名残り火
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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ
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評判
名残り火の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 B ランク
名残り火の総合評価:
9.00/10点 レビュー 18件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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「ふむ。いい店だ」「なんでいい店なのよ」「…いい酒と、いい音楽と、いいオーナーがいる。それだけでじゅうぶんいい店ではないのかな」「あんた、そこにまだ十分しか坐ってないじゃない。なのになんでいいオーナーだと思うわけ?」「シンプルで力強い」。から始まって、
その後、<チャーシューメン>を食いたいという三上をナミちゃんがドゥカッティの後ろに乗せて青山の美味しい店に送ることになる。<夜目にふたつの真っ赤なヘルメットが輝いた。プロレスラーがきゃしゃな人形を抱えているような>その姿が、<視界からすっかり消えるまで三十秒とかからなかった>。そして、物語の最期には、とんでもなく意外な展開へと二人を導いていくことになるのだ。
このように、メインのストーリーだけを追っていくだけでは説明し切れない魅力がこの藤原伊織作品にはある。それは、「テロリストのパラソル」を選考した井上ひさしの<活発な精神の往復運動が独特の、得難いヒューモアを生み出している。話は深刻なのに、作品のどこを切り取っても質のいい諧謔で満たされているのだ>という評言に尽くされていると思う。
前の会社の部下、大原真理をくノ一のように使っている堀江もまた不思議な運命に導かれて行く。彼は<もし彼女に美点があるとするなら、まずいちばんに即断即決と行動能力をあげるべきかもしれないな>なんてことを言っているうちは、まだこの運命を読めていなかったのだ。あれだけの難事件のからまった糸を信じられない執念と直観でほぐしていった男が、である。ナミちゃんの弟マイクから、<その後、真理ちゃんとはどの程度、進展した?このまえ彼女は離婚が秒読み段階にはいったといってたけど、あんたとのほうはかたつむり以下だって。ひょっとしたら、後退してんのかもしれないくらいわかんないって>などと言われても、後回しにしていた男だからねえ、仕方ないか。
<静かな春の雨のような印象をともな>う柿島の細君・奈穂子の繊細さと大胆さも忘れ難い。いずれにせよ、この<活発な精神の往復運動>を遺作に確認できるだけでも得難いことだ。個人的に、2022年度いちばんの読書となった。