マスカレード・ナイト



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初公開日(参考)2017年09月
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長編小説

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マスカレード・ナイト

2017年09月15日 マスカレード・ナイト

累計250万部突破 「マスカレード」シリーズ最新作 若い女性が殺害された不可解な事件。警視庁に届いた一通の密告状。 犯人は、コルテシア東京のカウントダウンパーティに姿を現す!? あのホテルウーマンと刑事のコンビ、再び――。(「BOOK」データベースより)




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マスカレード・ナイトの総合評価:7.37/10点レビュー 168件。Bランク


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夜のホテルの窓の灯の数々が織り成すモザイクミステリ

映画化もされ、大ヒットとなった『マスカレード・ホテル』。その後前日譚の短編集『マスカレード・イヴ』を経たが、本書が実質的な続編といっていいだろう。

第1作の時に今流行りのお仕事小説と警察小説2つを見事にジャンルミックスした非常にお得感ある小説と称したが、本書もその感想に偽りはない。2つの持つ旨味を見事にブレンドさせて極上のエンタテインメント小説に仕上がっている。

基本的な路線は全くと云っていいほど変わっていない。
高級ホテル、ホテル・コルテシア東京に犯罪者が訪れることだけが警察側に判っており、正体は不明だ。したがって捜査員をホテルの従業員として潜入させ、容疑者を捜し、事件を未然に防ぐ。そして人を疑うのが仕事の警察とお客様を信用し、信頼を得るのが仕事のホテルとの真逆の価値観が生む軋轢とカルチャーショックの妙が読みどころである。

しかし前作と違って本書の主人公の1人新田浩介は既にホテルのフロント係を経験済みであり、前回ほど息苦しさややりにくさを感じさせない。寧ろ愉しんでいる節さえ見られる。特に今回影の主役ともいうべき厄介な客日下部篤哉のプロポーズ大作戦を野次馬根性で見学させてほしいと云った軽薄さも垣間見える。

さらに前回新田の縁の下の力持ち的存在として捜査に大いに活躍したベテラン刑事能勢も登場する。
彼は品川の所轄から捜査一家へ配属され、今回新田の所属する稲垣班が捜査を手伝う矢口班の一員となっている。そして再び能勢は他の捜査陣とは別に隠密裏に被害者の身辺調査に当たり、別の側面から容疑者を特定していく。つまりホテルに拘束された新田ができない捜査を能勢が一手に引き受けるのだ。
まさに新田にとっては盤石の体制と云えよう。

しかしそんな安寧を持たさないよう、東野氏は今回生粋の厳格なホテルマン氏原祐作を新田の指導員にぶつけることで再び新田に不自由を経験させる。
基本的に前回の指導員山岸尚美は不愉快に思いつつも捜査に協力的で、なおかつ新田を一流ホテルに恥じないようなフロント係に仕立てようと努力をしていたが、今回の氏原はホテルの規律と気品を守るためにあえて新田に何もさせないでおくという主義を取る。いわばホテル原理主義者とも云えるガチガチのホテルマンなのだ。
客の前では満面の笑みを見せるが、新田や他の従業員の前では能面のような無表情で辛辣な意見を放つ。私は俳優の生瀬勝久を想像したが、既に彼は新田のかつての教育実習生として出演していたので多分映像化されたら別の俳優が演じたのだろう(映画は未見)。

しかしこの氏原を単なる嫌味なキャラクターに留めないところに東野氏のキャラクター造形の深みを感じる。これについては後に述べよう。

そして今回もお仕事小説としてのホテルマンのお客様たちの無理難題を解決しようと試行錯誤するエピソードがふんだんに盛り込まれている。

本書の導入部では肖像恐怖症の客がリクエストした東京タワーを見える部屋を用意したが、部屋ではなく、外のビルに掲げられた巨大なポスターが目に入るので何とかしてほしいとの難題を山岸が機転を利かせて解決するエピソードを皮切りに、恋人にプロポーズしたいからホテルのレンチレストランを貸し切りにしたい、デザートの時に2人の思い出の曲を演奏してほしい、レッドカーペットを敷いてさらに薔薇の花で飾ってほしいと云った泣きたくなるような難題を解決したかと思えば、その恋人からプロポーズを断りたいので何かいいアイデアはないかと相談される。

