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(短編集)

菩提樹荘の殺人



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【この小説が収録されている参考書籍】
菩提樹荘の殺人
菩提樹荘の殺人 (文春文庫)

菩提樹荘の殺人の評価: 4.31/5点 レビュー 13件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.31pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全13件 1~13 1/1ページ
No.13:
(5pt)

若さがテーマになっている短編四作品、火村シリーズ

「若さ」をテーマに持つ火村シリーズの短編集。四作の事件を解決していく火村と作家アリス。
それらは全て「若さ」をテーマに語られる。時に若さ故の過ち、時に若さに抗う者の淋しさ。若さとは何なのか、中年以降に読めば味わいがまた変わる。
短編で読み易く火村シリーズを知らない人でも楽しめます。個人的には火村の過去が語られるところ何かは何となくあどけなさも感じられて面白い。
本格ミステリに位置付けられる推理小説。犯罪学者の火村が事件をどう見ているのか、作家アリスの語り部で紐解かれていく。
有栖川有栖作品を読んでない方でも楽しめます。
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4163824006
No.12:
(5pt)

トリックと謎解きだけでなく、深みが感じられます

有栖川氏は最初特に意図していたわけではなく、2作を書いた時点でゆくゆくは”若さ”をテーマにして一冊の本にまとめたいと思っていたそうです。

「アポロンのナイフ」は、少年犯罪と、今時、ネット上やマスコミによって情報が独り歩きする問題を取り上げています。
「雛人形を笑え」は売り出し中の漫才コンビの片われが殺された事件。大阪人の有栖川氏が大阪を舞台にいい味で書いておられます。
「探偵、青の時代」アリスが街でばったり会った火村の大学同級生の話を聞くという形で、現在、優秀な探偵として活躍している火村の片鱗をうかがわせるかつてのエピソードが描かれています。作者お得意の猫が登場し、ぶっきらぼうで陰のある火村の奥に秘めたやさしさと、それをしっかり理解しているアリスの暖かさにほっこりさせられます。

タイトルになっている「菩提樹荘の殺人」。殺人はどうして屋外で行われたのか、トランクス1枚残して衣服が脱がされ、それらが池に放り込まれていたのはどうしてかという謎ですが、納得のいく解決ながら、すごいなあと感じられるほどの種明かしではありませんでした。ただ、若さについての火村とアリスの会話が大変興味深かったです。
「無事に年齢を重ねてきた証拠じゃないか。お前は老化が怖いのか?」
「怖いわけやないけど、ありがたくはないわな。諦めるしかない。」
「身も心も若いからって自慢されたら鼻白むしかない。私は長い時間を生きてきましたが、老いることに意味も価値も見出せませんでした、と言うに等しいからな。」
(中略)
「人生が1年やとしたら、34歳っていうのはちょうど今ぐらいの季節かな、7月の初め。」
「だといいけどな。案外もうとっくに夏を生きているのかもしれない。」
”私たちの命は明日をも知れないものだ。人生が1年ならば今は何月何日に当たるだの、これからいくつの季節を過ごすだの、鬼が聞いたら嗤うかもしれない。もしも無事に年齢を重ねることができるのなら、私は赤や黄色に染まってから散ってみたい。見掛けだけ青々としているより、その方がおもしろそうだから。”
など、深みのある言葉にうならされました。

新本格派でパズラーとしてスタートした有栖川氏ですが、最近の傾向として、トリックや謎解きよりも、どうしてその犯罪が起きてしまったのかという事情や、人間性、心理などに重きを置くようになっていると感じます。元からあった少しセンチメンタル、ロマンチックな叙情性が表に出るようになってきたのでは、と。個人的には、謎解きだけを楽しむものには現実味が感じられないので、むしろ今の有栖川氏の作風の方により惹かれます。この人は文章がうまい、特に凝った文体ではなくごく普通にさらさらと読める文章なのですが、そのひっかからずにさらさらと読めるというのは、実は結構貴重で、かなり推敲を重ねておられるのではないかと想像します。エッセイなどもとてもうまいですし。先日読んだばかりの短編集「壁抜け男の謎」に含まれた「恋人」などはもう完全に純文学といっていいもので、本格ミステリファンには不満かもしれませんが、さらに作風を広げていっていただきたいです。
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No.11:
(4pt)

