桜雨



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    桜雨 (集英社文庫)
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    初公開日(参考)1998年10月
    分類

    長編小説

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    桜雨 (集英社文庫)

    1998年10月01日 桜雨 (集英社文庫)

    東京の小出版社に勤める額田彩子は、幻想絵画集の出版準備をすすめる中、一枚の絵に出会った。闇の中を渦巻いて立ちのぼる朱色の炎、火の粉と共に乱舞する桜の花びら、描かれたふたりの女―。絵に魅せられ、その謎を追う彩子の前に、当時を知るひとりの老女が現れる。戦前の芸術村・池袋モンパルナスで生きた放縦な画家・西游と、彼を愛した早夜と美紗江の凄絶な日々。島清恋愛文学賞受賞作。(「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

    桜雨の総合評価:8.30/10点レビュー 10件。Cランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (7pt)

    未完の作品?

    今まで四国、奈良と古き因習の残る小村、または町を舞台に伝奇ホラーを展開してきた坂東氏が今回選んだ舞台はなんと東京。しかも本作はホラーではなく、戦前の画家の探索行と昭和初期の情念溢れる女と男の業を描いた恋愛物。
    しかし、舞台は東京といっても年寄りの街、そして仏閣の街、巣鴨。やはり死がテーマの一部である。

    物語は混乱の昭和初期を生き抜いた二人の女性の物語を軸に、戦前の画家西游を巡る現代の物語が展開する。
    当初本作の主人公とされた額田彩子のストーリーよりも五木田早夜と小野美紗江という対照的な二人の物語の方が比重が大きくなり、またその情念の凄さから物語自体、かなり濃密である。

    この二つの物語についてはそれぞれの人生観が特徴的に表れていると思う。
    雪深い新潟の地を出るように上京し、画家を目指すが、人生に翻弄されるがままに生きていき、西游という狂乱の画家と出逢う事で愛憎に苦しみながら生きてきた早夜は「人生は食べてしまった饅頭のように何も残らないものだ」と述懐する。
    一方、同棲相手から逃げるように飛び出し、未練を残しながらも新しい生活に向かおうとする彩子は「散った桜が消えないように、人生も過去に思いを馳せつつ残り続けていく」と考える。
    何もかも失ってしまった早夜―最後に命さえも失った事が解るのだが―と三浦英夫との同棲に失敗した思い出が色濃く残る彩子。この二人を象徴するのに最適なエピソードだと思った。

    そして早夜と美紗江の過去の物語の登場人物全てが不幸であるというのもまた坂東氏の特徴がよく表れている。
    早夜は元より、その類い稀なる美貌と絵の才能を持っていた美紗江もまた西游に人生狂わされ、緑内障により、画家の道を閉ざされ、生涯独身を余儀なくされる。
    そして榊原西游も周囲の人生を狂わせる事で絵の才能の糧にし、女の内面を写実的に描き出す。しかし空襲でその作品のほとんどは焼き尽くされ、現在では最早忘れ去られた存在に(実在の人物なのかどうかは解らないが)。
    そして早夜の上京時からの良きパートナーであった有馬雄吉もまた、新進の俳優の道が開ける正にその時、戦争に徴収され、顔に火傷を負い、俳優の道を閉ざされ、家業の桶屋を継ぐことになる。しかも妻と子供は空襲で爆死するといった有様だ。その死に様は身寄りの無い年寄りの孤独な死である。
    この救いの無さは一体何なのだろう?

    しかし、前述したように過去と現在との物語では断然過去の物語の方が面白い。
    これから判断するに、人の不幸こそ面白い、というのが坂東氏の物語作法なのだろうか?
    しかし、私はこの物語は失敗作だと思う。
    いや、失敗作というのは適切ではない。未完の作品だと思う。
    過去と現在の物語の濃度に差がある故にバランスを欠いているように感じるのだ。
    主人公の予定だった彩子がなんともぼやけた存在になってしまっている。
    行きつけのパブ「リンダム」の常連達である弥生と大磯夫婦など個性あるキャラクターもいるのに物語があまり膨らんでいない。
    しかし何といっても物語の結末の仕方がすべて曖昧なのだ。
    はっきりした答えなど必要ない、感じたことを信じればそれでいいのだ。
    確かにこれも一種の結末の付け方だろう。しかし、なんとも据わりが悪い。

