狗神



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狗神 (角川文庫)
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初公開日(参考)1996年12月
分類

長編小説

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狗神 (角川文庫)

1996年12月01日 狗神 (角川文庫)

過去の辛い思い出に縛られた美希は、四十路の今日まで恋も人生も諦め、高知の山里で和紙を漉く日々を送ってきた。そして美希の一族は村人から「狗神筋」と忌み嫌われながらも、平穏な日々が続いてゆくはずだった。そんな時、一陣の風の様に現れた青年・晃。互いの心の中に同じ孤独を見出し惹かれ合った二人が結ばれた時、「血」の悲劇が幕をあける!不気味な胎動を始める狗神。村人を襲う漆黒の闇と悪夢。土佐の犬神伝承をもとに、人々の心の深淵に忍び込む恐怖を嫋やかな筆致で描き切った傑作伝奇小説。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.50pt

狗神の総合評価:7.74/10点レビュー 35件。Bランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(9pt)

人もまた獣

高知の山村、尾峰で和紙職人として暮らす坊之宮美希は41歳にもなるのに、独身だった。彼女にはかつて高校の時に妊娠し、産んだ赤子を死なす辛い経験をしており、それ以来、恋愛や結婚とは無縁の生活を送っていた。
そんな中、隣村の中学校に教師として赴任してきた奴田村晃という青年が美希の前に姿を現す。10以上も歳の離れた二人だったが、似たような孤独感を抱いており、やがて激しい恋の炎が燃え上がる。
しかし、それは「狗神筋」と呼ばれる坊之宮一族が今まで保ってきた村の平穏を打ち破る悪夢の始まりでもあった。

なんとも業の深い物語である。前作『死国』と同じく作者の故郷、高知の山村、尾峰という閉じられた空間を舞台に、昔ながらの風習が息づき、「狗神」を守る坊之宮家とそれらに畏怖の念を抱く村の人々の微妙な関係をしっかりした文体で描いている。
前作『死国』でも感じた日本の田舎の土の匂いまでも感じさせる文章力はさらに磨きがかかっていると感じた。後に『山妣』で直木賞を獲るその片鱗は十分に感じられた。
そして今回は物語の語り方が『死国』よりも数段に上達したように感じた。

まず主人公の美希の人物造形である。この41歳の薄幸の美人の境遇に同情せざるを得ないような形で物語は進んでいくのだが、次第に明かされていく美希の過去のすさまじさには読者の道徳観念を揺さぶられる事、間違いないだろう。
結婚を諦めざるを得ない原因となった高校時代での妊娠。しかしその相手が従兄である隆直だという事実。そしてその隆直が実の兄だったという三段構えで、この美希の業の深さをつまびらかにしていく。

その他にも、物語の前半で美希の人と成りを彩る色んな小道具が、実は美希の業の深さを知らしめるガジェットであることを知らされる。特に美希が毎日手を合わせる地蔵の真相には胸の深い所を抉られる思いがした。この坂東眞砂子という作家は、人間が正視したくない心の奥底に潜む悪意というものを眼前に突き出すのが非常に上手い。「これが人間なのだ」と決して声高にではなく、静かに読者に語りかける。云うなれば、そう、人間が獣の一種なのだという事実、獣が持つ残忍さを秘めている事を改めて思い知らされる、そんな感じがした。

そして坂東眞砂子氏の文学的素養というのも今回確認できた。
まず美希が晃と山中での雨宿りの最中に初めて交わるシーン。これは歴代の日本純文学から継承される恋愛シーンの王道だろう。三島由紀夫氏の『潮騒』を思い出してしまった。

私自身が一番好きなのは晃が美希と結婚することを決意した際に、不審な目で二人を見つめる村人の視線に真っ向から対峙したときに美希が晃を頼もしく思うシーンだ。これは私が結婚を決意する時の心情に似ていたからだ。
「もし世界中の人が俺の敵になっても、こいつだけが俺の味方だったら、それで十分だ」
この思いと等価だからだ。これはストレートに我が胸に響いた。
他にも美希に対しては住みよいとは云い難い尾峰を、美希が好きだというところの台詞、
「ここにおったら・・・、空に飛びだせそうな気がするき」
なんていうのも胸に響いた。

前作『死国』では物語のメインテーマ「逆打ち」を中心に色んな人々が状況に取り込まれていく様を描く、いわゆるモジュラー型の構成を取っているのに対し、今回は美希からの視点のみでしかも尾峰で起こることのみを語っている。このような構成上、前作よりも単調になりがちだと思うのだが、全く物語がだれることなく、終末へ収束していく。全く退屈する事が無かった。
それは前にも書いたように、手品師が一枚一枚、布を捲りながら種明しをするように、徐々に事実を明かしていくその手法によるところが大きい。この構成からも坂東眞砂子氏が格段に進歩したのが如実に解る。
構成といい、文章といい、もっと評価されてもいいのだが、子猫を殺すなんていうスキャンダルのせいで変なところで話題になった作家である。実に勿体無い話だ。


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Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

狗神の感想

高知の閉鎖的な村を舞台にした、憑き物筋の一族に生まれた女の話。

舞台があまりに閉鎖的すぎて、『現代の日本で…』と思えてしまう設定だが、この作者はそういう設定で人物や景観を実に鮮やかに描く。割と悲惨な人生の主人公だが、それほど陰鬱な話になっていないのは色彩のある描写が活きているからだろう。

ドロドロしている筈のストーリーも、加減の効いた描写で必要以上に押し付けてこないのは流石。

しかし、全体的にはもう少し重みというか、グッと迫ってくるものが足りなかったかなと思いました。題材としても面白いのに勿体無い。

カミーテル
MCFS6K6O
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No.33:
(5pt)

面白い

スラスラ読めた。後半からページを進む手が止まらなかった。好きな系統のお話し
狗神 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:狗神 (角川文庫)より
4041932033
No.32:
(5pt)

ネタバレ含みます

本家筋の女に日課を負わせて土地に縛り付け、一族を孤立させることによりいずれ血が交わる復活の日を待つ。孕めば母体が焼けなければ問題ない。
鵺(狗神)の宿願と思ってストーリーをなぞれば、勝手に呪いだの情愛だの運命だのと右往左往する人間どもが獣の作り出した大きな流れに巻き込まれていく様を俯瞰できる
おそらく血筋が耐えない程度の加護はあったろうが、それよりは孤立させるための他の地元住民への加害のが多かっただろう
先祖祭りの歌謡は言祝と見せかけた先祖からの警告か、はたまた鵺(狗神)からの手引きか
美希や晃や隆直の抱いた恋愛感情に思われたものは、全て怪物の本能でしかなかった

というところまで読み取るとなかなかに面白いです
狗神 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:狗神 (角川文庫)より
4041932033
No.31:
(4pt)

好きなタイプの小説

お値段も安いので経年劣化は別に気にならない。
全ページ読めたので問題無いです(私は)
面白かったです。
狗神 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:狗神 (角川文庫)より
4041932033
No.30:
(5pt)

出だしは好みのジャンルでないとすすまなかったが

とても、面白かった。
最後のほうで、キャリーのように爆発してほしかったが、日本人らしい心のありようで終わって かえって心残る一冊でした。
狗神 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:狗神 (角川文庫)より
4041932033
No.29:
(1pt)

読み上げ機能なし

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やっぱりKADOKAWA
奥付のみ聴けます
狗神 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:狗神 (角川文庫)より
4041932033



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