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(短編集)
砂の女
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【この小説が収録されている参考書籍】
砂の女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.34pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全209件 201~209 11/11ページ
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この作品は、安部公房の中で、唯一「普遍的な高み」に達していると思います。というのは、その他の作品の、他人の顔、壁、箱男、密会、方舟さくら丸、そしてカンガルーノートといった作品は、どれも極端な「特殊」の部類に入っているからです。ですから、安部公房の作品を何か読みたい、と思っている方は、是非この作品を読んでみることをおすすめします。文学的な含みがたくさんあり、無限の広がりを見せる作品だからです。多くの比喩にも着目してみて下さい。安部公房の「実験」が、文学的に最高の高みに達したのが、「砂の女」といえるでしょう。(なお、この作品を読んで、安部公房の他の作品にも触れてみるのもよいでしょう。ただし、着想やイメージが極端に特殊化しているので、多少「砂の女」とは温度差を感じるかもしれません。しかし、そんな安部公房の世界を探険してみるのもよいと思いますよ。) | ||||
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日常と非日常 ――― ただの虫好きの内向的な中年が、砂漠で珍虫を追っていくうちに砂漠に暮らす村へと迷い込んでしまう。日も暮れて帰れなくなった主人公は一晩だけの宿泊を求める。村人に案内された宿には女がいた。砂を深く掘り、梯子を降りてその中に住んでいる女。非現実的状況のはずなのに、妙に現実的で生々しい女の描写と、砂穴の描写。砂穴に閉じ込められてしまった主人公だが、日が経つにつれて次第にすべてが日常化してゆく。それは馴化なのか、それとも特化された環境の中で悟る人生への諦観なのか。。。 本を開けてただの文字列を読んでいるだけなのに、なぜか息苦しくなり、口の中に砂を感じてしまう --- それほどの表現力に満ちた作品。この作品は安部公房の作品の中でもストーリーが分かりやすく、頭の中にイメージを創りやすいのではないでしょうか。安部ワールドを覗くには最適の一冊。 | ||||
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砂の中へ閉じ込められるなんて本当に怖い設定でした。主人公が脱走した時は我が事のような気持ちで読みました。ずーっと外に出ることばかり考えていた主人公が、最後の出られる状況になった時に逃げることよりも部落の人に水を溜める方法を自慢げに教えることを考えていた時には人間ていうのは変わるものだなと思いました。それに女が砂の中に留まる理由にも考えさせられました。 | ||||
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安部公房は私が今まで読んだ作者の中でも最もレベルの高い比喩の使い手だと思う。砂に侵食されている家に住む女に対する描写は鋭すぎて同じ女として胸が痛むのだがいい得て妙の感がある。また、学生時代にわからなかった比喩が社会人にになって人並みに辛酸を舐めた今日になってやっと理解できるようになった。私のような頭の足りない人間が表現しきれない感覚を、その独自の鋭い比喩が上手く表現して私を救ってくれるのである。 | ||||
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舞台設定はとにかく素晴らしい。こんな舞台を考えつくだけで天才的 といっていいだろう。 だが、読者をその舞台に引きずり込んだ後延々と同じレベルの恐怖が 続く。これを私は金太郎飴ホラーと呼ぼう。 筆力の足りない作家であると、書き進むにつれネタが尽き、右肩下がりの テンションになるわけであるから、同レベルが続くことはむしろ才能が あることを示している。が、めくるめくジェットコースター的世界観の 転覆を期待したら裏切られるので、こたつに入りながら蜜柑を食べるように 熱狂を欠落させた状態でしみじみと楽しむのに向いた本。 | ||||
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「罰が無ければ、逃げるたのしみもない」 冒頭に記されている、この言葉の意味がわかったときに戦慄を覚えました。 主人公は、突如として砂の穴の底に閉じ込められ、 人間の尊厳を奪われた生活を強いられます。 その心の中に最後に芽生えたものは、 果たして「希望」だったのか?それとも「絶望」だったのか? 人間の心に潜む暗部に正対し、 恐怖小説とは異なる怖さを感じさせる作品です。 | ||||
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砂に埋もれていく部落という非常に非現実的な世界でありながら、そこに疑問の余地をはさませない巧みな描写は脱帽ものです。最後の一文を読み終わったとき、人間心理の恐ろしさに思わず身震いしてしまいました。この話の終局に向かう過程は次の言葉に集約されます。『罰がなければ逃げる楽しみもない』 | ||||
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学校教師の主人公は灰色の日常、日々の虚脱感、etc.全てから逃れるため、趣味の昆虫採集へ…。男は一時的な日常からの逃避のつもりだった。しかし、思わぬところから砂と戦う愛郷精神いっぱいの村で一軒の家に砂をかき出す労働力としてとらわれてしまう。あらゆる方法で脱出を試みる男、しかし逃亡は失敗。しだいに男は自分が逃げ出してきた日常生活よりももっと虚無的な砂の家での生活に自らなじんでゆく。インテリな男が砂についての分析、一般社会での失踪者の扱われ方、村の人々を分析すればするほど、むなしく、哀れに見える。そして、残酷な女の言葉「かまやしないじゃないですか、そんな、他人のことなんか、どうだって!」。楢山節考と並ぶ恐ろしい日常生活と、人間の精神の順応性!ついに逃げ出せる機会が来た時、男は… | ||||
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ある中年の男が、砂に埋もれかかっている部落に昆虫採集に来るところから物語は始まる。そこで男は未亡人に捕まり、一緒に生活し家を砂の被害から守る手伝いをする羽目になる。徹底した砂のリアリズム描写は読むものを圧倒します。シチュエーションが全くナンセンスであるにもかかわらず、読んでいくうちにこんな部落が現実に存在するのではないかと錯覚してしまいます。非常に深いのでじっくりと読んでください。 | ||||
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