しまった、ついに正体を見抜かれた―。

参宮船に助けられた女が、羽豆岬の断崖から海螢の光る海に身を投じたのは中秋になってからであった。

隠退した元お側用人と幼なじみの町奉行、小料理屋のお内儀との交情をしみじみと描いて各紙誌絶賛の名品。

新しい恐怖小説の出現。緑色の小さな石は、男の悲惨な生を救ったか?芥川賞受賞作。

賄賂政治の横行した天明飢饉の時代を背景に、強力な政治経済改革を断行する老中田沼意次と、反対派松平定信の権力闘争を描く歴史長編。

合衆国最高裁判所の裁判官に内定していた弁護士ベン・ポッターが、大統領からの正式指名の前日に謎の死を遂げた。

タリアの裁判は、ポールたち弁護団にとって予想以上に厳しい展開となった。検察側は次々と新しい証拠を提示してきていた。

姉の七回忌のために婚約者と故郷の奈良に帰ってきた玲は、姉が首を吊った蔵の中で珍しい鏡を見つける……それが惨劇の幕開けだった

部屋住みの源次郎が心寄せる娘の家が突然改易。父親は藩金横領の科で切腹させられたらしい。

事実を追う検察官。真実を求める弁護士。

1941年12月8日、日本海軍機動部隊は真珠湾を奇襲。

薄幸の人妻との恋。男が女にえがく果てない夢。

薄幸の人妻との恋。男が女にえがく果てない夢。

短い旅に出た老執事が、美しい田園風景の道すがら回想する、古き良き時代の英国。

人気大関、横綱昇進を辞退。前代未聞の騒動に困惑する角界をよそに、当の大龍は死んだはずの父の姿を求めて街をさまよっていた。

俺は、完璧な逆玉に乗ったはずだった。

ここロベリア・フォールズではアーチェリーが盛ん。

芥川賞作家の小川洋子による初めての本格的な書下ろし長篇小説の誕生。

藤沢周平の眼が捉えた浮世絵誌歌麿。

クリスマス休暇を得たマドックは、コンドリック一族のクリスマス・パーティに参加することになった。

この作家円熟期のかぐわしい果実と評された「玄鳥」をはじめ、初期歴史短篇として不滅の光を放つ「又蔵の火」など、力篇を収めた

「王女はそこに立っていた。-幻でも何でもない。

京都大宮通りの公事宿「鯉屋」には、今日も金や色がからんだ、強欲な人間が起こす事件の数々が持ち込まれる。

鬱の病いを持つ青年ジョー。病院から追い出された上に、里親からも見棄てられ、絶望した彼は遂に自殺をはかる。

財を賭けて“粋”を競い合った豪商奈良茂と紀文。表題作「霜の朝」ほか10編。

日本企業ナカモトがロサンジェルスに建てた超高層ビルで、美人モデルが殺された。

横浜の教会で障害児の養護施設新設を計画した途端、周辺の住民から反対運動が起きた。いったい、なぜ?そればかりではない。

鎌倉幕府打倒に失敗し、隠岐へ流される後醍醐天皇、お人よしで涙もろい足利尊氏、冷徹な合理主義者足利直義、好色悪逆に生きる高ノ師直、師泰兄弟……百獣横行の乱世を、綺羅をかざり、放埒狼藉をきわめ、したたかに、自在に生きぬいた、稀代の婆沙羅大名・佐々木道誉の生涯を

