セント・メリーのリボン
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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表題作はジーンときた。 | ||||
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ハードボイルド物はあまり読んだことが無かったが | ||||
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惜しくも亡くなられた稲見一良氏の'93年の作品。よくこの人の作品は“男のメルヘン”と云われるが本作もまさにそう。大学の頃に読んだ『ダック・コール』の煌きが蘇る。 | ||||
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「男の贈り物」をテーマにしたハードボイルドな短編集。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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失踪した猟犬探しを生業とする探偵・竜門卓の事務所に、盲導犬の行方を突き止めてほしいという仕事が舞い込んだ。依頼者は資産家の令嬢。相棒の猟犬ジョーとともに調査を進めるうちに、薄幸な、ひとりの目の不自由な少女のもとに行きつくが……。 | ||||
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1993年に単行本が上梓された、5つのハードボイルド作品が収録された短編集。反社会的組織に追われる男が、逃走の山中で奇妙な老人に命を救われる『焚火』―、草叢に埋もれた廃墟に出現する幻の軍用列車をめぐる、現実と幻想が混じる大人のメルヘン『花見川の要塞』―、戦闘機乗りの大空のロマンを雄大に鮮烈に描出する『麦畑のミッション』―、線路のポイントを切り替えるように、人生の終着駅が始発駅へと変転する劇的な展開が鮮やかな『終着駅』―。いずれも男たちの強さ優しさ気高さを描き、さらに自然や生命への深い畏敬や愛情までも作品の底流に感じさせる、筋骨強健なハードボイルドの良作となっている。 しかし、いちばん印象に残ったのは、年々ゆるんでくる涙腺を、ジンワリ刺激せずにいなかった表題作『セントメリーのリボン』である。行方不明の猟犬さがしを専門とする私立探偵が、盗まれたポインターを取り返し、迷子のパグさがしに関わり、そして盲目の少女のもとから突然に消えた、盲導犬の捜索を引きうけることになったのだが…。 内なる矜持や誠意に忠実であるがゆえに、偏屈な自己を固める主人公の探偵をはじめ、登場人物たちのキャラ立ちが魅力的なうえに、そんな人間たちに寄り添う犬たちの姿もいじらしい。ユルユルのお涙頂戴には流れない、ウイットやアイロニーも効いている。タフで優しいフィリップ・マーロウの遺伝子を受けつぐ、ハードボイルドの秀作であると同時に、イヴの夜に、タイトルのようにリボンをかけて読書好きの誰かに贈りたい、ハート揺さぶるクリスマス小説の名品にもなっている。 | ||||
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きっと好きなタイプの本だろうな、と思って読み始めて、その思いが少しも裏切られることがない。 端正で、クールで、渋みにあふれ。 若い頃であれば夢中になって何度も読み返したと思う。 いや、年を経た今でも本作の魅力は変わらず、素晴らしい小説だと断言できる。 むしろ、そこから一歩距離をおいて物語を眺めてしまう自分自身の心情の変化に驚いている。 チャンドラーを始めとするいわゆる「ハードボイルド小説」という系譜。 その出会いは、矢作俊彦にあった(以前こちらのエントリでそれについては記した)。 10代の頃に熱中した大藪春彦のいくつかの著作は、いまとなっては「ハードボイルド」としては鼻白むくだりがないではないけれど。 そして自分の人生に大きな影響を与えた片岡義男と村上春樹。ふたりとも別にハードボイルド派の作家、というわけではないけれど、やはりその系譜に大きな足跡を刻んだ巨人と言ってよい。 例えば銃器やアルコールに関する偏愛ぶりや、主人公たちの生き方やものの考え方など、ハードボイルドとよばれるカテゴリに共通する振る舞いやお作法は、たくさんある。 本作も、その勘所をきちんと押さえ、読み手の期待を裏切らないいくつもの「こだわり」と「頑固さ」を見せる。 あぁ、大好きな世界だな、と噛み締めるように読んだ。 しかし同時に、久しぶりにこの世界に戻ってきて感じたのは、それが大人の男性にとっての『ファンタジー』なのだ、ということだ。 少女たちが好むマンガは、巨大な瞳と馬鹿長いまつ毛を持つ主人公が、背の高い優男に“壁ドン”される世界を描く。 我々中年男はそれを見て、その現実離れ感を心の中で嘲笑(わら)う。まだ世間の荒波を知らない少女たちの夢想する可愛らしさを。 けれど、実は我々中年男性が愛読するハードボイルドだって、あの娘たちの少女マンガと同じようなファンタジーなのだ、と思った。 本作の主人公たちは、例えばフリーランサーのカメラマンだったり、やくざだったり、猟犬専門の私立探偵(!)だったりする。自分の稼ぎだけで立ち暮らし、誰にも依りかからず、高い矜持とブレない信条をもって生きている。我々はそれを読んで憧憬を抱き、自らのあるべき姿として夢想する。 けれど我々には住宅金融公庫のFLAT35の住宅ローンだってあるし、会社では無能な上司と優秀な部下の間で板挟みになることもある。新しいクルマは欲しいけど、わが社の業績もパッとしないし、それを妻に言いだすのは決まって冗談めかした言葉でだけだ。 冴えない高校生だったり、バイトに明け暮れる大学生だったりした時には、いつかは自分もあの小説の男たちのように、開いたばかりのバァでギムレットを飲みながら高飛びする友だちの打ち明け話を聞くのだと信じていた。あの頃、ハードボイルドはファンタジーなどではなく、もっと直截的な人生のロールモデルであった。いまは冴えない学生だとしても、いつか自分もこうなるはず、と能天気に信じられる未来があった。 けれど、あちらで小突き回され、こちらで謝罪に明け暮れているうちに、いつしか自分が【あの男たちのようにはなれそうもない】という大いなる現実に気づく日が来る。いや、それは自分で気づくのではない。あの頃あんなに好きだったハードボイルド小説を読んで、「あぁ、やっぱりこういう世界って素敵だな」と思いながらも「でも、ありえないな」と心の中で舌打ちする時に、『気づかされる』のだ。 つまらないことを書いている。 こんなボヤキを書くために、こんなに素晴らしい小説の感想を書くつもりではなかったのに。 でも。 住宅金融公庫のローンを抱えて暮らすこんなぼくでも、未来を夢見る力はまだ失っていない。 かくあろうとする自分自身の姿は、ハードボイルド小説の男たちが思い出させてくれる。 矢作俊彦曰く、「しっかりしなくては生きていけない。紳士的でなければ、生きる気にもなれない」、のだから。 何の足しにもならないが、最後に本作の感想を。 小説としての佇(たたず)まいがとても良く、男たちの矜持をきちんと描いた短編が心の深いところに響く。 些事に捉われて自分自身の輪郭を見失いそうになる時、きっとこの本はかくあるべき男の生き方というものをきちんと示してくれる。 そんな灯台のように孤高で、また凛とした品格にあふれた本だった。 本が差し出してくれるそんな尊厳を、きちんと受け止められる人間でありたい、と思う。いつの日も。 | ||||
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この方の本に出会えた幸せを味わっていただきたいです。美しいハードボイルドの世界がそこにあります。 | ||||
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沢崎以上のハードボイルドという評を読んで買ってみたが、まったくの期待はずれであった。 肝心の人物がどれもステレオタイプで狭量さを感じてしまう。また、「猟犬探偵」というが、筆者は本当に犬のことがわかっているのか。ハンバーグを犬に食わせるなどもってのほかである。 | ||||
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