沈黙のパレード



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長編小説

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沈黙のパレード (文春文庫 ひ 13-13)

2021年09月01日 沈黙のパレード (文春文庫 ひ 13-13)

静岡のゴミ屋敷の焼け跡から、3年前に東京で失踪した若い女性の遺体が見つかった。逮捕されたのは、23年前の少女殺害事件で草薙が逮捕し、無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。町のパレード当日、その男が殺された―― 容疑者は女性を愛した普通の人々。彼らの“沈黙”に、天才物理学者・湯川が挑む! ガリレオvs.善良な市民たち “容疑者X”はひとりじゃない。(「BOOK」データベースより)




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沈黙のパレードの総合評価:8.13/10点レビュー 264件。Sランク


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沈黙は、果たして金?

ガリレオシリーズ9作目。
4年ぶりにアメリカから帰国した湯川学が最初に手掛ける事件が本書。時は確実に流れており、湯川は准教授から教授に、そして友人の草薙も捜査一家の係長に昇進している。

久々のガリレオシリーズのメンバーが揃った本書で彼らが直面するのは23年前に少女殺害事件の最有力容疑者とされながらも徹底した黙秘権の行使により結局証拠不十分で無罪となった男の実家で3年前に失踪した成人女性の白骨遺体が見つかることで再度最有力容疑者に挙げられるのだが、再び同様の手口で処分保留となった後、殺害される事件だ。つまり周囲に憎まれた男がまんまと殺されるという、犯人側に肩を持ってしまう事件だ。

東野氏は殺害した側を応援したくなるように、読者心情を煽り立てるが如く、被害者である蓮沼寛一という男を唾棄すべき男として描く。

下層労働者として描きながら、暗い表情を湛えたその男は父親が元警察官であり、強引な取り調べで自供を引き出して犯人検挙率を上げて、それを誇らしげに家庭で語っていたことから、父親の権威主義出来な価値観を蔑むとともに反面教師として自供しなければ自分は罪を犯しても有罪とならないと学んだ。従って彼は警察の徹底した取調べにも関わらず、黙秘権を行使し、沈黙とはぐらかして決してボロを出さない。

本当に自分が犯行を行っていなければ無罪を主張するのだが、この蓮沼という男はそれすらもせず、寧ろ自分を犯人にしたかったら、決定的な証拠でも証人でも見つけて来いとばかりに小馬鹿にした態度で臨む。

そして大方の予想通り、酒の席で実に下らない、いや人を人と思わない、玩具か何かのようにしか思わず、最初の殺人も可愛がってやったら噛みついてきたのでお仕置きしたら死んだので埋めただけと子猫に例えて歯牙にもかけない。

つまりはこの蓮沼寛一という男は殺されても当然だ、いや寧ろこのまま生きていてこの世にいることで次の犠牲者が生まれる、殺されるべき人間だとして描く。

そしてその事件に立ち向かう湯川の変化も本書の読みどころだ。それについては後に述べよう。

物語のメインテーマは非常に単純だが、その真相は重層的で複雑である。

さて本書のテーマはタイトルにもあるように沈黙だ。出てくる人物は自分の秘密を守るためにずっと沈黙を続ける。

まずは本書の焦点でもある、二度に亘って殺人事件の最有力容疑者となりながらも無罪となった蓮沼寛一の沈黙だ。

彼は23年前の12歳の少女殺人事件と3年前の女性殺人事件において状況証拠ではあるが、自身と被害者を結び付ける物的証拠が挙げられながらも徹底した黙秘権を行使して無罪と処分保留を勝ち取った男だ。彼は自分の父親が警察官で父が容疑者を自分の脅迫めいた密室の取調べで自供を導き出したことを自慢しているのを幼き頃から苦々しく思っていたが、それを反面教師として逆にどれほど容疑が固まっても沈黙を保てば有罪にならないと確信した男だ。

その蓮沼寛一殺害の一端を担った菊野市の商店街の面々もまた沈黙する。ただ加担した者はもちろんのこと、知らずに協力していた者もまた沈黙する。それは知らないからだけではない。
特に今回のメインイベントである菊野市のパレードの責任者である宮沢書店の女社長宮沢麻耶は町の人々全員がお客様なのでその方たちが不利になるような話をしたくはないので沈黙罪という犯罪がないのなら黙秘権を行使するとまで草薙に面と向かって云う。

そして蓮沼寛一殺害の発端を作った増村栄治は優奈の母親で父親違いの9歳年下の由美子が本橋誠二と結婚する際に犯罪者の自分が花嫁の兄だということを知られないよう、妹とその夫に2人の関係について沈黙するよう懇願する。

そして新倉直紀は妻の留美が並木佐織を殺害したと話したことを隠そうして、佐織の父親の祐太郎が蓮沼から犯行の真相を聞けないように工作して妻の犯行を沈黙を以て隠そうとする。

沈黙は金と云うがそれぞれの沈黙がもたらしたものの中には金に値するものがなかったものもある。

沈黙を守ることは己の罪悪感や喋って楽になりたいという欲望との戦いだ。それに勝てないからこそ、人は沈黙を保てないのだ。
それを保てたのが真の悪人である蓮沼寛一であったことは実に皮肉である。

ところで私はこのシリーズを警察小説として読んでいなく、天才科学者が警察では想像すらできない真相を科学的論証に基づいて犯人へと導く、いわば現代に蘇った東野式ホームズシリーズだと思っていたが、今回では警察捜査の意外な情報が色々と得られる。