    今回、死の象徴とされた蝙蝠傘を持ち、「都市は冥界である」と唱える男の正体、絵の作者、西游の行方、美紗江の真意。
    これら全てが未解決であるから余韻を残す結末ではなく、どうにも消化不足のような気がしてならない。
    ミステリではないからと云われればそれまでだが、あと少し書き込めばなかなかの傑作になったのではないかと思うのだが。

    Tetchy
    WHOKS60S
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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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    No.9:
    (1pt)

    最悪の坂東作品

    こんな作品に文学賞を授与したなんてことがまったくもって不可解。
    全然おもしろくない。読み出して100ページになっても、それが変わらない。登場人物に魅力がないので、何がどうなっていくのかという興味がまるでわかないからだ。早夜も彩子もどちらもいやーな感じの人物。いやーな女が、いやーな男に感じる「未練」なんてものに共感できる訳がない。
    美紗江や雄吉などの人物は上記の二人みたいな悪印象はないが、魅力はないし、存在感もない。尾崎以下みんな人物造形が薄っぺらすぎる。尾崎というのをこんな風な人物に設定したのか不可解(あんな規模の会社でこんな者を傭ったのも不可解。魂の欠如した人物もいいとこ)
    情念、情念と大騒ぎしているが、中身がまるでない。情念をもってくれば、人物の行動の理由になると思っているような作者が愚かにしか思えない。それを読んで納得してしまう読者が複数いるのも信じられない。だって、ドラマの内容が書かれていないのだから。いったい何を読み取ったつもりなのだか。

    読んで不愉快にしかなれない小説です。
    桜雨 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:桜雨 (集英社文庫)より
    4087488659
    No.8:
    (5pt)

    大好きな作品

    これはもうぜひ映画化してほしいものです。私が読んだ本の中でベスト3に入ります。やはり女の執念、情念をかかせたらこの作者の右に出るものはいないでしょう。いろいろなものが詰まってグッとくる作品です。何とも言えないたまらないって表現しかできません。そういった味わい深い素晴らしい小説でした。
    桜雨 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:桜雨 (集英社文庫)より
    4087488659
    No.7:
    (5pt)

    迅速でした

    きれいな本で、届くのも早くてとてもよかったです。またよろしくお願いします。
    桜雨 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:桜雨 (集英社文庫)より
    4087488659
    No.6:
    (5pt)

    とことんまでいけたら、それはそれで幸せなのかも。

    アトリエ村の家並みや、火の粉と桜が乱舞する日本画とか、凄くリアルに思い浮かべられて、その時代にタイムスリップでもしたように感情移入してしまいました。一緒にいたいのに憎いとか、ここまで来たならとことんまでとか、どろどろ燃える早夜の感情が、まるで読んでいる自分自身の中から湧き上がってくるような感覚に陥って引き込まれました。凄く面白かったです。あの絵が日の目を見て彩子のように魅了される人がいたとしたら、苦しんだ思いも少しは報われるだろうななんて、読後はそんな余韻に浸りました。
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    4087488659
    No.5:
    (4pt)

    結末を知って、もう一度読み返したくなる

    坂東さん=伝奇小説の巨匠、と捉えている私には少々物足りなく、違和感も覚えながら読み続けました。やはりこの人の作品は、メインに伝奇的要素があり、そのスパイスとして愛憎劇が付加されるという形が理想のように思います。単なる愛憎劇だけのお話なら、他にいくらでも作家がいますから。
     戦前と現在とで、登場人物を重複させ、しかも語り手を替えるというのは、おもしろい手法です。ただ戦前の物語の方で、早夜のような、単に負けず嫌いなだけで、人生に大した目標も持たず、目先の快楽だけを求めるような人物を語り手にしなかったら、全く違った雰囲気の物語になるだろうとは思います。また、現代の方の主役の彩子には、早夜のような人生は決して送ってほしくないとも思います。

     私から見て、あまり魅力的な人物は登場しませんでしたが、坂東さんの巧みな構成力で、最後まで緊張感を失うことなく読み切ることができました。
     結末もさすがに「坂東流」です。爽やかな読後感です。彩子の前向きな人生も予感させます。そして多くの読者は、もう一度読み返す必要を覚えるでしょう。
    桜雨 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:桜雨 (集英社文庫)より
    4087488659



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