そこにくるか

2013年に出た単行本の文庫化。
 「アポロンのナイフ」「雛人形を笑え」「探偵、青の時代」「菩提樹荘の殺人」の4話が収められている。
「アポロンのナイフ」は、そこに謎を設定したのかと驚かされる。たしかに意外性はあるが……。
 「雛人形を笑え」は、お笑いの世界をとりあげた大阪っぽい作品。
 「探偵、青の時代」は、火村の学生時代の事件。
 「菩提樹荘の殺人」は、犯人の意外な行動に焦点があてられている。
 語り口の巧みさもあり、満足できる一冊であった。ただ、王道的なミステリからはだいぶ離れてきているようにも感じた。
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No.10:
(4pt)

読みごたえあり。

作品の時代背景は時間とともに変わるが、火村有栖川シリーズでは、この2人は歳をとらない。その時代を34歳という若くも老いてもいない主人公が活躍するのは、おかしいことではないと、思うようになってきた。
この本は、「若さ」をテーマに4つの作品がまとめられている。4作品とも、従来通りの論理的推理で犯人わ導きだしている。さらに、どの作品の作者(火村)が考える年齢について触れている。とても面白く読みごたえがあった。
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No.9:
(4pt)

パズラーの表題作ほか3編

斎藤工が火村英生を、窪田正孝が有栖川有栖を演じたドラマ放映をきっかけに、何冊か読んでみた有栖川有栖の火村英生シリーズ。比較的最近文庫化された本書には、2010~13年に発表された短編および中編が収められている。最も短い「探偵、青の時代」が短編で、あとの3つ「アポロンのナイフ」「雛人形を笑え」「菩提樹荘の殺人」は中編と呼んでいいだろう。

「アポロンのナイフ」はドラマ化されたので、中身はすでに知っていた。これはドラマを見たときに思ったことなのだが、被害者となる女子高生が、あるメールを読んだか読んでないか、みたいなことがちょっとした議論になるのだけれど、今どきの高校生ならメールじゃなくてLINEじゃないかなあ…。まあ小説は2010年発表なのでLINEの登場前なのだが、2016年のドラマではちょっと違和感。瑣末なことでした。

「雛人形を笑え」は、大阪のお笑い芸人たちの世界を描いていて、ある意味、大阪在住の著者らしい舞台設定。殺人事件とお笑い芸人って、一見すごくミスマッチな気がするけれど、何ともほろ苦い青春ミステリ風に仕立ててあり、なかなか悪くない。火村とアリスが掛け合いを演じるシーンもあり、「先生ら……漫才うまいやないですか」と容疑者の一人に褒められる。このシリーズが長い時間をかけて“キャラ物”として多くの読者を獲得していることを考えると、こういうファンサービスもときには必要なのでしょうね。

「探偵、青の時代」は火村英生の大学時代のエピソード。短いけれど、いや短いからこそ、ワンアイデアで一筆書きのような姿のよさがある。本書の中でどれかひとつを選べと言われれば、僕はこの短編を取るかもしれない。掉尾を飾る「菩提樹荘の殺人」は、感じとしては一番長編に近いものがある。演繹法的なパズラーは、ある程度長い尺が必要なので短編には向かないと思うけれど、中編の本作ではそれをやっている。ただし論理のみで犯人が導かれるため、動機が取って付けたようでイマイチ。そこを描き込むには、やはり中編でもまだ足りないのかもしれない。
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No.8:
(5pt)

さらっと読めて納得できる

テレビドラマを見てから原作を読み始めました。
作品中の有栖川有栖が心の声や火村への問いかけで事件を説明してくれて、すっと納得できます。
kindleは購入も簡単で、いつでもどこでも読めるのでとても便利です。
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No.7:
(5pt)

ドラマがきっかけ

ドラマきっかけで読みましたが面白かったです。 ほかの火村シリーズも読んでみます。
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No.6:
(4pt)

表題作「菩提樹荘の殺人」がやはり秀逸

作家アリスシリーズの短編集である。

全4作の冒頭は、未成年者による犯罪を取り扱った「アポロンのナイフ」。刃物を使った連続殺人に火村とアリスが取り組むのだが、これはなかなか重たい話だ。周到に引かれたトリックを看破する!というような胸をすく解決ではまったくない。本作は、現代社会のひずみに一石を投じているわけだが、有栖川自身がこの問題についてどう考えているのかはちょっと気になる。

