(短編集)

雪が降る



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    初公開日(参考)1998年05月
    分類

    短編集

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    雪が降る (角川文庫)

    2021年12月21日 雪が降る (角川文庫)

    黒川博行氏絶賛! 人生の切なさと輝きを描き上げた短編集。 〈母を殺したのは、志村さん、あなたですね〉一通のメールが、男の記憶をよみがえらせる。メールの送り主は、かつて愛した女性の息子だった……(「雪が降る」)。不世出の偉才・藤原伊織による至高の6篇。(「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

    雪が降るの総合評価:8.92/10点レビュー 59件。Bランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (8pt)

    雪が降るの感想

    著者の短編集は初めて読みましたが、どれも素晴らしい作品でした。すべて大人の男が主人公で、ミステリーというよりはハードボイルドよりの感じが強いです。出て来る女性がみんな素敵で、そういう意味ではファンタジーかも知れません。とても静かなタッチ、静謐な世界観が心にしみます。中年期の男性には特にオススメです。

    なおひろ
    R1UV05YV
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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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    No.58:
    (4pt)

    様々な可能性を手探りしているような興味深い初期短編集

    3冊ある短編集の最初のもの。著者の没後に編まれた最後の『遊戯』以外は、発表順になっていないので、著者の思惑があるのだろうが、ここでは、それにこだわらないことにする。映画でもそうだが、長篇と違って短篇は、色んな要素を試すことができる。作家の持っているグラデーションのなかから任意に掛け合わせることができるのではないだろうか。そうだとすれば、最初の短編集というのは、作家が独自の持ち味を開発してゆく過程が読み取れるのではないかと思う。
    その意味では、「トマト」が最も興味深いかもしれない。彼の長篇とはまったく異なるとも、あるいはエッセンスとも言えるからだ。これは、一種のメルヘンか。安部公房的でもあるが、いっそ詩といってしまってもいいような気がする。主人公の男は、ある日、歩行者天国で少女から声をかけられる。彼によると、<理性を麻痺させる><人をひきこむ酩酊の響きが声ににじんでいた>という。彼女は自分を“人魚”だというのだ。男が案内したレストランで、彼女はシンガポール・スリングとトマトをまるごと2個注文した。人魚の世界からはるばるわざわざトマトを食べに来た美少女だ。しかも、とんでもなく口が悪い。<あなたってパーのうえにクソ真面目>などと宣う。しかも、<新しい経験って、だいたいむごたらしく悲惨>だから、<むごたらしい>顔をしていたあなたに声をかけたなどと。ここでのトマトは、マグリットのリンゴや梶井基次郎の檸檬などを連想させもするが、諧謔とユーモアによって、さらに鮮烈に炸裂している。
    一番古い「銀の塩」には、すでに作者の特徴が見え隠れしている。主人公の自堕落な性格と、引きずらねばならない過去からの逃亡、それに該博な知識に裏打ちされた推理力(洞察力)、それらが相まって、どうしようもないダメ男の目の覚めるような精悍な横顔を垣間見せる。それから、ここでは稲垣里美という気の強い才色兼備な女性が出てくる。それに、これまた異能者ともいえる主人公の相棒。しかし、ここでその男はデッカ出身者だ。それから、冴えたタイトル。本作も、<星は、神様が塩を銀にかえて空に撒いたもの>というバングラデシュの言い伝えに由来しているらしい。
    次の「ダリアの夏」は、この人の原点のひとつか。いわば純文学のレプリカ。
    真壁隆志(32)が配送業務で尋ねた家の<庭一面、見わたすかぎり>のダリアが植えられていた。そこでは、60すぎの男が、<花殺し>と称して金属バットを思い切り振って花弁を散らしている。<こういう無礼な花どもはやっつけにゃいかん>とつぶやきながら。彼は男優のなれの果て。そして、同居人は、これも女優のなれの果ての篠崎由利(38)と10歳くらいの野球少年・章一。<砂漠の商人が水筒をかたむけるよう>にしてビールを飲む女。<遠い山あいにある夜の沼のような目>。この目は、10年前に隆志が暮らしたことのある恭子の目と似ていた。彼女も、どこか<ゆがみ>があった。また、隆志は高校時代、野球のエースでもあった。過去に引きずられる人々の怨念にみちた日常。そこから脱け出すための処方はない。ここでのポエジーの中心は空虚でしかない。
    表題作の次に新しい「紅の樹」もこの人の原点のひとつだろうか。こちらは、任侠もののレプリカか。
    とはいうものの、藤原伊織ワールドはここでも確実に息づいている。父・邦正が病死することで2年前、堀江組は解散に追い込まれた。秦野組の預かりになった息子の堀江徹(23)。世話係についた若頭補佐の遠山昌彦(40前)。幼女・宮川舞とその母・田島幸枝(30)。苗字が異なるのは、舞が幸枝の離婚を知らないからだ。これら訳ありの人々が織りなす世間の“裏”ドラマだ。これに企業社会という“表”を掛け合わせることで、長篇『てのひらの闇』に大化けすることになる。
    「台風」は、どこか、つげ義春の劇画を想わせるほの暗い話だ。営業一課長をしている吉井卓也の社内で社員同士の殺傷事件が起きた。そのことから、吉井は彼が13歳の時に父・洋造が経営する玉突き屋で起きた事件を想い起こす。不登校児だった彼は、ある日、10歳年上の兵藤泉と店で出会う。青年に、久しぶりに学校へ行ったら教師の誤解から殴打されたこと。原因は友人の所業にあったが、そのことは教師には黙っていたことを話すと、卓也くんは<台風みたいな大風のなかにいたって、いつも胸をはってる。頭をあげて歩いていける>と褒められた。玉突き屋を手伝っている高校を出たばかりの明子をめぐって、青年とあこぎな商売をやっている男がひと悶着あって、兵藤は懲役刑を受けることになる。明子は青年と愛し合っていた…。サラリーマンの吉井が家を出る時に背後から声をかけた人物が誰かわかって、ほんのり光が差し込むラストが効いている。
    表題作が、やはりひとつの完成を見せている。<重油の表面にどろりと浮かび出たような目ざめ>を繰り返す<冷めたスープみたいに濁った目>の中年男が、<真剣な光が宿る目>の少年に促されるようにして、少年の母との過去と対峙する話。
    四十代の志村秀明は、少年・道夫の父・高橋一幸とは同じ職場で無二の親友だった。その親友と少年の母となる陽子を争ったことがあった。それも、志村の大阪転勤が機縁となって、親友に譲る結果となる。4年前偶然、志村と陽子は再会。その時、陽子は今度雪が降って再会したら志村と一緒になりたいと宣言した。その2週間後の「雪が降る」日、志村は約束のバーへ行ったが、陽子は交通事故死していた。
    <人はすこしずつおとなになるんじゃなくて、いっぺんにおとなになってしまう>と悟ったゆえの決心だった。「空白の疾走」を突然知った女の決断だった。そのことを18歳の少年が突きつけてきた匕首のような問いに答えるかたちで自問するように紐解いていく中年男の清新なふる舞いがみるみる雪の上の足跡を消してゆく。
    雪が降る (角川文庫)Amazon書評・レビュー:雪が降る (角川文庫)より
    4041118972
    No.57:
    (5pt)

