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博士の愛した数式
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博士の愛した数式の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.32pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全849件 361~380 19/43ページ
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この著者の作品を読むのは初めてで朝日新聞のゼロ年代の50冊に入っていたことが読むきっかけだった。読みだすと一気に読んでしまった。面白かったのだ。登場人物の関係性に魅了された。80分しか記憶が持たない数学博士と、その博士の家政婦として関係を良い方に持続させようと努める寡婦、そしてその息子。また遠くからこの三人を見ている雇い主である博士の義姉。三人のお互いがお互いを思いやる行動がいくつかの事件を起こす。そしてそれぞれの関係性を象徴するように、精緻な数式が博士によって提示される。また、博士と息子のルートくんが阪神ファンであることが物語に華を添える。読み進めながら次の展開を期待してしまう自分がおり、これは純文学だったはずだが、ストーリー展開を期待させる面白さはエンターティメント小説のようでもあるが、読み終えると三人が一緒に過ごした空間がいとおしく思われて、読んだ後に切なさを感じた。最後の一ページを読み終えるのが寂しく思われた。この作品世界にもうしばし付き合っていたいという感じだった。孤独な者と孤独な者との結びつきのことを考えもした。この読後感を誰かに伝えたいと思うくらい良かった。 | ||||
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大学の教養時代に習った数学の楽しさ。 それまで受験のための数合わせだったのが 数学とはこんなに哲学的だったのかと感動したことを思い出しました。 博士が教えたように 自分の子供にも数学の楽しさをちょっとでも教えられたらと 考え直しました。 数学の無機質ではない暖かい面を感じられる1冊です。 | ||||
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この人の作品は何だか水彩画に似ている。 とても淡く、優しい色を持った文章だと思う。 語り手は家政婦派遣会社で働いている女性。この女性の目線で語られてゆく。 登場人物は、私(家政婦の女性)、博士、私の息子(博士からルートと名前をもらう)のほぼこの3人で苗字とかが出てこないので読みやすい。 ある日家政婦を次々と替える所謂ブラックリストに載る家へこの女性は派遣され、服に沢山のメモをクリップで留めている博士と出会う。 博士は事故のせいで記憶が80分しか持たない為、留められているメモを見て状況を理解する。『記憶が保てない』というテーマは暗くなり過ぎる要素だけど、苗字が出てこない、あだ名で登場人物が呼ばれるという点で和らげられていると思う。 特別な事件やファンタジーチックなものは一切無く、最初から最後まで淡々と日常が語られていくのが、薄く色で輪郭を成すような水彩画の印象を与えるのかもしれない。 勿論、博士の記憶や症状に触れないで話が進むわけではないので、切ない場面にも出会うけど。 愛情なのか家族愛なのか、薄っすらしたそんな感情が見え隠れするところも『記憶が保てない』物語に切なさと刹那さを感じさせてくれる。 | ||||
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小川洋子氏は「妊娠カレンダー」の頃から知っていたのだが、まったく未読のままだった。そして遅ればせながら、この著名な小説に手を出した。このオリジナリティ溢れる完成度には舌を巻いた。博士の数式の世界が二人の親子との見事な交流に具象化されており、特に、博士の記憶の途切れの瞬間を描く切なさに、胸が打たれた。〜著者の文体は虚飾を一切排した簡潔なものでありながらも不思議なやわらかさに満ち溢れ、多くの美しい場面があるが、特に野球場のシーンの素晴らしさなどは絶句するほどに巧い。作品全体はやわらかで静かなやさしさにあふれており、数学の苦手な僕でも三人の交流の中に流れる数の世界の素晴らしさが胸にしみる。読んで良かった。本当にそう思える小説だった。 | ||||
