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(短編集)

砂の女



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砂の女の評価: 4.30/5点 レビュー 220件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.30pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全220件 41~60 3/11ページ
No.180:
(2pt)

新聞で紹介されてたのに…

新聞で紹介された本で、興味を持ち読み始めましたが最初から入り込みにくく、途中で止めようかと思いましたが紹介する位の本なら最後まで読まないと…終わってからも何も残らない本でした。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.179:
(5pt)

生の極限としての性を「砂」の硬質性で描く

カフカ的な寓話性の強い作品だが、『砂の女』はまず、西洋文学における「砂漠」の位置に鳥取の「砂丘」を据える。そして、直径1/8 mmという「砂」粒を存在論的な単位として、確定し、そこから、個体の生、男女の性の営み、家族、共同体、都市、文明生活のすべてを演繹してみせるスケールの大きな寓話性が素晴らしい。宇宙の存在が時間・空間という枠組みで出来ているように、この地球という星は存在論的に「砂」に依存して、かろうじて存在している。女は究極的には誰もが「砂の女」であり、男も、主人公の31歳の仁木順平が最後にそうなったように「砂の男」なのだ。§20と21にある、砂まみれの硬質な性愛描写が衝撃的だ。私はレネの映画『ヒロシマわが愛』の冒頭を思い出した。我々文明人の性愛は、馴育され、何重にも制度化され、ルール化され、自己意識によって管理された性愛である。しかしそのような性愛しか知らない主人公の男は、ずっと砂の穴に閉じ込められていた女との性愛によって、我々の性の被管理性に気づいて愕然とする。「紐を手で押さえたままの姿勢で、女は男のわきを通りぬけ、部屋に上り、モンペを脱ぎはじめる。前からつづきの動作を、そのまま続けているような、よどみのない自然さだ。こういう女が、本当の女なのだと、男は心の中でもみ手する。・・・ズボンといっしょに、一つまみほどの砂が、指[=ペニスのこと]のつけ根をくぐって、内股に流れる。・・・[砂崩れの]なだれが止んだ。待ち受けていたように、男も一緒になって、女の体の砂をはらう手伝いをはじめる。かすれた声で女が笑った」(p156~159)。しかし直後に男は、こうした性愛も空しいことに気付く。「こんなぺてんを、野生の恋などと、よくも思い込んだりできたものである。回数券用の[パター化された]性とくらべて、はたしてどこかに取り柄があるだろうか?」(p161) 「砂」が存在論的単位である地球の上では、豊饒にみえるものはすべて仮象であり、すべては荒涼としており、性愛もまた例外ではない。そのことを、妥協することなく硬質な文体で描き切ったところに、『砂の女』が二十世紀世界文学に占める傑出した位置がある。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.178:
(5pt)

砂の女

面白かったです。
本の状態もよかったです。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.177:
(5pt)

安部文学の源流

私が『砂の女』を最初に読んだのは、高校生の時だった。その頃には既にこの作品は映画化されていて、だいぶ後になってから観る機会にも恵まれた。しかし映画でダイレクトにイメージされてしまった物語は、主人公が地方の寒村の因習に取り潰されていく哀れな男のよう感じられ、本で読んだ時のような幻想性が後退していた。安部氏の発想は、ハンミョウの幼虫が砂に隠れて待ち伏せて、知らずにやって来た獲物を引き摺り込んで食ってしまうところにある。そのシュールレアリスティックな感性は読んだ人、個人によっ異なっているはずだ。また人間には失踪願望のような隠れた心理がどこかにあるらしい。男は砂塚の中の女の家に閉じ込められた時、そこからただひたすら逃走することだけを考えていた。しかし家の主人の女が妊娠して、村人達に連れて行かれてからも、逃げ出すことができたにも拘らず、どうやら留まることを決心したらしい。何故なら受理された男の失踪届には七年の歳月が流れているからだ。女は蛹のようにくるまれて、釣り上げられていったという表現も、昆虫採集に来た男の幻想が良く表れている。

安部公房の作品の主人公には、固有名詞が全く使われていないか、使われていてもそれほど意味のない場合が多い。『砂の女』でも男の名は仁木順平だが、名前自体には何の意味もないし、物語の中で名前で呼ばれることは一度もない。安部氏は読者が主人公と共有できる心理を隠し持っていることを知っていて、読者が主人公になったように話を追っていくというテクニックを巧みに使っている。閉鎖された空間に閉じ込められた時、選択肢は二つだ。最初に男が画策したように、あらゆる手段を使って逃げ出すか、あるいは条件を受け入れて砂塚に留まるかだ。はっきり言ってこの男が、その後どうなったかは書かれていない。少なくとも元の社会には戻らなかったことだけは確かだが、砂塚に留まったという確信も持てない。