    早いヨ~ ホットドッグもう一回食べたかった。

    クールでハードボイルド。ロマンチストでもある。返す返すも、伊織さんの夭折を惜しみます。
    雪が降る (角川文庫)Amazon書評・レビュー:雪が降る (角川文庫)より
    4041118972
    No.56:
    (5pt)

    短編どれもハードボイルではないが、

    やはり、表題の「雪が降る」がおもしろい
    雪が降る (角川文庫)Amazon書評・レビュー:雪が降る (角川文庫)より
    4041118972
    No.55:
    (3pt)

    斜に構えた世捨て人が、自らを益ない者にみなし、その時ハードボイルドの花が咲く

    短編集。「テロリストのパラソル」で、狂ったように夢中になったので騎虎の勢いでこの本に飛びついたのですが、やはりというか短編という尺の関係か、相変わらずスタイリッシュでハードボイルドでプライドのある男性群が続々と出でくるのですが…「テロパラ」ほどには陶酔できませんでした。

     陶酔するには愚かでありすぎ、反発するにはかっこよすぎ、という感じでしょうか。
     藤原伊織作品の主人公は、どうみても愚かな行動の結果、自分で人生を破壊する傾向①は指摘したいです。ネタバレないように恐る恐る書きますが「テロリストのパラソル」でもそれはありましたし、この中のある短編でも、ヒロインが急ぎでもないのに高速道路に乗ることは、ちょっと慎重に考えれば、この作品の展開を避けることが出来ていた危機管理です。
     もう一つは、我を忘れてと見せかけて、避けられた破滅を自ら好んで引き寄せている傾向②です。
     「台風」「紅の樹」どちらも穏便に事を済ませようとすれば可能だったはずで、こういう白けたことを申したら作品が台無しになるのでこの感想はKYかも知れませんが、前者は人生の目的が確定しているのに、後者は人生に嫌気がさしているとしても無為にそうした選択に飛び込むのは…大望を前にして選択を誤っているか、あるいは…自己陶酔なのか。
     すみません。どうしても匹夫の勇にしか思えず、乗り切れない体質なので申し訳ない。

     その奥にあるものは破滅願望で、その意味での成功作なのですが、中間管理職経験者のせいか、「世の中はこういう破局を起こさせないための努力もけっこうあるんだけどなあ…でも、そんなのロマンにもドラマにもなりはしないしなー」と刑事コロンボのごとく(古い)頭をボリボリ掻くのでありました(苦笑)
     
     ハードボイルドは古典のハメットからチャンドラーから全く未読なので無知のままですが、藤原先生は全共闘的なテイストがあるとはいえ、このスタイリッシュさが破滅願望と結合しているとすれば、それはこの主人公たちの品格と矜持とともに、同時に生命を軽視する態度とも結合しているのではないかと思わざるを得ませんでした。(これは藤原伊織先生特有かもしれませんが)
     とすれば意外とこの「死ぬことと見つけたり」武士道とも親和性があり、藤原伊織は特攻隊を書かせたらとんでもない未曽有の視点から書かれた傑作をモノしたかもしれません。ただの空想ですが…。

     そのスタンスは現実の軽視でもあります。
     「ダリアの夏」「トマト」の素っ頓狂な設定、例えばダリアの花が埋め尽くす庭を下りてくるアンニュイ美女、みたいな非現実的な美しさにもつながるもので、アンニュイでハードボイルドで品格のあるスタイリッシュは、現実の無視&生命の軽視から出来ているんじゃないかしら、と思った次第でした。

     と、いう訳で、私的ベストはこれまた非現実的な軽井沢の美女とバングラデシュ美青年と、反面のバブル経済が混然一体となる傑作「銀の塩」でした。
     非現実的設定と、リアルな現代社会が完璧に合致したバランス良い佳作だと思います!
    雪が降る (角川文庫)Amazon書評・レビュー:雪が降る (角川文庫)より
    4041118972
    No.54:
    (5pt)

    到着

    期待以上に綺麗でした
    雪が降る (角川文庫)Amazon書評・レビュー:雪が降る (角川文庫)より
    4041118972



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