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博士の愛した数式



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【この小説が収録されている参考書籍】
博士の愛した数式
博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式の評価: 4.32/5点 レビュー 849件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.32pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全849件 461~480 24/43ページ
No.389:
(5pt)

「ゼロ」を見つけた話

本を読んで涙を流したのは久しぶりです。 しかも、劇的な展開は何一つ無く、 ごくごく普通の日常が淡々と綴られていきます。 押し付けがましくはないのだけど、 少しずつ感じる別れの予感。 ひたひたと心に迫るものがあり、 愛でも恋でも家族愛でも無い心温まる 愛情を感じました。 読み終えて幸せな気持ちに浸りました。 もともと数学が大好きな私ですが、 この本を読んで更に数字のロマンの世界を 垣間見て、ますます興味を持ちました。 参考文献も是非読んでみたいです。 このような数字のロマンを学校教育にも 取り入れたらきっと数学を好きになれるのに、 と思います。 「ゼロ」を見つけた話が心に残りました。
博士の愛した数式 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:博士の愛した数式 (新潮文庫)より
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No.388:
(5pt)

友愛数

博士と彼の家に入った家政婦さんとその子供のお話です。 博士:交通事故により記憶が80分しか持たない数学者。 義姉:博士の義姉 ルート:家政婦さんのこども 頭が平らなので博士がそう呼ぶ。 人が相手を思い優しさのこころを持つとてもいいお話です。 最初に数・階乗・素数など数学用語がやたら出てきますの嫌いな方には読みにくいかも知れませんが是非最後まで読んでみてください。 知らず知らずのうちに数学に興味がわくのではないでしょうか。  家政婦さんの誕生日の  220 博士の腕時計の      284 220 と 284 は 友愛数 です。  江夏の背番号  28 28 は 完全数 です。 友愛数・完全数 って、なに・・・本を読んでみてね^^; 最後に 博士の胸の江夏のプレミアムカード、ここに見事に 家政婦さん・ルート・義姉・江夏 登場人物が結晶しています。
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No.387:
(5pt)

再読

初めて読んでからはや3年あまりたちまして、今回、小川 洋子の「物語の役割」筑摩新書を読んで、読み返しました。 初めて読んだときはたいしたことのない小説だとおもいました。特に、感動もせず、ありきたりのような話だとおもい、第一回本屋大賞受賞作のレベルを疑いました。 今回、新しい視点の基に本書を読み返すと、自分が物語の中に入っていなかったことを実感しました。初読では、何か外側からしかこの物語に参加できていなかった自分を発見することができました。著者の記憶が80分しかない人間とのかかわりの設定に人間と人間が本当に人生の一瞬、一瞬しか出会えないということの気づきを感じました。果たして、私には通常の記憶があるが、私は大切な人は物に出会う準備と集中力、静けさを感じる感受性をはぐくめているのだろうかと考えさせられました。3年前はこの本のよさがわかる心がまだ、私になかったのだと思いました。一切の派手さはない小説ですが、心に残る行間があると思いました。
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No.386:
(4pt)

ほんわかしたあったかいお話です

主人公の家政婦である「私」の一人称小説でありながら、読んでいて心が暖かくなるような要素が沢山詰まっている。80分しか記憶が持たない博士と、「私」とその息子ルートの誰にも邪魔される事のない暖かい空間は、我々が日常生活の中で一番大切なものでありながら、しかし大切であるとなかなか気付きにくい何かを気付かせてくれるような気がする。ところどころで数式が出てくるのであるが、実に違和感無く溶け込んでいる。私自身、数学という学問は大好きであるが、本来は「感動」が沢山詰まった学問である。その学問と純文学との合体は見事である。
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No.385:
(5pt)

心がふっと暖かくなった、いい話。

読み終わって、なんだか涙が出てきた。 本当に、本当に、いい話。 心が洗われる思いがした。 記憶が80分しかもたないが、かつては数学博士。博士としての記憶は残っているので、何かにつけ、数の世界に引き込んでくれる。数の魅力、不思議を、優しく教えてくれる。本当に、数学の面白さを教えてくれ、そして、子どもを愛してくれる。ルート君の成長に大きな影響を与えたのも、博士の存在だった。
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No.384:
(4pt)

