定職を持たない猿渡と小説家の伯爵は豆腐好きが縁で結びついたコンビ。

天使へと解体される少女に、独白する書家の屍に、絵画を写す園に溺れゆく男たちに垣間見える風景への畏怖、至上の美。

頑迷な男を襲う白昼夢。(「夕化粧」)人形作家の恐るべき新作。

さらば猿渡。少年の飼い猫は、見る者に運命を知らせる眼を持つ。

時は昭和三年―名探偵・唐草七郎の一番弟子にして閨秀の女探偵・岡田明子のもとへ舞いこんだ、摩訶不思議な依頼。

祖母の形見の零細人形店を継ぐことになった澪は、押しかけ従業員で人形マニアの冨永くんと謎の職人、師村さんに助けられ、なんとかお店を切り盛りしている。

私立ルピナス学園高等部に通う吾魚彩子は、あるときうっかり密室の謎を解いたばかりに、刑事の姉から殺人事件の推理を強要される。

高校時代から、「ルピナス探偵団」として様々な事件に遭遇してきた、三人の少女と少年一人。

一九八〇年、吹奏楽部に入った僕は、管楽器の群れの中でコントラバスを弾きはじめた。ともに曲をつくり上げる喜びを味わった。

目を奪う美貌と、小学生とは思えぬ色香。転校生の目童たかりは、謎めいた美少女だった。

*本書は新潮文庫の書き下ろしシリーズとして刊行された『爛漫たる爛漫』『廻旋する夏空』『読み解かれるD』を加筆修正の上、「序章」(「Preludio」)と「単行本版あとがき」を書き下ろしたものです。

熱烈な支持を受けてきた“爛漫”のボーカル、新渡戸利夫が急逝した。

ヒキコモリ支援センター代表のカウンセラー竺原丈吉(JJ)は、いつも度の入ったサングラスを掛けて場当たり的に喋る、実に胡散臭い男だった。

百年に一度生まれ、未来を予言するといわれる生き物「くだん」。

人形を売買するだけの自分に、ものを作る人々の苦悩を理解することは不可能なのだろうか――スランプに陥った店の職人・冨永の言葉に傷つきながらも、せめて創作の一端に触れようと、老舗の人形店が開く教室に通い始めた「玉阪人形堂」の新人店主・澪。

レオが、アルコール依存症に陥っていることが発覚した。ギタリストを失った“爛漫”は、新たな形態を取り、存続することに。

ベーシスト板垣史朗は、ライヴに乱入した暴漢の凶刃から岩倉をかばい、全治二ヶ月の傷を負った。

黄昏の東京――。鞠谷雛子は、周防馨は、電柱の陰の、交差点の向こうの、ふとした廃墟の様相に“死者"を見る。

冷凍庫のなかの子供の屍体を見つめる初老の男。

時を重ねて変わらぬ本への想い……《私》は作家の創作の謎を探り行く――。

18世紀英国。

1920年代、狂乱のパリ。作家志望の英国青年ユージンは、呪われた赤いダイヤの噂を聞きつける。

アポロンのように美しい少年、と噂される連続通り魔事件の容疑者。お笑い芸人志望の若者達の悲劇。

1999年初夏、親友が重症を負わされ恋人は行方不明となった大学生・崇は、犯人は都市伝説「トレチア」だという確信を深めていく。

34年という短い生涯に於いて、「三田文学」の編集に携わって江藤淳らを世に送り出し、自作5編が芥川賞候補となるなど、純文学に大きな足跡を残す一方、「夏の葬列」をはじめとする〈親しい友人たち〉を「ヒッチコック・マガジン」に発表。

行方不明の叔父の足跡を追って、ひたむきに列車に乗り続ける香澄だが、さまざまな人々との出会いを通じ、少しずつ変わってゆく。

「復刊ドットコム」で絶大な支持を得た傑作サスペンス、待望の文庫化！ 1954年、イギリスの名門パブリック・スクールで学ぶ14歳の気弱な少年ジョナサンは、同級生ばかりか教師にまでいじめられ、つらい日々を送っていた。

