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グロテスク
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グロテスクの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.94pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全288件 281~288 15/15ページ
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胸が痛くなるほどの差別にリアルに、生々しく出会ってしまった。タイトル「グロテスク」とは怪物の意のようである。登場人物は語り手の「わたし」と美貌の妹の「ユリコ」、「わたし」の同級生の「和江」らが世の中で遭う貧富、美醜、育ち、学歴の差別、抑圧などがストーリーに散りばめられ、それがグロステクな気配を漂わせているようだ。「わたし」、「ユリコ」、「和江」らの高校時代の話は同級生たちとの無言の見栄の競争、同性間の美醜差、勉強での優劣など誰でも一度は味わったことがある差別をそこで思い出すことが出来るのではないだろうか。その時に感じた黒いわだかまりが著者の言葉、本書を介して、放たれていくような感覚も覚えた。 著者は幾年か前に実際にあった東電OL殺人事件に着!を得て、ストーリーを紡いだとのことだ。本書では学歴社会で秀でて、大手企業にて総合職の「和江」のことがその事件を彷彿とさせるが、「和江」自身の日記の部分は夜、娼婦となった彼女の精神が具体性を帯び、グロテスクとはこのことかと唸らされた。犯罪者「張」の上申書も異国での行状が描かれ、これもグロテスクと感じたが異国の地で罪を犯すものの内情が身につまされ、ここに国の間、世界のシステムの差別にも目が向かってしまった。 読んでいる途中、自らの「グロテスク」な部分に気づくこともあり、思わずおののいてしまうこともあった。また一方で現在の自分の置かれている人間関係にも冷静になれるような兆しを与えてくれるような一節も多々あった。 最初は薄っぺらな怖いもの見たさの好奇心!読み進めたが、身近な「グロテスク」、意識に上っていなかった「グロテスク」を発見したような読後で感想は実は尽きない。重厚な手ごたえある1冊だ。 | ||||
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女性3人の独白を中心として物語はすすみます。長編ですが一気に読ませる力があるのは桐野夏生だからでしょう。おもしろいです。中の1人の女性の考えていることが自分とまったく同じなので、読者としてその女性がやはり「怪物」と思うのは自分も相手にそう思わせてるのかなあ、とも感じました。ただ、1人称なのでどうしても周りの状況や反応の書き込みが希薄でした。「柔らかな頬」にしても最後は読者に下駄を預ける手法で、わたしはそれが余り好きではいのですが、それが今作品にもあり、もやもやした「読後感」の悪さもそこから来ていると思うので、桐野夏生の筆力で暗くても明るくてもデッカイ結末が欲しかったところです。 | ||||
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東電OL殺人事件の被害者の心の闇を描く。それは全ての物書きが一様に熱望する題材であろう。しかし小説より奇なる現実を前に男の作家は立ちすくむ。街娼という底辺にたどり着いた女たちの心の闇を描けるのは女の作家だけだろう。それどころか、桐野夏生はこれを通奏低音として、それをしのぐ、世の中の女たちの心の闇を描く。世に想像しうる最低最悪の邪悪の数々。いったん読み始めるともうやめることはできない。先を読みたいという思いと、いつまででも読み終わりたくないという思いが交錯する。繰り広げられる邪悪が身近のものでなくて良かったという、読書する幸福を満喫するが、他方、救いのない結末ばかりに読者の心も闇に染まる。しかしもしかしたら救いがないと思っているのは男の読者だけなのかもしれない。全ての女は「娼婦は自らの肉体を売ることによって世界を征服した」という心情に共感しているのかもしれないから。高村・宮部らが失速しつつある中、桐野夏生はこの作品でぬきんでたと思う。 | ||||
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「いいものはお日様の方を向いていいる」というのは確か北村薫氏が作中の人物に言わせた台詞だが、本作品はその言葉の正反対を向いている。「悪い」と言っているのではない。文字どうり「グロテスク」なのだ。例えば、数日前に死んだ家畜の腹を割いて、内臓を「ほ~ら、綺麗でしょ」と鼻先につき付けられたら、恐らく人は誰もその内臓ではなく行為そのものを「グロテスク」と感じるだろう?本書の「グロテスク」はそれに近い。腹をくくって読んでくれ。物語の構成としては「柔らかな頬」のように、登場人物達の視点でしか語られない。真実は全て藪の中というやつだ。しかし、物語のキモはそこではない。「登場人物夫々の視点」という各人の「正義」であり「世間」であり「普通」であり「常識」であり「虚構」であり、それら全てが作り出した「認識のズレ」にある。はじめは「東電OL事件」に「ツインピークス」を足したようなものだと思って読んでいた。某カルト集団もチラッとスパイスとして登場し、物語はそれらのごった煮のような様相を呈してくるが、毒はそんなところにはない。嫌というほど語られる売春行為でもない。読み手が気が付かぬほどじわじわと腐敗してゆく登場人物たちの「意識」だ。腐って行く自分を読み手に誇らしげに掲げて見せるところにあるように思う。この物語に救いはない。だが人はこうして彼岸に渡るのかもしれない。 | ||||
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数年前にマスコミを騒がせた「東電OL殺人事件」がモチーフになっておりその真実にせまった力作だと思います。はじめて桐野さんの小説を読みましたがとても引き込まれ一気に読みました。以前、佐野真一さんのドキュメンタリーも読んでいたのですがココに真実があるような気がします。でも、その真実とは不確かな現実と言うべきもので結局、曖昧模糊としているんだということでした。面白かったです。 | ||||
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1997年3月8日、円山町でおきた、OL殺人事件。被害者が昼間は一流企業のエリート、夜は娼婦という二面性を持っており、最後にとった客に殺されたという事件である。6年前におきたこの殺人事件を、作者なりの視点で見つめ直したのが本作品である。作品は、「ユリコのお姉さん」である「私」が、過去を語ることで進む。そして、「ユリコ」「チャン」「和恵」の手記・上申書を交えながら、最終章へと進む。この世の物とは思えない美しさを持った妹「ユリコ」に対する嫌悪と憧憬から怪物的な悪意をまとっていく「私」。怪物的な美しさを持ちながらグロテスクな変貌を遂げ殺されていく「ユリコ」。Q学園高等部での差別に耐え「努力」を信じて大企業に入社したものの「女」という壁を感じ「女」を売ることに自分を見いだそうとして怪物になっていく「和恵」。このほかにも様々な個性を持った「怪物」達が出現し、作品中に様々な「差別・悪意」をまき散らす。決して軽い気持ちで明るく読める作品ではなく、読者によって極端に評価の分かれる作品だと思う。しかし、私自身はグロテスクな怪物達に翻弄され、二段組みの500ページを超える長編にもかかわらず、ページをめくる手を止めることができなかった。なんとも重くやるせない気持ちを抱かせる、不思議でグロテスクな作品である。 | ||||
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例の東電OL殺人事件をモデルにした小説だが、怖い。殺されるエリート女性の心が荒廃して化け物になっていく様がリアル過ぎて、ハイミスの私には恐ろしい。そして周りの人間の悪意も、社会の冷たさも恐ろしい。女性が、それも周りの期待に答えようと頑張ってしまう、社会の歪みを認めてそこで賢く立ち回ろうとすることのできない生真面目で不器用な女性が現在の日本社会でいかに潰され壊されていくかが、これでもかと描写されている。 そうならないために私はどうすればいいのだろうか。この小説は答をくれない。この小説の中には幸せそうな人は皆無である。多分、私達は考え考え一人一人別の方法を見つけて何とか生き延びていくしかないのだろう。 | ||||
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