白昼の悪魔
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種別
長編
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評判
白昼の悪魔の評価:
5.00/10点 レビュー 1件。 B ランク
白昼の悪魔の総合評価:
6.93/10点 レビュー 46件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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クリスティの最高傑作が何かは、当然読者によって、ファン、マニアによって違うだろうが、読む前に結末・トリック等を知っていて読んだか、知らずに読んだかで大きく左右されると思う。それで、私は、知っていて読んだ『アクロイド』『ABC』は今でも最高傑作に入れたくない。
『オリエント急行』は真相がわかったとたん、世界がひっくり返るような衝撃を受けた、『白昼の悪魔』はポワロの言葉に背筋が凍り付いた、一方、例外的に『そして誰も』は真相をかなり知っていたが感動した。それで、私にとっては『オリエント』『白昼の悪魔』『そして誰も』がクリスティの最高傑作である。
それで、本書は『白昼の悪魔』の新訳であり、3番目の日本語訳である。本書の解説にもあるように、初訳は1951年の堀田善衞訳(世界傑作探偵小説シリーズのちにポケミス)、2番目が1976年の鳴海四郎訳(ハヤカワノベルスのちに文庫)である。
ポケミスの堀田善衞訳は直訳調やや古風な訳で、鳴海訳ノベルス本(かなり売れたと記憶している)が出たときは、鳴海訳が新鮮な訳文感がしたものだが、いまポケミス本を読み返すと、この直訳調やや古風の堀田訳がとても愛おしい。
ノベルス本のあとがきには、「今年に入ってついに作者クリスティ女史の訃報が伝えられました」と書かれている。つまり、クリスティ生前からの日本のクリスティファンは皆、堀田訳で『白昼の悪魔』を読んできたはずである。またEVIL UNDER THE SUNに『白昼の悪魔』という素敵な題を付けたのも功績である。(題は編集部が付けたのかもしれないが)。
それで、本書は、49年ぶりの新訳とのことである。堀田訳に比べると砕けた感じであった鳴海訳をさらに砕き(原文から離れてはいない)、ちょっと古くなった語を現代感のある訳語に変えていて、読みやすい。
たとえがエミリー・ブルースターは原文では、a woman who could always rise to an emergencyであるが、堀田訳では「いつも急場に強い女」になっている。これを鳴海訳では「いざというときにいつでも対応できる能力をもった女性」とし、本書では「優れた危機対応能力の持ち主」と訳している。
最近話題の女性言葉訳語も興味深いが、たとえば、元女優アリーナの会話一人称は堀田訳では「わたし」であったのだが、鳴海役は「あたし」にしてしまった。それを本書では「わたし」に戻している。
語尾については、本書も「わ」などの典型的女性会話語尾(一般読者が女性らしいと思っているが、現実の日本女性はほとんど使わないらしい会話語尾)を取り除くのは無理だったようである。