(短編集)
ダナエ
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ダナエの総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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今回100本目のレビューなので高評価を付けたくて、藤原伊織を読みました。3編の短編集ですが、やはり非常に素晴らしかった。今回は、アクションや謎解きがメインのハードボイルドではありません。特に命をかける様な事件は起きない、大人の男達のただ静かな物語です。特に表題作は群を抜いており、これだけで十分価値のある作品集と言えるでしょう。とにかく中年以上の男性は必読です。間違いないですから。 | ||||
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三つの短編。全て面白かったです。順位をつけるならば、まぼろしの虹、ダナエ、水母ですかね。 | ||||
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硫酸と刃物で破壊されたレンブラントの絵画「ダナエ」(実話)。 有名画家の個展で同じように絵画が破壊される。 画家は成功と引き替えに困窮時代に支えてくれた妻を捨てている。 過去からの亡霊が絵画を破壊したのか? 画家が成功により得たものと、失ったものは何か? 萩原朔太郎が離婚にあたって書いた詩「我れは何物をも喪失せず」「また一切を失ひ尽くせり」から着想したストーリー。 その解釈を物語として表現出来る著者の筆力にはいつも感心させられる。 他にも「テロリストのパラソル」を代表に寡作ながら珠玉の作品が多い。早すぎる逝去が悔やまれる。 | ||||
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当たり前のことだろうが、作家にとって長篇と短篇は別ものであるはずだ。表題作は乱歩賞作家のオムニバスに収められた作品で比較的長いものだが、やはり長篇とは異なる味をもっている。 ひとつは、犯罪らしい犯罪が起きないこと。鋭利な刃物が裂傷を与えたものは美術品であり、それは警察沙汰にされることもなかった。また、放火という事態も未然に終る。傷つく人たちは居るものの、それらは肉体的な切傷ではない。 また、ここにも過去に引きずられた人びとが出てくるが、彼らは立場の異なるところからやってきて、時間をかけてそれぞれの傷みと対話を繰り返し、痛み分けという結果を得ることになる。この各々がかかえた過去の傷が炸裂することなく、鎮魂のような最期を迎えることは、藤原の他の作品にはなかなか見いだせないと思う。 宇佐美真司、彼は気鋭の画家であるが、朔太郎の詩<我れは何物をも喪失せず/また一切を失ひ尽せり>を愛唱するような虚無を抱えている。そんな彼の描いた義父・古川宗三郎の肖像画が何者かによって<物理的化学的に徹底的に破壊され>る。その犯人捜しが推進力となっていくが、この辺りのプロセスは、お得意のブラフめいた罠もしかけられており、まさに乱歩賞作家の面目躍如といえるスリリングな展開。しかし、その犯人捜しもストーリーが8割方進んだところでおおよその察しがついてしまう。宇佐美の妻は、古川の娘だが、それは再婚であり、以前別の女性と結婚していた。またしても、過去からの呼び声だ。その声はどんなに深く沼の底に沈めようとも悪夢のように何度でも浮かび上がってくる。彼らがその声を<春の歌>のように聴くことができるかが、最大のクライマックスになる。 そして、その解決が一幅の絵画であったことが強い印象を残す。そこに描かれているのは、アコーディンと石油ランプ。テーブルの上に置かれた、この二つは切っても切れないものだった。それが救済を招くのだった。<復讐>と<救済>、まるで韓流ドラマのような、おそろしくアナクロでありながら最深部に染みるドラマだ。 「まぼろしの虹」 矢谷佐紀と浩平は姉弟だが、佐紀の母と浩平の父は再婚だった。しかし20年近くもこの両親に育てられた2人は実の姉弟のように仲がいい。ところが、この両親に離婚の話が持ち上がる。原因は母の浮気。その相手は著名な山根俊三という男だった。その山根に篠田由梨恵という愛人が浮上する。彼女には、俊弘というヤクザの息子がいた。浩平が篠田の家を訪ねた夜は母子が共に過ごす最期の夜だった…。 う~ん、藤原らしい設定だ。タイトルは、<七月の光に一瞬きらめき>できた虹のことだ。それは幻かも知れないし、そうでないかもしれない。しかし、人は“まぼろし”の一瞬を手にして生きてゆくこともできるのだろう。 「水母」 雑誌掲載時のタイトルは「卒業」だったという。篇中にも、<自分を卒業しなさい>という言葉が何度か出てくる。声をかけたのは、沢木真弓。かけられたのは麻生和夫だ。彼らは10年以前に1年半近く同棲したことがあった。しかし、あることがきっかけで真弓は出ていった。その原因をめぐる、つまりは、またしても、過去からの声に左右される物語である。ヤクザは出てこない。しかし、主人公の麻生はやさぐれた男だ。真弓の現在の恋人である森川泰からも一旦愛想をつかされるほどには。そして、もちろん、麻生の遊びはギャンブルであり、酒癖はなおりっこない。卒業する気もない。それでも、彼はなみはずれた洞察力と行動力を発揮して危機を脱出する。それを<卒業>と呼ぶことに作者はためらいを感じたのだろうか。それよりも真弓のインスタレーション作品にひっかけたこちらのタイトルを選んだのかもしれない。 | ||||
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藤原伊織氏の作品はハズレは無い。 | ||||
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この作家の未読の作品はこれを含めてあと2作。 そのことがジーンと胸に来るほど「やはり藤原節」と思えるいい本でした。 | ||||
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