あったかい時の流れ

学生時代「数学」にはまったくなじめなかった私ですが、本書は数学が「美しい」と思える素敵な本でした。随所に登場する数式の中には解読不可能なものも正直あったのですが、それでも不思議な法則の元に秩序をもって並ぶ数字は綺麗でした。博士と「私」と「ルート」の3人で過ごす時間は穏やかで、美しく、永遠に続いて欲しいと思わせるものです。書店で高校生くらいの男の子がこの本を購入していました。我が家の高校生の息子も数学が好きなせいもあって、数式のところだけを拾い読みしていました。女性作家でありながらこうした若い男性ファンを持てる人、珍しいんでは?
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No.383:
(2pt)

微妙

「第1回 本屋大賞受賞」この本は全国書店員が選んだいちばん!読んで欲しい本です。 という帯につられて買ってしまった。ある孤独な数学博士の屋敷で働くことになった、家政婦とその息子の物語である。タイトルどおり、数式博士が重要な人物として登場するのだが、80分しか記憶が続かない。博士とどんなに親しくなっても、翌日また会ったときには自己紹介からはじめなければならない。基本的にはそれだけの話である。特別感動しなかった。 それはおそらく、多少なりとも数学者の世界、数学という目に見えない壮大な宇宙が存在していることを、断片的な知識ながら知っていたからであろう。まったく、その手の知識がない人であれば、数学の用語や数式、フェルマーの最終定理など、ところどころに用いられている数学に関する言葉がある種の新鮮さや、ミステリアスな雰囲気を感じさせるのかも知れない。そういった意味では、自然科学系の知識がある人は読まないほうが良いとも思える。 理系の人は逆に、ほんもののドキュメンタリーとして、「フェルマーの最終定理/サイモン・シン」を読んだほうが楽しめるだろう。 という私の評価は、おそらくタイトルに固執して、あくまでも数学を使ったレトリックによる驚きを期待したせいかもしれない。あくまでも小説として読めば違った感想になっただろう。たぶん高校生の時に読めば感動したと思う。
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No.382:
(4pt)

色々教えられる要素があります。

正直短い本だったのですが観終わるのに少しばかり時間がかかりました。なんでかって考えてみたら「数学」のせいかもしれないと・・・この物語の設定が不思議ですよね。こういう人いるんでしょうか?「記憶が80分しか持たない」ある一定の時期以降の(1975年)記憶がこのような状態。家政婦としてやってきた女性とその息子と博士、そして未亡人このぐらいの物語構成で成り立っている。博士の粗雑な生活ぶりと一定の領域を超えないよう手助けする家政婦。そんな狭い世界での出来事だが温かいものを充分に感じることができます。思いやり、愛情。そして数学と野球。それが物語の大半を占めている印象です。博士が子供に対し過保護になったりするのは自分自身に映し出される気がしました。(すいません、子供いませんが・・・)博士って無邪気だなぁー、家政婦さんって素敵だなぁー。子供は愛されているなぁー。そんなことばっかり思いながら観てました。本当に短い物語に色々教えられる要素があります。ここには書きませんが終わり方はなんとも表現できません。良い、悪いじゃなくね。
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No.381:
(4pt)

平坦な温かさ

激情を描いた本が多い中で優しい愛情を奇妙な設定の中で描いている。物語そのものは山もなく谷もなく淡々とした感じだ。物足りなさを感じてしまうくらいで前評判の良さが邪魔になったりもする。記憶障害の数学者と母子家庭の母と息子。記憶障害の老いた数学者を気遣うために色々な嘘をつき続ける事が出来た若干10歳の息子はとても立派だった。物分りが良すぎるような気もしたが、あんな風に育つ子供ばかりだったなら・・・と有り得ない事を想像したくなる。
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No.380:
(4pt)