最近カミュの短編『不貞』を読んで、砂の描写が非常に印象に残った。安部氏は、もしかしたらこの作品を知っていたのかも知れないという確信に近いものを得た。勿論安部氏の方が徹底して掘り下げているが、砂に対する感触が共通しているのは偶然とは思えない。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.176:
(5pt)

安部公房を読み始める人はまずこの作品から

安部公房を高校時代の国語の教科書で知り、読んでみたいと思い購入した。

独特の世界観と表現が癖になり、物語も非常に臨場感溢れる作品である。

序盤は場面が想像しにくいと思ったが、中盤から終盤にかけて明確になり、かつ面白くなっていくので、これから安部公房を読む人はこの作品から読むと良いのではと感じた。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.175:
(5pt)

無力感が行き着く先

恐い内容だなと思いました。

砂の世界で生活していかなければいけない境遇に陥っている苦悩、
そこから出るために様々な脱出を行っても全てダメになる絶望。

徐々に主人公の男が砂の世界に適応していく様が怖かったです。

学習性無力感というものなのでしょうが、その気持ちに至る過程を
文章化するとこんなにも怖いとは思いませんでした。

人間はどんな環境にでも適応できることも、この物語が語っている
ことだと思います。

この本が名著と呼ばれる理由がわかりました。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.174:
(5pt)

あなたにも身に覚えが、、、

ミイラ採りがミイラになった、という単純な話でもない人間社会の縮図。安部公房文学の頂点。必読。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.173:
(4pt)

名作

砂の穴に閉じ込められて、まず自分のことを反省する人はいない。誰かのせいにしてしまう。
その有様を明確に示しているのは、過去の時代に書かれているにもかかわらず、古さを感じない。
今、コロナ禍に置かれていることを考えると、まだ、誰かのせいにしないだけ良いが、自分の今までを
振り返ることはこれから出発するためには大事で、ばねを圧縮させ、飛び上がるエネルギーを蓄えるタイミングと捉えることはできないだろうか。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.172:
(5pt)

中年の危機と男女の根本的相違

河合隼雄氏が、著書「中年クライシス」の中で、
「中年の危機」をテーマにした作品の一つとして本書を紹介されていました。
「あれ、そんな話だっけ??」と思い再読したところ、河合氏の分析に完全に納得。

教師という職を得て、配偶者も得て、しかし充足感を得られない主人公。
何者にもなりえなかった自分の人生を省み、せめて虫の名を借りてでも後世に我が名を残したいと、
未発見のハンミョウを探しに人里離れた砂丘へ行く。
これまでの日常とは一見全く異なる(しかし本質は似ている?)文字通りの蟻地獄の中で、やがて彼は彼なりの人生の真理にたどり着く。
折しも、本書が発表された当時の安倍公房氏は38歳。
人生の折り返し近くで価値観の再構築を迫られる、「中年の危機」を描いた作品という分析は正鵠を得ていると感じます。

また、もう一つのテーマは「男女の根本的相違」ではないかと思います。
与えられた環境を変えるという発想すらなく、同じ毎日を繰り返すこと自体を目的とする女。
自分の環境と周囲を見比べ、少しでもましな生活がしたいと、蟻地獄の中でもがき消耗する男。
女の生き方を向上心がないと切り捨てるのか、禅の境地とみるのか。少なくとも本作の主人公は降伏する。
やや昭和的な男女観かもしれませんが、
現代でも、配偶者との間に似たような断絶を感じている方は多いのではないでしょうか。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.171:
(5pt)

とりあえず読んで欲しい

読んだ後の感覚を味わって欲しい。
長いレビューはそれぞれの解釈の邪魔になるのでしません。
素晴らしい本でした
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.170:
(5pt)

無菌のはずの砂に蝕まれていく

砂、というものが明らかにこの世の中の社会そのもののメタファーなのだろうがそれが重層的なことが本書の一番の魅力ではないだろうか。

ただ単純に「砂」に埋もれていく恐怖とその生活の単調さから抜け出せないサバイバルものとしても面白い。
それ以上に主人公の人物設定から面白い。
主人公の職業は先生であり己をただ川底に置かれた石であり自分を通過していく生徒は自分を乗り越えて流れ去っていく存在として捉えている。
「希望は他人に語るものであって自分で夢見るものではない」
という厭世観のようなものを抱えている人物がこの不可思議な状態に陥ることがより一層楽しいのだ。
これがもともと生きる希望に満ち溢れている奴が挫かれていくだけであれば起伏はさほど存在しないのだが、元々厭世的だった人物を主人公に据えることにより「本当はあの社会に戻りたくて仕方ないんだろう」というとても意地悪なカタルシスを読者側が感じるような仕掛けになっている。

