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(短編集)

砂の女



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砂の女の評価: 4.30/5点 レビュー 220件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.30pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全220件 141~160 8/11ページ
No.80:
(1pt)

挫折 俺には耐えられなかった・・・・。

評価が高いので読んでみて,途中で読むのがつらくなり挫折・・・。

わかるようなわからんような、はっきり意味わかんない。はっきりいって一般向けではない。

書かれている年代も古いし、不条理な世界。┗(;'Д`)┛

漫画ならついてこれたかも・・・・・芸術作品風なので素人が読むのはヤバイです。

これがおもしろいといってとても人には薦められない。ちょっとやばい人かもと思われそうです。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.79:
(4pt)

第二章で終わっていれば良かったと思う

第三章は蛇足な様な気がする…。 なぐさみ物なら第二章の中で、新種の蜘蛛の存在を予感させるくだりがあり、湧水よりも説得力がある。 それになんと言っても、二章最後の男の言葉がとても好きだ。 「納得がいかなかったんだ…人生なんて、納得ずくで行くものじゃないだろうが…しかし、向こうの方が、ちょっぴりましに見えたりする…このまま暮らしていって、それで何うなるんだと思うのが、一番たまらないんだな…どの生活だろうと、そんなこと、分かりっこないに決まっているんだけどね…すこしでも、気をまぎらせてくれるものの多い方が、なんとなく、いいような気がしてしまうんだ…」 初めて男が女に本心を告げる場面で、それに対して女は「洗いましょう…」とだけ返している。 今の男にはここの生活が全てで、最後には「あいつ、今ごろ、何をしているだろう?」と現実世界の妻を気遣って締められている。 この今自分が脱け出せないでいる不条理な空間から、まだ忘れていない現実に対してボンヤリ想う所もいい。 まぁ、第二章で終わると、冒頭の一文が意味不明だけど…(笑)
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.78:
(5pt)

エロティシズム

随分前に読んだので細かな内容は覚えていないが、ただ、いまでも印象深く残っているのは女がとにかく官能的、エロティシズムを感じる女だったと。登場したばかりのときはなんだか汚らしい気味の悪い女だったのが、共同生活が始まり物語が進んでいくと妙に色気づいてきて、物凄くエロチックに見えてきた。
砂に囲まれた閉鎖的な空間と、男女ふたりきりしかいないという状況がそうした官能的な部分を刺激していったのかもしれない。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.77:
(4pt)

砂の概念

非日常的な状況をリアルに描写している。砂の描写はすごい。
読んでいるうちに気分が悪くなるほどに。
テーマとしては自由や生きる意味、幸福、労働となど人生を考えさせられる。
いずれにせよ根源を問われている。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.76:
(4pt)

誰もが「何か」に囚われている

砂の世界に囚われた集落と、そこに迷い込んだ男の物語。
砂と共に生きる非現実な日々を描いた作品であるが、
村人に対し、そんな村は捨てて逃げ出せばいいのにとは思えない。
なぜなら「砂」はあくまで比喩でしかないのだ。
この小説を読むと、結局は誰もが砂に代わる「何か」に囚われていることを思い知らされることだろう。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.75:
(5pt)

独自の世界観に、迷い込んだら抜けられない!

子供の頃「棒になった男」を読んだとき、なんともいえない不思議な感じがしたのを覚えている。
この「砂の女」も、夢の中の物語を読んでいるようだ。

今更私が言うまでもないが、やはり彼は天才である。

なんと言っても、比喩表現が素晴らしい。随所にちりばめられる比喩表現だけで、一つの物語が成立するぐらいである。そいう意味では二つの物語を読んでいたという錯覚さえ覚える、何もかも超越してしまった感さえする。

