(短編集)

恋のゴンドラ



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恋のゴンドラ (実業之日本社文庫)

2019年10月04日 恋のゴンドラ (実業之日本社文庫)

都内で働く広太は、合コンで知り合った桃美とスノボ旅行へ。ところがゴンドラに同乗してきた女性グループの一人は、なんと同棲中の婚約者だった。ゴーグルとマスクで顔を隠し、果たして山頂までバレずに済むのか。やがて真冬のゲレンデを舞台に、幾人もの男女を巻き込み、衝撃の愛憎劇へと発展していく。文庫特別編「ニアミス」を収録。(「BOOK」データベースより)




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恋のゴンドラの総合評価:7.44/10点レビュー 131件。Bランク


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(6pt)

恋のゴンドラの感想

スキー場を舞台とした、楽しい楽しい色んな恋の物語。
巡り合わせがわざとらしいけど、楽しめるからアリです。

kmak
0RVCT7SX
No.5:4人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

いや、こういうの好きなんです、ホント

東野氏は実業之日本社文庫でスキー場シリーズという瀬利千晶と根津昇平がシリーズキャラとして活躍する作品を書き下ろしで出しているが、本書はスキー場を舞台にした短編集でしかも単行本で出ている。順番としては上の2人に幸せの結末が訪れる『雪煙チェイス』が本書より後に出ている。

さて開巻1発目の「ゴンドラ」はスキー場のゴンドラで繰り広げられるあってはならない苦痛のひと時を語った1編。
東野氏は『夜明けの街で』で不倫中の男を主人公にしたミステリを書いているが、本作に登場する広太もその系譜に連なる尻軽男だ。
彼女との婚約が決まった後で自分好みの女性で出逢ったらと実に心憎い演出をし、そこから案の定、婚約者に隠れて浮気を重ね、そして出張と偽って浮気相手とスノボ旅行まで行く始末。そんなところに内緒にしていた彼女となんとスキー場のゴンドラで一緒になるという地獄のようなシチュエーション。
実は私も彼女が出来、結婚を決める前に合コンに行ったことがある。それは彼女と本当に結婚していいものかという決断を下すためだった。幸いにして彼女との付き合いを解消するような女性に出逢わなかったのでそのまま結婚するに至った。それが今の嫁さんである。
とまあ、男という物は一途になれないところがあり、他の女性へと目が移り気味になるのだが、広太の前で繰り広げられる美雪の女友達との会話は女性の恐ろしさを思わせる凄みのようなものを感じた。物語の結末は何とも皮肉。

次の「リフト」は職場仲間の男女5人組のスノボ旅行の一場面が語られる。
これはいわゆる男女親しい仲間で繰り広げられる恋の鞘当て話。誰と誰が実は付き合っているがそれは秘密にされており、しかし一方その恋人は彼氏を疑っていると、男と女の勘繰り合戦が繰り広げられる。

その日田に春が訪れようとするのが次の「プロポーズ大作戦」だ。
いい人だが、なぜか結婚に縁のない日田へ春を訪れさせようと「リフト」の面々が彼のためにサプライズプロポーズ作戦を行う前作からの続編のような話になっている。
そしてこれが1作目の「ゴンドラ」とリンクする。
日田のために色々尽くす仲間たちの友情は実に心地よく、またそれが日田の人柄によるものであろうことが解る。
ああ、この報われない男日田に春は訪れるのだろうか?

日田の恋のチェレンジは次の「ゲレコン」へと続く。
「結婚できない男」日田が再び登場。今度は水城とゲレンデで開催されるゲレコンに参加することになるのだが、彼が狙った相手はなんと「ゴンドラ」で登場した広太の浮気相手、桃実だった。
そしてゲレコン中の日田の会話の冴えないこと。報われない男ではなく、その空気の読めない感は正真正銘の結婚できない男ぶりを発揮。桃実の心の声が不器用な日田には悪いが実におかしく、何度も笑い声が出た。
さて次の短編では一体どうなってる?

という想いで臨んだ次の「スキー一家」では日田の話ではなく、彼のスノボ仲間の2人、結婚した月村春紀・麻穂夫妻の話で肩透かしを食らってしまう。
スキー好きとスノボ好きが犬猿の仲、いや寧ろスキーヤーが後発のスノーボーダーを一方的に嫌っている感のあるこの関係性はよく聞く話だ。そして月村夫婦のようにスノボ好きなのに親がスキー好きで尚且つスノボを毛嫌いしているためにスノボ好きを封印しなければならないカップルは日本のどこかには本当にいるのかもしれない。
このような現状を打破すべく麻穂が企んだのはプロ級の腕前を持つ、礼儀正しいスキーヤーが実は本業はスノーボーダーだったことをスキー一辺倒の父親に見せることで凝り固まった考え方を改めさせ、そして自分たち夫婦のスノボ好きを認めさせようという作戦だった。
しかしスキー場シリーズの根津がここで登場して重要な役割を果たす東野氏のサーヴィス精神が心憎い。千晶が出なかったのは少し残念だが。

