旅涯ての地
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点9.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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上下巻820ページ弱の本書は、13世紀の日本、中国、モンゴル、ペルシア、イタリア、そしてアルプスの村落と舞台は移りゆく。日本の古き因習に囚われた業の深い人間とその怪異現象を村や町といった閉鎖空間で物語を紡ぎ出してきたこの作家にしては珍しい作品である。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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上巻は非常に読み難い。遅々として進まない。さほど面白くもない。ネットで調べると、マルコ・ポーロの遺書にはタルタル人奴隷を解放しなさいと書いてあったとか。なんですと、夏桂は実在の人物かモデルがいるわけ? | ||||
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リズムに文体、夢の跡にひとり残った夏桂の瞑想場面など船戸与一の小説を読んでいるのかと錯覚しました。キリスト教裏面史みたいなのが絡むと俄然物語が面白くなる。 | ||||
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最終章であるマッダレーナの最期を看取るシーンから、主人公が老いてマッダレーナを回想し永遠の安らぎと幸福を実感するまでの文章は圧巻。主人公と一体になってその安らぎと幸福を自分にもたらすこの美しい文章をぜひあなた自身で体験して欲しい。人生が一段と豊かになった気分の読後感です。ありがとうございました。 | ||||
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物語の主眼は第三部にあります。宗教・民族・文化といったマクロな要素と、人間の性愛と良心といったようなミクロな要素の複雑な絡み合いの中で、東方から来た主人公夏桂と異端のカタリ派に帰依したマッダレーナを対比していきます。 ローマ教会の異端審問官一行の到来という最大の危機を前に、続々と城を離れる信徒たちをよそに、慫慂として居残り、一人死を迎えるマッダレーナを見て、夏桂は何を思ったか。「マリアによる福音書」の記述は、彼女にどのような影響を与えたのか。 アルプスの山間の村ののどかな暮らしの描写から始まった第三部は、極めて荘厳な終結を迎えます。展開のおもしろさ以上に、いろいろ考えさせられる作品です。 | ||||
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初めて海外を舞台にした坂東作品を読みました。日本人の作家が、この時代のこの地域を舞台にして小説を書くのは、決して容易なことではなかったでしょう。 浮き沈みの大きい人生を送ってきた、日本人の血を引く主人公夏桂が、大都からの帰還中のマルコ・ポーロ一行に同行し、ベニスで奴隷として働き始めるところから話が始まります。この設定だけで私は相当な新奇さを覚えました。 歴史上実在した人物は出てくるものの、先の展開が全く読めないまま、引きずられるように読み進みました。相変わらずな即物的な表現は、多少気になりますが。 全体の構成も斬新です。第1部と第3部はそれぞれベニスとアルプスの麓を舞台に夏桂が語りますが、間の第2部は、「マリアによる福音書」をめぐるローマ教会と異端のカタリ派との抗争に巻き込まれた夏桂が、運命に翻弄されるかのように逃げ回る様子が、追う側の往復書簡の形で綴られています。 日本人を母に、漢人を父に持つ主人公が、ルネッサンスの足音が聞こえてくる中世末期のヨーロッパをさまよいながら、様々な素性の人たちと出会い、交流し、議論し、そして別れていく。何ともわくわくするような展開です。同行する、禁欲的で敬虔な女性マッダレーナとの対比も非常に印象的です。 「狗神」や「死国」といった一般受けする作品を読んで喜んでいた頃の自分がほろ苦く思い出されるような、スケールと深さのいずれにおいても圧倒される大作です。 | ||||
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