さらば長き眠り
- ハードボイルド (137)
- 私立探偵沢崎シリーズ (5)
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とても面白かったです。 | ||||
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<冬の終りの真夜中近く、私はおよそ四〇〇日ぶりに東京に帰ってきた。>帰って来たのは、沢崎という探偵だ。四〇〇日の間、彼がどこで何をしていたのかは、われわれ読者よりも気になってしょうがない連中―常連の錦織警部や<清和会>の幹部・橋爪達に任せておこう(どうしても気になる向きは文庫巻末のスピン・オフ作品参照のこと)。今回の依頼は、11年前に起こった野球賭博に巻き込まれた元高校球児とその姉の自殺だ。あゝ、またしても無惨な話。<依頼人が調査の結果に失望することには慣れていた。いや、むしろ彼らはこの事務所を訪れたことを後悔しながら去って行くのが普通だった。>探偵はこう述懐する。読者はどうだろう?いつも後味のわるい思いをさせられていないか?今回などは、50章、文庫版で574頁にもわたって読んできた挙句が、この苦い結末。そろそろうんざりしないか?―しないんだなあ、これが。またぞろ次の長篇が読みたくって仕方なくなるのだ。 著者3冊目の長篇だが、前2作と1冊の短編集を読んでから読まれることをお薦めしたい。なぜなら、3冊目は、それまでの集大成といっておかしければ、過去の作品を踏まえた上で構想されているからだ。そして、それに見合った読み出のある重厚な作品、といって支障があるならば、その愚劣で滑稽な真相にいたるまでの過程が最もスリリングであることは保証したい。探偵は、11年前の事件の既成事実を一つ一つバラバラに分解してもう一度組み立て直すという難易度の高いパズルに挑む。直観と足を使った訊きこみだけで。もちろん、真相を知られたくない者たちからの横暴な横やりは覚悟の上だ。 尤も、ギスギスした人間関係の迷宮だけではもたない。“チェシャー猫”も登場するし、それをプリントしたトレーナーを着た少年と彼を厳格に指導する爺さんに対して「オタンチンの兵六玉」「鼻クソ丸めて、黒仁丹」と声を交わしたりもする。<同年輩の消しゴムでこすったら消えそうな口ひげ>、<適温の中の黴菌のように抵抗心が増殖>、<自分がどうしてこういう芸当をしなければならないのか納得できないサーカスの猛獣のような悲しげな顔つき>など相変わらずのレトリックも冴えているが、彼らのやりとりが今回も実に可笑しい。錦織が「まだ生きてるか」と問うと、「気にするな。死んでもおまえにだけは焼香をさせるなと、遺言に大きく書いてある」「おまえの葬式なんか誰がする?」だもの。最も傑作なのは、橋爪や用心棒の相良の乗ったベンツに乗り込むと―深手を負って自分で車を運転することができないとはいえ―探偵は「行く先は自由が丘だ」と告げる。暴力団を足代わりに使おうというのだ!<若い組員は答えに窮して苦笑し、橋爪は無気味な薄笑いを浮かべ、相良は笑いをこらえ>る始末。 今回も警句に抜かりはない。<間抜けな人間は自分が間抜けな状況に立たされるのはつねに他人のせいだと考える。><女になるってことは、頭の中身や腕っぷしや財産の多寡を競い合うことを宿命みたいに思っている馬鹿なオトコにおさらばするってこと><馬鹿テクっていうのは、><馬鹿げたテクニックしか持っていないってこと><「あたしら[ホームレス]の時間はあんたたちの時間とは違うんだから」こっちの時間のほうが下等であるかのように聞こえた。><救急車の中で聴くサイレンの音は、ふだん街中で聴いている救急車のサイレンの音とはまるで違った響きを持っていた。><心の底を震わすような響きだった。><自分に関わりのない他人の不幸はほとんど気にかけていないということの証しだった。>等々頼もしいかぎりだ。 それにしても、依頼人との対面がようやく第12章。しかも、その時点では“依頼人候補”でしかない。主人公が<ようやく探偵に復帰した思い>にいたるのが第20章だゼ。いい加減、ジリジリくるが、これがセルジオ・レオーネや山田風太郎や丸谷才一ばりの独創的な“引き延ばし”に匹敵するものと感じはじめると、もはやこの迂回こそが物語の豊饒を裏打ちしてくれていると思いはじめるから不思議だ。優れた探偵小説は、謎が解かれたとたんに新たなもっと大きな謎に直面している。そう思わざるを得ない。この作品もその系譜に属していると思うがどうだろう。 | ||||
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内容だけなら沢崎シリーズの集大成、★5つです。 酷いのは表紙です。何ですか?これは。編集の頭を疑います。何でこんな絵を採用したのやら。 これではハードボイルドのカバーイラストではありません。江戸川乱歩か横溝正史かホラー小説のカバーです。 | ||||
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話自体は面白かったのですが、途中で過去作品の登場人物が出てきて、誰々はまだ服役している、とかの話が出ます。 つまり、過去作品の犯人を普通に暴露してるんです。 よって、この作家さんの作品は出版の順に読むことをおすすめします。 あと気になるのは、この作家の作品はいつもそうですが、最後の謎解きを読者にも楽しませようという趣向はありません。 いつも唐突に主人公の沢村が犯人を言い当て、謎を解明します。 そこまでに伏線がほとんどなく、読者がなぞを解くのは不可能です。 ハードボイルドなのでその辺は多めに見るべきなのかもしれませんが、ミステリーのお約束を守っていない気がします。 | ||||
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普通 | ||||
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