(短編集)
菩提樹荘の殺人
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菩提樹荘の殺人の総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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菩提樹荘の殺人」を読了。若い頃の火村の活躍が描かれている作品。作品そのものも、凝ったトリックや複雑な伏線はなしの読みやすい作品。でもダイングメッセージやパズラーもしっかりあって楽しめました。 | ||||
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「若さ」をテーマに持つ火村シリーズの短編集。四作の事件を解決していく火村と作家アリス。 それらは全て「若さ」をテーマに語られる。時に若さ故の過ち、時に若さに抗う者の淋しさ。若さとは何なのか、中年以降に読めば味わいがまた変わる。 短編で読み易く火村シリーズを知らない人でも楽しめます。個人的には火村の過去が語られるところ何かは何となくあどけなさも感じられて面白い。 本格ミステリに位置付けられる推理小説。犯罪学者の火村が事件をどう見ているのか、作家アリスの語り部で紐解かれていく。 有栖川有栖作品を読んでない方でも楽しめます。 | ||||
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有栖川氏は最初特に意図していたわけではなく、2作を書いた時点でゆくゆくは”若さ”をテーマにして一冊の本にまとめたいと思っていたそうです。 「アポロンのナイフ」は、少年犯罪と、今時、ネット上やマスコミによって情報が独り歩きする問題を取り上げています。 「雛人形を笑え」は売り出し中の漫才コンビの片われが殺された事件。大阪人の有栖川氏が大阪を舞台にいい味で書いておられます。 「探偵、青の時代」アリスが街でばったり会った火村の大学同級生の話を聞くという形で、現在、優秀な探偵として活躍している火村の片鱗をうかがわせるかつてのエピソードが描かれています。作者お得意の猫が登場し、ぶっきらぼうで陰のある火村の奥に秘めたやさしさと、それをしっかり理解しているアリスの暖かさにほっこりさせられます。 タイトルになっている「菩提樹荘の殺人」。殺人はどうして屋外で行われたのか、トランクス1枚残して衣服が脱がされ、それらが池に放り込まれていたのはどうしてかという謎ですが、納得のいく解決ながら、すごいなあと感じられるほどの種明かしではありませんでした。ただ、若さについての火村とアリスの会話が大変興味深かったです。 「無事に年齢を重ねてきた証拠じゃないか。お前は老化が怖いのか?」 「怖いわけやないけど、ありがたくはないわな。諦めるしかない。」 「身も心も若いからって自慢されたら鼻白むしかない。私は長い時間を生きてきましたが、老いることに意味も価値も見出せませんでした、と言うに等しいからな。」 (中略) 「人生が1年やとしたら、34歳っていうのはちょうど今ぐらいの季節かな、7月の初め。」 「だといいけどな。案外もうとっくに夏を生きているのかもしれない。」 ”私たちの命は明日をも知れないものだ。人生が1年ならば今は何月何日に当たるだの、これからいくつの季節を過ごすだの、鬼が聞いたら嗤うかもしれない。もしも無事に年齢を重ねることができるのなら、私は赤や黄色に染まってから散ってみたい。見掛けだけ青々としているより、その方がおもしろそうだから。” など、深みのある言葉にうならされました。 新本格派でパズラーとしてスタートした有栖川氏ですが、最近の傾向として、トリックや謎解きよりも、どうしてその犯罪が起きてしまったのかという事情や、人間性、心理などに重きを置くようになっていると感じます。元からあった少しセンチメンタル、ロマンチックな叙情性が表に出るようになってきたのでは、と。個人的には、謎解きだけを楽しむものには現実味が感じられないので、むしろ今の有栖川氏の作風の方により惹かれます。この人は文章がうまい、特に凝った文体ではなくごく普通にさらさらと読める文章なのですが、そのひっかからずにさらさらと読めるというのは、実は結構貴重で、かなり推敲を重ねておられるのではないかと想像します。エッセイなどもとてもうまいですし。先日読んだばかりの短編集「壁抜け男の謎」に含まれた「恋人」などはもう完全に純文学といっていいもので、本格ミステリファンには不満かもしれませんが、さらに作風を広げていっていただきたいです。 | ||||
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2013年に出た単行本の文庫化。 「アポロンのナイフ」「雛人形を笑え」「探偵、青の時代」「菩提樹荘の殺人」の4話が収められている。 「アポロンのナイフ」は、そこに謎を設定したのかと驚かされる。たしかに意外性はあるが……。 「雛人形を笑え」は、お笑いの世界をとりあげた大阪っぽい作品。 「探偵、青の時代」は、火村の学生時代の事件。 「菩提樹荘の殺人」は、犯人の意外な行動に焦点があてられている。 語り口の巧みさもあり、満足できる一冊であった。ただ、王道的なミステリからはだいぶ離れてきているようにも感じた。 | ||||
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作品の時代背景は時間とともに変わるが、火村有栖川シリーズでは、この2人は歳をとらない。その時代を34歳という若くも老いてもいない主人公が活躍するのは、おかしいことではないと、思うようになってきた。 この本は、「若さ」をテーマに4つの作品がまとめられている。4作品とも、従来通りの論理的推理で犯人わ導きだしている。さらに、どの作品の作者(火村)が考える年齢について触れている。とても面白く読みごたえがあった。 | ||||
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斎藤工が火村英生を、窪田正孝が有栖川有栖を演じたドラマ放映をきっかけに、何冊か読んでみた有栖川有栖の火村英生シリーズ。比較的最近文庫化された本書には、2010~13年に発表された短編および中編が収められている。最も短い「探偵、青の時代」が短編で、あとの3つ「アポロンのナイフ」「雛人形を笑え」「菩提樹荘の殺人」は中編と呼んでいいだろう。 「アポロンのナイフ」はドラマ化されたので、中身はすでに知っていた。これはドラマを見たときに思ったことなのだが、被害者となる女子高生が、あるメールを読んだか読んでないか、みたいなことがちょっとした議論になるのだけれど、今どきの高校生ならメールじゃなくてLINEじゃないかなあ…。まあ小説は2010年発表なのでLINEの登場前なのだが、2016年のドラマではちょっと違和感。瑣末なことでした。 「雛人形を笑え」は、大阪のお笑い芸人たちの世界を描いていて、ある意味、大阪在住の著者らしい舞台設定。殺人事件とお笑い芸人って、一見すごくミスマッチな気がするけれど、何ともほろ苦い青春ミステリ風に仕立ててあり、なかなか悪くない。火村とアリスが掛け合いを演じるシーンもあり、「先生ら……漫才うまいやないですか」と容疑者の一人に褒められる。このシリーズが長い時間をかけて“キャラ物”として多くの読者を獲得していることを考えると、こういうファンサービスもときには必要なのでしょうね。 「探偵、青の時代」は火村英生の大学時代のエピソード。短いけれど、いや短いからこそ、ワンアイデアで一筆書きのような姿のよさがある。本書の中でどれかひとつを選べと言われれば、僕はこの短編を取るかもしれない。掉尾を飾る「菩提樹荘の殺人」は、感じとしては一番長編に近いものがある。演繹法的なパズラーは、ある程度長い尺が必要なので短編には向かないと思うけれど、中編の本作ではそれをやっている。ただし論理のみで犯人が導かれるため、動機が取って付けたようでイマイチ。そこを描き込むには、やはり中編でもまだ足りないのかもしれない。 | ||||
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