また、文章のテンポも絶妙だし、何せ気が利いている。そんなわけで、読んでいて退屈などする訳がない。

男の葛藤と、女の達観した姿勢…
最終的にはこういう生活も良いのかもしれないと思えてくる。
自分も現実逃避して、この男のような体験をしてみたいと思うくらいだ。

砂の支配する部落へ主人公の男が迷い込んでいく…
導入部分から、既に物語に入り込んでしまっている自分がいる。

非現実な世界を、とことんリアルに描く。
間違いなく、これは単なる文学を超えた「芸術作品」である。
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No.74:
(5pt)

世界は砂みたいなものじゃないか。

この作品では、最初の第1章でいきなり結末が明かされる。
 それなのに、男が閉じこめられた砂の底の家から脱出を試みるたびに、今度は成功するかとハラハラしている。
 その絶えざる流動によって、いかなる生物をも、一切うけつけようとしない砂。定着をやめて、砂の流動に身を任せてしまえば、もはや競争もありえないはずである。
 このように砂に対して言いようのない衝撃と興奮をもつ男が、とある砂に囲まれた部落で、
 砂かきをやめれば部落全体がダメになるから男手が必要なのだ、という理不尽な理由から、囚われの身となる。
 当然男は、毎日砂をかくことの繰り返しという生活に何の意味も見いだせず、何度も脱出を試みるが、うまくいかない。
 どこまで行っても城にたどり着けないカフカの小説のように。
 そして、部落の男たちに油断させるため、まじめに砂かきをするふりを続けるうちに・・・。
 とにかく、この作品は、それほど長くもなく、比喩を多様した見事な文体で、ぐいぐいと読者を引きつける魅力がある。
 一読の価値ありである。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.73:
(5pt)

砂漠とは何か

砂の女は、安部公房の特徴が表れている作品といえるだろう。安部文学の砂漠的な、どこか、異国的で人間の実存を深く抉るようなカフカ的な側面と非常に日常的なそれでいて、どこにもないような世界が上手に織り込まれている感覚が「砂の女」にも確かに存在している。一体、砂とは何であろうか、主人公の教師は作品の初めから終わりまでこの問題と格闘することとなる。砂は時として、物理的な存在として、また、精神的な幻想の表れとして、我々の前に姿を現す。しかし、この砂は決して、確定された存在では無い、それは、形容しがたい「砂」である。安部公房はかつて言語化できるなら、小説など書かない、小説とは意味以前の何かを描くための一形式であると言った。つまり、この「砂の女」においてもおよそ大意だとか、作者の主張を説明することは無意味であるだろう。
 仮に、上述のようなことを前提として、言うべきことがあるとすれば、簡単な感想を提供するしか無いと思う。この小説を読んで、私は自分の実存について考えさせられた。私は一体何の意味を持ちうるだろうか、意味というものは、ともすれば無意味である。しかし、人は意味つまり、目的無しに済ますことができないのだろうか。主人公の教師は、作品の後半部分において、自分がこの砂の穴の生活に目的を感じ始め、穴から逃げて戻ろうとしている「現実」の無意味さを思うが、これは、理由のないことでもない。日々の砂運びの仕事に打ち込むことで安心し、満足感を得る主人公の教師、この心境は、このレビューを書いて意見の提供を目的とする私にも言えることだろう。
 以前、アルベルト・カミュの「シーシュポスの神話」を読んだが、「砂の女」において示されているテーマとも実存を問うという点では共通性があるとも感じられる。シーシュポスは永遠に叶わない目的の為に永遠の努力をする。それは、とても幸福なことであるらしい。「砂の女」に出てくる教師も穴から出るという目的のために努力するが、穴から出て、何をするというのか、結局新しい穴に囚われて、努力するだけではないだろうか、少し、私見を述べすぎたが、一つだけ言えることがある。
 この作品は小説というだけでは無く、我々自身にとっての重大な問題でもある。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.72:
(4pt)

隔絶された世界との遭遇

砂丘に昆虫採集に出かけた主人公は、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められ、そこでの生活を余儀なくされる。 隔絶された世界の中で、自己の存在理由を問いています。

