闇の世界史の随所に現れる謎の女、V.。

目覚めればそこに死体。LAPDの警官の群れ。

世は植民地時代。

フロンティア消滅直後の19世紀末アメリカ。飛び立つは謎の飛行船“不都号”。

華氏37度で変わらぬ外気、階下では終わらぬパーティ。

夢と現実のあわいに浮び上る「迷宮」としての世界を描いて、二十世紀文学の最先端に位置するボルヘス(一八九九‐一九八六)。

妻に去られたナッシュに、突然20万ドルの遺産が転がり込んだ。

1949年。

「そもそものはじまりは間違い電話だった」。

2076年7月4日、圧政に苦しむ月世界植民地は、地球政府に対し独立を宣言した!流刑地として、また資源豊かな植民地として、月は地球から一方的に搾取されつづけてきた。

異常な寒波のなか、私は少女の家へと車を走らせた。地球規模の気候変動により、氷が全世界を覆いつくそうとしていた。

黒死館の当主降矢木算哲博士の自殺後、屋敷住人を血腥い連続殺人事件が襲う。

人類がはじめて月を歩いた夏だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。

空には暗雲がたれこめ、気温は下がりつづける。目前には、植物も死に絶え、降り積もる灰に覆われて廃墟と化した世界。

ぼくの飼い猫のピートは、冬になるときまって「夏への扉」を探しはじめる。

昭和29年の洞爺丸沈没事故で両親を失った蒼司・紅司兄弟、従弟の藍司らのいる氷沼家に、さらなる不幸が襲う。

十六歳のビリーは、家畜を襲っていた牝狼を罠で捕らえた。いまや近隣で狼は珍しく、メキシコから越境してきたに違いない。

妻と喧嘩し、あてもなく街をさまよっていた男は、風変りな帽子をかぶった見ず知らずの女に出会う。

この世の物とは思えない奇妙な恋の物語 22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。

十九歳になったジョン・グレイディ・コールは国境近くの牧場で働いていた。

昭和十年一月、書下し自費出版。狂人の書いた推理小説という異常な状況設定の中に著者の思想、知識を集大成する。

少年は、十四歳で家出し、物乞いや盗みで生計を立て各地を放浪していた。時はアメリカの開拓時代。

私の父は、52歳で離婚し、ニューアークの家で、ひとり孤独に死んでいった。

あらゆるものが退行し朽ち果てていく。

謎の作家アルチンボルディを研究する四人の文学教授、メキシコ北部の国境の街に暮らすチリ人哲学教授、ボクシングの試合を取材するアフリカ系アメリカ人記者、女性連続殺人事件を追う捜査官たち…彼らが行き着く先は?そしてアルチンボルディの正体とは?2008年度全米批評

時計の針が深夜零時を指すほんの少し前、都会にあるファミレスで熱心に本を読んでいる女性がいた。

「港の空の色は、 空きチャンネルに合わせたTVの色だった」 無数のテクノ犯罪者たちが跳梁跋扈する魔都、千葉市〈チバ・シティ〉の片隅。

おれを力いっぱい殴ってくれ、とタイラーは言った。事の始まりはぼくの慢性不眠症だ。

女性は人類に入らないとされていた十九世紀半ばのヨーロッパで、虐げられた女性と労働者の連帯を求めて闘った革命家フローラ・トリスタン。

ダンボール箱を頭からすっぽりとかぶり、都市を彷徨する箱男は、覗き窓から何を見つめるのだろう。

幼なじみのファンショーが、美しい妻と小説の原稿を残して失踪した。

傷ついた犬のように、私は生まれた場所へと這い戻ってきた―ブルックリンの、幸福の物語。

その男は死んでいたはずだった―。何十年も前、忽然と映画界から姿を消した監督にして俳優のヘクター・マン。

長く続いた戦争のため、放射能灰に汚染され廃墟と化した地球。生き残ったものの中には異星に安住の地を求めるものも多い。

「父さんのこと、殺す」痩せた少年の緑色の瞳は飢えたようだった……孤独な男と孤独な少年の出会いを痛切に描く「第四戒なし」、成功した作家が体験するサイケデリックな彷徨譚「パンキーとイェール大出の男たち」、閉ざされた空間に幽閉される恐怖を華麗な筆致で綴る「盲鳥よ

多重人格カップルの友情と淡い恋心と殺人と――。

母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。

「あなたの人生の物語」を映画化した「メッセージ」で、世界的にブレイクしたテッド・チャン。待望の最新作品集がついに刊行。

“わたしたちは仲間です”―十四歳のある日、同級生からの苛めに耐える“僕”は、差出人不明の手紙を受け取る。

現実が終わり、伝説も終わる―。アメリカ大統領に迫る核テロの危機。

第一次世界大戦後のパリ。芸術家が享楽的な日々を送るこの街で、アメリカ人ジェイク・バーンズは特派員として働いていた。

毎年恒例のくじ引きのために、村の皆々が広場へと集まった。子供たちは笑い、大人たちは静かにほほえむ。

大阪の下町で生まれ小説家を目指し上京した夏子。38歳の頃、自分の子どもに会いたいと思い始める。

カンザス州の片田舎で起きた一家4人惨殺事件。被害者は皆ロープで縛られ、至近距離から散弾銃で射殺されていた。

元プロの賭博師ビル・パームリーが腕利きいかさま師たちと対決、巧妙なトリックを次々にあばいていく。

上海の租界に暮らしていたクリストファー・バンクスは十歳で孤児となった。

記憶や人格などの情報をコンピュータに“ダウンロード”することが可能となった21世紀なかば、ソフトウェア化された意識、“コピー”になった富豪たちは、コンピュータが止まらないかぎり死なない存在として、世界を支配していた。

ヴェトナム帰還兵モスがメキシコ国境付近で発見した死体と大金が、更なる殺戮を呼ぶ。〈国境三部作〉後の衝撃作。

友人グロリアの自殺をきっかけにして、作家ホースラヴァー・ファットの日常は狂い始める。

30世紀、人類のほとんどは肉体を捨て、人格や記憶をソフトウェア化して、ポリスと呼ばれるコンピュータ内の仮想現実都市で暮らしていた。

すべての自然法則を包み込む単一の理論、“万物理論”が完成されようとしていた。ただし学説は3種類。

ジョウントと呼ばれるテレポーテイションにより、世界は大きく変貌した。

一人の男が道端で爆死した。製作中の爆弾が暴発し、死体は15mの範囲に散らばっていた。

物欲の権化のような父フョードル・カラマーゾフの血を、それぞれ相異なりながらも色濃く引いた三人の兄弟。

人気小説家のラファエルは、婚約者のアンナと南フランスで休暇を楽しんでいた。

サンフランシスコ、夜。小柄でブロンドの美しい女がカフェに入ってきた。