(短編集)

天使の耳



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天使の耳 (講談社文庫)
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初公開日(参考)1995年07月
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天使の耳 (講談社文庫)

1995年07月06日 天使の耳 (講談社文庫)

深夜の交差点で衝突事故が発生。信号を無視したのはどちらの車か。死んだドライバーの妹が同乗していたが、少女は目が不自由だった。しかし、彼女は交通警察官も経験したことがないような驚くべき方法で兄の正当性を証明した。日常起こりうる交通事故がもたらす人々の運命の急転を活写した連作ミステリー。 (「BOOK」データベースより)




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天使の耳の総合評価:8.36/10点レビュー 83件。Bランク


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全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(7pt)

自動車教習所の必修課題本にしてはいかがかと

92年に『交通警察の夜』という題名で刊行された短編集。元の名が示すように本書に収められた短編は交通事故を題材にしたミステリである。

まずは改題された書名にもなっている「天使の耳」。
交差点での出会い頭の事故という題材に、盲目の目撃者をあしらい、信号機の色が変わる時間を秒刻みでロジックとして展開するところに実に面白く読めた。
被害者である女性を美少女に配し、加害者の疑いがある外車の運転手を軽薄なフリーターに設定しているところがミソ。最後に背筋が寒くなるどんでん返しが用意されているが、果たしてそれが真相か否かは解らない。

次の「分離帯」も午後11時過ぎと深夜の時間帯に起きた事故を扱っている。
これは非常に巧い。登場人物のエピソードとプロットが見事に呼応しており、それが最後のうすら寒さを感じさせる結末に見事に結実している。
そして「分離帯」という題名もテーマと溶け合い、もう1つの意味を最後に醸し出している。法律が時に見せる弱者への容赦ない仕打ちを逆手に取って復讐する彩子の執念がすさまじい。

誰でも一度は経験するだろう、初心者マークをつけた車の運転にいらいらすることは。「最後の若葉」はそんな経験が思いもよらない結末を迎える一編。
いやはやこれもよくある光景でしかもかつてそんな経験があったなぁと思わされた。

もし当て逃げされ、後日加害者から連絡が入り、修理しますと持ち出したらどうするだろうか。もちろんラッキーだと思って頼むだろう。「通りゃんせ」はそんな状況から始まる。
「分離帯」同様、路上駐車を扱った一編。このあまりにも身近な軽犯罪は一般的過ぎて罪の意識すら感じない人が多いが、本編ではその軽率な行動が復讐にまで発展する恐怖を扱っている。

続く「捨てないで」では実は警察はあまり介入してこない。そういう意味では元の『交通警察の夜』として編まれた本書では異色の作品とも云える。
実に上手い。小道具である缶コーヒーの空き缶が実に効果的に皮肉な結末に寄与している。
空き缶から犯人を突き止めるのかと思いきや、結局被害者側の役には立たないのだが、完全犯罪が深沢の知らないうちに放置された空き缶のために綻ぶという展開は秀逸。
仕返しをしていたことに気づかない被害者の2人もなんだか微笑ましい。

最後の「鏡の中で」はもっとも東野氏らしい作品と云えよう。
スポーツの世界ではスキャンダルが最も恐ろしい敵であるが、この作品はそれを扱ったもの。オリンピック出場が有力視される会社の選手が起こした事故をコーチが身代わりになって加害者となる。この手の真相の隠し方と物語運びはまさに東野圭吾氏の真骨頂だろう。

本書は今までの短編集と違い、交通事故という、通常のミステリで起こる殺人事件よりも読者にとって非常に身近な事件にクローズアップしており、それが非常に新鮮だった。従って諸作品で起こる事故が読者にとっても起こりうる可能性が高く感じ、私を含め特に車を運転する人々には他人事とは思えないほどのリアルさがある。

扱っている事件も交差点での信号の変わり目での出会い頭の事故、中央分離帯がある道路での急な飛び出し、初心者マークの車を脅かす煽り運転、雪の日の路上駐車中での当て逃げ、高速道路での空き缶の投げ捨て、交差点でのハンドルミスと、非常に日常的である。

そして事故に遭った人ならば誰もが一度は抱くと思うだろうが、交通事故の解決というのは被害者・加害者双方が納得いくようなものではなく、道交法に忠実に則って処理されるため、一種理不尽な扱いを受けたような思いを抱き、不平等感といったしこりが残る。つまり法律的には正当性が証明されても、感情的にはどちらが被害者か解らないといった感情を抱いたりする。
また交通事故の多い日本では機械的に処理する警察官もいるくらいだし、本書でも出てくるが、偶然起こった事件などは警察も捜査しても犯人が挙がる可能性が低いから、被害者の心情を慮らずに投げやりに応対したりもする。