さていよいよ日田に春が訪れるのか?「プロポーズ大作戦 リベンジ」では再び日田のために水城が一肌脱ぐ。
これは上手い!題名も含めてのミスディレクションとなっている。まだ付き合ってもいない日田にプロポーズをけしかける水城の強引さに違和感を覚えたが、なるほどそういうことか。
またこの作戦に一役買うのが根津だ。月村夫妻への協力といい、広太の恋人捜索にも協力するなど、根津もまたなんとサーヴィス精神の高い男だこと。

今回の文庫化の際に収録された書下ろしの1編がこの「ニアミス」だ。
日田栄介が「結婚できない男」であるなら、もう1人の影の主人公広太は「懲りない男」だ。
本短編集の冒頭を飾る「ゴンドラ」で浮気が婚約者にバレ、「プロポーズ大作戦」で坊主頭になって詫び、そして結婚に至ったにも関わらず、結婚も10カ月が過ぎるとまたぞろ浮気の虫が起きてきて、別の女性と定期的に逢うようになる。しかも既婚者であることを明かさずに。

さて最後を飾る「ゴンドラ リプレイ」はそのタイトル通り、再び広太と桃実、そして美雪がゴンドラで鉢合わせする。
悪夢は繰り返される。この短編集の1作目の「ゴンドラ」と同じ状況が再度発生する。しかもまた違ったシチュエーションで。
広太自身の風貌はこれまで不明だったが、桃実の目から見た話ではどうもいい男らしい。逆に云えばいい男で女性が寄ってくるからこそ、自分に対して甘いのだろう、この男は。


本書は雪山を舞台にした連作短編集だが、ミステリというよりもシチュエーションコメディといった方が適切な、笑いに満ちた内容になっている。

そしてメインとなるのは日田栄介と同じホテルで働く遊び仲間水城直也、木元秋菜、月村春紀、土屋麻穂たちのエピソードと並行してリフォーム会社に勤める浮気男広太の話だ。

さてこの日田栄介という男、風貌については描写がないが、いいヤツだと皆が口を揃えて云うが、女性から見ると結婚の対象としては考えにくい存在と評される、私も含め読者の身の回りに実際のモデルが思いつく男である。

そんな彼を応援するのがプレイボーイの水城直也はじめ、後輩の月村春紀と収録作の中で彼と結婚する土屋麻穂ら、同じシティホテルで働くスノボ仲間たちだ。

そしてこの日田栄介を取り巻く面々に間接的に絡み合うように浮気男、広太のエピソードが加わる。

また忘れてならないのは各編に登場する人物が共通してスノボの愉しさを満喫していることだ。可愛い女の子と二人で滑るスノボ、職場の親しい仲間たちと滑るスノボ、ゲレンデでスノボを愉しみながらの合コンまで登場する。

そんな中で繰り広げられる各短編は非常に読みやすく、また愉しめるものばかりだ。

婚約者に隠して浮気相手とスノボ旅行に行く男が待ち受けていた意外な展開。

スノボ仲間たちのそれぞれの思惑と意外な関係。

モテない男のために仕掛けるプロポーズ大作戦の意外な結末。これは哀しい結末と幸せな結末2編が収録されている。

ゲレンデ合コン、通称ゲレコンで出逢った男女の恋の行方。

生粋のスキー好き、スノボ嫌いである結婚した相手の父親にスノボを趣味とすることを認めさせるための作戦。

ゲレンデで出逢った美人と思わぬ再会を果たし、結婚しているにも関わらず食事を一緒にする、懲りない男の話。

なかなか付き合う決意が固まらない女性が、相手と向き合うために参加したスノボ旅行で偶然にしては悪戯すぎる元カレ(?)の再会。

とこのように我々読者の周りにネタとして語られるような男女の恋愛に纏わる、どこにでもありそうな話が東野氏に掛かると非常に面白い読み物に仕上がっているのだ。

特に上手いと感じたのは浮気男の2人を登場させ、見事に対比させているところだ。

一方は広太で仕事は真面目でそんな姿勢に女性が惹きつけられるのか、案外モテるようで女性を食事に誘っても断られないタイプ。しかし脇が甘いのか、それとも運に見放されているのか、自分の浮気が原因で修羅場を引き寄せるタイプだ。

もう1人はプレイボーイの水城直也。高身長のイケメンでホテルのブライダル担当で、口も上手く、手も速い。そして飽きると捨てて次の女性に走るが、なぜか後腐れがないようだ。

そして2人の違いは広太は橋本美雪との交際を隠して浮気するのに対し、水城は自分に恋人がいることを公言しながら堂々と女を口説くこと。そして前者はそれが元で失敗し、後者は修羅場も招かない。

