梟首の島

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種別
長編
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あらすじ

2009年09月15日 梟首の島(下) (講談社文庫)

「幽霊新聞」の発行で警察に追われた東吉は、自らも自由への熱意を燃やす母を残して上京し、東京の民権家と行動を共にする。だが、テロ化した運動は加波山事件に発展し、その限界に近づいていく―。一方ロンドンの光明は、遂に留学生イワガミの死の真相に辿り着く。個々人の革命を描いた物語、衝撃の後編。(「BOOK」データベースより)

評判

梟首の島の評価:

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梟首の島の総合評価:

8.67/10点 レビュー 3件。

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No.3
(5pt)

ロンドンのミステリーと、土佐の立志篇

 また一つ、坂東さんの新境地を見るような作品です。
 最初の時点では19世紀末に、10年ほどの年を隔てて、ロンドンと高知で一見あまり関係なく進む2つの物語。
 ロンドンでは、現地在住の日本人貿易商光明が、土佐出身の優秀な留学生の割腹自殺にまつわる謎を、スコットランドヤードの刑事とは別に解明しようとします。
 高知では兄とは好対照で、勉強嫌いな少年東吉が、さまざまな人との出会いを通じて、自由民権運動の渦中に身を投じていきます。
 やがて、岩神という姓が明らかにされると、ロンドンで客死した青年は、東吉の兄であることがわかります。
 ロンドンでは別に殺人事件も起きて、謎が謎を呼ぶミステリーに仕立てられています。ベネディクトの「菊と刀」のような、西洋と日本の文化の対比が背景にあります。
 そして土佐では、人生最大の危機を乗り切った東吉が、いよいよ東京を目指します。
梟首の島(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 梟首の島(上) (講談社文庫)より
4062764679
No.2
(4pt)

「自由民権運動」の本質を語る良書

この本は、一つのテーマについて書かれた二つの小説から出来ていると言っていいと思います。従って、その構成は、日本での物語とイギリスでの物語が交互に語られるという形を取っています。
日本での物語は、岩神東吉を主人公に自由民権運動が盛り上がってゆき、やがて、自壊してゆく様を描いてゆきます。今まで、自由民権運動というと、事件を中心にした物語しか読んでいなかったので、底辺から徐々にその運動の中心に進み、やがて、その限界を知って決別してゆく物語は非常に新鮮で、この部分が最も楽しめました。又、運動の倒壊部分は、70年安保を中心とした学生運動の倒壊の模様と重なり、興味深いものがありました。
イギリスの物語は、東吉の兄の大洋の切腹による自殺という衝撃的な事件の動機を探ってゆくミステリーとして楽しめる作品になっています。
この本で作者が言おうとしたことは、端的に言えば、タイトルの「梟首の島」=日本の本性だろうと思います。付属的に語られる「女性」の問題の考え方も興味深く読むことが出来ました。
梟首の島(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 梟首の島(上) (講談社文庫)より
4062764679
No.1
(4pt)

ホラーではありません

表紙絵とタイトルと作者で、久々の新作長編ホラー?と思ったが、内容は、自由民権運動の草の根の物語。舞台は主に土佐とロンドン。
主人公は土佐の下級武家出身の兄弟。兄は秀才、弟はやんちゃ坊主。
兄はロンドンで切腹し、弟は土佐や東京で自由民権運動にのめりこんでいく。彼らの母もまた、女性の地位向上のために細々と活動をする。
作者にとって新境地であると思うが、坂東ファンをがっかりさせない不気味なムード、エロティックな描写は健在。
男と女の根本的な違い、西洋に染まっていく日本というテーマは、現代にもぴったりあてはまり、説得力があった。
梟首の島(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 梟首の島(上) (講談社文庫)より
4062764679
No.0
(5pt)

女性解放と自由民権運動

 下巻に入ると、日本の物語の方では、加波山をはじめとして、日本史の教科書にも登場するようななじみのある地名が多く出てきます。これまで坂東さんの他の作品でも顔を出していた自由民権運動が、この作品でははっきりとメインテーマに据えられています。
 それと同時に、私が読んだ坂東作品のなかでは女性解放色が最も濃く感じられます。最後の方で、むめが爆裂弾を片手に思いの丈を述べる横浜港の場面が何といってもクライマックスでしょう。
 しかし同時に、一流作家として書けるのはここまでかなという気もします。それ以上のことを盛ると、一流作家の地位を滑り降りることになるでしょう。蓋し、小説、いえおよそ文学というものは、ジェンダーバイアスがあってこそ成り立っているといえるでしょうから。誰かがそれを打ち破る試みをしてもいいとは思いますが。
 最後に貿易商光明が一時帰国して、岩神大洋の母を訪ねた時点でロンドンの物語と同期します。大洋が弟東吉に宛てた遺書の内容が最後に公開されます。そこにある、坂東さんの意図は何なのか?
 進取の気質と頭脳を買われて海外派遣された若い男たちの心の内も、所詮はこの程度だったのか。この程度だから、大成できなかったのではないか。もっと柔軟でこだわりのない考え方はできなかったのか。例えばおまいさまがむめに諭したような、躑躅を成長させるために、椿を切るのではなく、その樹皮を剥ぐようなやり方は。
 そんな風に考えてみました。ロンドンでの主人公を「光明」としたのは、坂東さんのせめてもの希望でもあったのかな、とも。
梟首の島(下) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 梟首の島(下) (講談社文庫)より
4062764687
No.-1
(5pt)

ロンドンのミステリーと、土佐の立志篇

 また一つ、坂東さんの新境地を見るような作品です。
 最初の時点では19世紀末に、10年ほどの年を隔てて、ロンドンと高知で一見あまり関係なく進む2つの物語。
 ロンドンでは、現地在住の日本人貿易商光明が、土佐出身の優秀な留学生の割腹自殺にまつわる謎を、スコットランドヤードの刑事とは別に解明しようとします。
 高知では兄とは好対照で、勉強嫌いな少年東吉が、さまざまな人との出会いを通じて、自由民権運動の渦中に身を投じていきます。
 やがて、岩神という姓が明らかにされると、ロンドンで客死した青年は、東吉の兄であることがわかります。
 ロンドンでは別に殺人事件も起きて、謎が謎を呼ぶミステリーに仕立てられています。ベネディクトの「菊と刀」のような、西洋と日本の文化の対比が背景にあります。
 そして土佐では、人生最大の危機を乗り切った東吉が、いよいよ東京を目指します。
梟首の島〈上〉 Amazon書評・レビュー: 梟首の島〈上〉より
4062131471

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