それから博士の切なかった恋も。

私は朝起きるのが苦手だ。それがたとえ朝の6時であっても昼の11時であっても。ひたすら、まだベッドの上に寝そべって毛布にくるまっていたい。ただ純粋に眠っていたいだけ。毎日がつらいわけでもなんでもない。でも、もし、もしも朝起きて、毎朝毎朝自分の記憶は80分しか もたない、なんてことを突きつけられるとしたら、どうだろう?むろん、記憶が80分しかもたないこの博士は、 その事実自体をも、覚えられはしないのだが。博士と博士をとりまく人々のやりとりや人間模様はある程度先が読めてしまった。が、博士の数式を慈しむような言葉には意地悪な考え無しに、素直に耳を傾けたくなる。この80分しか記憶がもたない博士と、博士の存在に懸命に何かを見出そうとする母子の心優しい様子を静かに見守ろう。それから博士の切なかった恋も。
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No.379:
(4pt)

ゆっくりしたペースで読める本

80分しか記憶がもたない博士と、家政婦とその子供の柔らかいお話でした。それだけしか記憶がもたないから、毎日通っても毎回「はじめまして」を経験します。その奇妙な関係。それでも尚、築いていく信頼関係がうまく描写されていたように思います。話の中に数学的見解があり、それが平坦に進んでいる話に重みを増してくれている感じです。ダビンチコードのように、難しい論理ではないので理解できますし、それがなんだか博士を際立たせている様でした。家政婦の子供ルートがとても優しい男の子で、心があったかくなりました。ただ、博士が毎朝経験する「記憶が80分しかもたない」という現実への直面に、胸が痛くなるのも事実。想像すると悲しいですよね。毎日病気の告知を受けているのと同じですから、毎日ショックを受けます。そんな3人を、ゆっくりと読みすすめることができる本でした。
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No.378:
(5pt)

リセット

やっぱり博士が一番好きですよね。 たった80分しか記憶が保たないという状況の中で、博士は好きな数学をやっぱり解き続けているんですから。自分でも記憶が保たないことを判っていても、ただひたすらに。賞金が出ているような難しい数式を解いても、特に何か気にした風でもなく、ただ淡々と。 また、ルートと主人公が、博士のために一生懸命野球選手のカードを探す場面も、いじらしくて好きです。……「いじらしい」って、不適当ですかね。 最後でルートが数学の先生になるんだ、と博士に報告した場面は、私の中で一番印象強い部分です。80分でいわば人生がリセットしている博士だけど、そんな彼でも、彼を取り巻く人に影響を与えることはできる。そしてそれは、つまりは博士自身のリセットをリセットでなくしていると思うのです。 博士本人が覚えていなくても、博士がいたことで、ルートは数学の先生になろうと決めた。 そして博士は、ルートたちが探した野球選手のカードを、ずっと首から提げていた。 何がリセットで何がリセットでないのか。 博士を取り巻く人々(主人公であり、ルートであり、義姉である)の温かみ。 この小説は、それらを私に感じ取らせました。
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4101215235
No.377:
(5pt)

この博士は健忘症ではあるが、認知症ではない。

精神科医 小沢勲は 日本の医療界の良心。 かれは自己の『認知症とは何か』(岩波新書)で小川洋子の作品を次のように評価した。「認知症とは、病態失認である」 38頁から42頁にかけて、小川洋子の『博士の愛する数式』を具体的に取り上げて語ってくれる。「この博士は健忘症ではあるが、認知症ではない。」 「では、なにが物忘れを認知症の記憶障害にするのであろうか。それは記憶障害事態に特異なパターンがあるというより、彼らの記憶障害に対する態度でもいうべき「何か」であろう。認知症には自らの記憶障害に対する防衛策を講じないと、うまく暮らしていかないという認識が抜け落ちてしまうのである」 この核心をついた見方。さすが、小沢勲である。 私は、この小説が、映画になり世界中の人間を 心優しくしたことをしっている。同時に、博士は「認知症」ではないと小沢は言い切る。これだけ すごい小説であることを 知ってもらいたいのである。では、「認知症とは何か」。これは小沢の書物を読まないと...
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No.376:
(4pt)