しかし共通しているのは自分勝手な解釈で平気で複数の女性と関係を持つことだ。広太はあれだけ手ひどい目に遭ったのにも関わらず、結婚してしまったからこそ他の女性に目が映るのは当然だとか、美雪は「結婚している女性」であり、「付き合っている女性」ではないと自分の疚しさを消し去るための苦しい言い訳をしては女性と付き合う、更に自分を正当化するためには自分には婚約者がいると云っているのに女性の方から積極的にモーション(死語?)を掛けてきて困ってしまったなどと嘯く、女性の敵とも云える男なのだ。

また水城は堂々と一緒にお泊りしようと誘うのも違いか。
広太は流れに身を任せるタイプだが、水城は流れを作るタイプだ。

そして恐らく読者のほとんどが期待していた「結婚できない男」日田栄介の結婚までの道のりは…。

しかしこの日田栄介という男。典型的な同性にはモテるが異性にはモテない男だ。いやあ、この男のダメっぷりが実に面白い。

同じ話を繰り返す芸の無さ、雰囲気や秘密を平気でぶち壊す空気が読めない感、そしてファッションセンスの無さ。仕事の時は女性が惚れ惚れするほどの洗練さを見せるのにプライベートではとことんダサい男。

この日田という男を創造した東野氏がやっぱり偉いのだ。

いや寧ろ容姿も悪くなく、仕事もできるのになぜか長らく独身な男はこの日田栄介のエピソードを読んで自らを振り返ると、自分が結婚でない理由が解るのかもしれない。

果たしてこの作品のネットでの評価はどのようなものなのかは解らないが、私は非常に楽しく読めた。
いやこういう話が私が好きなのだ。

このスキー場シリーズはスノボ好きの東野氏が集客数が減退しつつあるスキー場に少しでもお客さんが多く来るようにとそれまでスキーやスノボをやったことのない人、もしくは長らくそれらから離れている人たちにその面白さを伝えるために広い範囲の読者に読まれるよう、ミステリ色を抑え、あくまでエンタテインメントに徹し、更にキャラクター達におかしみを持たせた非常に読みやすい作品ばかりが揃っている。

その軽快さを生粋の東野ファンやミステリ好き読者がクオリティが低いだの、東野圭吾にはこんな作品ではなく、『白夜行』や『容疑者Xの献身』などの重厚な作品をもっと書いてほしい、といった原理主義的なコメントが目立つのに失望感を覚える。

逆に私はベストセラー作家であり、読者が求める東野作品が上に挙げられた作品であることを知りながらもこのような軽快なコメディミステリを著す東野氏の創作姿勢に尊敬を禁じ得ない。
東野氏は今やかつて赤川次郎氏が担った初心者が日本のミステリを読むいい窓口であり、その売り上げからも宮部みゆき氏と並ぶ日本ミステリ界の第一人者となったと云っても過言ではないだろう。
寧ろ今多くのミステリ作家が採算を取れないほどの発行部数でありながらも新作を刊行できるのは東野作品の売り上げによるところが大きいのではないか。

もはや国民的ミステリ作家となった東野氏自身がその役割を自覚しているからこそ、幅広い作風やテーマを扱って作品を著し、そして重厚な作品から軽妙なものまでを今なお出しているのではないだろうか。

とにかく本書は面白かった。上に書いたようにミステリというよりもシチュエーションコメディ的な作品集だが、そこは東野氏、ミステリ風味も加味され、サプライズも用意されているし、またスノボ愛を筆頭としたウィンタースポーツへの愛情も織り込まれている。

東野圭吾読みたいんだけど、どれから読んだらいいと訊かれたら、その人があまり本を読まない人であれば間違いなく本書を勧めたい。
本書はそれほどとっつきやすく、また思わずにやけてしまう面白さと人間模様が詰まった作品集だ。

しかし東野氏が帯で述べているように、男とはこういう生き物なのだ、とは思われたくないなぁ。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

恋のゴンドラの感想


▼以下、ネタバレ感想

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mick
M6JVTZ3L
No.3:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

スノボファンでなくても楽しめるスノボ小説(非ミステリー)

スノーボードを舞台にした連作短編集。個々の作品がそれぞれに完結していながら、7つの作品がぐるっと一回りして衝撃的(笑劇的?)なオチにつながるという、にやりとさせられる仕掛けが、いかにも東野作品である。
ストーリー展開が早いし、登場人物のキャラクター設定も会話も巧いので、すいすい読める。
スノボファンでなくても面白く読める。暇つぶしにはもってこいである。

iisan
927253Y1
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

恋のゴンドラの感想

ミステリーだと思ったら、そっち側だった。
ラプラス・人魚・ビーナスがダメだったので
楽しめました。
私はこの30年スーパボウルの放送日(月曜の朝)は
会社を休んでます。

jethro tull
1MWR4UH4
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ワクワクドキドキ

待望のゲレンデシリーズ!
スッキリシンプルなのに一気読みしてしまいます。
ただの恋愛ものと思いきや、流石です…

J.M
5N544G8O
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