夜また夜の深い夜
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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ナポリのスラムで母と暮らす19歳のマイコはパスポートはおろか国籍さえ持たない、幽霊のような存在だった。アジア、ヨーロッパの大都会の移民が暮らす街を転々とし、顔を変えるために整形を繰り返す母親に「他人と関わるな、本名を教えるな」と躾けられ、小学校を出たあとは学校にすら通っていなかった。そんなマイコだが、日本人が経営する漫画カフェに出会ったことから外の世界を知り、母親とぶつかって家出し、街で出会ったリベリアとモルドバからの難民であるエリスとアナの三人で犯罪に手を染めながら楽しく暮らすことになった。ところが、マイコが家出直後に出会った日本人カメラマンに写真を撮られていたことから、母親が必死に隠そうとして来た秘密が明らかにされそうになってしまった・・・。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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書簡形式で始まり、ミステリー仕立てで物語が進む。 途中ではま圧巻なのに、結末がそこに着地する?と不可解な終わり方。 | ||||
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辛めのレビューが多いですが‥。 やっぱりマイコはお母さんが恋しくて一緒にいたかったのかな、とラストまで読んで思ってしまった。 国籍をもたない自分はどこで生まれ何者なのか。誰だって自分のアイデンティティは気になる。母親に振り回されどれだけ罵詈雑言を吐かれても母親が好き。一緒にいたい。 マイコはエリスとアナに出逢い、男の格好をして性別を偽り世間を欺いて強く生きていこうとしていたのだと思うけど、ずっと一緒に生きていくつもりだったエリスが殺されたことで何か壊れたというか不安になっちゃったのかな。 最初は七海宛ての手紙ばかりで展開が進まず「本当に桐野夏生作品か?」とちょっと思いました。七海のモデルは重信メイなのですね。 すごく昔の事件なのでリアルでは知りませんが。 グロテスク、柔らかな頬、日没みたいに「読むのしんどいけどグイグイ引き込まれる」感はなかったかな。でも桐野作品には珍しくハッピーエンド(若しくは無理矢理ハッピーエンドにしとこう、みたいな。)でした。 エリスが殺されたのはショックですが。 | ||||
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この作者の作品を初めて読んだ。マイコがヤマザキに追われる所まではおもしろい、と思ったが、後半は雑すぎてこれが人気作家の作品か?と驚いた。シュンと異母兄妹(ではないのだが)、エリスの死、母との再会、実の父、全てのエピソードが「都合よすぎないか?」と思われた。そもそも手紙の相手の七海が必要と思えない。 | ||||
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桐野夏生さんの小説です。外国が舞台ですが、主人公は日本人です。 書簡体の小説ですが、実質は一人称の小説ですね。 海外を転々とする生活をするマイコとその母。 母は整形をくりかえし、どうやら誰かから逃げているようだ。 やがて、イタリアナポリの貧民街で、マイコは漫画喫茶を見つけ、そこで母国のマンガを読んで、人間的に成長。母から家出をする。ひょんなことから知り合ったエリスやアナとともに、犯罪などをしつつ、なんとか生きていく。 実は、エリスやアナも、大変な思いをしてイタリアに流れ着いていた。 マイコは、自分がいったい、どういうわけで、海外にいるのか、知りたくなるが、その真相は、だんだんと明らかになってくる…。 最初は、重信房子とか重信メイとか、そういう流れの話かな、と思ったのですが、実はそれはフェイクで、別の真相がでてきます。 とはいっても、マイコが書いている手紙は、重信メイなのかな、と思わせるものではあります。 真相というか、マイが逃げていた理由というのが、宗教団体で…みたいな展開になってきて、だんだんと話が小さくなっている感じがしました。 また、マンガがマイコの人格を作るところがあるのですが、そのマンガの緩さに気づき、それをのりこえるところが、なんとなく桐野さんのマッチョっぽさを感じさせてくれます。 マンガなんかじゃ、現実に向き合えねえぞ!ってなもんですよ。 海外からみた日本という視点で、日本の矛盾をあぶりだしているところは、さすが桐野さんですね。 | ||||
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何というか、桐野夏生には、2つ以上の作品的な系統があって、一つはどうしようもなく救いがない系統のもので、もう一つはどこかに救いがある感じのもの、というのがぼくなりの見立てである。 例えば『アウト』などは、凄惨な世界を描きながらもどちらかと言えば後者で、ほのかな救いがある。 東電OL殺人事件をモチーフにした『グロテスク』などは前者である。 まあ、こういう両極を好んで描く作家は多いわけで別に桐野だけに該当するわかじゃないがw それで、本書だが、あまり救いがない系統の一作である。 何かに追われて世界中を転々としている母子。 その母子のナポリでの生活の話である。 ナポリは何年か前にポンペイ→アマルフィに行った時に往復で寄り、博物館の素晴らしさと街の汚さに圧倒されたが、そんな感じがよく描かれている。 娘は、七海という、ある記事で紹介されている難民キャンプにいる女性に、手紙を書く。 この七海は、明らかに重信メイさんがモデルである。 その理由は、その母(重信房子とみられる)が日本でテロリストとして逮捕され、重い病気にかかる、というようなことからも容易に連想できる。 そして、オウム真理教とは別とされつつも、やはりオウム的な教団が絡んで、その母子は追われる。 話しは二転三転してそれなりにスリリング。 成長の物語でもなく、母子の愛情の話でも、友情の話でもない。 読後感は、疾走感というところだろうか。 | ||||
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