人は不条理な状況下に置かれても順応する生物なのかもしれません…。

「納得がいかなかったんだ…まぁいずれ、人生なんて、納得ずくで行くものじゃないだろうがこのまま暮らしていって、それでどうなるんだと思うのが一番たまらないんだな…どの生活だろうと、そんなこと、分りっこないに決まっているんだけどね…まぁ、すこしでも、気をまぎらせてくれるものの多い方が、なんとなく、いいような気がしてしまうんだ…」
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No.71:
(5pt)

現代人 (特に社会人) に薦めたい珠玉の一品

安部公房の作品の中で最も知られ、読まれているであろう作品がこの「砂の女」。
内容は他のレビューで数多く触れられているため割愛致します。

「砂」という「定着しない物体」の中に放り込まれた男、
男の言う「自由無き世界」、その世界に当たり前のように「定着する女」。

「自由」「希望」「夢」「生きがい」というものに対する
価値観を激しく揺さぶられる作品です。

そして、文学としての評価はさることながら、
この作品の特筆すべき点は、
エンターテインメント作品としても
超一流だということでしょう。

分り易い言葉に文章、情景や心理が手に取るように分る見事な比喩、
否が応でもハラハラとさせられる構成。

ページをめくるごとに読み手も
砂に支配された混沌の世界へ放り込まれることでしょう。

読み終り、砂の世界から解放された時、
何かを見つけ、感じることができるのではと思います。

本書は1962年、今から約50年も前の作品です。
読む前から、「古いんじゃないか?」と、
思ってしまう方もおられるでしょう。

しかし、本書を読めばそれは大きな間違いだったと気付くはずです。
良い作品というのは普遍性が高いため、時代を超越します。

特に、酸いも甘いもを経験している社会人の方には
是非この本を手に取って頂きたい。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.70:
(2pt)

私には早過ぎた

読書家でもないただの十代の私には、この本はまさに馬の耳に念仏。
この本を傑作と呼ぶ方々を批判するわけではないけれど、私には良さが感じられませんでした。
他の方がレビューに書かれているように、普段本を読まない人には向いていないかもしれません。

私なりの言葉で一言感想を言うなら「汚い」

正直私にはあわなかったようです。
始終纏わり付く砂、不条理で閉鎖的な空間、ねばねばした喉の渇き、そこで行われる性交…とにかく不快でした。私には早かった…。
それしか印象にありません。
生理的に受け付けられない要素がありすぎて、中身を読む余裕がなかった…

もっと読書量を熟して、肥えた目で読んでみたいです!
良くも悪くも、衝撃を受けたことには変わりないので…
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.69:
(5pt)

カミュと構造

カフカとの対比は指摘されていますが、カミュとの対比はないですね。カミュの「ペスト」との対比がおもしろいと思います。
「ペスト」はある架空の町でペストが蔓延し、その閉鎖された町の中で疫病と戦う人々をたんたんと描いた1947年のフランスの小説です。まあ専門用語とかはいいんですけど、直後から流行する思想である「構造主義」の端緒となった視点が提出されており、その点で有名です。小説ではペストは最後に収まりますが、医師リウーは「ペスト」との戦いが人間がいる限りつづく、「終わりのない戦い」であることに気づきます。ペストのラスト。

・・・ペスト菌は決して死ぬことも消滅することもないものであり、数十年の間、家具や下着類のなかに眠りつつ生存することができ、部屋や穴蔵やトランクやハンカチや反故のなかに、しんぼう強く待ち続けていて、そしておそらくはいつか、人間に不幸と教訓をもたらすために、ペストが再びその鼠どもを呼びさまし、どこかの幸福な都市に彼らを(人々を:引用者)死なせに差し向ける日が来るであろうということを。

砂とペスト、閉ざされた部落と町など、両者の物語は酷似しています。この閉塞感、とらわれる感じは仏教でいう「業」のようなものでしょう。人間がいくら努力しようと、何を発明しようとも、逃れられない運命がある。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.68:
(5pt)

