘆詞的なものではないでしょう。粗をさがせば限はありませんが、とにかく私は本作を読んでいままで想像もしなかった世界をのぞき見ることができました。それだけで読む価値のある作品といえると思います。 蛇足ながら私は本作を読みながら思い出したのは藤子・F・不二雄さんの「ミノタウロスの皿」でした。常識(道徳)を覆される定型的な物語としてなかなか重宝しますよ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
率直な感想を書きます。 文章は、微妙に読みにくかったです。声に出すように一々音にして読んでしまうせいかもしれません。文末に「〜た」が来る文章がひたすら続くので、リズムが悪い感じがしました。そのせいか、非常に入りにくかったです。 内容は、殺人あり、近親相姦あり、謎めいた感もしつつ、全体を通して美しさがありました。けれども、「読み始めたから読みきる」という以外に読み進める理由があまり見つからないお話でもありました。全体を通して伝わってきたことはとにかく淳悟の外見が素敵だということです。血の繋がり以前に、花を引き取ったのが若いいい男じゃなかったら、こういうことにはならなかったかもね、と意地悪く思ってしまうくらい、とにかく淳悟の容姿の素晴らしさがしつこいほどに強調されていました。特に最終章では、「女なら一度はこういう妄想するよね」と読みながら笑ってしまいました。 主人公の花が要所要所で放つ「血が」云々と、一瞬センセーショナルな響きを持つ「血の人形」という言葉の意味が、読み進めて時を遡るうちにわかってくるのですが、そしてそこがこのお話で一番重要な部分なのではないかと漠然と思うのですが、「あー、なんとなく、わかった…かも?」くらいの描かれ方で、そもそも何故花の母と淳悟が関係を持ってしまったのかもわからず仕舞いだし、その点では非常にもやもやが残ります。 全体を通してじっとりと重暗い、それこそ甘い腐臭を嗅ぎ続けているような感覚にも関わらず、時を遡る形式のためになぜか爽快に未来に希望を持って終わった気になる不思議なお話です。 読み終わって最初の章に戻ると、花のは別の男と結婚してしまうし、淳悟も姿を消してしまいます。花はなぜ淳悟から逃げたくなったのでしょうか。その辺があまり描かれていないので、どうしても「淳悟が醜くなってきたからではないか」と勘ぐってしまいますが、最終章の美しい妄想も時が経てばやがて色あせ、終わりが来るということを描ききったお話だな、と思いました。 それにしても、読み進めるごとに遡っていく、という手法は面白かったです。 駄文長々と失礼しました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この作品以来、小説を読んでいません。読む気になれないんです。桜庭さんの作品すら読んでいません。私が(個人的に)読書に求めていたものが、全てこの作品にあったからです。いずれまた小説を読みたいと思う日が来るかもしれません。ですが、その時まで、私の読書は終わりです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
近親相姦(少女であった私と父親)が延々と続いていく しかも主人公である少女は肯定し なんて、絶対感情移入できない。 考えただけで虫唾が走る内容である。 しかし、不思議にこの少女に共感を抱いてしまう。 永遠に誰にも見つからないで二人の関係が続けばよいと 思いながら読んでしまった。そして、はじめから 父親に対しても、肯定的に思えてくる。 そんな事ってあるだろうか?ふつうありえない だからこそこの小説はすごいのだと思う。 なぜ、作者にこのような物語が書けたかと考えてみると 後から気付いたのだが、 それは、ゴシックなどの少女が主役のファンタジー小説をも 得意としている、作者ならではの才能ともいえるのではないだろうか 内容は言葉で説明すると、とてもエロチックで、ドロドロしているような 内容なのだが、作中の二人はどんな罪を犯そうとも 決して穢れを知らない人として淡々と描かれている。 大人の小説、しかもファンタジー的に書かれた 親子とは、男女の関係とは、肉欲とは、血のつながりとは 罪とは何だろうか、色々な要素が詰まっている。 あり得ない内容なだけに、評価が分かれるだろう 男性より女性の方が受け入れやすいのだろうか。 ちなみに私はアラフォー女性。 近親相姦は嫌いです でも、この作品は大好きです | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私は、日本推理作家協会賞を受賞した「赤朽葉家の伝説」を読んで、この人は、推理小説よりも、一般小説の方が向いていて面白いのではないかと思い、直木賞受賞作のこの「私の男」を読んでみることにしたのである。その私の予想には間違いはなかったのだが、それ以上に、この作品は、色々と思うところの多いというか、多過ぎる作品だった。 まず、この作品は、構成の上手さで読ませる作品だと思った。