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先ず初めに、「著者は、"綺麗な"日本語を書かれるんだな。」という印象を持ちました。言葉1つ1つが"綺麗"だなと思った。 内容は、博士がいつも心に着ている服が、悲しみを覆い隠す為のものであるという事、そしてそれは、記憶が80分しか持たない事から生じる悲しみである事。つまりは、たぶん、愛する人と共に時を歩めず、"義姉"として傍に居るのに、自分の愛する同一人物として認識出来ず、裏切られでもしたかのような悲しみ、から来るものなのでしょう。記憶が消えるのを痛ましく思う博士を想像して、私も悲しくなりました。 数学という"真理"に果敢に挑む博士。"オイラーの定理"等、数学の事は余り良くは分かりませんでしたが、この本で学んだ中で最も重要なのは、「数字に関する"真理"がこの世を支えるのと同じ様に、心を支えるのも、自分なりの"真実"である。」という事。博士の場合は、"愛する人の存在"がアクシデントで"永遠"になって仕舞い、その想いと引き換えに、80分しか持たない記憶を背負う羽目になりました。何という皮肉でしょうか。 この物語は、"私"である家政婦の視点で描かれています。"私"が家政婦になる前は、数学に没頭するだけだった博士に、変化が起こります。そして80分で記憶を失くして仕舞う博士が愛情を失わない対象、それが"子供"、つまり"私"の子供である"ルート"でした。 そして、クライマックスである物語終盤、不幸な出来事が博士、"私"、そしてルートを襲います。"子供"と"素数"をこよなく愛した博士にとっては、何とも皮肉なアクシデント。私には、涙を止める事が出来ませんでした。 誰もが心に最良の瞬間を焼き写している、そう話が終わります。 私は泣きました。きっとあなたも泣きます。残酷、否、日本語同様、内容が"綺麗"だから泣けるのです。泣きたい人がこの本を読んで損するのは、流した涙の分だけでしょう。 | ||||
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私は優しい大人になりたい。(すでに大人だけれども 笑)そう思わせてくれる静かで優しい大人の小説です。80分しか記憶が保てない博士の優しさが好き。常に誠実であろうとする主人公の家政婦が好き。純粋な優しさを持った家政婦の子供が好き。女としての博士の義理の姉が好き。「前向きに生きる」ってスゴクたいへんそうで、肩が凝りそうな感じがしていましたが、この本を読むと優しい気持ちで前向きに生きたいと思います。そして、いい年をして算数から勉強しなおしたいなぁなんて思う私です。 | ||||
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映画があったのは知っていましたが見ておらず、妻が買っていた文庫だけが書棚に眠っていたのを手に取ったのは、昨日読み終えた「ブラフマンの埋葬」のあと。美しい文章を書く人だということは判っていましたが、特に思い入れも何も無く読み始めたのが昨日。今日の同じ時間に読み終えました。ほとんど電車ででしたが、楽しめました。数学を上手く道具として使いながらも、数学を非常に綺麗に表現されており、数式の意味や中身が判らなくともそうした世界があることは誰にも伝わるのではないでしょうか。まだこの方の作品は2作しか読んでいませんが、いずれも登場人物達の間の距離感がリアルなのがすばらしいと思います。踏み込みすぎず(現実だって人の意識には踏み込めません)、遠ざかりすぎず、実際の人同士の距離感が絶妙な表現で描写されています。そのあたりが、変に露骨な表現やイベントで読み手をハラハラさせるのではなく、自然な表現やちょっとした仕草を使って、下手をすると読み落としかねない具合で刺激として伝わってくる。非常に心地よい文章です。もう少しほかの作品も読んでみようと思います。あわせて、苦手だった数学もちょっと違う視点から再度トライしてみようかと…… | ||||
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80分しか持たない数学博士。彼の数字に対する愛と子供に対する愛。話の途中に出てきた彼が味わう毎朝の絶望を想像すると、胸が苦しくなります。正しい数式の何とも言えないパズルがはまったような一致感、そして正しくない場合の違和感は私にも理解ができました。80分の記憶しかないにもかかわらず、彼と彼女とルートくんの関係は少しずつ変わっていったはず。人にもおすすめしたい本です。 | ||||
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何かこうピンとこない作品でした。数字アレルギーだからかもしれないですけど…響いてくるものがなかった。そもそも家政婦が仕事場に自分の子どもを連れてきていいのか?という倫理的な問題が私には難しい。下手をつると「そんなやつおらんやろ〜」的な世界になってしまいます。読むよりは映画で見たほうがよかったのかもしれません。 | ||||