不義、あげくは出奔、だがわしは、その妻を討つことができるだろうか。

都会の片隅のユートピア―、人呼んで「駆け込み団地」。

怪物に餌をやるな。今ではそう言いたい。

現職のFBI捜査官が犯人逮捕の合い間を縫って書き上げた話題騒然の犯罪小説。

下谷長者町の京菓子屋永田屋に、18年前に拾って育てた娘は大名の松平家の御落胤だといって、滝の井と名乗る奥女中がたずねてきた…。

伊沢屋のおかみが消えた。が、三日後、ひょっこり帰ってきた。

超エリートに捧げる死刑台。肉体がだんだん溶けていく。

申し分のない仕事に、文句のつけようのない妻、そしてすばらしい愛人―会計士ヘッティンガーの人生は、まさに順風満帆だった。

並子と政子は親友で、東京郊外の大団地に「探偵局」を開いている。

森で拾ったその犬には、なにか知性のようなものが、意志に似たものが感じられた。

〈アインシュタイン〉が不安げに窓の外をうかがう回数が日ましにふえてくる。

2組の夫婦に秘められた背徳の過去。東京とスイスを結ぶ往復書簡が織りなすレターロマネスク。

諸流派が日本各地に盛名を競った天正年間、常陸の刺客諸岡一羽斎の、剣の理法と謎の秘伝書は、3人の高弟たちを翻弄する。

曲垣賞に沸く秋の競馬場で、一人の男が刺し殺された。

義父の死をきいて故郷に帰ってきたぼくは、駅前で偶然、川村千里に出会う。ぼくの中学時代の初恋のひと、川村麗子の妹だ。

宗教界の歴史的和解によって、中東に人類悲願の平和が実現した。

冷戦終結後も、ゲームはつづいていた―。

よろずもめごと仲裁つかまつり候。旗本妾腹の祝福されざる冷や飯食い平四郎の稼業である。

ハープの夕べに、愛がめばえ、シンバルの夜は、恐怖に凍る。行間からメロディが聞こえてくる愛とホラーの連作集。

スリリングに急反転する愛憎のジグソーパズル。謎が謎を追いかける擬似歴史小説。

男は人を殺してみたくてしようがなかった。金なら腐るほどあるし、容姿は映画スターなみ。

江戸の橋。出会いと別れ。

結婚式を十二時間後に控えて、杏子は四十五歳の男とべットの中にいた。別れの時、男はいった。

弁天小僧、日本左衛門、南郷力丸…。策謀と悲恋が渦巻く宝暦の江戸。

藩中一、二を競う遣い手同士の凄絶な果し合いを乾いた抒情で描きだす表題作はじめ、円熟期士道小説の中・短篇二十三篇をおさめる

わずか2時間の間に1人は銃弾で、1人は絞殺とその殺害方法こそちがえ2人の最高裁判事が殺された。

あの金を返せ―受話器から響いてくる不気味な声に、デザイナーのテスは総毛立った。

大好きなアギーおばが食中毒で死んでしまった。原因はお手製の瓶詰めインゲン。

関ヶ原合戦前夜、家康を挟撃せんと北国の雄・上杉と石田三成がむすんだ密約の行方を追う歴史小説雄篇。

あんたもおかしなことを聞く人だね。

警視庁捜査一課片山義太郎の妹・晴美が、恋人石津刑事と三毛猫ホームズと一緒に帰宅途中のバスの中で、突然「降りましょ」とホームズに呼びかける少女がいた。

検察側の正義と弁護側の正義。そして、検察審査会の正義。

北国の小藩・海坂、清流と小立に囲まれた組屋敷、一人の少年藩士が成長する姿を描く「蝉しぐれ」と、朋友相喰む熾烈な覇権劇「風の果て」

アイドルの杉田あるのは楽屋で一人出番を待っていた。退屈で廊下に出てみたが、誰もアイドルとは気付かない。

闇とほのかな光の中で語られる、愛憎と葛藤、独自の色彩でえがかれた人生絵図。

貧しく孤独な生い立ち、失意の青春時代、そして作家としてデビューするまでの苦闘の日々を、切々と告白した心うつ魂の記録。

結婚の記念に人を殺そう。とんでもない夫婦もいたものだ。

「醜い顔に奇抜な服装、年は殆ど六十七…」幸せな気分で唄いながら、セーラはペンキを塗りたくっていった。

日残りて昏るるに未だ遠し――家督をゆずり、離れで隠棲の日をおくる清左衛門は、日録を記すことを自らに課した。

さても面妖な公事宿事件。金仏ひとつで罪を負う男と女。

犯人の名前は、蒲生稔。猟奇殺人に駆られる男の魂の軌跡を追う恐怖の物語。

標的はマフィアのボスの金庫―。

初期士道小説名品の数々を網羅。

本名は岩切鍛治。通称“春団治ダンさん”。

相模屋の店先で雪駄が一足盗まれた。

宣教師ルイス・フロイスは怖ろしい日本の魔術を見た―。

1956年、動乱に揺れる街ブダペストで、祖国を違える4人のスパイとひとりの女が関係した。そして生まれた娘、イローナ。

クレアは怯えていた。合衆国大統領として任期終盤を迎えた夫ニコラス。

チャーチル首相を誘拐せよ。オリジナル原稿をもとに、最初に刊行されたときに削除されたエピソードを忠実に復元。

1975年、ある事件を契機にN県に分離独立政府が生れ、ソ連と友好条約が結ばれる。

安禄山、史思明の乱による唐の疲弊ははなはだしかった。一応の命脈は保っていたが、黄巣の乱を経て、ついに梁にかわられる。

ひたむきにテニスにうちこむ青春の群像―新設大学のテニス部員たちをとおして若さのもつ苦渋と輝きを定着した瑞々しい青春小説。

「そんなばかな!」ストット教授がうめいた。今宵は吉例フクロウ数えの夜。

日本企業ナカモトがロサンジェルスに建設した超高層ビル〈ナカモト・タワー〉で、美人モデルが殺された。

CIA情報担当副長官代行に昇進したジャック・ライアンは、ある日上層部のきなくさい動きに気づき、それが野心にはやる一握りの権力者によってなされた策謀であると知って憤った。

「大統領、大国がその気になったら何ができるか、やつらに思い知らせてやるべきです」国家安全保障問題特別補佐官の一言に大統領は気持を動かされた。

慢性腎不全を患うみずえに不審な生体腎移植の話が持ちあがった。

隋の煬帝とは従兄弟、北朝の名門・李淵が挙兵し次男李世民の活躍で無血の政権獲得に成功。唐王朝がうぶ声をあげた。

ヴェトナムの戦場を肌で感じ生と死の異相を鋭く凝視した『輝ける闇』。

三国志時代、それは中国史上でもっとも波乱に富み、もっとも興味深い時代である。

いまや国際都市になった新宿の片隅で20年近く続いたスナックが店を畳む事になった日に、その女はやって来た。

ポカパック島の所有者である老サビーン夫人に代わって、夏の滞在客のもてなし役をつとめることになったエマ・ケリングは、一路フェリー島に向かった。

不伝流の俊才剣士・片桐敬助は藩中随一とうたわれる剣の遣い手・弓削新次郎と、奇しき宿縁にむすばれ対峙する。