そして何より私がぞっとしたのが「砂」という流動性あふれる状態はこの世で一番清潔な場所と言ってもいい、と提示しているところだ。
自分を乗り越え流れていく生徒たちを常に妬みながら生きてきた主人公が、無菌状態のように清潔な「砂」に溺れ埋もれていき徐々に慣れていく様子は「この世」に慣れていく私たちのようだ。
時には抗い歯向かってはみるものの、結局引きずり戻されていく。
確かに初心な社会人が社会に染まっていくメタファーとも捉えられるが、私にはもっと大きなこの世の仕掛けのメタファーのように感じました。

重層的なアイロニーに富む大傑作SF。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.169:
(5pt)

良かったです。

レビュー遅れましたが凄く商品も良い状態で梱包状態も良く満足です。又機会あれば取り引きお願いします。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.168:
(5pt)

商品説明に偽りなし!

迅速・丁寧な対応に感謝。商品はとても気にいってますし、商品説明通りで気持ちが良い。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.167:
(3pt)

不条理な世界。

<ネタバレ有り>

 なんて不条理な世界なんだ。男は部落の人間に騙されて砂の穴に閉じ込められるのだが、その理由が判然としない。それとない理由が砂の穴から砂を外に出すこと。意味不明だ。男の立場に寄り添って、心底男がこの部落から脱出できることを願ったが、終いには男は砂の穴に安住してしまうのだ。

 何という後味の悪さ。人間に生活適応力があるとは言え、心まで簡単に売り渡せるだろうか?「ショーシャンクの空に」ではないけれど、最後の最後まであがく姿こそ人間の本質ではないのか。砂の穴が「国家」や「組織」や「世間」の隠喩と考えれば尚の事そう思った。

 ただ世界的に評価されてるだけあって、高尚な文学を読んでいるという感覚を味わえるのではないか。また、自分の読解力不足もあるので、再度読み込んでいけば別の解釈になるだろう。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.166:
(2pt)

我慢して読み終わった。何も残っていない。

一人の有名作家を知らないという部分を埋めるための努力はしたが、その努力が報いられたのかどうかは分からない。新コロナのお陰で時間があったので出来たこと。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.165:
(5pt)

安部公房によるシーシュポスの神話だ

読んでいると、心がじわじわと浸食されていくようなグロテスクな雰囲気に満ちている。
無意味とも思える重労働が延々と続く状況でも人間は、ある種の喜びや楽しみを見出すことができる。これは、安部公房によるシーシュポスの神話だ。
ところで、タイトルは何で『砂』じゃなくて『砂の女』なんだろう。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.164:
(5pt)

「砂の女」をもっと知りたい人に

「砂の女」における砂のイメージとは何か?砂の村と主人公の住む都市の二項対立にはどのような意味があるのか?脇役である女はどのような機能を果たしているのか?なぜ男は砂の村に留まることを決意したのか?男が発明した溜水装置は何の象徴か?などなど、「砂の女」にまつわる様々な疑問に関して、多種多様な文学者が解説している。「砂の女」の本質を知るためには必須の教科書。
安部公房『砂の女』作品論集 (近代文学作品論集成 (19))Amazon書評・レビュー:安部公房『砂の女』作品論集 (近代文学作品論集成 (19))より
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No.163:
(3pt)

特になし

45年ほど前映画を見たが映画の方がどろどろした感じがあり強烈であった。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.162:
(5pt)

読後も砂の感じが身体に残る。

お気に入りの歌手が鈴木茂さんの「砂の女」をカヴァーしていて、それが何とも格好良かったので本書を買った。きっかけはさておき。

本書のテーマは「住めば都」である。と言ったら殴られるような気もするけど、当たらずと雖も遠からず、ではないかなあ(、もう1回殴られるかも)。
蟻地獄のような砂の穴底に、まあ言わば拉致られて、砂地の渇きと湿りに苦しみつつも、そこから逃れようとする。
何度もの脱出大作戦に希望を見出し、何度もへこまされ、喘ぐ。
意志をもって逃れようとする自分ではなく、挫け、喘ぐ自分が自分かなと思う。
砂に取り込まれていく。
住めば都、ではないな、居るところが在るところ、か。

読後も砂の感じが身体に残る。
思考実験のようにも感じる物語で、それをわたしは読んでいるだけなのだが、妙にリアルな感覚が身体にまとわりつく。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.161:
(2pt)

社畜も悪くないね、的な。

ブラック企業に就職してしまった社畜が、どんどん適応してなんならやり甲斐さえ見出してしまうような、
そんなアウトライン。

1955年を舞台にしているとのことで、現在(2019年)から考えるとさすがに舞台が古すぎて、
「ちょっと寂れた地方に行ったらありそうな身近なリアル」感は無い。

古典の名作として教養の部類に入るような一冊なので、そういうスタンスからなら、ぜひ読んでおくべき。
いわゆる「なろう小説」だったらなんか凄い展開になると思う。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X

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