美しき凶器



※タグの編集はログイン後行えます

【この小説が収録されている参考書籍】
オスダメ平均点

6.50pt (10max) / 2件

5.88pt (10max) / 50件

Amazon平均点

4.09pt ( 5max) / 77件

楽天平均点

3.42pt ( 5max) / 55件

みんなの オススメpt
  自由に投票してください!!
3pt
サイト内ランク []C
ミステリ成分 []
  この作品はミステリ?
  自由に投票してください!!

45.00pt

29.50pt

0.00pt

13.00pt

←非ミステリ

ミステリ→

↑現実的

↓幻想的

初公開日(参考)1992年10月
分類

長編小説

閲覧回数6,847回
お気に入りにされた回数1
読書済みに登録された回数109

■このページのURL

■報告関係
※気になる点がありましたらお知らせください。

美しき凶器 新装版 (光文社文庫)

2020年11月10日 美しき凶器 新装版 (光文社文庫)

「試行錯誤していた頃、失敗覚悟のチャレンジ作」――著者より文字を大きくして読みやすくした新装版第6弾!罪を犯した元スポーツ選手らに謎の女が襲い来る――! かつて世界的に活躍した男女四人のスポーツ選手が、ある男を殺した。男は彼らの消し去らねばならない過去を知る唯一の人物だった。足のつかない犯罪を実行したはずの彼ら。しかし一人、また一人と何者かに襲われていく! 迫りくるその姿は、さながら“毒蜘蛛"のようで――! 得体の知れない何かに追い詰められる恐怖を鮮烈に描いた傑作サスペンス!(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.50pt

美しき凶器の総合評価:8.14/10点レビュー 79件。Cランク


■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(7pt)

ただの連続殺人鬼物ではない

本作のテーマは殺人鬼物。しかし荒唐無稽な殺人鬼ではなく、現代スポーツ医学の歪みから生み出された殺人機械。
そして単純連続虐殺劇というチープな設定を採らないところがこの作家のいいところ。

とにかくまず東野圭吾氏がまさかこのようなモンスター小説を書いているとは思わなかった。
殺し屋タランチュラは狂えるスポーツドクター仙道之則が生み出した七種競技の選手。より高く跳び、より速く走り、より遠く投げ、より長く走れる万能選手のみが出場できる陸上界至高の競技。この競技を制するものはクイーン・オヴ・クイーンズとまで称される。
まずその選手を殺人鬼に仕立てたのが東野氏のアイデアの秀逸さ。そして驚愕させるまで鍛え上げられ、肉体改造されたタランチュラはまさしく女ターミネーター。狂気のスポーツトレーナー仙道が生み出した運動機械。
その完璧に鍛え上げられた肉体は裏返せば人を屠る凶器にもなる。運動機械から殺人機械へ。まさしく題名どおり「美しき凶器」だ。

ターゲットとなるのは元重量挙げ選手で現在会員制スポーツクラブの取締役である安生拓馬。
元陸上短距離選手で現在は化学工場の社会人陸上部のコーチを務める丹羽潤也。
元ハードル選手で現在はフリーのスポーツライターである日浦有介。
そして元体操選手で現在はテレビタレントになっている佐倉翔子。
彼ら4人を結ぶ輪の中心にいるのが仙道之則。彼はスポーツドクターでありながら肉体改造に心を奪われた人間だった。
彼ら4人は現役選手だった頃、仙道の下でドーピングを施され、一線の選手として活躍した者たちだった。自殺したドーピング仲間の元スキー選手だった小笠原彰の自殺を契機にJOCが仙道を調査するにあたり、自分たちの過去が発覚するのを恐れて、それらを抹消する為、自分たちのカルテを処分しようとしたのだった。

通常このような殺人鬼物ならばスプラッターホラーに代表されるようにとにかく凄惨な虐殺シーンを強調するだけに留まり、なぜ彼が無差別に人を殺すのかなどはありきたりの設定で流し、アクションシーンのみを強調するのだが、東野氏の優れた点は彼らがタランチュラに襲われることになった原因があり、しかも彼らにはその殺人鬼から逃げてはならない理由があるところ。
よくよく考えるとこういう連続殺人鬼物は殺されたくないがために必死に逃げ惑い、人数が減って最後に返り討ちにする為、主人公らが勇気を振り絞って殺人鬼を打ち破るという定型があった。そこに自分たちの犯行を絡ませて敢えて殺人鬼と対峙しなければならないというシチュエーションは今までになかった設定でさすがは東野氏!と褒め称えたいところだ。
そして日浦を初めとする4人たちに共通するドーピングという蠱惑的な堕落への道に陥ったスポーツ選手の苦悩。どうしても超えられない選手としての壁に直面した時に自分の弱さゆえに、克己心よりも自己中心的考えを優先して「ばれなければいい」という悪魔の囁きに屈した後の代償が殺人鬼の報復というのはなかなか面白い。