さらには一目惚れした女性がいるから彼女と二人きりになる場を設けてくれという無理難題を押し付ける男がいる。しかもその女性は既婚者のように振舞いながらも夫の影は見えないミステリアスな美人。

その美人は多くの店が閉まっている大晦日に凝ったケーキの写真を見せて、これと同じ模型のバースデイケーキを作ってほしいと頼む。

いつも不倫相手の密会に使っているのに、カウントダウンパーティに出るために家族連れで宿泊し、そこに不倫相手もまた宿泊しに来るニアミスが起こる。

小ネタと大ネタを交互にうまく配することで東野圭吾氏はグイグイと読者を引っ張っていく。
いやあ、巧い!非常に巧い!

しかしこのコンシェルジュ山岸尚美の「無理」や「できない」を決して云わずにできる方法を考える、代替案を考えるというモットーは私の仕事にも通ずるものがあるし、私が常に口にしていることなので非常に共感を覚えた。

また彼女が云った話で印象深かったのが時計のエピソードだ。時計の技術が発達して安物の時計でも時が狂いにくくなったがそのせいで時間に遅れる人が増えた、それは正確な時刻が判るがゆえにぎりぎりまで自分のために時間を使おうとするからだという話だ。
これはまさにその通りで私の会社の人間では実に多い。会議の開始時間に来ないことはざらだ。実に身につまされる話だ。

そして今回東野作品の人気の高さの秘密の一端を改めて悟った。
それは物語の設定が非常にシンプルだということだ。今回の物語は始まって60ページまでに云い尽されている。

即ち一人暮らしの女性が殺され、その犯人がホテルコルテシア東京で開催される年末のカウントダウン・パーティ、通称マスカレード・ナイトに現れると匿名の通報が入る。

正直これだけである。
しかしこれだけで読者は一気に物語への興味を惹かれ、結末までの残り約480ページをぐいぐいと読まされてしまうのだ。
シンプルな構成に魅力的なキャラクター、そして読みやすい文体に読者の興味を惹いてページを繰る手を止まらせないプロット。作家として求めるもの全てを東野氏は持っている。

ホテルマン達が相対する宿泊客と新田達刑事が捜査する殺人事件の被害者、そして容疑者には共通する1つの言葉がある。

それは「仮面」だ。

日常から離れて非日常を楽しむ宿泊客にはそれぞれ様々な事情を抱えてホテルに泊まる。
人生の一大イベントの1つ、プロポーズを決意しに来た者や新たな旅立ちを決意する者、さらには不倫のためにホテルを利用している者、それを家族に気取られないようビクビクする者。高級ホテルに泊まっているのに部屋に籠りきりで出ていかない者。

一方新田達の事件も捜査が進むにつれて被害者女性達の奇妙な私生活が判明してくる。

被害者の和泉春菜はボーイッシュな服装を好んでいたが、タンスの中には少女趣味な、いわゆるゴスロリ系の服も残されていた。また高校時代は成績も優秀で彼女と成績を競い合っていた友人は医大に進んでいるのに彼女は東京に出て大学にも進まず、ただ上京し、トリマーの職業に就いた。さらに彼女には恋人とは別の男性と付き合っていたこと、つまり二股をかけていたことも判明する。

それらは彼ら彼女らが公の舞台では見せないもう1つの別の貌、即ち仮面。
いや逆に彼ら彼女らは公の場で仮面を被り、プライベートでその仮面を脱ぎ捨て本性を晒す。

ここにあるのはいわば数々の人生が交錯する社会の縮図だ。物語の最後に明かされる事件の真相を読むにますますその意を強くした。

社会を、人間関係を円滑に平和裏に継続するために少しばかりの嫌悪や嫉妬や怒りは仮面に隠しておかないと世の中は進んでいかないのだ。自分の云いたいことややりたいように振舞ってばかりではぎくしゃくし、不協和音が生じる。

