恐怖の総和
- ジャック・ライアンシリーズ (16)
- テロリスト (53)
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CIAの副長官ライアン発案の和平条約がアメリカ主導で締結され、中東での平和が実現した。 それに伴い米ソ間の緊張もゆるむが、それが気に入らないイスラム系のテロリストが、偶然手に入れたプルトニウムから核爆弾を製造し、アメリカでのテロを企てる。 政治家や政府高官たちは、誤った情報や思い込みから疑心暗鬼にとらわれ、核兵器大国である米ソ間でお互いへの不信感が高まり、世界は破滅の淵に立たされる。 果たしてライアンは、人々の恐怖の総和が生み出したこの危機を、回避させる事ができるのか。 【以下ネタバレあり】 専門用語を駆使した技術的な描写は細緻を極め、したがってとても長い。 クライマックスが始まるまで1100ページあまりも費やされ、それまでは特に盛り上がる場面もなく、物事の経過が描かれるだけなので、忍耐力が必要。 しかし、ひとたび物語が動き出してからは一気呵成。 こういう話は、核爆弾の爆発が間一髪で阻止されて終わるというのが通常だが、本書ではそれが実際に爆発し数万人の死者が出てしまう。 そのため、終盤の展開では「本当に最悪の事態になってしまうのでは」と読者は思わされ、手に汗を握る事になる。 ここは、極めて大胆だし上手い。 本書の弱点はやはり、上下巻で1500ページ近い本編にぎっしりと詰め込まれた、軍事、技術、科学的専門用語が、一般読者へのハードルを上げてしまっているところだろう。(好きな人には、そこがいいのだろうけど) 段落ごとの人物の視点の統一がなされていない。 技術的描写とは対照的に、風景描写があまりないので、誰がどこにどういう状況でいるのかが分かりにくい。 読者にある程度、軍事知識がある事を前提に書かれているので、艦船、車輌、ミサイル、爆弾などの、そのものの形や大きさの説明も少ない。 などのように、小説としての及第点に達していない部分もある。 核爆弾の製造過程は数十ページにわたって描かれるのに、最大の見せ場であるその爆発シーンがわずか数ページで、しかも直接的な破壊の描写もないため不満が残る。 とはいえ、核兵器の抑止力による平和がいかに危ういかを、1990年代初頭に、ここまでのリアリティーをもって書ける作家は著者以外にはいなかったと思う。 本書が、軍事スリラーというジャンルのひとつの到達点である事は、間違いない。 | ||||
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「プロットがすばらしい」、「厚みのある内容」、「読み応えがある」などの絶賛する評価があるが、 フィクションとはいえ、記述には専門用語が並び、世界の政治の世界や動きに疎い読者には、完読は耐え難い。 知識不足では内容を理解するにはとても骨が折れる、楽しめるものではない。 世界情勢に詳しい人ならば心から楽しめる内容であろう。 | ||||
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■バチカンで キリスト教、イスラム教、ユダヤ教(イスラエル)の世界初の平和条約が締結された。 ■ボラン高原に中東戦争でイスラエルが使用した不発弾の核兵器が埋まっていた・それを、農夫が発見し、テロリストに引き渡す・農夫もテロリストも、それが核兵器であることを分からず、分解してプルトニュウムが出てきて初めて それが核兵器であることを知る・・・・・ ■核兵器は、3次構造になっていて 1 爆薬を爆発させる 2 爆薬の力でプルトニュウムを圧縮する 3 そこに、バッテリーから取り出した 三重水素を注入することで 爆発の威力が増す・・・・・ ■核兵器の製造は 高度で精度の非常に高い精密工作機械が必要である・・・・・ ■核兵器が完成する前に 技術責任者が射殺されてしまった。そのために、核兵器は 威力を半減させたままの未完成品になってしまう・・・・・ ■ジャック ライアンは、ソ連からの核兵器流出を調査しており、それが、アメリカ製のプルトニュウムであることも、船を使ってアメリカ国内に持ち込まれたことも、アメリカ国内で核兵器が使用されるまで 全く把握できていなかった。 ■映画 (トータルフィアーズ)対して、原作本は 読みごたえのある内容になっている | ||||
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この作品もすごい。ライアンはCIA副長官。 トム・クランシー作品共通のパターンで複線的に世界の各地(アメリカ、バチカン、シリア、イスラエル)で様々なことが起こるが、これが、下巻のクライマックス向けて一つになっていく迫力は相変わらず。 中東和平のアイデア(イスラエルの平和はスイス兵とアメリカ軍が防衛)はライアンが立案し、バチカンのコネを使って実現に至るが、これがホワイトハウスの安全保障担当の補佐官の妬みを買い、却って難しい立場に置かれることになる。 このとき、偶然と必然の絶妙の組み合わせが起こる。 つまり、デンバーでの核爆発を機に米ソの緊急対応体制が一斉に立ち上がる。 ファウラー大統領はDEFCON2を指示し、それがソ連の緊急対応(全海軍出撃)を誘発する。偶発的に米軍のF14が地中海でミグ29を撃墜、ベルリンではT80とM1A1の間で戦車戦が発生し、オライオンがアクラ級で潜水艦に魚雷発射をする。 これで全面核戦争に至りそうになるのを創造的なアイデアでソ連大統領と会話し、それを阻止するのだが、この重要なシーンは映画(「トータル・フィアーズ(原題:The Sum of All Fears)」)では事実上割愛されている。 なお、原爆製造に関連した記載があちこちにあるのも異例。 書いてある記載が正しいのかどうかはともかく、興味深い記載としては、プルトニウムが融点下で4つの相転移があって、ある温度の範囲内で40%も密度が変わるとか。この安定しない物質をイスラエルはガリウムで安定させているとのこと。 また、原爆は、結構複雑なプロセスを通じて爆発するようで、トリチウムから発生した中性子が核分裂反応を促進し、そこから出た中性子がトリチウムの核融合反応を起こすということらしい。 | ||||
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これまでの作品はソ連、アイルランド、コロンビアと各々1対1の構図でしたが、シリーズ第5作は中東を発端により複雑にスケールアップ。前作と違いJackもサボらずに(?)のっけから出ずっぱりです。 今回ユニークなのは、Jackの敵が外国やその不届きな輩のみならず、むしろ危機管理能力に欠ける大統領や野心と嫉妬の強いN.S.A.(国家安全保障担当)等上位の序列にある身内である点でしょう。その醜いいさかい故にCathyとの家庭不和まで起こるという、作者にとってはシリーズ始まって以来の人間臭いテーマを盛り込みました。この結果、クライマックスに掛けて用意されたこれまでにない大きな仕掛けと見せ場が一層目覚しい効果を挙げています。米ソ両国首脳のホットラインに乱入し、果ては自国の大統領に異を申し立てるなど、まるで『合衆国崩壊』での展開を視野に入れたかのようです。 “Patriot Games”の初々しさもよかったですが、本作の悩めるRyanもいいですね。まだ全部読んでいませんが、シリーズ最高傑作と予感しました。尚、ソ連人内通者のコードネーム「武蔵」を“Mushashi”と表記しており(イスラムか!? by タカ&トシ風)、軍事に関して徹底的に拘る作者はその他のことには相変わらず徹底的にいい加減です。 | ||||
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