数学の美しさを知る一冊

今までの人生で数式(数学)が美しいと感じたことがあるでしょうか?おそらく、多くの人は数式に美しさを感じたことなど無いでしょう。それどころか、数式を見るのもウンザリという人が多いのではないだろうか?おそらく、それなりに数学に精通していない限り、数式を見て、美しいなどと感じることはないことでしょう。しかし、本書からならば、数学嫌いな人でも、「数学の美しさ」や「数学の神秘さ」を感じ取れるのではないだろうか?物語の中で、博士が数字の神秘を語るくだりは、つい引き込まれてしまいます。「この本を中学生の頃くらいに読んでいたら、もっと数学を勉強していたかもなぁ〜」なんて思いました。お勧めの一冊です。
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No.375:
(5pt)

違った気持ちで「数式」を見れる

大げさな展開などなにも無いのだけど、静かに家政婦と雇い主という関係が始まり、子供がかかわり、ところどころに事件があり、静かに話が進められていて、終わりも暖かな余韻とともに静かに終わっている。 なんか、登場人物がとてもリアルでユニーク。そして彼らの交流がほんわかしてて、そこがじわじわじわじわと胸にくる。 数式って、こんなに興味深いものだったっけ?と、どこか昔に学校で習ったことのある定理を違った気持ちで読んでいた。 無味乾燥な数学が、とても面白くドラマティックに思えてくるのは著者の筆力の賜物ではないかな。 誰かに大切にされるって、こんなに素敵なことだったんだね、って改めて思う。静かに泣ける1冊です。
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No.374:
(4pt)

静かに時間が流れる中で

朝目覚めると、身体に貼り付けたメモから「自分が80分間の記憶しか持てない」ことを知らされて博士の一日は始まる。 自分自身を縁取るバックボーンを、何一つ認識できない心細さとは如何なるものだろう。 私たちは、所属する団体や会社、学歴、資格、人脈、過去の実績など自身を取り巻く多くの「後ろ盾」によって相対的評価されることに慣れている。 ところが、ここに登場する博士は、今この瞬間に生きる自我のみが絶対的唯一の存在価値であり、それ以上でもそれ以下でもない。 数学者である博士自身が、「全体との相対的比率を問題としない、絶対的な数値」を言う『絶対数』を体現しているようだが、しかし博士が最も愛する絶対数『素数』に「1」はあてはまらない。 「絶対数」的博士も、独りではその存在に光は当たらない。博士を取り巻く「私」や「ルート」、「未亡人」などの人々が居て初めて博士たり得る、つまりは『素数』の人なのではないだろうか。 文中、「静けさ」を 「あるべきものがあるべき場所に納まり、昔からずっと変わらずそうであったかのような、そしてこれからも永遠にそうであり続ける確信に満ちた状態」と表現する言葉が美しい。 「ああ、静かだ」 一日の終わりには、こうつぶやきたいものです。
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4101215235
No.373:
(5pt)

数学を文学として表現した見事な作品

久々にいい本に出会えました。数学を文学として表現した見事な作品です。友愛数や完全数のくだりなどは、数字の美しさに思わず惚れ惚れです。博士と家政婦の私、そして息子のルートの3人の間の愛情が満ち溢れている、なんともいえないほのぼのとした感じがいいんです。本書を読み終わった後、映画も見ました。映画化されるとイマイチという作品が多い中、「博士の愛した数式」に限ってはイメージ通りでした。子役のルートが良かったですね。
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4101215235
No.372:
(4pt)