ホテルのフロントはそんなお客様の清濁併せ吞み、笑顔で迎える。
それらの仮面を知りつつ、大事にするホテル側とそれらの仮面を疑ってはがそうとする警察側のぶつかり合いは今回も描かれる。

容疑者を特定するためにハウスキーピングに同行した刑事がこっそり目を盗んで宿泊客のバッグを調べたことが客側に発覚し、危うく訴えられそうになり、さらに捜査に制限が描けられたり、マスカレード・ナイトの参加者がいきなり仮装してチェックインするために素顔が見えないため、外させてほしいと頼むが、ホテル側はそれもまたパーティの趣向でお客様が愉しみにされていることだからと一蹴する。

特に今回登場したベテランのホテルマン、氏原祐作はホテル側の主張を具現化したキャラクターだ。

当初は単に新田ら警察たちを困らせるホテル原理主義の従業員、いわば敵役のように思われたが、彼のお客に対する観察力と記憶力、そして状況判断に対して、苦々しく思っていた新田も次第に彼の能力の高さを認めるようになり、警察に向いているとまで賞賛する。
氏原のアドバイスは豊かな経験に基づいたもので、説得力がある。そして彼はホテルマンという自負があり、たとえ殺人事件の捜査とはいえ、一流ホテルとしての権威と格調を、そしてお客を守ることを第一主義にする。そのために新田にはフロントでの接客業務をさせないようにする。

従って今回新田とお客とのやり取りの妙は鳴りを潜める。しかしこの設定さえも東野氏はミステリの要素とするのである。

いやはや何とも複雑な構造を持ったミステリである。
全ての客が疑わしく思われながら、それら全てについてカタルシスをもたらして読者の腑に落ちさせる。かなりレベルの高いことを東野氏はやってのける。これほどの大仕掛けを仕組むのにどれほど長く構想を練ったのだろうか。

ホテルコルテシア東京という舞台で交錯し、それぞれがモザイクタイルのピースとなって『マスカレード・ナイト』という複雑なミステリを形成する。それはまさに美しきコラージュの如き絵を描いているようだ。

そしてそれはまたホテルも然り。

ホテルコルテシア東京のような大きなシティホテルは夜景が映える。しかしその夜景を彩るのは一つ一つの窓の明かり、つまり宿泊したお客が照らす部屋の明かりだ。その明かりがまさにモザイクタイルのように夜景を彩る絵を描く。

しかしその1つ1つの明かりの中に宿泊するお客は決して自分たちが作っている夜景のような華やかさがあるとは限らない。

奮発して高級ホテルで家族と一家団欒を楽しむ明かりもあれば、出張で宿泊し、疲れを癒す一人客もいるだろう。
その中には単にそのホテルを常宿としている常連もいれば、初めて利用し、胸躍らせる客もおり、高級ホテルを餌に女性を連れ込んで一晩だけの情事を愉しむ者もいることだろう。

待ち合わせに使う客も待ち人と逢って愛を交わす者もいれば、待ち人が来ず、高級ホテルで寂しい思いを抱いている者もいるかもしれない。

身分不相応に高級なホテルで委縮してただ読書やテレビを見て過ごす者、乱痴気騒ぎを起こす者、かつてそのホテルで宿泊した忘れ得ぬ思い出に浸る者、個人の記念日に取って置きのご褒美として宿泊する者、さらには犯罪を企む者。

こうやって考えると改めてホテルという場所は特別な雰囲気をまとった場所であると認識させられる。

様々な人が行き交い、交錯し、訪れてはまた去っていくホテル。チェックインの時に見せる貌は仮面でその裏には様々な事情を抱え、部屋でそれを解放するお客たちに、それらの事情に忖度して訳を知りながらもスマイルで対応するホテルマンたち。
まさに仮面舞踏会そのものである。