個人的には表題作「菩提樹荘の殺人」がやはり秀逸と思う。
終盤、捜査会議での火村のたった一点の指摘。これが事件現場の解釈をひっくり返す。
だれかそれまでに気が付けよという話もなくはないが、まぁこれくらいは許容範囲でしょう。
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No.5:
(5pt)

安心のクオリティ

有栖川氏の人気シリーズである火村・有栖川コンビシリーズの短編集。
収録作はページ数にかなりバラつきがあり、表題作は100ページほどあるが、青の時代は50ページもない。
若さをモチーフにした4編が収録されてあり、ズバリの青少年犯罪やアンチエイジングの中年や若手漫才コンビをネタにして、うまく同時代性を取り入れて読ませる。
トリックやプロットが物凄いということはないのだが、定番の安心さで最後まで楽しく読める。こういう手堅い職人的ミステリーもいい。
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No.4:
(5pt)

お待ちしておりました

火村シリーズです。
「若さ」がテーマになっているそうで、二人の若い頃のエピソードも盛り込まれた、ファンにはまたひとつ違う意味での嬉しい一冊です。
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No.3:
(3pt)

定番で安定

90年代初頭に全盛を誇った本格ミステリも、本屋で見かけることがめっきり少なくなった。
名探偵が登場する謎解き小説をいまだに書き続けている作家は、大御所以外ではこの人くらいではないだろうか。

『アポロンのナイフ』通り魔殺人がテーマ。火村は珍しく探偵役ではなく傍観者だ。関係者の行動の動機が、いかにも現代人らしく意表を突かれた。
『雛人形を笑え』漫才業界が舞台の事件である。解決はほとんどバカミスだが、「お笑いは格差社会でのし上がる数少ない道だ」という発言が切ない。

『探偵、青の時代』大学時代の火村が、仲間の隠し事を見抜く。小品ながら、論理で謎を解くという基本を押さえた佳作。
表題作に登場するアンチエイジング野郎は、現実にいそうなキャラだ。
作者の小説が古風な枠組みを順守していても面白く読めるのは、時代の空気を巧みに取り入れているからだ。
妄想じみた設定でしか書けない他の「本格」作家と一線を画すところだ。だから生き残れたのだろうか。
謎解きにも納得の好篇でした。

斬新さも驚きもないが、安定した実力で定番の楽しみを与えてくれる。こういうタイプの作家は、けっこう貴重なのかも。
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No.2:
(4pt)

いつもの火村ものと同じく、おもしろいです

中編が4話入っています。一冊で四回楽しめます。

いつものプロらしい締まった文章で読みやすいです。

最終話だけ、最近起こったストーカー殺人を連想してしまうところがあり、後味が少しだけよくないところがあります。もちろん実際の事件の方が後に起こったのですが。
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No.1:
(3pt)

後味は悪くないのですが、若さが持つ“苦さ”を感じてしまう作品集です

若さが持つ“苦さ”を描いた作品集で、個人的には嫌いではないですが、ひたすらミステリを楽しみたい人には“微妙”と言えます。

収録作品は、「アポロンのナイフ」「雛人形を笑え」「探偵、青の時代」「菩提樹荘の殺人」の4作。全体に謎解きやトリックそのものに意外性は感じられません。ミステリに慣れた人なら、論理的に完全に謎を解明できなくても、犯人を指摘することがそれほど難しくはないでしょう。
むしろ、著者が「あとがき」で触れているように、4作に共通するモチーフ「若さ」を楽しめるかどうかがポイントになります。
私としては、火村英生の学生時代の一端が描かれた「探偵、青の時代」が本書の中では最も好みにあっています。罪に対して、ある種の峻厳さを持つ火村が、若き日から、その犯罪に対する分析力を使うことによって「孤独」を強いられるとともに、そのことを受け入れる「強さ」も併せ持っていたことが表された作品です。しかし、一方では火村はどうしても「哀しさ」をまとうことになります。それゆえ、彼がいくつかのものを偏愛することも納得できるのです(この偏愛が、一つのキーとなっています)。
作家アリスの若き日にも触れる作品もありますので、二人のファンには、楽しめる部分が充分にあることは間違いありません。
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4163824006

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