そんな交通事故で遭遇する理不尽さが本書では語られている。特に前半の3編は泣き寝入りするしかない被害者側の、加害者に対する怨念が最後のサプライズとして用意されている。しかしそれは決して胸の空くような清々しいものではなく、弱者と思っていた者が最後に見せる狂喜や冷徹さが立ち上るようになっており、うすら寒さを覚える。

また他の3編でも被害者が実は間接的に加害者へ被害を加えていた、知らないうちに被害者が加害者へ仕返しをしていた、などとヴァリエーションに富んでいる。

個人的に好きな作品は「分離帯」、「通りゃんせ」、「捨てないで」の3編。特に「捨てないで」は先が読めないだけに最後の皮肉な結末にニヤリとしてしまった。

いやあ、しかし交通事故だけに絞ってもこれほどの作品が書けるのかとひたすら感服。
その読みやすさゆえに物語のフックが効きにくく、平凡さを感じてしまうが、実は完成度は非常に高い。この人はどれだけ引き出しがあるのだろうと、途方に暮れてしまう。この軽い読後感が私を含め本書の評価をさほど高くしていないのがこの作家の功罪か。

しかし東野作品を読んだことのないミステリ初心者がいたら、『犯人のいない殺人の夜』かもしくは本書を勧めるだろう。東野氏のエッセンスが詰まった、非常に損をしている作品集とだけ最後に云っておこう。


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Tetchy
WHOKS60S
No.3:
(5pt)

天使の耳の感想

交通事故等に関連する短編集です。
一話一話それなりに読めますが、テーマがテーマだけにそれ以上の厚みが出なかったという印象。

フレディ
3M4Y9ZHL
No.2:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

天使の耳の感想

交通事故をテーマにした短編集。
信号無視、車道横断、路上駐車、煽り運転、ポイ捨て、無免許運転。
無免許運転やポイ捨ては論外かと思いますが、他は結構やっていたりしませんか?
違反だとは知っているんですよね。でもそれ程悪質だと感じていなかったりしますね。
「みんなやってんじゃん」「大したことない」「誰も見てない」みたいな。
しかし当然というか、この作品ではそれがきっかけで事故が起こってしまいます。
間が悪けりゃとんでもない大惨事を招くんです、みんな交通ルールは守りましょう。
・・・っていう話かと思いきや、それだけでは終わらせてないんですよねこの作者。


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梁山泊
MTNH2G0O
No.1:
(8pt)

天使の耳の感想

 古い作品で、かつ短編集ですが、どのストーリーとも楽しめました。どの話も交通事故がテーマになっているので、身近に感じられることもあり、ヒヤッとさせられることもありました。
 トリックは東野圭吾らしいものばかりで、意外性はそれほどないですが、十分楽しめると思います。

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白髭9
BK2OMGW4
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No.79:
(4pt)

法が裁けない罪を被害者が裁く

人気作家の30年以上前の作品。交通事故にまつわる短編集。警察が相手にしないが故に法律で裁けない事故を、被害者自らが裁く。知恵や才能を生かす、身を挺する。罪に問う、同様の被害を体験させる。最後の一編は、すぐ犯人が見つかるがどこか違和感。これ以上はネタバレになるのでやめるが。
世の中の理不尽さを実感し、今まで被害者になっていない幸運に安堵する。
天使の耳 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:天使の耳 (講談社文庫)より
4062630168
No.78:
(5pt)

さいごにガッテン

最初は短編だと思っていたのに最後につながっていてびっくりです
天使の耳 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:天使の耳 (講談社文庫)より
4062630168
No.77:
(1pt)

表紙が違う

届いたときに、全く違う絵の表紙だったので、間違ったものがとどいたのかと思いました。
天使の耳 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:天使の耳 (講談社文庫)より
4062630168
No.76:
(5pt)

テレビと合わせて読みたい。

ドラマを見て購入しました。テレビでは警察がメインになっているためか逆恨み感があり、「あと15分早ければ」が言い訳に聞こえましたが、小説では被害者の狂気と怖さが感じられ、興味深く読むことができました。
天使の耳 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:天使の耳 (講談社文庫)より
4062630168
No.75:
(5pt)

感想

現在、読み途中ですが注文〜配達までのリードタイムも短期間で書籍に関しては欲しかった物なので大変良かったです
天使の耳 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:天使の耳 (講談社文庫)より
4062630168



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