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(短編集)
パライゾの寺
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パライゾの寺の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.43pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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坂東氏の小説の中でも最高傑作の一つだと思う。 特に表題作の「パライゾの寺」はすばらしい。 淫靡で美しく、はかなくて強く、無垢ゆえの崇高さ。 単体でも光る作品だけれど、他の作品とともにこの短編集としてまとめられたことで、さらに輝きを増したと思う。 | ||||
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これは大傑作だと思います。 小説の構造がものすごーくよくできています。 民俗学者の聞き書きという設定で、 土佐の田舎の人々が語りだす。 人間の業がむちゃくちゃにつまったはなしが続く。 ホラー雰囲気を纏いながらも、 語りは終了し、あくまで人間の営みの枠内に話は収まり続けるのだ。 読んでいるうちに、 「あ、これはホラーじゃないんだ」と読者に思わせるのだが、 これは作者の騙しのテクニック。 時間軸が微妙にずれたストーリーが挟まったりして、 うん?と首を傾げる部分もあるのだが、 私は見事に騙されました。 そして最後。 オチが見事。そして更にオチが。。。 オチが分かってみると、 短篇連作の意味もものすごく腑に落ちるという、 近年稀にみる仕掛けの見事な小説でした。 お勧め。 | ||||
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7篇の短編小説集です。 大阪の学生(のちに教員)が、高知にゆかりのある6人の人たちから昔話を聴き取り、最後は自分自身が語り手となるという構成です。 ファンには手軽に坂東ワールドを楽しめる、ありがたい「企画」です。 坂東作品の約半分を読了した私の感想の一つは、「坂東作品とエロスとは、切っても切り離せない」ということですが、それは短編でも同じことで、特に「残り香」はエロスそのものです。さすがに締めの「お接待」は例外だろうと予想していましたが、見事に裏切られました。 真ん中の「虫の声」がやや駄作というか、「坂東流」の味つけが薄いように思いますが、他の6作品はそれぞれに☆5つを付けたくなる、味わい深い佳作ばかりです。 | ||||
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高知の山村の市井の人々が語り部となり、語った自らの人生を大阪の作家がまとめる、そういった筋立てであり、口語調で語られるそれらの物語は、閉鎖された狭い社会の息苦しさそして、彼らの信じる共同体の規則や伝統に翻弄され、縛られる人たち、そして山奥に眠る魑魅魍魎が跋扈するような独自の世界観がある。 遠野物語を彷彿させるものや、(作品の中で明瞭に述べている)、陰惨な事件の裏に隠された狂気、表題の作品のように、幻想的なもの、その他村のおきてをやぶってしまったために、村八分にされ、不幸な人生を歩まざるおえなくなった女性のはなし、小さな共同体では「日常的な小さな事件」が外からみれば「大きな事件」となり浮かび上がってくる。 | ||||
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明治〜昭和の「土佐」の庶民たちを中心に,濃厚な土俗的世界を描いた短編集。坂東眞砂子は,やっぱりこういうオドロオドロしい世界が似合っている。 書名にもなっている『パライゾの寺』がよかった。禁制の切支丹として土佐に流されてきた豊市と,士族の未亡人ながら生活苦から遊女になった「さく」。豊一は,さくの中にマリア様を見て,さくを抱いてしまうのだが・・・。人が何に「聖」を見出すのかという一場面をきれいに切り出してみせてくれる作品だった。 東京の貧民窟で生まれ育ったフキ子を主人公にする『六部さま』も,たくましく生きる女と,根拠のない未来にしがみつきながら酒に溺れるしかない男とを対比するように描き,よかった。 坂東眞砂子のオドロオドロしい世界が好きな人にはお勧めの作品である。 | ||||
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坂東眞砂子といえば、高知を舞台に日本の土俗的なおどろおどろしい世界を描く人というイメージがあります。 『パライゾの寺』は短編集で、一作読み進むごとに時代が新しくなる構成になっています。七話のなかでは「まんなおし」、「虫の声」、「六部さま」が気に入りました。「まんなおし」はある女の軽率な行為が神の怒りに触れたとして身の不幸を招いてしまうというものです。「虫の声」、「六部さま」は男の身勝手さがテーマといえます。身の不遇から酒に溺れてしまい、ますます困窮する、震災をいいことに妻子を置いて自分だけ逃れてしまうなど今も昔も男の身勝手さは変わりません。昔の男のほうがひどいくらいです。 似たような作風では岩井志麻子のほうが好みなのですが、この人も伊達に直木賞はもらってません。十分満足のいく内容でした。 | ||||
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作者が「附記」に記載しているように、「歴史に名を残すことのない者たち」の「声」を、明治維新前夜から太平洋戦争直後までを編年体で、七編の短編に纏めた作品集です。 伝承や地誌だけでなく、当時の新聞記事を基にしたものなど、取材元は様々ですが、そこには、土佐の山村、漁村の貧しい中にも逞しく生きている人びとの息吹があります。作者自身の表現を使えば、「力強く、逞しく、おかしく哀しく、多彩な響きに彩られ」ている人びとの「声」です。 七編の話の内容は様々で、作者独特の女性の性を扱ったものや、幽霊の話もあります。表題作の「パライゾの寺」のような武士の娘に生まれながら遊女になった女性の哀しい物語もあります。もっとも、この哀しい遊女に「パライゾ」の夢を見させる一夜で作者は追悼しています。 全体的に、ここに登場する女性たちは、逞しく生きています。作者が描く「女性の生」が、この本の中にもしっかりと読み取れる短編集です。 | ||||
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