民俗学者・蓮丈那智と助手の内藤三國は差出人不明のメールを受け取った。「鬼無里がなくなる……」と。

街いちばんの名探偵の元には、奇妙な依頼人ばかりがやって来る。

希望に燃え、警察学校初任科第九十八期短期過程に入校した生徒たち。

2058年4月、上海大学で20世紀の探偵小説を研究していたユアン・チンルウは、国家科学技術局から呼び出される。

結合双生児として生まれたゲオルクとユリアンの波瀾に満ちた数奇な人生。

「思わずスープが食べたくなる」と評判のスープ・ミステリー、第2弾です! 東京のとある場所で、早朝のわずかな時間に、ひっそりと営業しているスープ屋しずく。

デビュー後、編集部の要請で送られていた習作短篇3篇とデビュー当時の様子を友人に書き送った「ハサミ男の秘密の日記」を収録。

いくつもの並行世界を行き来する少女たちの1度きりの青春を描いた表題作のほか、脳科学を題材として伊藤計劃『ハーモニー』にトリビュートを捧げる「美亜羽へ贈る拳銃」、ソ連とアメリカの超高度人工知能がせめぎあう改変歴史ドラマ「シンギュラリティ・ソヴィエト」、未曾有

「グランドマンション一番館」には、元「名ばかり管理職」の男、元公務員、三世代同居の女所帯から独居老人、謎の若者、はてはかなり変わった管理人までと、アクの強い人たちが住んでいる。

有能だが不運すぎる女探偵・葉村晶シリーズ第4弾。

地獄一の名探偵は閻魔大王から極秘の事件の調査を依頼されるが?地獄で出会った男女の逃避行の行方は?無実の罪で地獄に落ちた男かすべてを野球に託した末に?富士の裾野で演習中の戦車が迷い込んだ先は?…奇想の本格ミステリ他、地獄を巡る八つの情景。

湖から屍蝋が上がった―。小さなバーのママと常連客は、そのニュースに激しく動揺する(「水底の祭り」)。

「君を殺す」―大量殺戮の季節が生んだ、復讐の誓いとふたりの訣別から半世紀が経った。

震災で妻を失ってうちに身を寄せることになった叔父は、心を瓦礫の下に置いてきたまま、ただ死を待ち望んでいる状態だった。

東京の古ぼけたビルの一室にある出版社『極東ジャーナル』社員の葉山隆は、在日米軍情報機関の末端に籍を置く日系米国人だ。

神紅大学ミステリ愛好会に所属する葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究会の夏合宿に興味を抱き、同じ大学に在席する美貌の探偵、剣崎比留子と共に紫静荘を訪ねた。

折口信夫、乱歩も絶賛した「かむなぎうた」、ほの暗く、ほの明るい幻想怪奇「東天紅」、民俗的ミステリ風味「吉備津の釜」、得意の台湾物「消えた家」、呪いの家「ひこばえ」、泉鏡花賞「泥汽車」、ハイカラ右京番外篇「明治吸血鬼」…澁澤龍彦も種村季弘も賛美した異端のダン

「まだ誰にも、一度も喋ってへん話がある」 拭えども魍魎(あやかし)は肌に滑り憑く。

長野県警から警視庁へ出向中の御子柴刑事。おおむね平穏な生活を送っていたものの、暮れも押し詰まってから次々と事件が発生。

かつて乙霧村で、戸川稔という男によって一家五人惨殺事件が引き起こされた。

弱小なディメ王国の醜悪な第六王子アリスマは、その類まれなる計算能力によって頭角を現していくが―森羅万象を計算し尽くす夢に取り憑かれた王を描き、星雲賞を受賞した表題作、英語版アンソロジー初出の宇宙SF「ゴールデンブレッド」、なぜか自律運転車に乗せられる人型ロ

昔、文字は本当に生きていたのだと思わないかい? 秦の始皇帝の陵墓から発掘された三万の漢字。

「あなたの人生の物語」を映画化した「メッセージ」で、世界的にブレイクしたテッド・チャン。待望の最新作品集がついに刊行。

都内で働く広太は、合コンで知り合った桃美とスノボ旅行へ。

異常な寒波のなか、私は少女の家へと車を走らせた。地球規模の気候変動により、氷が全世界を覆いつくそうとしていた。

小春が祇園で祖母・吉乃の和雑貨店「さくら庵」の手伝いを始めて四か月。

生まれてから死ぬまで、運命のすべてが記されているという「アガスティアの葉」。