例えば高速のNシステムによる捜査記録は証拠として提出しないことになっていること。提出すればNシステムの仕組みや監視場所の詳細を法廷で明かさなければならなくなるから避けるというのが警察庁の方針であること。

指紋を残さないために手袋を着用するが、今では手袋痕を採取して犯行に使われた手袋を特定し、犯人の絞り込みを行うこと、等々。

また実は本書の殺人方法は海外古典ミステリのトリックを応用しており、作中でもその作品について触れられている。
メインの殺害方法の原典であるアガサ・クリスティの『オリエント急行の殺人』とジョン・ディクスン・カーの『ユダの窓』だ。敢えて作者はその作品を触れることで本歌取りであることを示している。

温故知新。それが本書の裏テーマだろう。
本書を読むことでこれら古典ミステリにも触れてほしいと云うのが本音だが、単に不可能的趣味に特化した古典ミステリよりも犯罪に加担したそれぞれの心情をも描いた本書を読んだ後では逆に物足りなさを感じることだろう。

しかし探偵ガリレオこと湯川学もずいぶん変わったものだ。以前は単にすっきりと答えの出る論理的解明や方程式など論理的思考だけに興味があったのに、人そのものに興味を持っている。
本書で彼が関わる定食屋「なみきや」の面々と常に相席となって会話を愉しみ、蓮沼寛一という悪をチームワークで殺害したことに心を傷める。単に悪いことをしたから彼らは裁かれるべきだとして割り切った答えを出さないのだ。

この湯川学の心境の変化は作中でも湯川の言葉を通じて語られる。彼は『容疑者xの献身』で友人の石神が真犯人を庇おうとした献身が自身が真相を暴いたことで水泡に帰したことを悔いていたからだった。

ドラマ『相棒』の杉下右京はどんな理由であれ、罪を犯した者は裁かれなければならないと徹底的な勧善懲悪論に立っているが、湯川は寧ろ殺されるべき人を殺した人々、罪を犯すことで救われる人々がいることを理解し、どうにか救済しようと苦心するのだ。

私は本書を読んだ後、これはもう一つの『さまよう刃』だと思った。娘を犯され、無残に殺された主人公の復讐は結局叶わなかったが、本書ではその無念を晴らすかの如く、復讐が成就する。

殺人は犯罪であり、被害者がどんな者であろうと罪は罪であるというのは真理であるが、それでも殺してやりたいと思うのが人間の心理だ。

真理よりも心理を採った湯川の今後の活躍が非常に愉しみである。

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Tetchy
WHOKS60S
No.5:4人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

沈黙のパレードの感想

またまた傑作に出会ってしまった。これだから東野作品はやめられない。
相変わらずの湯川の推理の鋭さに脱帽。言われれば至極ごもっともな指摘なのだが、作品を読んでいる最中には何故かスルーしてしまっていた。作者の描写の巧みさが現れているように感じた。タイトルに気を取られてしまったこともあるかもしれない。
その辺については本の帯の書き方が上手で、真相に辿り着いた時の衝撃はかなり大きかった。湯川の、そこの話の持っていき方が個人的には好き。
また、私が好きな他のガリレオ作品について触れられている部分があるのも、個人的には嬉しかった。
この作品も、また機会を作って読み直したい。

白髭9
BK2OMGW4
No.4:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

沈黙のパレードの感想

東野作品だなぁという作品です。
ラストまで何回か転がすっていう、、、。
読みやすいし、登場人物のキャラや役割もわかりやすく、ラストまで楽しめます。

kmak
0RVCT7SX
No.3:5人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

謎解きより人情に味がある作品

6年ぶりに登場した、ガリレオ・シリーズの第9作。町の人気者の少女殺害事件で逮捕された男が起訴猶予で釈放され、再び町に現れたことから被害者の関係者が一緒になって復讐劇を企てるという、犯人捜し・謎解きミステリーである。
小料理屋の看板娘・佐織が行方不明になってから3年後、静岡のゴミ屋敷の焼け跡で遺体で発見された。家の持ち主の息子である蓮沼が容疑者として逮捕されたのだが、証拠不十分で起訴猶予となったばかりか、被害者・佐織の家族の前に現れ、自分が逮捕されたのはお前たちのせいだから賠償金を払えと脅かしてきた。町の人々は怒りを募らせ、司法が裁けないなら自分たちが罰を与えよう、天誅を加えようと計画を練り、準備を進める。そして迎えた年に一度のコスプレ・パレードの日、蓮沼が死んでいるのが発見された。草薙、内海たち警察は佐織の父親をはじめとする関係者を調べたのだが、彼らのアリバイを崩すことができずアメリカ留学から帰ってきた湯川に助けを求めたのだった。
佐織の殺害、蓮沼の殺害に加えて、23年前の少女殺害事件も絡んでくる、二重三重の謎解きミステリーであるが、蓮沼事件以外は単純な構造で、ガリレオらしいのは蓮沼殺害のトリックやぶりだけである。物語の主眼は、司法が信頼できない時に私的な報復は許されるのか、というところにある。これは古今東西を問わずミステリーでは常に繰り返されているテーマで、本作では法の論理より人情に傾いたエピソードに味わいがある。
ガリレオ・シリーズ愛読者には必読。東野作品の読者もきっと満足できるだろう。

iisan
927253Y1
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

沈黙のパレードの感想

読みやすい文章と話の展開で最後まで
読めます。

最後は難しい、どのような結末なら良かったのか
わかりませんが
私は読後感が悪い。



jethro tull
1MWR4UH4
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

楽しく読めましたが、1つ疑問が?


▼以下、ネタバレ感想

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マッチマッチ
L6YVSIUN
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