陶芸家・長倉英臣の父の一周忌で、石黒義彦は英臣の娘・智子と再会する。

定年を迎えたり、親しい友人が亡くなったり、親やきょうだいの法事に集まったりするとき、ふと胸をよぎるのは、幼かった頃のことや、最も輝いていた時期のことだ。

きみが先祖から受け継いできたものの正体が知りたい―都内の小さなPR会社を経営する俵谷慎介のもとに、郷土史家を名乗る老人がふいに現れた。

ただひとりの肉親だった祖父を目の前で殺害された渋木祐介少年の生活は、その日を境に一変した。

悔いてはいないが、そろそろ残された旅を急がなければならない。

これが最後の仕事と思い決めて、危険な犯罪に走った初老の男が辿ってきた人生(「トマト」)など、七本の短篇を収録。

女生徒との恋愛がスキャンダルとなり、都内の名門校を追放された元教師。

海峡で消息を絶ったのは、弟に船長を任せた船だった。乗組員は全て死亡したと聞く。

初老の介護士・三谷孝は、対人関係能力、調整力、空間認識力、記憶力に極めて秀でており、誰もが匙を投げた認知症患者の心を次々と開いてきた。

真っ暗な穴のなかへ落ちてゆく夢を見た。青函トンネルを走る列車で目覚めた時、彼は自分自身を失っていた。

見上げた空は果てしなく高かった。都会での華やかな暮らし、想い続けている人の横顔が、ふわり浮かんだ。

刑務所帰りの旧友と再会し、執拗につきまとわれる滋郎。愛する家族を守るため、言うなりに金を払うのだが―(「再会」)。

大阪府警薬物対策課の桐尾と上坂は覚醒剤密売捜査の最中、容疑者宅で想定外のブツを発見した。

湯原直子がある邸から持ち帰った稀覯本は、直子の勤める古書店の客磯部の蔵書から消えた品だった。

若い女性と燃えあがるような情交を愉しむ。妻の体の奥底まで追求する。

ささやかだが平穏な暮らしが、その日、失われた。怪しい男たちが訪れた時刻から。

まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。

「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。

第六協洋丸、仮想敵国の領海に接近するためのスパイ船。柏木はその仕事を好まず、親友・成瀬に船長の座を譲った。

その誇りに、囚われるな―。鉄砲百人組の老武士、山岡晋平。

建設コンサルタント・二宮啓之が、産業廃棄物処理場をめぐるトラブルに巻き込まれた。依頼人の失踪。

東京近郊にある共同農場の農場長・尾関譲に、ベトナム人ロアンから電話があった。

「おふくろに届けてくれ」坂倉博光は、そう言い残して数日後、謎の死を遂げた。託されたのは位牌だった。

新宿・アンダーグラウンドを克明に描いた気鋭のデビュー作!おれは誰も信じない。女も、同胞も、親さえも…。

生き急ぎ、駆け抜けてきた。

石に鳥の絵を描く不思議な男に河原で出会った青年は、微睡むうち鳥と男たちについての六つの夢を見る―。

弟は三年前、本牧埠頭に沈んだ愛車の中で発見された。腹をえぐられて死んでいた。

幻の初期作品集!ミステリ、恋愛ホラーなど多彩な物語!容疑者を追い続ける老刑事、胸を打つ10の物語。

民族の悲願、独立国家の樹立を求めて暗躍する中東の少数民族クルド。

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。

神山佐平は、やむなき事情から家中の者を斬り、無断で江戸へ帰ってきた。わずか二年前に仕官したばかりだった。

雪の札幌。

ルポ・ライターの失踪、怪文書、東京都知事狙撃事件…。

かつてベトナムの逃亡米兵を国外脱出させた川久保は、極秘依頼を受けた。

警視庁捜査一課継続捜査班に勤務する田川信一は、発生から二年が経ち未解決となっている「中野駅前 居酒屋強盗殺人事件」の捜査を命じられる。

最愛の娘を殺した母親は、私かもしれない。

船を沈没させては保険金をだまし取るプロのサギ師・岩内亮は、偶然にアメリカ軍の最新兵器を手に入れた。

尾行中の老女梅子が怪我をさせたミツエの持ち家のアパートに住むことになった晶。

冷たい雨の夜だった、池内峻介は傷ついた女を拾った。彼女は江田美也子。

「ソ連領沿海州に住んどる超能力者を、ひそかにワシントンに連行して欲しいんやけど」CIA関西支部の秘密依頼を受けたのはサギ師の岩内亮。

1955年7月、パイ屋敷の家政婦の葬儀がしめやかにおこなわれた。

少年が大人へと成長する過程で経験する様々な心象風景―村祭りの一夜。祖母の入院。

元警部補の青野は仕事先でトラブルに巻き込まれ、殺人容疑者として追われる羽目に。

急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。

鷲は舞い降りた!ヒトラーの密命を帯びて、イギリスの東部、ノーフォークの一寒村に降り立ったドイツ落下傘部隊の精鋭たち。

ドイツが東西に分断された冷戦のさなか、画家・青木優二の前に現れたベルリンからの来訪者。

その地に着いた時から、地獄が始まった―。1961年、日本政府の募集でブラジルに渡った衛藤。

ある夏の夜、酔って遅く帰ってきた姉から、失恋の顛末を聞かされる。

「妻を殺しました」。現職警察官・梶聡一郎が、アルツハイマーを患う妻を殺害し自首してきた。

東京から青森まで―緑まぶしい五月の国道四号線を完全装備の自転車でツーリングする中年グラフィク・デザイナー、桐沢風太郎。

絵に描いたような幼なじみの真理子と利恵を苛酷な運命が待ち受けていた。

大阪府警捜査一課”黒マメ”コンビvs稀代の知能犯。圧巻の警察ミステリ! 三協銀行新大阪支店で強盗事件が発生。

400日ぶりに東京に帰ってきた私立探偵沢崎を待っていたのは、浮浪者の男だった。

「刑事を辞めるか、人間を辞めるか」 新宿署の一匹狼刑事・佐江は法を捨て、日本最大の暴力団最高幹部・延井は、面子を捨てた。

躰の中で、なにかが止まった…。四年前のある日、平凡な会社員・立原に生じたある感覚。