二十年ぶりに、故郷である高知の矢狗村を訪れた比奈子は、幼馴染みの莎代が十八年前に事故死していたことを知った。

過去の辛い思い出に縛られた美希は、四十路の今日まで恋も人生も諦め、高知の山里で和紙を漉く日々を送ってきた。

夫の定年退職を機に、東京から高知の山奥の白縫集落に移り住んだ夫婦。

土佐の山に囲まれた盆地に、ひっそり佇む嬉才野村。村の家々では、かつて盛大な「神祭」が行われていた。

東京で、証券会社に勤務する青年・竜介。

時は飛鳥。他者の夢の意を読み解く力を持つ白妙は、皇女の夢を解くため京にやってくる。

東京の小出版社に勤める額田彩子は、幻想絵画集の出版準備をすすめる中、一枚の絵に出会った。

時は平安。京に上った東国の長者が妻と荒れ果てた邸宅に宿を取った。

明治末期、文明開化の波も遠い越後の山里。

隣家の主婦に荒々しい欲望を抱く男。見つめられる視線のなかで徐々に熟れてゆく女。

鎌倉時代の男女が織り成す壮大な物語 自由な生を謳歌する傀儡女。復讐のために鎌倉を目指す武者。

家業の薬売りを手伝うために妻の静佳とともに富山に戻った麻史は、祖父が残した書き付けから「曼荼羅道」の存在を知る。

日常世界の中でふと垣間見てしまった性の秘密に戸惑いながら、大人への階段を昇ってゆく少女の姿を描いた「世界の真ん中」。

突然、男の腕に抱きしめられ、唇が塞がれた。

突然、男の腕に抱きしめられ、唇が塞がれた。

天鏡峠につらなる山襞に建つ合掌造りの一軒家。かつては大家族がいたこの家に、いまは母と息子だけが暮している。

ガイドや通訳をしながら南太平洋のバヌアツに暮らす彩実は、東日本大震災からしばらくの後、父の訃報を受けて故郷の北関東の町に一時帰国する。

旅に出たまま戻らない恋人を探すため、OL・香乃は彼の故郷である奈良・橿原を訪ねる。

13世紀、イタリア。

婚約者の広樹と共に帰郷した玲は、かつて姉の綾が結婚を目前にして首を吊った蔵で、珍しい蛇の浮き彫りのある鏡を見つける。

めぐみは平凡な主婦として隠やかな日々を送っていた。ある夜、夫が古い石の器を持って帰宅。

ひとは夢の中でさまざまなものを思い描く。生と死、愛と憎、肉体と精神、官能と苦痛、永遠と瞬間、安心と恐怖。

「惚けてしまったおばあちゃんは生ける屍や。

『孤狼の血』『盤上の向日葵』著者が放つ、社会派ミステリ! 結婚詐欺容疑で介護士の冬香が逮捕された。

「そう―ここは黒祠なのですよ」近代国家が存在を許さなかった“邪教”が伝わる、夜叉島。

日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞受賞作、待望の文庫化！ 岡山の遊郭で醜い女郎が客に自分の身の上を語り始める。

村の若者たちが仮装して、家々を訪ねる祭事・粥釣の夜、そのなかには見知らぬ男が侍を装い紛れ込んでいた…。

見慣れたはずのその町が、ある日突然、別の貌を現す。不条理と甘美が交錯する、9つの物語。

江戸時代、押し寄せる伊勢詣での旅人で沸く伊勢国・松坂。木綿問屋の女将・りくは夫の亥右衛門宛の恋文を見つけて、凍りつく。

恐怖小説を執筆中に身の周りで頻発する怪現象、現代日本人の心の奥底に見え隠れする土俗神への信仰心、古都から漂うミステリアスな魔力、異国の地での神秘あふれる体験やそこで人々をとらえてやまぬ神話や伝説…。

七世紀終わり。国は強大化する唐と新羅の脅威にさらされていた。

敗戦間近の箱根で、ドイツ軍潜水艦長が変死した。違体を発見したのは旅館の女中・安西リツ。

“あれ”が来たら、絶対に答えたり、入れたりしてはいかん―。幸せな新婚生活を送る田原秀樹の会社に、とある来訪者があった。

助産院に勤める紗英は、不妊と夫の浮気に悩んでいた。彼女の唯一の拠り所は、子供の頃から最も近しい存在の奈津子だった。

ここはどこ? たよりないひとり歩きで道に迷ったときの恐怖。日常の裂け目に落ちこんでこぼれ出た無意識の悪意。

「幽霊新聞」の発行で警察に追われた東吉は、自らも自由への熱意を燃やす母を残して上京し、東京の民権家と行動を共にする。

長編小説執筆のため、十数年ぶりに滞在することになったイタリア。実際に暮らすとなると、さまざまな困難が降りかかる。

明治中期、土佐・火振村の名家、道祖土家に十八で嫁いできた蕗。

薩摩藩士・是枝亥次郎は、藩命を受けて琉球に向かう船上で嵐に見舞われる。

会社の上司と七年越しの愛人関係を続けている紘子。

トシオ・マナハン、13歳。フィリピン、セブ島のガルソボンガ地区に祖父と住み、闘鶏用の軍鶏を育てる日々だった。

深夜のファミリーレストランで突如、人間が炎上した。その数日後、天王洲では無残に咬み殺された男が発見される。

大正中期、四国の隔絶された漁村に突如、白い異国船が現れた。目的は高価な桃色珊瑚。

何でも売っている不思議な市場「夜市」。幼いころ夜市に迷い込んだ祐司は、弟と引き換えに「野球選手の才能」を手に入れた。

中世イタリアの田舎町チェネダ。

天狗の千里眼がえぐりだす現代人の業と病理!平田篤胤のもとに再び現れた“天狗小僧”こと嘉津間。

秋田の貧しい小作農に生まれた富治は、伝統のマタギを生業とし、獣を狩る喜びを知るが、地主の一人娘と恋に落ち、村を追われる。

おちかに代わり三島屋次男坊・富次郎が新たな聞き手に。心揺さぶる極上の江戸怪談、新章突入─。

信州財界一の巨頭、犬神財閥の創始者犬神佐兵衛は、血で血を洗う葛藤を予期したかのような条件を課した遺言状を残して他界した。

大森署管内で女性が姿を消した。その後、交際相手とみられる男が殺害される。

時は天平宝宇年間。藤原清河の家に仕える高向斐麻呂は14歳で大学寮に入寮した。

妻子を愛する42歳の平凡な会社員、本間は、出来心で始めた「出会い系」で「リカ」と名乗る女性と知り合う。

映画は、ときに優しくロマンティックに、ときに生々しく、ときに手厳しく、恋の至福とテクニックを教えてくれる教科書。

両親を亡くし仕事も失った矢先に祖母がガンで入院した梨花。職場結婚したが子供ができず悩む美雪。

「山背」とは初夏の東北地方に吹く冷たい風のことをいう。その山背が渡る大地で様々な厳しい営みを続け、誇り高く生きる男たち。

ある夫婦が営む古書店がある。鎌倉の片隅にひっそりと佇む「ビブリア古書堂」。