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最近読んだある講評のようなものでこの本を目にした。そういえば、数年前話題になっていたっけ?今なら安いだろうからまぁ読んでみようかという気持ちでこの本を手にすることになった。まず最初に断っておくが、私はこの本は賞賛を浴びるほどの本ではないと思う。ただ、キレイな日本語であり、中学生や高校生が読書感想文とかで利用する本としてはうってつけの本であると感じました。しかし、もはや青春を通り越した私には本として物足りない感は否めない。腑に落ちない点が2点。まず、小学生と博士の奇妙な人間関係。私の中で、祖父のようないわゆる”おじいちゃん”というものは、小学生の頃の私にとってはあくまで『会いに行けば一番多くのおこづかいをくれる親戚の一人』であり、それ以上では決してなく、祖父のような年配の方の歴史に立ち入るようなことはなかったし、正直興味もなかった。(今は違う)少し冷たいかもしれないが、多くの人にとって幼少期に相対する老人というものはそういう存在ではないだろうか。しかし、この物語では見知らぬ老人であり、かつ、記憶に障害のある老人に積極的に関わる小学生として主人公の息子が登場する。この小学生と自分の小学生時代を照らし合わせるとかなりの違和感を感じ得ない。次に私が、疑問に感じたのは本書における数学の扱い方である。本書では、数学の雑学のような知識が本の中にところどころ散りばめられている。私も知らないことがたくさんあったし、『へぇ〜』と思うこともたくさんあったように思う。おそらく、小川さんは巻末の数学者の方に熱心な取材をされたのだろう。ただ、本の中に散りばめられたものは、パズルのピースのような役割に終始し、知識の枠を決して逸脱できず、そこに論理は見られなかった。もちろん、小説なのだからそれでいいのかもしれないが、オイラーの公式について熱心に調べる場面があったものの、最後までこの式はボカされ、モヤッとしたままでその役割を終えている。おそらく、オイラーの公式について著者自身が理解できなかったのだろうが、あえて理解できなかったことを本の中でメインピースの一つとして登場させることは、小説自体をいびつにするピースになってしまっている。ちょっと期待しすぎた感があったのでがっかり感がありましたが、気晴らしにカフェでほっと一息つきながらメルヘンな世界に浸りたいという方にはオススメなのかもしれません。 | ||||
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淡々とした雰囲気のお話でした。冒頭シーンで笑い、ラストのセリフで泣きました。博士の不器用かつ完全数と似た情愛。ルートの変わらない情愛。それらすべてを見てきた「私」を満たした情愛。今まで読まずにきたのがもっいたないと思うくらい、じんわりとした読後感でした。「私」の息子がルート記号の形を確かめるように自分の頭に手をやった場面。一〇年経た息子が数学の教師になった、という「私」のセリフ。好きなシーンです。キャラクタの名前はたったの1つ。ルート。数以上に目立つものが無い物語でしたね。 | ||||
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私は理系でしかも数学系だったため、数式のもつ美しさというものについては普通の人より理解しているつもりでした。この本の中に登場する完全数やオイラーの定理をはじめ黄金率やフィボナッチ数列といったものに、神秘性と美しさを感じて一人悦に入ったりしたものです。ですが数学と関係のない人からみれば、それはただの記号の羅列であり、なんら特別な意味をもたないものである事も事実です。よって自分のこの感動はきっと同じ数学系の人間にしか理解されないのだろうなぁと残念に思っていたものです。この本は私のそうした思いに対して一つの答えを示してくれた作品です。数式のもつ美しさと普遍性が、静かに他者へのいたわりを持って日常を生きることと見事に調和する事。そして完全数と江夏に象徴される「強く生きよ」という祈り。数学と文学という一見相容れない物の間に黄金率を見出した小川洋子さんの奇跡に脱帽です。 | ||||
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とても地味ですが、ほんのり温かさが掌に残りました。作者はこの『博士』という登場人物(モデルがいる?)をこよなく愛しているのでしょう。綴られた文章のそこここから『博士』への優しさ、気遣いが伝わってきます。数学が苦手な人でも読めるように数の不思議がうまく構成されていて、『博士の愛した・・・』という意味がなんとなくわかるような巧みさに敬服します。特に光り輝く宝石でもない。けれど・・・何気なく河原で拾った綺麗な石のように、本棚にそっと置いておきたい作品です。 | ||||
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数字アレルギーな私は少々退屈な部分がありました。数式が出てくると困ったことに内容が頭に入ってこないんですよね。主人公は凛としたシングルマザーで素敵です。息子のルート君も利口な子なんだけど、この親子出来すぎなんですよね。綺麗にまとまりすぎてるんです。普段から推理ものやミステリーばかり読んでるせいか複雑に考えすぎたようで博士とは実は親子なんじゃないか、博士が子供を大切にするのは過去に何かあったのではないか等色々想像しながら読み進めましたが最後まで特に何もなかったです。美しい話だと思うけど淡々としてたのが私には合わず1度読んだらもういいかな。 | ||||