また世界で肉体増強として様々な手法が開発されていることを知らされた。特に運動機械タランチュラを生み出した、妊娠させてわざと中絶をさせることで筋肉を増強させる方法は人命を軽視した悪魔の所業で憤懣やる方ない。妊婦が体力が必要になることから自然に筋肉を増強させる物質を分泌するという性質を利用して、薬で流産させ、筋肉増強を図る方法。しかも何度も妊娠・流産を繰り返すことで無敵のスポーツ選手が出来るという。
ここまで来ると倫理なぞはもうどこかへ消えてしまい、人体実験の領域にまで達し、もはや実験牧場である。

しかしそんな設定の妙がありつつも作品の評価は佳作どまりだろう。疾走感は買うものの、物語、人物設定に膨らみが感じられなかった。逆に疾走感を取るならば読者に考える間を与えず、次から次へと災厄が降りかかる手法を取った方がエンタテインメント性が増して何も考えずに読めて面白かっただろう。
確かにこれは通勤・通学中に読むにはクイクイ読めて面白いが後に残るものがあるかといえばそうでもない。最後にタランチュラが取った意外な行動には胸を打ち、光るセンスを感じたが、総じて軽めの作品だった。
しかし隙のない物語運びとプロットだ。さほど名の知られていないが読んで損はない作品と云っておこう。


▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

Tetchy
WHOKS60S
No.1:
(6pt)

美しき凶器の感想

まず刺客を外国人女性にしたのは、いくら超人とはいえ日本人女性ではあのような芸当を行わせるのに無理があるということでしょうか。
作中の彼女は日本語が話せないだけでなくまるで原始人、無知すぎるのだ。タランチュラという呼称こそあるものの何しろ彼女の名前すら出てこない。
おかげで彼女の心の内を読み取る事が出来ないどころかそのような描写すらない。
さすがに読中、彼女に感情移入できる人はいないだろう。
「(心のない)殺戮マシーン」として読ませるには効果的だったのかもしれないが、その割にスリルという点でもイマイチだったかな。
追われる側に肩入れする読者の方が多いかなとは思いますが、私の場合は過去の過ちを隠蔽しようとするアスリート達にも感情移入できませんでした。
結局どちらのサイドにも立てず、ただ事の成り行きを見守っているだけって感じでした。
ラストでタランチュラが抱えている思いのひとつが明らかにされます。
作者としては、ここで逆転という目論見だったのでしょうが、追われる側に嫌悪感を持っていた自分には効果なしでした。
追われる側に肩入れして読んでいたとしても弱いかな。
最後のどんでん返しが得意な作者であり、これまでに何作も驚かされてますからね。この程度では・・・という感じです。
もっと追われる側に肩入れできるような工夫が必要だった気がしますね。

梁山泊
MTNH2G0O
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.77:
(5pt)

恐怖

結末がどうなるのか興味津々でしたが、
案外あっさりしていた気がします。
美しき凶器 (カッパ・ノベルス)Amazon書評・レビュー:美しき凶器 (カッパ・ノベルス)より
4334070078
No.76:
(4pt)

科学サスペンス

ドーピングを縁につながる人々と生み出された超人的な女性。終盤は一転あり、そして最後の悲しい余韻…
美しき凶器 (カッパ・ノベルス)Amazon書評・レビュー:美しき凶器 (カッパ・ノベルス)より
4334070078
No.75:
(4pt)

次に何が起きるのかというスリルと期待があふれる作品。

口数少ない主人公(私はテニスの大坂なおみさんをシェイプアップした人物をイメージ)が、最後に発した「ベイビー」という言葉で初めて気持ちを理解しました。
美しき凶器 (カッパ・ノベルス)Amazon書評・レビュー:美しき凶器 (カッパ・ノベルス)より
4334070078
No.74:
(2pt)

クライマックスまでは最高ですが

結末がモヤモヤします。
スッキリしない終わり方でした。
一番の悪者が逃げ得なのが、ちょっと…。
美しき凶器 (カッパ・ノベルス)Amazon書評・レビュー:美しき凶器 (カッパ・ノベルス)より
4334070078
No.73:
(3pt)

関東の地図があればご準備を

犯人の女の容姿から「美しき」にしていると思っていましたが、「肉体美」からなのだと被害者が殺されるうちに気づきました。

拓馬とのバトルがハラハラしました。あいつが、かかわっていたとは。

女の、目的のためには手段を選ばない機械のような行動と、故郷を思い出す人間味のバランスが絶妙と感じました。

女のストーリーはほとんど描かれていませんが、最後の台詞がそれを連想され、悲しい余韻に包まれました。
美しき凶器 (カッパ・ノベルス)Amazon書評・レビュー:美しき凶器 (カッパ・ノベルス)より
4334070078



その他、Amazon書評・レビューが 77件あります。
Amazon書評・レビューを見る     


スポンサードリンク