砂の女

話の構成自体も凄いのですが、男の末路がどうなったのか、
含みをもたせるラストが意味深で、惹かれます。
落ちることには抗えない魅力もあって、足を絡めとって行くような描写がたまらなかった。
男の生きる気力や意志は、少しずつ砂に吸われていったのでしょう。
むしろ最後は砂とひとつになることを望んでいたのでは、とも。
砂=女という解釈でもありますが、ほんと安部公房はすけべだと思いました。
文体や比喩が美しく、たった数行で、鮮やかに情景が浮かびます。
女のしつこさ、粘つき、静謐さ、神聖さ、一度は読んで欲しい名作です。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.67:
(1pt)

最初に読む必要はない。

安部作品の中でもとりわけウェットで「日本的」な作品。
これが海外でも評価されたのは、その普遍性もたしかにあったが、日本という異国の地の作家に対するオリエンタリズムとしての評価も多分に手伝った。
これが最高傑作とされる安部公房の現在の評価は不幸なことだと思う。
同じくウェットな作品なら『飢餓同盟』や『石の眼』や『けものたちは故郷をめざす』のほうがずっと面白く読める。

「不条理前衛作家」安部公房が、わかりやすい普通小説を書いた。
ただの普通小説ではなくて、ちょっとばかり教訓もこめてみた。
だからそこに意味されるものはだれもが理解できた。
「オレにも不条理がわかったぞ!」そんな気分になった。
それだけのこと。『砂の女』は安部にとっては異色作なのだ。

最初に『砂の女』を読んで「安部公房ってこんな作家なんだぁ」などと思われては大変だ。
『砂の女』は後で読めばいい。寝苦しい夜に、もっと寝苦しくなるために読めばいい。

カラスの名前が「ホープ」じゃなあ。
「ほら、お前らはこういうのが高尚だって思うんだろ?」安部にそう言われているようで苦笑してしまう。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.66:
(5pt)

時代を超えて読み継がれる作品

小学5年生のころ「魔法のパイプ」という物語がラジオで放送され夢中になって聞いた。ちょうどテレビが一般家庭へ普及する少し前だった。番組への投書に、これはテレビにならないのですか、というのがあって、パイプの答えはパイプのヒゲが400本になったら出来るということだった。テレビにはならなかったが安部公房という名は覚えた。そして、高校の国語の教科書の「赤い繭」で再会した。以後、安部公房の作品を夢中になって読んだ。それだけ「赤い繭」に大きな衝撃を受けたのだった。
 そして20歳のころ「砂の女」も読んだ。たぶんこの砂の中に閉じ込められた生活は現実にはない砂のすり鉢の底だけど、見ようによったら現実の我々の生きている世界そのものだと思ったと思う。
 
 今も多くの若い人たちがこの本を読んでいることに、はじめは何か意外な感じがしたのだが、それはむしろ当然のことだったのかも知れない。安部公房の作品は時代を超えてひきつけるものがあるのだろう。

 「砂の女」のテーマは遠く2000年以上の昔にインドでも考察されていたことだと思う。仏教経典にすでにこのテーマを扱っているものはあるのだ。人間の日常の生活をどう捉えるかということにおいて、このテーマはいつの時代も気になるテーマだったのだろう。
 これを踏まえてどう生きるかが次のテーマとして当然あがって来る。小説不落樽号の旅―十四万三千年の時空を超えては、その次のテーマを扱っているのか、それとも根本的に日常生活の捉え方を「砂の女」とは別にしているのか定かでないが、砂の女とともに今わたしが気にしている作品です。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.65:
(5pt)

「砂の女」向きの読者、そうでない読者

非常に多くのレビューがすでにあるので、
作品を読んで感じた「こういう人には向いていそうだ」ということを述べるに留めておきます。

特に向いているのは、現代文学と呼ばれる類の小説をいくらか読み、気に入り、もう少し毛色の違う小説を読みたいという人です。
私は文学部でもなんでもありませんが、この小説を読んでずいぶんと衝撃を受けました。
これでもかと続く心情描写に心を揺さぶられます。