さてこの愛して止まないマスカレードホテルシリーズだが、そのホテルマンと刑事のコンビという構成上、なかなか続編は難しそうだ。正直よくも3作まで書いたものだと感心した。

野次馬根性丸出しだがこのお仕事小説×警察小説の極上ハイブリッドミステリの次回作での主人公2人の動向がますます気になってしまう。

▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.6:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

マスカレード・ナイトの感想

清々しいラストでしたが、設定や展開など一部無理がありましたねー。

kmak
0RVCT7SX
No.5:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

マスカレード・ナイトの感想

ホテルのコンシェルジュが結婚相談所や食品サンプル職人のようなことをするのかとは思うが、フィクションなのでと納得。
いろいろな”お客様”のエピソードを描きつつも最終的にはきれいにまとまっている。犯人の正体や犯行動機はしっくりこないが、全体的に面白く読めた。
仮装パーティーのシーンがあり、映像化向きだと思う。マスカレードホテルに続き映像化を狙っているのか?仮面をはがすキムタクの姿が目に浮かぶようだ。

BOY
IM7XWAPW
No.4:
(6pt)

残念ながら、ミステリーとしてはパワーダウン

シリーズ累計250万部突破とうたう「マスカレード・シリーズ」の第3弾。一作目に続く、刑事とホテルマン(実際はホテルウーマン)のコンビが主役の犯人探しミステリーである。
匿名の通報から始まった一人暮らしの若い女性殺害事件。警視庁捜査一課の新田刑事たちが担当になったのは、捜査本部に「犯人がホテルコルテシア東京で大晦日に開かれる仮装パーティに現われる」という密告状が届いたため、第一作で潜入捜査で実績を挙げた新田たちが再びホテルに潜入することになったのだった。現在はホテル・コンシェルジュとして活躍している山岸を始めとするホテル側スタッフの協力を取り付けた捜査陣だったが、参加者全員が仮装しているなかで、どうやって犯人を見つけ出すのか、顧客のプライバシーに神経を使うホテル側とトラブルを起こしながらも、じりじりと犯人に迫って行くのだった。
女性殺害事件は連続殺人だったのではないか、犯人と密告者の関係は何なのか、仮装パーティーを舞台にしたのはなぜか、など、ミステリー作品としての本筋はいくつかあるものの、本作品ではコンシェルジュ・川岸の働きぶりがメインとなっていて、ミステリーとしての印象が薄められている。さらに、殺害動機、事件の様態や背景などが最後に関係者の告白でまとめて説明されるという、ちょっと雑なというか、興趣を削ぐ構成になっているのが残念。東野圭吾というより、一発屋ミステリー作家みたいで白ける。
シリーズ中で一番出来が悪い作品だが、謎解きよりホテルという舞台の裏側を見てみたいという人にはオススメできる。

iisan
927253Y1
No.3:
(6pt)

マスカレード・ナイトの感想

仮面を剥がそうとする警察、守ろうとするホテル。
この組み合わせの発想は面白いと思っていたけど、2作目にして早くもネタ切れかな。
複雑な犯行を分かりやすく説明したかったんだろうけど、あの「湊かなえ方式」はシリーズの雰囲気ぶち壊しじゃないかな。

梁山泊
MTNH2G0O
No.2:
(6pt)

あっけない

あっけない終わり方。少し残念。

マッチマッチ
L6YVSIUN
No.1:
(6pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

マスカレード・ナイトの感想

ホテルが良かっただけに、残念。
刑事がホテルマンをやるくだりが良かったのに、
今回は・・・。
一流ホテルは、こんなことまで依頼され
やらなければならないのか疑問が残るので
話しに違和感を覚える。
元の事件がたいしたことないので
潜入捜査に対して読んでて緊張感が無い。
結末に向かってからは良いが
それまでがダラダラ。
次回に期待


jethro tull
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