冒頭の第1章で、ぼかされて謎の多いこの物語の終わりが描かれた後、章を追うごとに時代が遡り、「あれは、こういうことだったのか」と、次々に謎が明らかになっていき、最後に、全ての始まりが語られるという手法を取っているのだ。おそらく、正攻法で、始まりから終わりに向けてこの物語が進められていたのだとしたら、これほどのインパクト、衝撃はなかっただろう。そういった意味では、この作品自体は全くミステリではないのだが、ミステリの手法を上手く生かして書かれた作品ではあったと思う。 この作品の問題点は、何といっても、そのアブノーマルなテーマに尽きる。この種のテーマで男性作家が書いたら、「おまえは、一体、何を考えているのだ!」と、読者の総すかんを食いかねないと思うのだが、この作品は、女性作家が、女性の視点をメインに据えて描いたからこそ、それなりに受け入れられたのだろう。それでも、こうしたテーマは、通常は、女性のPTSDの原因として語られるものであり、この作品は、一般の読者、特に、女性には受け入れ難く、嫌悪されるのではないだろうか。こうした問題作は、いかにも直木賞の選考委員好みだとは思うのだが、作品の出来は別にして、こうした類いの作品に直木賞を与えて、脚光を浴びさせるのも、私はどうかと思う。この作品で描かれているような、極めて限定された特殊な設定と精神状態の中では、一つの愛の形として、それなりに説得力はあったとは思うのだが、こうした愛の形を、一般の女性が受け入れてくれると勘違いする男が現れないことを願いたいものだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
直木賞作品ということで気合いを入れて読んだが残念ながら好みではなかった。 決して面白くない作品ではない。桜庭一樹の作品は「赤朽葉家の伝説」 「ファミリーポートレイト」と読んだが、次の展開を期待して読み進ませる 筆力はあるようだ。 しかし、この作品、まったく現実感がない。 ひとつひとつのエピソードが、からまりあった2本の木のように 根っこに向かって繋がっていくのが理想なのだろうが、 各章でぶつぶつと切れてしまった印象。 作者はオホーツクの暗い海と、主人公二人のねっとりした関係 しか興味がなかったのかなと思う。 (それにしては全然エロティックでない・・舌での愛撫描写が 中心でなんとなく幼い感じがするから?) それでも性的破たん者の腐野淳悟は男として魅力的でなくもないが、 腐野花のほうは最初から最後までまったく女としてなってない。 ぶっきらぼうで影のある不思議ちゃんを描きたかったようだが、 私も小町と同じく、直感的な嫌悪感をぬぐうことはできなかった。 そのほかの登場人物も構成が甘く、殺された2名に関しては まったく理不尽としかいいようがない。 結末も読者に丸投げ。ミステリではないのだからこれはこれで 良いのかもしれないが、読後のカタルシスは全くなかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
直木賞受賞作ということで読んでみたのですが、 それにしては読後感が薄かったです。 特にロマンス甘い恋というわけでも、狂気に満ちた恋というわけでもなく、 それぞれの関係性が、最後までなんとなく運ばれていく感じでした。 物語の時間軸が逆行する、という展開も、それほど効果的とは思えなかったです。 ただ、他の作品群も踏まえて直木賞の選評に目を通して分かったのですが、 「過去の実績」だったり、「今後の期待」も含めて評価しているらしく、 一概に受賞作が推されているワケではないんですね。 とはいえ、宣伝通り、表現の流麗さは圧巻! 何てことない場面でも、ぐいぐいと引き込まれました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
決して許されるべき形ではない、父と娘の親子関係。 だが、作者の人物造形や心理描写、構成の巧みさに 読む側は妙に納得させられてしまう。 極端に狭い二人だけの世界が濃密に描かれていて、 ある種の羨望にも似た気持ちが生まれる 不思議な小説だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
こういった物語をシタリ顔で「描画力がすごい!」とか「文章がうまい!」とか認めてしまうと、ちょっとまずいなー、と考えさせられてしまう作品です。物語中盤で「レオン」とか「ボニー&クライド」を連想させる感じもしましたが、まぁ言ってみれば、父と娘の近親相姦の話であり、それに対してくどくどと父親や娘側それぞれの生い立ち等バックグラウンドを立てて正論化されてもなー、実の親子のくせにお互いを貪り尽くすのって動物以下じゃん?と思ってしまいました。所詮禁忌は禁忌であり、内容的には全く好きになれませんでした。でも、少なくともサクッと読んですぐ忘れてしまうような類いの物語では無いです。恐らく今後、長らく自分の中で記憶にとどまり続けるであろう作品ではあります。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!