逆に向いていないのが、普段ほとんど本を読まない人や、いわゆるライトノベルをメインに読む読者ではないかと思います。
「この小説はストーリーも非常に作りこまれていて魅力的である」という反論もあると思いますが、慣れない読者はなかなか最後まで読めないのではないでしょうか。
エンターテイメント小説と比べて、(上にも書きましたが)地の文による心情描写がこれでもかと続き、読む方の根気もある程度必要とされます。
いわゆる純文学にももっと会話のテンポでトントン話が進むものもありますので、先にそういった作品を読むのがいいかと思います。
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No.64:
(5pt)

ここまで想像力をかきたてさせる文章力がスゴい。

■概略
ある日昆虫採集のために砂丘へとでかけた男は、村人の策略で砂穴の底にある一軒家に閉じ込められることになる。
降り積もる砂から家を守ろうとする女、あらゆる手を尽くして脱出を試みる男、
村の存続のために男の脱出を妨害し二人の生活を見守る村人たち。
やがて月日は流れ、男は穴の中の生活に順応していき・・・

■感想
退屈な日常から突如非日常に投げ込まれた主人公の心理状態の変化が、読む者の野次馬根性をくすぐる。
男の状況は、まさに悲劇。現代社会の常識が一切通用しない、理不尽の塊のような暮らし。
立場の弱さから村人の言いなりになるしかない哀れな男の悪あがきとその結末は、
読み終わった時に言いやれぬ憐れみと興奮を覚えさせる。

■一般的見解
部落社会での生活の不自由さや幽閉生活、そこに見られる人間の残忍な性質といった現代社会へのメッセージ性についての評価が高いみたいです。
有名な文学作品ということもあって様々な研究者によるレビューも多いですが、
なんというか・・・そういうレビューについては深読みのしすぎな感がありました。
作品を文学的に評価する際にはそいういうメッセージ性や社会影響について語る必要があるのでしょうし、
そういう読み方・考え方があるのはわかります。
が、「そういう観点以外からこの作品を語るのは間違っている」というような、
文学的批評を強要するレビューがあったのは気になりました。

最後に、「砂」に関する描写がやけにリアルで、読んでいて不快な「ザラつき」を覚えたとまで言わせるのは、
作者の文章力のなせるワザですね。

■総括
単純に読み物として面白く、特に難しく考えることなく一気に読み終えることができました。
あと、個人的には、女に関する描写がやけに艶めかしかったのが印象的でした。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.63:
(4pt)

良くも悪くもねちっこい。

穴に落ちた、という事実だけでここまで長い文章を書く発想力と構成力は凄いと思う。
読んでいる途中でねちっこさに嫌気を感じることもあったが、読んで損をした気はしない。
精神的強姦の話とか、休日サービスをする父親の話とか、目を背けたくなるようで背けられない閑話も多かった。
然し、救いようのある最後であった。一読の価値あり。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.62:
(5pt)

本から砂が湧いてくる

タイトルのとおり,読んでいるうちに本が砂でざらついてくるような錯覚さえ覚える,脅威の描写力である。
氏の作品には個人的に気になる作品が多く概ね読んでいるが,それらの中でも最高の1冊といえよう。

主人公は,不条理な世の中で折り合いをつけながら生きる運命を背負わされた,すなわち"現代人"である。作品に出てくる砂の壁に囲まれた世界も,我々が日常を過ごしているこの世界も,大きく見れば大差ないのではないか。

このようなことまで感じてしまう。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.61:
(2pt)

あまりピンと来なかった。

「最高傑作」と言われていますが、自分には合わなかったみたいです。
確かに、著者の想像力はすごいと思います。
文章は、まるでノンフィクションであるかのように緻密でした。
また、テーマである「砂」に自分の人生を比喩している点も、なるほどと思いました。
しかし、深さ以上に世界の狭さを感じます。
主人公のウジャウジャウジャウジャした脳の中のお披露目会みたいで、
あまり入り込めませんでした。
私がまだ若いから理解不十分なだけかもしれません。
10年後に再読したら、面白いと思うのかも。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X

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