旅涯ての地
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| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点9.00pt | ||||||||
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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上下巻820ページ弱の本書は、13世紀の日本、中国、モンゴル、ペルシア、イタリア、そしてアルプスの村落と舞台は移りゆく。日本の古き因習に囚われた業の深い人間とその怪異現象を村や町といった閉鎖空間で物語を紡ぎ出してきたこの作家にしては珍しい作品である。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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| カタリ派に興味を持っていたらおすすめに出てきたので手にとってみました。不思議で荒唐無稽とも思える物語ですが、実際は史実や地理にきちんと沿っていて、歴史のサイトや地図で都度確認しながら興味深く読みました。 ヴェネツィアが起点(実際はもっともっと遠いところ)なのでトゥールーズ→トローザ、ラングドック→リングアドッカなど、馴染みのある呼び方ではなくイタリア語読みになっていたり、東洋の国の街も旧名で書かれていたりでロマンを掻き立てられます。また、あちこちでつらつらと語られる夏桂のシンプルで道理にかなったものの見方は、様々な場所で様々な経験をした者にしか語れない真実の響きがあって心に染み入ってきました。 物語としても十分面白くてワクワクしましたが、本当に夏桂のような人がいたかも知れないあの時代の物や人の交流地図や、偏リ過ぎたカタリ派の教えや生き方などが理解でき勉強にもなりました。 記憶に残る一冊です。 | ||||
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| 上巻は非常に読み難い。遅々として進まない。さほど面白くもない。ネットで調べると、マルコ・ポーロの遺書にはタルタル人奴隷を解放しなさいと書いてあったとか。なんですと、夏桂は実在の人物かモデルがいるわけ? | ||||
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| リズムに文体、夢の跡にひとり残った夏桂の瞑想場面など船戸与一の小説を読んでいるのかと錯覚しました。キリスト教裏面史みたいなのが絡むと俄然物語が面白くなる。 | ||||
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| 最終章であるマッダレーナの最期を看取るシーンから、主人公が老いてマッダレーナを回想し永遠の安らぎと幸福を実感するまでの文章は圧巻。主人公と一体になってその安らぎと幸福を自分にもたらすこの美しい文章をぜひあなた自身で体験して欲しい。人生が一段と豊かになった気分の読後感です。ありがとうございました。 | ||||
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| 物語の主眼は第三部にあります。宗教・民族・文化といったマクロな要素と、人間の性愛と良心といったようなミクロな要素の複雑な絡み合いの中で、東方から来た主人公夏桂と異端のカタリ派に帰依したマッダレーナを対比していきます。 ローマ教会の異端審問官一行の到来という最大の危機を前に、続々と城を離れる信徒たちをよそに、慫慂として居残り、一人死を迎えるマッダレーナを見て、夏桂は何を思ったか。「マリアによる福音書」の記述は、彼女にどのような影響を与えたのか。 アルプスの山間の村ののどかな暮らしの描写から始まった第三部は、極めて荘厳な終結を迎えます。展開のおもしろさ以上に、いろいろ考えさせられる作品です。 | ||||
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