数式のように素っ気ない淡々とした物語。なのに、それは胸をうつ。

事故の後遺症で80分ごとに記憶がリセットされてしまう、数学の老「博士」。家政婦とその息子「ルート」。3人が繰り広げるのは、とてもとても静かな物語だ。判で押したように繰り返される同じような日々。退屈であるはずの物語が、鮮やかでかけがえのないものに感じられるのは、博士には、それが決して「昨日と同じ今日」になりえないからだ。朝の目覚め、ルーティンワーク、お手伝いさんを迎えること、ルートの頭をなでること、三人で晩ご飯を食べること・・・。80分しか記憶のもたない博士は、一瞬一瞬を、どんな気持ちで生きているのだろう。静かな、静かな生活であるからこそ、それは心に沁みる。けれど「昨日と同じ今日」を持たないのは、私たちであっても同じなのだ。「今」の大切さを、博士は何も語らずとも、冗舌に語る。お手伝いさん母子と博士が、数学と野球を通して(この二つの要素がまた、ユーモアとペーソスがあってすごくいいと思う)心を通わせていく様は、ほほえましく、温かい。なのに、どんなに心を交感しても「覚えられない」「覚えてもらえない」というせつなさ。そして彼らと両極にある、もう一人の登場人物・未亡人の「決して忘れられることのない」呪縛のような思い。人が人を思うことの、やるせなさといとおしさが、淡々と描かれている。ただの数字の羅列が、実は強烈な意味を持つように、何てことのないエピソードのひとつひとつが、深く強く、心をうつ。
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No.371:
(4pt)

温かい本に出合えた

ずぅっと読みたかったこの本。やっぱり読んでよかった、ちなみにこの本を読むまでは・・・と思い映画は見ていない。とにかくじーんと温かい本。「くすっ」と笑いたくなる、「温かい人間関係」の元で成り立つ笑い。「80分しか記憶が持たない年配の数学博士」に「家政婦」と「10歳の男の子」がなじんでいく様子がすごくいい。博士が男の子を学校帰りに自分の家に寄るようにと言うところから3人の心地よい関係は始まる。小学生の男の子が年配の博士を大切に思う・一生懸命になるところはすごくいい。年は離れているがお互い心は通っている、記憶が80分しか持たなくても・・・。阪神時代の江夏投手が3人を繋げる架け橋にもなっているのもいい。そして、野球観戦では可愛らしい子からしか「飲み物・食べ物」を買わない『おちゃめな博士』。博士の「宝箱」の秘密、思わず息を飲む。男の子は博士から、「数字の美しさ」だけでなく「途中で止めたら絶対正解にはたどり着けない」事も学ぶ。大人になり『数学の先生』になった男の子の頭を『子供の時の様』になでる博士の姿・・・じーんときた。温かい内容はもちろん、数学をテーマにしながらも重たい内容にしなかった作者にも感動しないではいられない。さぁこれでDVDが見られるぞぉ。
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4101215235
No.370:
(3pt)

大人向けのファンタジー作品

この話のおもしろいところは、題名にも出てくる数学の話。「素数」「完全数」「自然数」「三角数」など、聞いたことがあるようなないような数学の専門用語がたくさん出てくる。果ては「オイラーの法則」「フェルマーの最終定理」なんて難解な問題まで持ち出してくる。しかし元数学教授のおじいさんが知識のない主婦と子供に説明するわけだからおのずと分かりやすい解説になる。こんな小説の中に出てくる「知識的な内容」は読んだ後のお徳感を感じさせる。しかし内容にちょっと新鮮味がない。記憶の話とか、数学の話とか、今までにはない題材を使った工夫は見られるけど、「母子家庭」とか、「子供と老人の交流」とか、感情に訴えかけるテーマや、全体的な流れは今までにどこかで見たことがあるような印象を否めない。本のキャッチコピーにもなっている「あまりに悲しく暖かい軌跡の愛の物語」というのには、もううんざり。ちょっと辛口かもしれませんが、この本が人気があったのは、そんな心温まる話がブームだからだったんじゃないかなと思います。この作品に文学的な評価は求められません。でも、童話をけなすことができないように、この作品は”大人向けの”ファンタジーとしては佳作なのではないかと思います。
博士の愛した数式 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:博士の愛した数式 (新潮文庫)より
4101215235

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