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記憶を80分しか維持できない博士との交流。その中でお互いが必要な存在になっていく過程は奇跡のようで心温まります。しかし、全体的にストーリーや物語の展開はかなりあっさり。良くも悪くもサラッと読めてしまいました。 | ||||
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久々に面白い小説を読んだという感じ。数式という小説にはあまりなじまないものを使って、それを道しるべのようにして話を展開するという手法と力量には感心したね。このお話は、おそらく100%近くフィクションなんだろうと思うけど、登場する人たちに血が通っていて、どことなく温かみがあって、リアリティがあるよね。芥川賞をとった『妊娠カレンダー』は、話がちょっと嘘っぽくて、あまりいいとは思わなかったけど、この小説はいいよ。おすすめです。 | ||||
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80分しか記憶がもたない「博士」と、シングルマザーな家政婦「私」と、その息子「ルート」のホンワカ幸せストーリー。根本には、博士の記憶が 80分しか持たないという悲劇が見え隠れしているのだが、ちょっぴりユニークな文章と、渡る世間に鬼はない世界観というオブラートに包まれており、その設定さえも単なる味付けに過ぎないような感覚さえ覚える。とにかく、この作品はあらゆる愛にあふれている。「博士」の「数学」に対する愛をはじめ、それぞれの人物に対するそれぞれの愛。こんなに愛にあふれた作品とはめったに出会えないだろう。また、似非理系の私にとっては、「なるほどねー、フムフム」とわかった振りしてうなずきたくなるような数学の知識の数々。数学的な意味と日常が重なり合う気持ちよさ。素数、友愛数、完全数、オイラーの公式、フェルマーの最終定理などなど、非日常が日常とつながる面白さ。最初から最後まで(記憶が確かなら)登場人物の固有名詞は一切出てこない。感情移入しやすく、誰でも主人公になれる。これもこの作品の魅力だろう。余談だが作者の阪神タイガースへの愛も見え隠れしている。この作品は純文学でありながら、十分にエンタテインメント性を持った快作である。気になったのは、博士の80分の記憶がどのように忘却されるかである。80分間隔で完全に記憶をなくした時点に戻るのか(リセットされるイメージ)?それとも、古い記憶から徐々に消されていくのか(古いものから削除されるイメージ)?前者では80分ごとに初めましてだが、後者では、80分後でも、79分前の出来事は覚えているわけであり、かろうじて記憶の連続性は保たれている(ただし、80分丸まる空白だと、はじめましてになる)。自分は、「夕方が一番好きな時間」とかの記述からおそらく後者だと思って読んでいたのだが、あってるよね。。?? | ||||
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楽しめませんでした。もう少し大人になったら評価も変わってくるかな。でも博士は凄く想像しやすい人物で早い段階で感情移入出来ました。 | ||||
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本は読み終わったら売ります。でも、この本は売れないんです。大切なことを思い出させ、胸をジーンとさせるからです。そんなやりとりを重ねながら、私は博士と家政婦さんとルートのいる空間が大好きになりました。愛というのは、愛着であり、何度も同じ時間を過ごすうちに生まれるものだと思っていました。しかし、博士は時間を重ねられない。80分で何もかも忘れてしまう。そんな博士に、これほどの愛があることは奇跡です。 | ||||
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私は理系ではない。数学2Bまでしか勉強していない。しかし、この本は数学があまり分からない人が読んでも数学が美しく、とてつもなく奥が深いものだと感じるだろう。80分しか記憶がもたない数学者の老人、家政婦、家政婦の息子。この3人がおりなすゆったりとした暖かな雰囲気が非常にここちよかった。凝った伏線や大どんでん返しはないけれども、読み終えたあとは心が温まるようなそんな作品だった。数学もっと勉強しておけばよかったなあ。 | ||||
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